クラウド会計で税理士の顧問料は下がる?クラウド導入で変わる税理士の使い方

2022.06.27

みなさん、こんにちは税理士の石黒です。今日はクラウド会計導入について、多くの方が気になる税理士の顧問料との関係について詳しく見ていきたいと思います。

経営者の方なら、「クラウド会計ソフトがあれば、税理士はいらない?」と、一度は思ったことがあるかもしれません。また、現在税理士に記帳や税務申告を頼んでおられる方も「クラウド会計を使って自社で記帳すれば顧問料が安くなるかも」と思っておられるかもしれません。

今回は、そんな疑問にクラウド会計に強い税理士が、損得抜きでお答えします。

 

【今日の内容】

1.       税理士はいらなくなるのか?

2.       税理士の顧問料が安くなるのか?

3.       クラウドで安くする場合のメリット・デメリット

4.       まとめ

1.税理士がいらなくなるのか?

まず、初めに見ていきたいのが「クラウド会計を導入すると、税理士はいらなくなるのか?」という疑問です。

 

この疑問に対するお答えは、「いらない場合もある」です。

 

中途半端な回答になってしまうのですが、これが現実的な話です。人によっては税理士無しでも申告が可能になりますし、そうでないケースもあるわけです。では、どういったケースは税理士が必要なのか、不要なのかを見ていきたいと思います。

 

≪税理士に頼む必要がないケース≫

★売上が少ない個人事業主

 

≪税理士に頼む必要があるケース≫

★売上が多く取引が複雑な個人事業主

★法人(株式会社や合同会社などで経営されている方)

 

では、それぞれ理由を解説します。

 

【税理士がいらないケースとその理由】

先ほど述べた通り、税理士がいらないのは「売上の少ない個人事業主」です。正確にいうと、「税理士に頼むメリットが少ない」ため、ご自身でクラウド会計等を利用して申告されることをおすすめする方です。

売上の少ない個人事業主の場合、取引の仕組が単純な方が多く会計や確定申告の難易度が低いです。そのため、「クラウド会計」や「クラウド確定申告」で、会計と申告を完了することができます。ある程度の知識は必要になりますが、システムベンダーのサポートをうまく活用すれば、ご自身でできるようになるケースが多いと感じています。

また、そもそも売上が少ないので、税務署の調査が入る可能性も少ないです。

税理士に顧問料を支払って税務調査対策や節税対策に取り組むメリットが少なく、支払う顧問料に見合うだけの効果が見込みにくいのがこのケースです。

 

例外として、今は売上高が少ないけれども、組織化や法人成りを検討している方、拡大志向で売上の増加が予測されている方は税理士のサポート受けることをおすすめします。

 

 

【税理士に頼む必要があるケースとその理由】

続いて税理士に頼む必要がある2ケース

★事業規模の大きい個人事業主

★法人

について説明していきたいと思います。

 

≪事業規模の大きい個人事業主の3つの理由≫

 

①記帳と確定申告の難易度

事業規模が大きくなると、個人事業主であっても記帳や確定申告の難易度が上がります。具体的には次のようなことがあり、専門家の支援が必要なケースが多いです。

・事業部ごとの管理が必要

・消費税の経理処理が必要

・決算手段(現金・預金・クレジット・キャッシュレス決済など)が複数になりそれぞれの設定が必要

 

②税務調査のためのリスクヘッジ

税務調査の対象となる可能性も高くなるため、より正確な記帳と税務的に正しい確定申告が必要になります。具体的には売上高が1000万円を超えてくると税務調査が入る可能性が出てきます。1億円を超えると数年に1回は調査があると思ってもらうと良いかと思います。

 

③節税対策の効果

事業規模が大きくなると法人成りの検討や優遇税制の活用、専従者給与の活用などなど、専門的な知識が必要な節税策の効果が大きく出る可能性があります。

つまり、税理士に頼んで顧問料を払った時に得られるメリットが大きいです。

 

≪法人の4つの理由≫

 

法人の方が税理士に顧問を依頼した方が良い理由は事業規模の大きい個人事業主と同じ3つの理由と「申告機能の未対応」の4つになります。どういうことかと言いますと、法人の決算申告の場合、多くのクラウド会計ソフトでは申告機能がまだついておらず対応ができていません。つまり、自社で申告までしようと思うと申告用のソフトを購入して対応する必要があります。法人の決算や申告は複雑であるため、これらすべてを自社で対応するには相当の能力と知識が必要になります。リスクや作業時間を考えると専門家に依頼する方が良いという感じです。

2.クラウド会計で顧問料は安くなるのか?

次に見ていきたい疑問が「クラウド会計を使って自社で記帳すれば顧問料が安くなるのか?」という疑問です。

 

まず初めに見ていきたいのが税務顧問料の内容です。顧問料が安くなるかどうか考えるためには、どういった料金として顧問料を払っているのかを知ることが必要です。

一般的に、毎月税理士に支払う税務顧問料の内容は、

 

・顧問料

・記帳代行料

 

に分けられ、さらに顧問料は、

 

・試算表の作成(会計・税務リスクへの対応)

・税務相談や助言、税務関連の届出業務、経営相談

 

などが含まれています。(内容は税理士事務所によって様々です)

 

顧問料を安くしたいという場合には、このサービスの内容自体を削減する。またはサービス提供のための時間を削減することになります。

 

【クラウド会計導入安くなるケース】

クラウド会計を導入することで、税理士に支払う報酬が安くなるのは、次のケースです。

ただし注意が必要なのは、ここで削減できるのは「記帳代行」のサービスの部分のみであり、顧問料の部分は安くならない、ということです。

・自社で会計入力を完結する

・クラウド会計で記帳を省力化し、工数を減らす

・リアルの面談の回数が減る

それぞれ説明していきます。

 

A. 自社で会計入力を完結(自計化)

クラウド会計を導入して、自社のスタッフで会計入力を完結させることができれば、記帳代行のサービスが不要になるため、その分報酬を安くできます。

 

B. クラウド会計で記帳を省力化(工数の削減)

クラウド会計を導入し、ほとんどが自動仕訳になるため、記帳を税理士に依頼したとしても工数が大幅に減ることになり、結果として記帳代行サービスの金額を安くすることができる可能性があります。

 

C. リアルの面談の回数を減らす

紙ベースでの資料の受け渡しの場合、税理士の訪問を受ける(又は税理士事務所へ訪問する)機会も多く、それらの人的・時間的なコストが顧問料に加わります。

クラウド会計導入でほとんどの会計関連のデータをクラウドで取得&自動仕訳できれば、リアルの面談回数を減らすことができ、顧問料の削減につながります。

 

クラウド会計導入で、安くならないケース】

残念ながら、クラウド会計の導入を行っても、税務顧問料が安くならないケースがあります。クラウド会計の導入がかえって作業時間の増大につながるような場合です。

弊社では、これまで次のようなことがありました。

 

・自動仕訳ルールが間違っており1年間間違った会計処理がされており修正に多くの時間がかかった

・記帳漏れや二重記帳が多く、原資資料とのチェックをすべて行った

 

このような形でかえって税理士側での作業が多くなることがあります。このような場合には顧問料減額につながりません。(弊社では1年分の記帳料を結局頂いたということもあります。)

 

クラウド会計を導入⇒正確な自動仕訳⇒税理士側の工数削減⇒記帳代行料が不要

 

という流れで安くなるのが一般的な流れです。ぜひ参考に顧問料削減に取り組んでください

取り組む際のポイントとしては導入時に専門家の活用をして頂くことだと思っています。

 

3.クラウド会計導入で顧問料を安くするメリット・デメリット

最後にクラウド会計を導入することで顧問料を安くできるケースについて、どんなメリット・デメリット(注意点)があるか考えてみましょう。

 

【クラウド会計導入で顧問料削減のメリット】

  • 本業に資源を集中できる

記帳代行の部分の料金をカットした分を、本業に投資することができます。

さらに単なるコストのカットだけでなく、これまで紙ベースの資料のやり取り等に費やしていた訪問や打合せの時間とコストを本業に振り向けることができ、生産性の向上につながります。

 

  • 素早いレスポンス

クラウド会計を導入すると、銀行・クレジットカード・POSレジなどのデータをほぼリアルタイムで把握でき、かつ大半を自動記帳できるため、会社の経営状況を把握するまでのタイムラグが大幅に削減できます。

変化の激しい時代の経営において、経営判断にも素早さが求められます。

リアルタイムに近い経営状況の把握は、大きなメリットとなります。

 

  • 経営相談や節税相談などにコストをかけられる

前述の通り、税理士の顧問料はそのサービス内容によって変わります。

クラウド会計の導入によって記帳代行部分の料金を安くすることができれば、その分その他の税理士の追加サービスを受けることができます。

たとえば、従来の料金が

 

顧問料  2万円

記帳代行 2万円

合計:4万円

 

の場合、総額4万円は変えないで、次のようにサービス内容を追加することが可能です。

 

顧問料:2万円

経営相談などのコンサル:2万円

合計:4万円

 

税理士に払う報酬は変わらず、会社の業績アップに役立つより高品質な相談や助言が受けられますので、会社の業績のためには大きなメリットとなります。

【クラウド会計で顧問料削減のデメリット】

クラウド会計で顧問料を安くしようとする場合に気をつけるべき点があります。

  • 税理士のサービスの質の低下

業務の工数が減り、訪問回数なども減るため、時間・コストのカットになりますが、反面、相談できる機会が減る、安い顧問料に見合ったサービスしか受けられない、などのサービスの低下を招く場合があります。特に、安い料金を売りにしている税理士に変更する場合などは、受けられるサービスの内容をキチンと確認する必要があります。

  • クラウド会計の導入にかかるコスト

クラウド会計の導入については、導入時の様々な設定に時間と手間がかかることが大きなコスト(デメリット)となります。

導入時にきちんと設定すれば、銀行等と連携して自動で仕訳を作ってくれるクラウド会計ですが、そのとき間違った設定をすると延々と間違った仕訳を作り続けてしまいます。また操作の誤りで記帳漏れや二重記帳が生じる可能性もあります。

こういったことにならないよう、最初にクラウド会計に強い専門家に相談しながら導入を行うことをお勧めします。

 

【まとめ】

ここまでお話しした内容をまとめますと、

・クラウド会計を導入するだけで、「税理士が要らなくなる」「税理士の顧問料が安くなる」わけではない

・税理士に求めるサービス内容によって、顧問料は変わってくる

 

ということです。つまり、クラウド会計も、税理士も、目的によって上手に使うことが大事です。

 

たとえば、創業間もない企業であれば、経理事務などに時間とコストをかけず、本業に専念したいですし、税理士に支払う顧問料も安くしたいですね。

そのような場合は、クラウド会計で会計事務を削減しつつ、安いコストで税理士に顧問を頼むのがよさそうです。

一方、会社が軌道に乗って、さらなる成長を求める段階になれば、会社のお金の流れや財務状況を把握している税理士は、事業計画の作成や経営相談などができる頼れるパートナーになってくれます。

そんな場合には、クラウド会計で削減したコストを、経営相談や財務コンサルティングなど、会社を成長させるための投資に回すのがよいでしょう。

 

クラウド会計を導入して上手に税理士を使うポイントは、

・導入時の設定等を専門家の力を借りて適切に行うこと

・税理士に求めるサービス内容を考えて、目的に合った税理士を選ぶことです。

 

クラウド会計を導入して、税理士報酬を安くするもよし、税理士に追加サービスを頼むのもよし。自社の状況と目的に合わせて上手な使い方を考えましょう。

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