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合同会社が節税対策になると言われる理由は?節税金額のシミュレーションと効果を高めるポイント

「合同会社は節税になるって聞いたけど本当?」事業を行っていると、節税などの観点から合同会社への法人化を勧められることもあるでしょう。しかし、株式会社との違いや、納める税金の種類が分からず、決断に悩む方も珍しくありません。

 

合同会社とは、出資者がそのまま社員になる法人形態で、設立費用などのランニングコストが低いと言った特徴があります。また、個人事業主よりも経費として認められる項目が多いなどの理由から節税対策になるのも事実です。

 

しかし、法人化した後は、簡単には個人事業主に戻れないため注意が必要です。本当に節税できるかどうかは、個人の状況によって異なります。事前にシミュレーションを行い、どれくらいの節税効果があるかは確認しておくべきでしょう。

 

そこで本記事では、合同会社が節税になる理由や、納める税金の一覧を紹介します。合同会社での税金額のシミュレーションや、株式会社との違いについてもわかる内容です。

目次

合同会社が節税対策になると言われる理由

個人事業主として事業が軌道に乗ってくると、税金が高いと感じることも少なくないでしょう。個人事業主の節税効果は、合同会社などの法人と比べて少なく限界があるため、稼ぎが多い人ほど税金が高くなってしまう傾向があります。

 

ここからは、合同会社が節税対策になると言われる理由を9つ紹介します。

 

・15%または23.2%の法人税率が適用される

・役員報酬が経費にできる

・配偶者に給料を支払っても配偶者控除が受けられる

・役員の退職金を経費にできる

・個人事業主に比べて経費となる項目が増える

・赤字を最大10年間繰り越すことができる

・設立して最大2年間は消費税が免除になる可能性がある

・不動産登記が不要になる

・相続税や贈与税の負担を軽減できる

 

内容について、くわしく解説します。

15%または23.2%の法人税率が適用される

合同会社などの法人は、所得税ではなく法人税を納めます。法人税の詳細は後述しますが、所得税との大きな違いは課税方式と税率です。

 

所得税は累進課税制度が採られており、課税所得に応じて最大45%まで負担しなければなりません。一方の法人税では、比例課税方式(一定税率で課税)が採られており、税金の負担は23.2%が限度となっています。

 

【所得税率】

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円

1,950,000円 から 3,299,000円まで

10%

97,500円

3,300,000円 から 6,949,000円まで

20%

427,500円

6,950,000円 から 8,999,000円まで

23%

636,000円

9,000,000円 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000円

18,000,000円 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000円

40,000,000円 以上

45%

4,796,000円

(引用:国税庁「No.2260 所得税の税率 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

【法人税率】

所得金額

税率

年間800万円以下の部分

15%

年間800万円超の部分

23.2%

(参考:国税庁「No.5759 法人税の税率」をもとに作成)

 

つまり、年間所得が800万円超になると、税率が一律になる法人税の方が税金の負担が少なくて済むので節税になるのです。言い換えると、高所得者ほど法人化した方が得になると言えます。

役員報酬が経費にできる

法人化すると、事業主は会社から役員報酬を受け取ることになります。会社が支払った役員報酬は経費にできるため、会社の所得が圧縮でき、法人税の節税に繋がるのです。

 

また、役員報酬を受け取った事業主には、所得税がかかることになりますが、役員報酬には「給与所得控除」が適用されます。個人事業主の事業所得よりも、役員報酬としてもらう方が、適用される控除額が増えるため、所得税の負担を抑えることが可能です。

 

法人化によって、法人税と所得税、どちらも節税できる点は、税金が高いと感じる個人事業主にとって嬉しいポイントと言えるでしょう。

配偶者に給料を支払っても配偶者控除が受けられる

個人事業主の中には、配偶者を専従者にして青色専従者給与を払っている方も多いでしょう。しかし、青色専従者給与には、配偶者控除を受けられないと言うデメリットがあります。親族に渡す給与が少額だったとしても、扶養にすることができないのです。

 

一方、法人化して配偶者が会社の事業に従事しているケースでは、配偶者に役員報酬を渡すことができます。前述した通り、役員報酬は経費計上ができるため、法人税の節税になります。

 

また、配偶者が役員報酬を受け取っている場合、年間の報酬が103万円以内など、要件を満たせば配偶者控除を受けることが可能です。配偶者控除を受けることで、事業主本人の所得税も節税できるため、家族に払った給与を節税対策で活かしたい方は合同会社などの法人化がおすすめです。

 

関連記事:専従者とパートはどっちが得?手取りのシミュレーションを解説

参考:国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除

役員の退職金を経費にできる

合同会社では、役員に支給した退職金を経費にできるのがメリットです。また、退職金の金額は、数百万円〜数千万円と高額なため、経費にできればかなりの税金額を節税できるでしょう。

 

また、個人事業主の場合、事業主本人への退職金の支給は経費として認められていません。会社員と比べて福利厚生が少ないため、不満を感じることも珍しくありません。しかし、法人成りした場合、事業主本人にも退職金の支給が可能になります。

 

合同会社の設立は、節税だけでなく、老後資金を作りたい方にもおすすめの手段です。

個人事業主に比べて経費となる項目が増える

法人成りすると、経費として認められる項目が増えるため、法人税の節税に繋がります。法人になると経費として認められる項目は以下が挙げられます。

 

・事業主本人の給与と賞与

・事業主の健康診断の費用

・事業主の社宅に関連する費用

・事業主の出張手当

・事業主の退職金

 

社宅に関連する費用は、家賃だけでなく社宅を利用するときに発生した費用も経費計上の対象です。社宅関連の費用は、高額になりやすいため、活用できればかなりの節税効果があります。

 

認められる経費が増えれば、所得金額が圧縮できます。結果として、支払う税金の金額を抑えることにも繋がるでしょう。

赤字を最大10年間繰り越すことができる

個人事業主では、赤字の繰り越しは最大3年間です。しかし、法人の場合、赤字の繰り越しは、最大10年間まで可能になります。期間が長いため、3年を超えても、黒字のタイミングで相殺するなどの対策を行うことでより効果的な節税対策ができます。

 

しかし、長期の赤字は、融資やキャッシュフローの観点から、高リスクな状況と言えます。赤字は事業の将来性や、信用面でマイナス評価になりやすく、倒産の危険性もあるのです。

 

税金を減らすために赤字を出し続けるのは得策ではありません。あくまで節税対策のひとつの手段として理解し、必要に応じて活用しましょう。

 

関連記事:お金がない会社の特徴とお金が残らない本当の理由は?経営を安定化するための改善策

設立して最大2年間は消費税が免除になる可能性がある

一般的には2年前の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。消費税の納税義務については、法人も個人事業主も同じです。しかし、個人事業主が法人を設立した場合、法人としての過去2年間の実績がないため、最大2年間は消費税が免除になる可能性があります。

 

言い換えると、これまで消費税を支払っていた個人事業主は、法人化によって、最大2年間は消費税の支払いがなくなる可能性があるのです。ただし、インボイス制度における、適格請求書発行事業者などは消費税が免除されないなどの条件があるので知っておきましょう。

不動産登記が不要になる

令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。この制度によって、相続で得た不動産については、相続開始日から3年以内に相続登記の申請が必須となります。違反した場合は、10万円以下の過料が科されることになるので早急な手続きが必要です。

 

しかし、相続人の数が多かったり、遺産分割がまとまらなかったりするケースでは、3年以内に相続登記の申請を終えられないことも珍しくありません。相続登記には多くの手間と時間がかかるのも事実です。

 

そこでおすすめなのが、不動産を法人名義にする方法です。会社と個人の財産は別物として扱われます。そのため、不動産が法人名義の場合、代表者が亡くなっても不動産登記の手続きは不要になるのです。

 

参考:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地 !~

相続税や贈与税の負担を軽減できる

個人事業主が家族などに事業承継を行う場合、事業に関連する財産には相続税や贈与税が発生します。相続税や贈与税は、累進課税制度が採られているため、財産や贈与の金額が高いほど、支払う税金も高くなります。

 

しかし、合同会社の場合、会社が所有する不動産については、相続税や贈与税の対象ではありません。家族以外が事業を承継するケースでは、相続財産の対象とならないため、相続税や贈与税の負担を軽減できます。

 

税制は複雑なため、ケースによって生じる税金の種類が異なる点には注意が必要です。石黒健太税理士事務所では、個別事例に応じた節税対策のご提案が可能です。お電話でもご相談できます。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

参考:国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合

合同会社が納める主な税金一覧

個人事業主と合同会社で納める税金の違いを知りたい方も多いでしょう。合同会社が納める主な税金には、以下の種類があります。種類によって、国に納める税金と地方に納める税金に分かれており、管轄している組織も異なります。

 

税金一覧

納付先

法人税

国(管轄の税務署)

地方法人税

国(管轄の税務署)

法人県民税

都道府県(都道府県税事務所)

法人事業税

都道府県(都道府県税事務所)

特別法人事業税

国(法人事業税と一緒に納付)

法人市民税

市区町村(管轄の役所)

消費税及び地方消費税

消費税は国(管轄の税務署)で、地方消費税は都道府県(消費税と一緒に納付)

ここからは、それぞれの税金の概要について、くわしく解説します。

法人税

法人税とは、法人が事業活動で得た所得に対して課される国の税金です。法人税上の所得は、商品などの売上収入や不動産の売却収入である「益金」から、売上原価や損失などの「損金」を差し引いた金額のことです。会計上の利益とは異なるので注意しましょう。

 

また、法人税は、事業年度の途中で納税額の半分を前払いする「中間申告」と、決算で税額が確定した際に支払う「確定申告」があります。それぞれに納期が決まっており、税金の納付は申告と同時に行います。

 

・中間申告…事業年度開始日以降、6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内

・確定申告…事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内

 

中間申告は、前の事業年度の法人税が20万を超える場合に行います。合同会社を設立した初年度では納付義務はありませんが、2年目以降は中間申告の納付義務が発生する可能性があるので知っておきましょう。

地方法人税

地方法人税とは、自治体間の税収の差を埋めるために設立された制度で、法人税と同様、事業活動で得た所得に対して課せられる国の税金です。法人税と混同しやすいですが、使い道と計算方法が異なります。

 

【法人税】…社会保障費や政策などに使われる

 課税所得×法人税率-税額控除額=法人税額

 

【地方法人税】…自治体に地方交付税として支給するために使われる

 法人税額×税率(10.3%)=地方法人税額

 

上記の通り、地方法人税を計算するには、先に法人税を計算する必要があることが分かります。

 

また、地方法人税にも中間申告と確定申告がありますが、納期や中間申告を行うべき対象は、法人税のルールと同様です。

法人県民税

法人県民税とは、県内に事務所を有する法人に対して課せられる都道府県の税金です。法人県民税は、「均等割」と「法人税割」の2つから構成されており、それぞれで負担する税率は以下を基準にして決まります。

 

・均等割…資本金等の金額

・法人税割…法人税の金額

 

税率などは、事務所を有する都道府県によって異なる可能性があるので、自治体のホームページなどで確認してみることをおすすめします。また、法人県民税の納期は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。

法人事業税

法人事業税とは、法人が事業活動で得た所得に対して課せられる税金です。資本金の金額によって、税金額の算出方法が異なります。

 

・資本金の額が1億円以下の会社…所得割(または収入割)

・資本金の金額が1億円を超える会社…所得割、資本割、付加価値額の3要素から算出

 

法人事業税の計算で使用する税率は、都道府県ごとに異なるため、自治体のホームページなどでチェックしてみましょう。法人事業税も法人税と同様に中間申告と確定申告があります。法人税の中間申告を行った場合は、法人事業税についても中間申告が必要です。

 

また、中間申告と確定申告の納期については、法人税と同様です。

特別法人事業税

特別法人事業税とは、法人事業税の一部を分離して国に納める税金です。国に納める税金ではありますが、法人事業税と一緒に都道府県に申告納付を行います。法人事業税の申告義務がある法人に対して課せられ、納める税金額は以下の計算式で算出します。

 

【特別法人事業税】

 基準法人所得割額又は基準法人収入割額 × 税率=特別法人事業税

 

特別法人事業税は、法人事業税の所得割額(収入割額)に税率をかけて計算しますが、適用する税率は法人の種類によって異なります。資本金1億円以下の合同会社の場合、税率は37%が適用されますが、くわしくは自治体のホームページで確認してみましょう。

法人市民税

法人市民税とは、事務所や事業所を設置している市区町村に納める税金で、「均等割」と「法人税割」の2つの要素から成り立っています。それぞれの算出方法は以下の通りです。

 

・均等割…資本金等の金額と市区町村にいる従業員数から算出

・法人税割…法人税の金額に税率をかけて算出

 

税率は市区町村によって異なるため、くわしくは自治体のホームページを確認しましょう。そして、法人県民税にも言えることですが、均等割は赤字でも課税される点にも注意が必要です。

 

また、法人市民税は、中間申告と確定申告があり、納期は法人税と同様の日付です。

消費税及び地方消費税

消費税とは、商品やサービスなどの取引にかかる税金のことで、消費者の代わりに事業者が納付します。地方消費税についても税金が発生する仕組みは同じです。

 

しかし、納付先に違いがあり、消費税は国に納め、地方消費税は都道府県や市区町村に納めます。消費税を申告納付するときに地方消費税も一緒に申告納付する仕組みになっているため、一回の申告で両方の手続きが済むことは知っておきましょう。

 

また、前述した通り、消費税の納税義務は、一般的には2年前の課税売上高が1,000万円を超える法人や個人事業主に限られています。課税売上高が1,000万円を超えるまでは免税事業者なので消費税はかかりません。ただし、インボイスの適格請求書発行事業者などは除きます。

 

消費税及び地方消費税の計算は大変複雑です。取引先がインボイスに対応してくれるかどうかでも対応が変わります。そこで事務負担を軽減するために創設されたのが「簡易課税制度」です。簡易課税制度を利用することで、消費税の計算がラクになるのです。

 

簡易課税制度を利用する場合は、事前に税務署への届出が必要なので、提出忘れに注意しましょう。くわしくは以下の記事をお読みください。

 

関連記事:簡易課税制度選択届出書の提出期限はいつまで?出し忘れた場合の対策と簡易課税を選択する前の注意点

合同会社の節税金額をシミュレーション

合同会社を設立すると、どれくらい節税になるのか気になる方も多いでしょう。ここからは、個人事業主と合同会社の場合に発生する税金の金額をシミュレーションし、手元に残る手取りを比較していきます。

 

なお、計算を簡潔に分かりやすくするため、今回は以下のシチュエーションを想定しています。

 

・京都市在住で販売業を営む事業主

・扶養者や専従者はいない

・合同会社の資本金は500万円

・合同会社での従業員は事業主本人のみ

 

節税効果をもとに、法人化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

ケース1:個人事業主の課税所得900万円

個人事業主の課税所得が900万円のケースで手取りを算出していきます。今回は、事業所得から社会保険料や各種税金を除いた金額を手取りとします。

 

また、住民税と事業税の税率は、京都市のものを利用しますが、実際の税率はお住まいの自治体や業種で異なるので注意が必要です。ご自身の手取りをシミュレーションする場合は、自治体のホームページで税率を確認しましょう。

 

所得税の税率については、国税庁のホームページ「No.2260 所得税の税率」からご確認いただけます。 

 

例:

 事業所得 1,058万円

 所得控除 148万円(社会保険料控除110万円、基礎控除48万円)

 課税所得(所得税) 900万円(事業所得1,048万円-所得控除148万円)

 課税所得(住民税)   905万円(事業所得1,048万円-所得控除143万円)

 

まずは、個人事業主の場合に発生する税金の合計額を計算します。計算式は括弧書きの通りです。

所得税

1,464,100円(百円未満切り捨て)

(課税所得900万円×所得税率33%-所得控除額1,536,000円=1,434,000円

1,434,000円×復興税率2.1%=30,114円

1,434,000円+30,114円=1,464,114円)

住民税

910,600円
(課税所得905万円×税率10%+均等割額5,600円)

事業税

384,000円

((事業所得1,058万円-事業主控除290万円)×税率5%)

合計

2,758,700円

 

個人事業主が支払う税金の合計は、2,758,700円になりました。さらに、事業所得から社会保険料と税金の合計額を差し引きし、手取りを求めていきます。

 

事業所得

10,580,000円

社会保険料

1,100,000円

税金の合計

2,758,700円

手取り(A)

6,721,300円

 

個人事業主の課税所得が900万円のケースでは、6,721,300円が手取りと言う結果になりました。

ケース2:役員報酬900万円

次に、合同会社を設立し、会社から900万円の役員報酬を受け取っているケースをシミュレーションします。

 

法人の場合は、事業主本人だけでなく、会社の税金についても考えなければなりません。まずは会社の税金を計算するにあたり、法人の所得を算出しましょう。

 

おおまかな会社の所得は、事業所得から経費を差し引いて求めることが可能です。役員報酬と法定福利費(従業員と折半する社会保険料)については、経費計上できるため、今回のケースでの法人の所得は、以下の通りになります。

例:

法人の所得   28万円(事業所得1,058万円ー役員報酬900万円ー法定福利費130万円)

役員報酬    900万円

所得控除    178万円(社会保険料控除130万円、基礎控除48万円)

役員の課税所得(所得税) 527万円(役員報酬に対する給与所得-所得控除)

役員の課税所得(住民税) 532万円(役員報酬に対する給与所得-所得控除)

 

ここからは、法人で発生する税金について計算していきます。各種税金の税率は、所得金額や自治体によって異なるので、自身でシミュレーションする場合は、ホームページなどで確認しましょう。

 

【参考】国税庁「No.5759 法人税の税率

 

法人税

42,000円

(法人の所得28万円×税率15%)

地方法人税

4,300円(百円未満切り捨て)

(法人税額42,000×税率10.3%)

法人県民税

20,400円(百円未満切り捨て)

(法人税額42,000×税率1%+均等割額20,000円)

法人事業税・特別法人事業税

13,400円(百円未満切り捨て)

(法人事業税:法人の所得28万円×3.5%=9,800円

特別法人事業税:9,800円×37%=3,626円

9,800円+3,626円=13,426円)

法人市民税

52,500円

(法人税額42,000×税率6%+均等割額50,000円)

合計

132,600円

 

計算の結果、法人の税金額の合計は132,600円です。個人事業主のケースでの税金額の合計が2,758,700円だったので、このケースでは2,626,100円の節税になりました。

 

法人の手取りは、法人の所得28万円から税金の合計額132,600円を差し引いた、147,400円と考えられます。

 

今回は個人事業主と合同会社の事業所得を同額に設定しているので、税金が大幅に安くなる合同会社の方がお得に思えます。しかし、法人が支払う税金には、事業主本人に発生する所得税や住民税は含まれていません。

 

そのため、事業主本人に発生する税金は個別に計算し、個人での手取りを算出する必要があります。

 

役員報酬

9,000,000円(給与所得7,050,000円)

社会保険料

1,300,000円

所得税

639,600円(百円未満切り捨て)

(役員の課税所得527万円×所得税率20%-所得控除額427,500円=626,500円

626,500円×復興税率2.1%≒13,156円

626,500円+13,156円=639,656円)

住民税

537,600円

(課税所得532万円×税率10%+均等割額5,600円)

手取り(B)

6,522,800円

 

役員報酬を900万円受け取るケースでは、事業主個人の手取り額は6,522,800円となりました。最後に、個人事業主と役員報酬での手取りを比べます。

 

個人事業主の課税所得900万円のときの手取り(A)

6,721,300円

役員報酬900万円のときの手取り(B)

 6,522,800円

A-B(個人の手取りとの差額)

198,500円

 

役員報酬の方が個人事業主のときよりも198,500円手取りが減ってしまいました。しかし、役員報酬のケースでは、個人の手取りとは別に法人の手取り147,400円(C)があります。法人の手取りも考慮すると、最終的な手取りの差額は以下のようになります。

 

個人事業主の課税所得900万円のときの手取り(A)

6,721,300円

役員報酬900万円のときの手取り(B)+法人の手取り(C)

6,670,200円

A-(B+C)(最終的な手取りの差額)

51,100円

 

今回のシミュレーションでは、合同会社を設立することで、事業面においては2,626,100円の節税効果が得られたものの、手取りで比べると51,100円減少する結果となりました。

 

結果についてはあくまでシミュレーションです。実際には他の経費や、設定する役員報酬の金額、扶養者の人数などを考慮すると、今回とは異なる結果になります。

 

自身の状況に当てはめた具体的なシミュレーション結果が知りたい方は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。来店が難しい場合は、お電話でもご相談が可能です。

合同会社と株式会社で節税メリットに大きな違いはない

合同会社と株式会社では、どちらが節税できるのか知りたい方も多いでしょう。結論をお伝えすると、合同会社も株式会社も節税メリットに大きな違いはありません。これは、合同会社も株式会社も、税法上の「普通法人」と言うカテゴリーに振り分けられるからです。

 

法人の税金の計算では、普通法人と、協同組合や一般社団法人などに分けられ、それぞれのカテゴリーごとに税率が決められていることが多いです。そのため、合同会社と株式会社の場合で税金額を比較しても、ほぼ同額になることから、節税効果に大きな差がないことが分かります。

会社形態は設立する目的を明確にして決める

合同会社と株式会社では、税金面で大きな差はありませんが、設立にかかる費用や、出資方法などに様々な違いがあります。両社の主な違いは以下の通りです。

 

合同会社

株式会社

会社の所有者は社員全員

会社の所有者は株主

所有者が経営を行う

所有者以外(代表取締役)が経営を行う

意思決定には全社員の同意が必要

意思決定は株主総会で行われる

設立費用は10万円程度

設立費用は22~25万円程度

株式上場できない

株式上場できる

 

会社形態の決定は、後の経営に影響を及ぼす重要なポイントのため、安易に決めることは避けるべきでしょう。また、会社設立後に後悔するケースも珍しくありません。まずは設立する目的を明確にし、自身に合う会社形態を選択しましょう。

 

ここからは、会社設立の目的別に、おすすめの会社形態を紹介します。

意思決定の速さが目的:合同会社

会社設立後は、定款の変更や社員の報酬など、意思決定が必要になる場面が数多くあります。株式会社での意思決定には、株主総会や取締役会を開き、経営者と株主の双方の意見を聞くことが欠かせません。意見の対立によって、意思決定が遅れることも少なくないでしょう。

 

一方、合同会社の場合、原則として社員の過半数の決議で意思決定を行うことができます。これは、会社の所有者が社員である性質から、社員には平等に発言権があるためです。

 

また、合同会社では、株式会社のように経営者と所有者が分かれていないため、意見がまとまりやすいのもメリットです。スピーディーに意思決定を行いたいなら、株式会社よりも合同会社の方が適していると言えるでしょう。

設立費用を抑えることが目的:合同会社

合同会社は、株式会社よりも低コストで設立できると言ったメリットがあります。合同会社と株式会社で設立時にかかる費用には以下のようなものがあります。

 

合同会社

株式会社

収入印紙代 4万円

登録免許税 6万円

収入印紙代 4万円

定款の認証手数料 3~5万円

定款謄本手数料 約2千円

登録免許税 15万円~

合計費用 10万円

合計費用 22~25万円

 

会社設立時には、定款の作成が必須です。定款を簡潔に説明すると、会社のルールを記載した書類です。株式会社の場合、作成した定款は公証役場で、公証人の承認(定款の認証)を受けなければなりません。

 

一方、合同会社の場合、定款の認証は不要とされているため、定款に関連する費用は一切かかりません。登録免許税も株式会社と比べて安いです。合同会社の設立でかかる費用は、株式会社の半分以下のため、設立費用を抑えたい方は、合同会社がおすすめです。

関連記事:自分で合同会社を設立するときの費用の目安と内訳は?設立後にかかるランニングコストと注意点

事業承継が目的:株式会社

合同会社には、持分と呼ばれる概念があります。持分とは、株式会社で言う株式のようなもので、会社に対する所有割合を指します。持分は原則、勝手に他者に譲ることはできません。持分の譲渡には、他の社員全員の同意が必要です。

 

持分で問題が起きやすいのが事業承継です。事業承継では、持分を譲渡することになりますが、他の社員から同意が得られなければ手続きできません。子供に事業承継させたくとも、周囲からの反対によって実現できないケースも少なくないでしょう。

 

そのため、事業承継が目的なら、株式会社がおすすめです。株式会社の場合、事業承継の際には株式の譲渡を行いますが、一般的には株式譲渡は、譲渡する側と譲り受ける側の双方の合意があれば可能です。そのため、合同会社よりも比較的容易に事業承継を行うことができます。

株式上場が目的:株式会社

株式会社では、株式を発行することで資金調達を行うことができます。さらに株式を上場することで、より多額の資金を調達できるため、他の会社形態と比べて資金調達の手段が多いことは、魅力のひとつと言えるでしょう。

 

しかし、合同会社は株式を発行することができないため、株式の上場ができません。合同会社の資金調達は、融資や補助金の申請に限られており、事業拡大のハードルが高いのも事実です。そのため、将来的に株式の上場を目指すなら、株式会社の設立がおすすめです。

 

関連記事:株式会社の設立費用の目安と内訳は?資本金1円でも節約にならない理由と節約する方法を解説

合同会社設立で節税効果を高めるポイント

法人化によって税金面で得したい人も多いでしょう。しかし実際には、合同会社を設立しても思ったほど節税できず、後悔する人がいることも事実です。ここからは、合同会社設立で節税効果を高めるポイントを5つ紹介します。

しっかりとシミュレーションをする

税金の金額には個人差があります。例えば、年収800万円で独身の人と、同じ年収で配偶者などの扶養がいる人を比較した場合、後者の方が税金は安くなります。節税効果は、経費や家族状況などで左右されるため、自身の状況からしっかりとシミュレーションを行うことが大切です。

 

シミュレーションを行う際は、現在の事業所得などを参考にしながら、法人で発生する税金をひとつずつ確認しましょう。節税効果がイマイチなら、無理に法人化する必要はありません。しかし、法人化は資金調達などの観点から様々なメリットがあるのも事実です。

 

以下の記事では、個人事業主と法人化はどっちが得なのかを徹底比較しています。ご興味のある方はぜひ参考にしてください。

 

関連記事:個人事業主と法人化はどっちが得?シミュレーション結果を解説

維持費用を理解する

事業における必要経費などを確認しておきましょう。法人税では、経費が多いほど所得が圧縮でき、節税に繋がります。そのため、経費が少ない場合は、節税効果を高められない恐れがあります。特にフリーランスなどは低リスクな分、コストが低いのが特徴です。

 

また、法人では、赤字でも均等割の支払いが発生します。社会保険の加入も必須となるため、個人事業主よりも維持費が高額となります。事業が軌道に乗るまでは、これらの維持費が経営を圧迫することも珍しくありません。法人成りでの費用については、以下の記事をお読みください。

 

関連記事:法人成りとは?手続きの流れと必要な準備・費用について解説

適切な役員報酬を設定する

前述した通り、所得税では累進課税が採られています。そのため、設定した役員報酬が高額な場合、個人にかかる所得税も高額になります。社会保険料の負担も避けられません。役員報酬によって法人税が節税できる一方で、個人の負担が増えることは知っておきましょう。

 

また、役員報酬が高額なケースでは、故意に不当な役員報酬を設定しているとして、税務調査で指摘される恐れがあります。税務署からペナルティを科せられると、税金面だけでなく、社会的信用にも悪影響を及ぼします。

 

役員報酬は法人税と所得税の税率の違いや、相場などを考慮し、適切な金額を設定する必要があります。

目的にあった会社形態にする

会社を設立後に会社形態を変更することも可能ですが、手間やお金の支払いが生じます。例えば、合同会社設立後に株式会社へ組織変更するケースでは、合同会社の解散登記と株式会社の設立登記に登録免許税の支払いが必要です。

 

初めから目的にあった会社形態を選んでおけば、無駄な手間や税金の支払いが発生せずに済みます。会社形態の違いによるメリットやデメリットを把握し、自分の理想とする経営に近い会社形態を選びましょう。

 

関連記事:合同会社は後悔する?設立するメリットとデメリット・後悔しないためのポイントを解説

会社設立をサポートしてくれる専門家に相談する

会社設立をサポートする専門家には、「行政書士」「司法書士」「税理士」がいます。中でも税理士は、税務や経営に特化しており、相談することで以下のメリットが得られます。

 

・節税対策や資金調達などを考慮した相談ができる

・事業や業種にあった適切な節税対策などのアドバイスが得られる

・資金調達を考慮した資本金額を設定できる

 

税理士は、これまでの支援経験から、業界ごとの税務の特色を理解しています。そのため、相談によって事業の展望に合わせた最適な節税対策が期待できるでしょう。以下の記事では、他の専門家との違いを解説しています。

 

関連記事:起業相談は誰にする?内容別の相談先と選び方を解説

合同会社の節税については気軽に相談を!

合同会社の設立は、税率や経費の種類などの観点から節税になると言われていますが、一概には言えません。本当に節税できるかどうかは、個人の状況によって異なるため、シミュレーションを行い、比較検討することが大切です。

 

また、合同会社での節税効果を高めるためには、役員報酬の設定など様々な対策が必要です。対策が不足すると、税金などのコストが想定よりも増加してしまい、法人化を後悔することにも繋がります。

 

税金額のシミュレーションや、合同会社における節税対策は、200社以上の支援実績がある当事務所へお任せください。起業や創業など、スタートアップの支援経験を持つスタッフが多数在籍しています。お電話でのご相談も可能なので、まずはお気軽にご相談ください。

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