京都市の起業支援制度
京都市では、創業予定者や創業間もない方を対象に、複数の起業支援策を提供しています。うまく活用すれば、会社設立にかかる初期費用の大幅な削減が可能です。京都市情報館は、起業準備の段階から利用できる相談窓口やサポート情報も掲載しており、情報収集の第一歩としてもおすすめです。
参考:京都市情報館「京都市で創業を予定される方、創業間もない方へ」
会社設立時の登録免許税の減免
法務局で会社設立登記を申請する際に、株式会社で最低15万円、合同会社で6万円の登録免許税が課せられます。京都市では、一定の条件を満たすと登録免許税の半額が減免されます。たとえば、株式会社の場合は7万5千円、合同会社の場合は3万円です。
支援を受けるためには、京都市が特定創業支援等事業として位置づけた創業セミナーなどを継続的に受講し、証明書を発行してもらう必要があります。経営、財務、人材育成、販路開拓の知識が身につく多様なセミナーがあるため、計画的に受講すると経営にとってもプラスになるでしょう。各種支援をうけることで、少ない資金でも事業をスタートしやすくなります。
合同会社と株式会社どちらにするか迷っている方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:合同会社と株式会社の違いは?向いている会社形態と会社設立で失敗しないためのポイント
創業関連保証の特例
京都信用保証協会の「創業(開業)・経営承継支援資金<創業(開業)型>」は、京都府内でこれから創業する方や、創業から5年未満の方向けの保証制度です。金融機関と保証協会の連携により、設備資金や運転資金の融資を低金利・無担保で受けられます。
さらに、京都市の特定創業支援等事業の証明書を受けた事業者は「創業関連保証の特例」の対象となります。通常は、法人設立の2ヵ月前、個人創業の1カ月前から創業関連保証を利用できるところ、特例では事業開始の6ヵ月前から利用可能です。融資限度額は1,500万円以内から3,500万円以内に拡充されます。
参考:京都信用保証協会「開業・経営承継支援資金<創業(開業)型>」
新規開業・スタートアップ支援資金の貸付利率の引き下げ
新規開業・スタートアップ支援資金は、日本政策金融公庫の創業支援の柱ともいえる制度です。創業前後(事業開始からおおむね7年以内)の方が対象で、事業に必要な設備投資や運転資金を通常よりも低い金利で借りられるため、多くの事業者が利用しています。
京都市の特定創業支援等事業の証明書を受けている事業者は、さらに融資利率の引き下げ措置があります。融資申請においては事業計画書の内容が重視されるため、税理士などの専門家のサポートを受けて計画を練ることが、審査通過の大きなポイントとなるでしょう。
京都府の中小企業支援策について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
関連記事:京都府の中小企業支援策を徹底解説!活用ポイントと申請サポート
京都で起業支援が受けられる機関
京都には、創業者やスタートアップ企業をサポートする公的機関や団体が多数あります。資金調達・販路開拓・事業計画作成など多岐にわたる相談が可能です。ここでは、京都で起業支援が受けられる機関とサポート内容を紹介します。
京都府よろず支援拠点
中小企業庁が全国に設置している「よろず支援拠点」は、経営に関する多様な相談がワンストップでできる無料の公的窓口です。京都府よろず支援拠点では、創業間もない方へも丁寧な支援を行っており、資金繰りや販路開拓、事業計画のブラッシュアップなど、幅広いテーマで相談できます。
また、相談員には中小企業診断士や税理士、マーケティングの専門家などが在籍しており、複数の分野にまたがる課題にも柔軟に対応してもらえます。予約制で継続的なサポートも受けられるため、「起業したけど何から始めたらいいかわからない」という方にも心強い味方となるでしょう。
京都商工会議所
京都商工会議所は、長年にわたって地域の企業支援に取り組んできた経済団体です。創業希望者に向けて、創業セミナーや創業スクールといった実践的な学びの機会を提供しており、ビジネスモデル構築や資金計画、マーケティング戦略の立案まで、幅広く支援しています。
創業後は、商工会議所の会員企業に登録することで、各種経営相談や専門家によるアドバイス、補助金の案内などを受けられます。地元企業とのネットワークづくりや異業種交流会など、ビジネスチャンスを広げるきっかけとなる取り組みも活発です。地元での事業展開を視野に入れる場合は、利用を検討する価値があるでしょう。
京北商工会
京都市の京北地域に拠点を構える京北商工会も、地域密着型の起業支援を行っています。小規模事業者や個人事業主を対象に、創業に関する基本的な手続きから、補助金申請、販路開拓まで、一貫したサポートが受けられます。
地域の商慣習や消費傾向に精通しているため、地域資源を活用した事業や、地元住民とのつながりを重視したビジネスを志す方に有益な支援が受けられるでしょう。地域内の事業者同士をつなぐ取り組みも行っており、協業による新たな事業展開の可能性も広がります。
京都産業21
公益財団法人京都産業21は、ものづくり企業やベンチャー企業、中小企業を対象とした専門性の高い支援を行う機関です。新技術の開発支援や展示会出展支援、産学連携のコーディネートなど、技術志向の起業家の支援に長けています。
事業計画や資金調達に関する支援メニューも充実しており、創業期から成長期まで一貫して支援が受けられます。IT・IoT・環境分野など、将来性のある領域で起業を検討している方には特におすすめです。
日本政策金融公庫
公的金融機関である日本政策金融公庫は、「新規開業資金」や「女性・若者・シニア起業家支援資金」など、創業期に活用できる制度が整っています。創業支援の専門担当者が常駐しており、融資以外にも創業期の幅広い相談が可能です。資金面の不安を解消するためにも、創業融資を検討する場合は早期に相談してみるとよいでしょう。
関連記事:京都の起業相談はどこでする?失敗例や対策・内容について解説
【目的別】起業相談ができる専門家
起業について悩んだら、専門家への相談が成功への近道です。起業するためには、登記や税務・労務など、専門知識が必要な手続きが複数あります。ひとつずつ自分で調べながら行うよりも、専門家に依頼した方が正確で効率的な対応が可能です。ここでは、起業時に頼れる主な専門家と、それぞれの役割を紹介します。
行政書士:許認可申請を相談したい
飲食業、宅建業、建設業、古物商などの業種では、営業するために許認可や免許の取得が必要です。要件を満たしているかどうかの確認や提出書類の準備には、時間と労力がかかります。書類を提出しても、申請内容に不備があると予定通りに営業が開始できないリスクもあります。
行政書士に依頼すると、必要書類の収集からスケジュール管理、行政庁とのやり取りまで一括で任せられます。申請から許可が下りるまでに1ヵ月以上かかるケースもあるため、準備期間も考慮して、営業開始予定日の3ヵ月から半年前には相談しておきましょう。
司法書士:法人の設立登記を相談したい
会社を設立するには、法務局に法人設立登記申請が必要です。司法書士に依頼すると、定款の作成、公証人役場での認証(株式会社の場合)、資本金の払い込み、登記申請といった一連の手続きをスムーズに代行してくれます。
特に、定款は会社の運営方針に直結する基本ルールです。インターネット上にあるひな形を流用するのではなく、プロの視点で自分の事業に合った内容に整えてもらうことが大切です。相談する際は、会社設立の実績が豊富な司法書士を選ぶとよいでしょう。
関連記事:京都で会社設立を税理士に相談するメリットは?相談するタイミングと選ぶポイント
社会保険労務士:社会保険や就業規則を相談したい
従業員を雇う予定がある場合、社会保険の手続きや就業規則などの制度設計が必要です。社会保険労務士(社労士)は、雇用保険や健康保険、厚生年金の加入手続きはもちろん、給与計算や労務トラブルの防止策まで幅広くサポートしてくれます。
就業規則の整備は、労働トラブルを防ぎ、働きやすい職場環境を整える上でも重要です。労働関係の法令は、雇用主となる以上、知らなかったでは済まされません。社労士と連携することで、安心して人材を雇用し、長く働ける職場づくりを進めることができます。
税理士:税金や事業計画書作成を相談したい
開業届や青色申告承認申請などの各種税務手続きから、事業計画書の作成や資金調達のサポート、節税アドバイスまで、税理士の守備範囲は広範です。スポットでの依頼も可能ですが、顧問契約を結ぶことで、税務や会計だけに限らない長期的な経営支援を受けられます。
石黒健太税理士事務所では、京都での起業をご支援しています。税務・会計だけでなく、事業計画や資金調達に関する実践的なアドバイスも可能です。まずはお気軽にご相談ください。
中小企業の経営課題と解決策については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:中小企業が抱える主な経営課題と解決策は?京都の石黒健太税理士事務所が提供する経営相談サービス
事業を成功させるためのポイント
起業はビジネスのスタート地点にすぎません。大切なのは、いかに事業を安定的に継続し、成長させていくかです。ポイントを押さえて、事業成功に向けたスタートダッシュを切りましょう。
達成可能な具体的な目標を設定する
大きな夢をかなえるためにも、段階的な目標設定が効果的です。最終的なビジョンから逆算して、現実的に達成可能な範囲で、期限や数値を明確に定めます。
商品開発、マーケティング、財務などの分野で短期目標があるとよいでしょう。たとえば「創業3ヵ月で顧客を5社獲得する」「創業6ヵ月で月次キャッシュフローを黒字化する」といった粒度です。
モチベーション高く成長していくためには、現状のリソースや能力を少し超える程度の挑戦的な目標設定をおすすめします。定期的に見直しを行い、進捗を振り返ることも重要です。
会計の専門知識がなくても、月次決算で会社の経営状態を把握することをおすすめします。月次決算について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事:月次報告とは?経理初心者が月次決算をするメリットと会社の成長を加速させるポイント
実現可能な計画書を作成する
起業を成功させるためには、理念や情熱だけでなく、数値に裏付けられた計画書が必要です。「事業計画書」と「経営行動計画書」は、どちらも会社の未来を描く重要な書類ですが、目的とスコープに違いがあります。
事業計画書は、事業の実現可能性と収益性を体系的にまとめた書類です。外部の投資家や金融機関に対し、事業の魅力、市場での優位性、収益モデル、成長戦略などを具体的に示すツールにもなります。
経営行動計画書は、企業全体の現状を分析し、経営課題を解決して持続的な成長を実現するための具体的な行動を計画する書類です。具体的な数値目標と、それを達成するためのアクションプラン(誰が・何を・いつまでに・どのように実行するか)を明確にします。日々の業務への落とし込みと進捗管理が可能です。
どちらも税理士などの専門家のアドバイスを受けながら、現実的に運用可能な内容に整えるとよいでしょう。
関連記事:事業計画書を税理士に依頼する費用の目安は?10〜15万円が相場
関連記事:【京都の税理士事務所執筆】経営行動計画書の作成方法と記入例
キャッシュフローを管理する
魅力的なビジネスモデルでも、資金繰りがうまくいかなければ事業は行き詰まります。売上が安定するまでの期間が想定より長くなるケースもあるため、キャッシュフローの管理は優先度の高い事項です。
創業初期には、設備投資や広告費、従業員への給与などの支出が先行する傾向があります。資金ショートを避けるためには、月次単位でのキャッシュフロー予測を作成するとよいでしょう。お金や帳簿の管理が苦手な方は、税理士に相談しましょう。
現金が手元に残らない会社の特徴や対策は、以下の記事で解説しています。
関連記事:お金がない会社の特徴とお金が残らない本当の理由は?経営を安定化するための改善策
やらないことを勇気を持って決める
起業当初は、あらゆる案件に対応しようとして、かえって収益性の低い業務に時間や人手を割いてしまうことがあります。経営リソースの分散を防ぐため、自社のミッションや中長期的な戦略に合わない業務はやらない勇気を持つことも大切です。
「低価格競争には参入しない」といった、やらないことの明確化は、時間と労力を本当に注ぐべき部分に集中させる経営戦略のひとつです。
変化に柔軟に対応する
事業環境は日々変化しており、特にスタートアップ期には想定外の出来事が起きるものです。一度決めたことに固執せず、フィードバックを素早く取り入れる姿勢が求められます。
変化に強い経営体制を築くためには、情報共有や迅速な意思決定ができる組織づくりも重要です。たとえば、クラウド会計やチャットツールの導入など、ITを活用した業務効率化によって、変化に対するスピード感を高められます。起業家には、変化を恐れず、むしろ追い風にできる柔軟さが必要です。
起業に失敗しないためのポイントは、以下の記事でチェックしましょう。
関連記事:起業で失敗しないためのチェックポイントと京都の税理士の選び方
起業の悩みは京都の石黒健太税理士事務所へ!
石黒健太税理士事務所は、これまでに200社以上の創業をご支援してきました。特に融資支援を強みとしており、金融機関の視点を踏まえた事業計画書の作成アドバイスや、面談対策までサポートいたします。
起業後は、通常の税理士顧問業務に加え、経営のサポートもお任せください。弊所自身が創業から5年で年商1億円を突破した経験を活かし、実践的な経営アドバイスが可能です。また、クラウド会計ソフトの導入支援など、バックオフィス業務効率化のお手伝いも行っています。
まとめ
京都で起業を成功に導くには、地域の起業支援制度を賢く活用することが重要です。創業セミナーでは経営に必要な知識を習得できるだけでなく、登録免許税の減免や融資の利率引き下げなど、幅広い優遇措置が受けられる可能性があります。資金の確保が特に重要な創業期において、これらの支援制度の活用は大きなアドバンテージとなるでしょう。
しかし、自分で制度の最新情報をキャッチアップしたり、説得力のある事業計画書を作成したりするのは困難です。必要に応じて専門家のサポートを受けることが成功の鍵となります。