決算前でもできる法人の節税対策
決算書の数字がほぼ固まる時期であっても、いくつかの対策を講じることで法人の節税対策ができます。節税対策は一時的な効果だけでなく、将来のキャッシュフロー改善にも繋がる可能性があります。
ただし、節税対策にはメリットだけでなく注意点も存在するため、自社の状況を正確に把握し、慎重に検討することが重要です。ここでは、決算前でも比較的取り組みやすい節税対策をご紹介します。
貸倒損失を計上する
回収不能となった債権などは、貸倒損失として処理することで、損金算入できる可能性があります。具体的には、以下のケースです。
・取引停止後1年以上経過し弁済の見込みがない場合
・相手方の財産状況からみて明らかに全額の回収が見込めないと判断できる場合
・会社更生法などの法的手続きによって債権が切り捨てられた場合
単に回収が遅れているというだけでは貸倒損失として認められず、客観的にみて回収不能であると証明できる状況が必要です。内容証明郵便による督促状の送付記録や、相手方の破産手続開始決定通知書など、回収不能であることを示す証拠資料を整備しておくことが大切です。
参考:国税庁「貸倒損失として処理できる場合」
決算賞与を支給する
期末までに賞与を支払っていなくても一定の要件を満たせば、その期の経費として計上が可能です。
具体的には、決算日までに各従業員への支給額を決定し、その金額を個別に通知しておく必要があります。また、その通知した金額を、決算日の翌日から1ヶ月以内に全従業員に対して支払うことが求められます。
これらの要件を満たせない場合は損金として認められないため、事前に税理士などの専門家に相談し、適切な手続きを踏むことが非常に重要です。決算賞与の活用は、従業員の満足度を高めると同時に、企業の税負担を軽減する有効な手段となるでしょう。
賃上げ促進税制を活用する
賃上げ促進税制は、前期よりも従業員の給与支給総額が一定割合以上増加した場合に、その増加額の一部を法人税額から直接控除できる制度です。従業員の給与を上げることで、法人税の負担が軽減されるメリットがあります。
賃上げ促進税制の適用を受けるためには、青色申告書を提出していることや、一定の賃上げ率を達成していることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。決算賞与と共に活用することで、要件を満たすかもしれません。
大企業と中小企業では、控除率や適用要件が異なる場合があるため、自社がどちらに該当し、どのような条件を満たす必要があるのかを正確に把握することが重要です。人材への投資は企業の持続的な成長に不可欠であり、賃上げ促進税制はその一助となる制度と言えます。
参考:国税庁「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(中小企業者等における賃上げ促進税制)」
不要な在庫や固定資産を処分する
企業活動を行う上で在庫や固定資産は必要不可欠なものですが、時間の経過とともに価値が減少したり、使用されなくなったりするものも出てきます。不要な在庫や固定資産を保有し続けることは、保管スペースの圧迫や管理コストが発生するため利益が圧迫する要因となります。
特に、固定資産は減価償却を通じて徐々に費用化されますが、使用していないにも関わらず帳簿上に残っていると、固定資産税の対象となるかもしれません。しかし、不要な在庫や固定資産を処分することで、節税に繋げることが可能です。
たとえば、長期間売れ残っている商品や、今後使用する見込みのない古い機械設備などを廃棄処分したり、中古市場で売却したりすることで、処分損や売却損を当期の損失として計上できます。
廃棄した場合には廃棄証明書を保管するなど、実際に処分したことを客観的に証明できる証拠を残しておくことが重要です。不要な資産の整理は、節税効果だけでなく、業務効率やキャッシュフローの改善にも繋がるため、定期的に見直しましょう。
修繕を前倒しする
事業用の建物や機械設備などは、日々の使用によって劣化していくため、定期的な修繕が必要です。これらの修繕にかかる費用は、原則として発生した期の損金として処理できます。
もし、翌期に修繕を計画しているのであれば、修繕を決算日前に実施することで、修繕費用を当期の損金として計上できます。ただし、修繕の内容によっては「資本的支出」とみなされることがあるため注意しましょう。
資本的支出とは、固定資産の価値を高めたり、耐久性を増したりするような支出を指します。資本的支出は修繕費として一括で損金処理するのではなく、固定資産として計上し、減価償却を通じて数年間にわたって費用化していくことになります。
たとえば、単なる故障箇所の修理ではなく、より高性能な部品への交換や、建物の増築などは資本的支出に該当する可能性が高いです。
修繕費として処理できるか、資本的支出となるかの判断は税務上非常に重要であり、誤った処理は税務調査で指摘を受けるリスクがあります。金額の大きな修繕や判断に迷う場合は、事前に税理士に相談し、適切な会計処理を行うことが大切です。
経営セーフティ共済に加入する
経営セーフティ共済は、取引先が倒産した場合に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。経営セーフティ共済に加入し毎月掛金を支払うことで、万が一取引先が倒産し売掛金などの回収が困難になった際に、無担保・無保証人で掛金総額の10倍までの範囲で借入を受けることができます。
経営セーフティ共済の掛金は、全額を損金算入できます。掛金を支払うことで、その期の課税所得を圧縮し、法人税の節税に繋げることが可能です。また、40ヶ月以上加入していれば、解約時に支払った掛金の全額が戻ってくるため、実質的な負担なく節税効果を得られる可能性があります。
将来の不測の事態に備えつつ、当面の税負担を軽減できるという二重のメリットがあるため、多くの中小企業にとって有効な節税策の一つと言えるでしょう。ただし、加入資格や貸付条件など、詳細な制度内容をよく理解した上で活用することが重要です。
30万円未満の資産を購入する
通常、パソコンや応接セットなどの固定資産を取得した場合、取得価額は一度に経費処理できません。法定耐用年数に応じて減価償却という手続きを経て、数年間にわたって費用化されます。
しかし、中小企業者等については、「少額減価償却資産の特例」という制度があります。取得価額が30万円未満の減価償却資産については、一定の要件のもと、全額を事業の用に供した年度の損金にできます。
たとえば、1台25万円のパソコンを4台購入した場合、合計金額は100万円です。この場合、1台あたりの取得価額が30万円未満であるため、4台合計の100万円全額をその期の損金として処理可能です。
この特例の適用を受けるためには、青色申告法人であることや、年間で合計300万円までという上限があることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。決算間近に購入を検討する場合は、納品時期やセットアップにかかる時間なども考慮に入れる必要があるでしょう。
参考:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
短期前払費用の特例を活用する
まだサービスの提供を受けていない期間に対応する部分の費用については、当期の損金とはなりません。前払費用として資産計上し、翌期以降に期間の経過に応じて費用化していくのが原則です。
しかし、「短期前払費用の特例」という制度があり、一定の要件を満たす場合には、支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける場合は、支払った期の損金として一括で処理することが認められています。
具体的には、以下がポイントです。
・支払った日から1年以内に提供を受ける役務であること
・継続的に提供されるものであること
・毎期継続して同様の会計処理を行うこと
たとえば、毎年決算月に翌年1年分の家賃を支払っている場合などが該当します。この特例は特定の支出に限られるため、適用要件を正しく理解し、適切に処理することが大切です。
長期的な視野で考える法人の節税対策
目先の税負担を軽減することも重要ですが、企業の持続的な成長のためには、長期的な視点に立った税務戦略も大切です。短期的な節税は一時的に効果があっても、将来の税負担を先送りしているだけであったり、企業の財務体質を悪化させたりする恐れもあります。
一方、長期的な視野で検討することで、より根本的な税負担の最適化を図り、安定した経営基盤を築くことが可能です。
ここでは、長期的な視野で考える法人の節税対策について解説します。
別会社を設立する
事業が多角化したり、特定の事業部門が大きく成長したりした場合、その部門を独立させて別会社を設立する方法があります。別会社を設立することには、経営の効率化やリスク分散といったメリットがありますが、税務面でもいくつかの利点があります。
たとえば、法人税の税率です。法人税の税率は原則として23.2%ですが、資本金1億円以下の法人などは、年800万円の所得までは15%の税率となります。
一つの会社で大きな利益を上げるよりも、複数の会社に所得を分散させることで、それぞれの会社で低い税率が適用され、グループ全体としての税負担を軽減できるかもしれません。
また、交際費の損金算入限度額や30万円未満の少額減価償却資産の特例の適用枠なども、会社ごとに設定されるため、別会社を設立することで、有効活用しやすくなるでしょう。
ただし、別会社の設立には、設立費用や事務負担の増加といったデメリットも伴います。また、単に税負担を軽減するためだけの目的で実体のない会社とみなされると、税務調査で否認されるリスクもあります。
別会社の設立を検討する際には、事業上の必要性や経営戦略としての妥当性を十分に吟味し、税務上のメリット・デメリットを総合的に比較し検討しましょう。
法人税をざっくり計算する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:法人税をざっくり計算する3ステップ!決算までにできる効果的な税金対策を解説
出張旅費規程を作成する
出張旅費規程を作成して日当や宿泊費の基準額を定めることで、給与課税されない非課税手当として支給が可能です。
たとえば、出張旅費規程で、役職や出張地域に応じた日当の金額を定めたとします。規定に基づいた金額を支給することで、会社は損金として処理できるだけでなく、日当を受け取った個人は所得とはなりません。実質的に会社から個人へ非課税で資金を移転できるため、節税効果が期待できます。
出張旅費規程の作成と運用は、企業の規模に関わらず検討すべき節税策と言えます。ただし、高額な日当などは給与課税される恐れがあるため、規程の整備にあたっては、税理士などの専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
資本金の金額を見直す
会社の資本金の額は、会社の信用度を示す一つの指標とも言えますが、税務上においても影響します。特に、資本金の額が1億円以下であるか否かは、税制上の特典を受けられるかどうかの大きな分かれ目となります。
たとえば資本金が1億円を超えると、以下の制度が適用できません。
・法人税の軽減税率の適用
・交際費の損金算入限度額
・少額減価償却資産の特例
中小企業向けの優遇措置は、資本金1億円以下の法人を対象としてるケースが多いです。将来的に増資を検討している場合は、資本金額などによって税務処理が異なる可能性があるため注意しましょう。
資本金と税金の関係ついては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:中小企業の資本金の平均額は?資本金を増やさない理由と税金との関係
役員報酬の金額を見直す
役員報酬を高く設定すれば、その分会社の利益は圧縮され法人税は減少しますが、役員個人の所得税や住民税、社会保険料の負担が増加します。逆に、役員報酬を低く設定すれば、役員個人の税負担は軽減されますが、会社の利益が増え、法人税の負担が増加する可能性があります。
法人税と所得税・住民税・社会保険料のトータルでの税負担が最も少なくなるようなバランスを見つけることが重要です。ただし、不相当に高額な役員報酬は税務調査で否認されるリスクもあるため、同業他社の支給水準なども参考にしつつ、合理的な範囲内で決定することが求められます。
中小企業の役員報酬の相場については、以下の記事で確認できます。
関連記事:中小企業の役員報酬の相場は?役員報酬が高すぎる中小企業の注意点と手取りをシミュレーション
役員退職金を支給する
役員退職金は、適正な金額であれば損金算入できます。役員退職金は数千万円になるケースもあるため、役員退職金を支給すると法人の所得が圧縮されます。
また、役員退職金を支給することで会社の株価が下がる可能性があるため、退職金支給時は会社の株式を移動させやすいタイミングとも言えるでしょう。
役員退職金は、役員の在任期間と最終報酬月額を基準に算定し、功績倍率と呼ばれる係数を掛けて決定するのが一般的です。ただし、不相当に高額な役員退職金は税務調査で否認されるリスクがあるため、同業種・同規模の他社の支給事例や、過去の判例などを参考に、社会通念上妥当と認められる範囲内の金額に設定することが重要です。
また、役員退職金を支給するためには、株主総会での決議や、退職慰労金規程の整備など、適切な手続きを踏む必要があります。
将来の役員退職に備えて、生命保険などを活用して計画的に資金を準備しておくことも有効な対策となります。役員退職金の支給は、タイミングや金額設定が非常に重要であり、税理士と十分に相談しながら進めましょう。
法人の節税対策は色々ありますが、自社の状況にあわせた方法を選択することが重要です。「何から手をつければ良いのだろう」と悩む方や法人の節税対策については、京都の石黒健太税理士事務所にお気軽にご相談ください。
節税を検討する際の注意点
節税方法や目的を誤ると、経営に悪影響を及ぼしたり、法的な問題に発展したりする可能性も否定できません。節税を検討する際には、いくつかの注意点を理解する必要があります。
ここでは、節税を検討する際の注意点について解説します。
脱税との区別を明確にする
節税と脱税、言葉は似ていますが、意味は全く異なります。
節税とは、法律の範囲内で認められている方法や制度を活用し、合法的に税負担を軽減することを指します。たとえば、これまで解説してきたような、賃上げ促進税制や30万円未満の少額減価償却資産の特例などの活用です。
一方、脱税とは意図的に事実を隠蔽したり、虚偽の申告を行ったりすることで、不正に税金の支払いを免れようとする行為です。たとえば、売上の一部を除外して申告する、架空の経費を計上する、存在しない取引を装うなどです。
脱税が発覚した場合は、本来納めるべき税金に加えて、延滞税や加算税といった重いペナルティが課せられます。さらに、悪質な場合には、刑事罰の対象となり、企業の社会的信用を著しく損なうかもしれません。
節税対策を検討する際は、その方法が脱税に該当しないか確認し、少しでも疑問がある場合は安易に自己判断せず、税理士などの専門家に相談することが重要です。法令遵守の意識を高く持ち、透明性のある経営を心がけることが、長期的な企業の発展に繋がります。
節税の目的を明確にする
節税対策に取り組むことは財務戦略において重要ですが、節税の目的を見失っては本末転倒になりかねません。節税はあくまで手段であり、目的は企業の健全な成長と発展にあるべきです。
税金の支払いを減らすことだけを追求するあまり、事業に不要な投資をしたり、将来の成長機会を逃してしまったりしては元も子もありません。重要なのは、自社にとって本当に必要な節税策は何か、その節税策を実行することでどのような経営上のメリットがあるのかを冷静に判断することです。
節税の目的を、「手元資金を確保し、将来の事業投資や従業員の待遇を改善したい」といった具体的な形で明確にすることで、より効果的な節税策を選択できます。
目先の税額にとらわれず、常に企業全体の成長と発展という大局的な視点から節税を考えることが、賢明な経営判断と言えるでしょう。
キャッシュフローへの影響を考慮する
節税対策の中には、税金の支払いを減らす効果はあるものの、一時的に企業のキャッシュフローを圧迫することがあります。節税効果だけに目を向けるのではなく、その対策が自社の資金繰りにどのような影響を与えるのかを慎重に検討することが重要です。
特に、利益は出ているものの手元資金が潤沢ではない企業にとっては、キャッシュフローに影響する節税対策は、より慎重な判断が求められます。
節税対策を検討する際には、その対策によって減少する税額と、対策を実行するために必要となる資金額などを正確に把握し、自社のキャッシュフロー計画と照らし合わせて問題がないかを確認することが大切です。
関連記事:資金繰りが厳しい会社の特徴は?さらに悪化する原因と資金繰りに苦しい会社を改善する方法
長期的な視点で判断する
短期的に効果が高い節税策であっても、将来的に企業の体力を削いだり、成長の足かせになったりするようでは意味がありません。一時的な税負担を避けるために、無理な資産売却や不要な投資をすることは、財務体質を悪化させ、将来の資金調達に悪影響を及ぼすことも考えられます。
短期的な損益計算だけでなく、長期的な事業計画や財務戦略に基づいた判断が大切です。時には、目先の税負担が増えたとしても、将来の大きな成長に繋がる投資を優先するという判断も必要になるでしょう。
長期的な視点に立ち、持続可能な成長を目指した税務戦略を構築することが、真に企業のためになる節税と言えます。
専門家に相談する
税法は複雑で、毎年のように改正が行われます。また、個々の企業の状況によって最適な節税対策は異なるでしょう。節税を検討する際には、自己判断だけに頼るのではなく、税務の専門家である税理士に相談することをおすすめします。
税理士は、最新の税法や通達に関する知識はもちろんのこと、多くの企業の税務に関与してきた経験から、企業の実情に合った具体的なアドバイスが可能です。
たとえば、自社が適用できる可能性のある税制優遇措置を見つけ出してくれたり、検討している節税策のメリット・デメリットや法的なリスクについて詳細な説明をしてくれたりします。
また、税務調査が入った際には、企業の代理人として税務署との対応を行ってくれるなど、心強い存在となります。
節税対策の中には、適用要件が細かく定められていたり、手続きが煩雑だったりするものも少なくありません。手続きを誤ってしまうと節税効果が得られないばかりか、場合によっては追徴課税や加算税といったペナルティが発生するリスクもあります。
顧問税理士がいる場合はもちろんのこと、特定の節税策についてアドバイスを求めたい場合でも、積極的に専門家の知見を活用することが、賢明な経営判断と言えるでしょう。
法人の節税対策だけでなく、資金調達や経営支援については、お気軽にご相談ください。無料相談も実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
節税以外で企業が成長するために大切なこと
節税は企業経営において重要な要素ですが、それだけで企業が持続的に成長できるわけではありません。むしろ、節税だけに目を向けてしまうと、本当に大切なことを見失いかねません。
ここでは、企業が力強く成長し続けるために大切なポイントを5つご紹介します。
顧客のニーズを満たす商品・サービスを提供する
企業が成長し続けるための根幹は、顧客の期待に応え、さらにはそれを超える価値を提供することにあります。市場は常に変化し、顧客の求めるものも多様化しています。その中で、自社の商品やサービスが本当に顧客の課題を解決し、満足感を与えられているのかを問い続ける姿勢が重要です。
そのためには、まず顧客の声を真摯に聴くことが第一歩となります。アンケート調査やインタビュー、SNS上の口コミ分析など、様々な方法で顧客の隠れたニーズや不満を掘り起こしましょう。
また、提供する商品やサービスの品質を維持・向上させる努力も欠かせません。常に最高の状態で価値を提供し続けることが、顧客からの信頼を獲得し、長期的な関係を築く上で重要になります。
企業が目指す目標を明確にする
目標が曖昧なままでは、日々の業務に追われるばかりで、どこに向かっているのか分からなくなります。従業員一人ひとりが同じ方向を向き、力を合わせて進んでいくためには、具体的な目標設定が重要です。
目標を社内で共有することで、従業員は自らの業務が会社の成長にどう貢献しているのかを理解しやすくなり、モチベーションの向上にも繋がります。
また、目標は一度設定したら終わりではありません。市場環境の変化や企業の成長段階に応じて、柔軟に見直し、修正していくことも大切です。
常に現状を分析し未来を見据えて目標をアップデートし続けることで、企業は変化に強い体質を作り上げ、持続的な成長が実現できます。明確な目標は、組織全体に一体感を生み出し、困難な状況下でも進むべき道を示す灯台となるでしょう。
従業員の育成とモチベーション向上に力を入れる
企業にとって最も価値のある資産は「人」です。従業員一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出し、意欲的に仕事に取り組める環境を整備することこそが、企業の成長を加速させる原動力となります。
従業員の成長なくして、企業の成長は難しいでしょう。従業員の成長のためには、新入社員向けの基礎研修はもちろんのこと、中堅社員向けのリーダーシップ研修、管理職向けのマネジメント研修など、階層や職種に応じたきめ細やかな育成プランが求められます。
また、従業員の頑張りや成果を正当に評価し、適切に処遇することも、モチベーションを高く保つためには欠かせません。昇給や賞与といった金銭的な報酬だけでなく、昇進の機会や表彰制度、あるいは感謝の言葉を伝える行為も、従業員のやる気を引き出す上で大きな効果を発揮します。
デジタル化を進める
現代において、デジタル技術の活用は避けて通れない課題であり、むしろ積極的に取り組むべき成長戦略の一つです。デジタル化とは、単に紙の書類を電子化するといった表面的なことだけを指すのではありません。
業務プロセス全体を見直し、AIやRPA、クラウドサービスといった先進技術を導入することで、生産性の劇的な向上、コスト削減、新たなビジネスモデルの創出を目指すものとも言えます。
デジタル化を推進する上で重要なのは、経営層の強いリーダーシップと、全社的な意識改革です。新しいツールの導入には一時的な混乱や抵抗が伴うこともありますが、その先に得られるメリットを明確に示し、従業員への教育やサポート体制を充実させることが成功の鍵となります。
また、最初から大規模なシステムを導入するのではなく、まずは特定の部門や業務からスモールスタートし、効果を検証しながら段階的に範囲を拡大していくアプローチも有効です。
デジタル技術は日々進化しています。常に最新の情報を収集し、自社の課題解決や競争力強化に繋がる技術を柔軟に取り入れていく姿勢が、これからの企業には不可欠と言えるでしょう。
自社の強みと経営状況を把握する
企業が厳しい競争環境の中で勝ち抜き、持続的な成長を遂げるためには、まず自社の立ち位置を正確に理解することが重要です。具体的には、自社の「強み」と「弱み」、そして現在の「経営状況」を客観的に把握し、それに基づいて適切な戦略を立てる必要があります。
いわゆるSWOT分析などを活用し、自社の内部環境と外部環境を多角的に評価することが第一歩となります。
また、貸借対照表や損益計算書を正しく読み解き、自社の収益性、安全性、成長性を把握することも大切です。
・売上は伸びているか
・利益率は適正か
・資金繰りに問題はないか
といった点を定期的にチェックし、異常があれば早期に原因を特定し、対策を打つ必要があります。感覚的な経営判断ではなく、客観的なデータに基づいた意思決定を行うことで、経営の安定性を高めることができます。
関連記事:月次報告とは?経理初心者が月次決算をするメリットと会社の成長を加速させるポイント
法人の節税対策は京都の石黒健太税理士事務所にご相談ください!
節税は大切ですが、会社がさらに成長するには、以下の5つが大切です。
・顧客ニーズの的確な把握
・明確な目標設定
・人材育成
・デジタル化の推進
・自社の強みと経営状況の正確な理解
もちろん、これらの取り組みを進める一方で、適切な節税対策も企業経営において重要であることに変わりはありません。
キャッシュフローを改善し、事業投資や人材育成への原資を確保するためにも、法的に認められた範囲で税負担を最適化することは、賢明な経営判断と言えるでしょう。しかし、節税策は多岐にわたり、法改正も頻繁に行われるため、専門知識なしに最適な手立てを講じることは容易ではありません。
私たち石黒健太税理士事務所は、京都で多くの法人様の税務・会計をサポートさせていただいております。
個々の企業の状況を丁寧にヒアリングし、最新の税制に基づいた的確な節税アドバイスはもちろんのこと、今回ご紹介したような企業成長のための本質的な課題についても、経営者の皆様と同じ視点に立ち、共に考え、サポートさせていただきたいです。
「どのような節税対策が自社に適しているのか知りたい」「節税だけでなく、もっと会社を成長させるための相談がしたい」といったご要望がございましたら、どうぞお気軽に石黒健太税理士事務所までご相談ください。
電話でのお問い合わせも可能です。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
まとめ
法人の節税対策は、以下が挙げられます。
決算前でもできる節税対策 |
・貸倒損失の計上 ・決算賞与の支給 ・賃上げ促進税制の活用 ・不要な在庫や固定資産の処分 ・修繕の前倒し |
長期的な視野で考える節税対策 |
・別会社の設立 ・出張旅費規程の作成 ・資本金の金額見直し ・役員報酬の金額見直し ・役員退職金の支給 |
特に、決算賞与は従業員のモチベーション向上も期待できます。
節税対策は大切ですが、目先の税額にとらわれ節税の目的を見失っては本末転倒です。節税の目的を明確にし、自社の成長につながる方法を選択しましょう。