税理士は近い方がいい?信用できない税理士は断る勇気が必要
税理士は経営のパートナーであり、ビジネスを成功させる上で非常に大切な存在と言えます。起業したばかりの経営者の方は、税理士選びという重要な決断を迫られるでしょう。
どのような観点で税理士を選んだらよいのかわからず、とりあえず自宅や職場に近い税理士を探す人も多く見受けられます。確かに、近くの税理士に依頼することで相談がしやすくなる場合もありますが、必ずしもよい面ばかりではありません。
この記事では、近い税理士に依頼するメリット、デメリットと、税理士選びに失敗しないためのポイントを解説します。この記事を読むことで、あなたにあう税理士の選び方がわかるでしょう。
目次
- 税理士は近い方がいい?
- 必ずしも近い税理士がいいとは限らない
- オンラインでのやり取りもできる
- 近い税理士に依頼するメリット
- 急な相談や書類の受け渡しがスムーズにできる
- 気軽に相談できる環境が生まれる
- 地域特有の経済状況や税務に詳しい
- 知人に紹介しやすい
- 交通費や時間が節約できる
- 近い税理士に依頼するデメリット
- あなたの業種に詳しいとは限らない
- 地域の交流があり断りにくくなる
- 地方の税理士はIT化が遅れていることがある
- 地域を限定するとより良い税理士に出会う機会が少なくなる
- 税理士事務所で知り合いにあう恐れがある
- 信用できない税理士は勇気を持って断る
- 税理士選びで失敗しないためのポイント
- 税理士に依頼する目的を明確にする
- 面談で相性を確認する
- 営業時間を確認する
- 税務以外のサポート内容を確認する
- 明確な料金体系の有無を確認する
- 税金に関する悩みは気軽に相談を!
税理士は近い方がいい?
税理士が近くにいれば、急な相談も気軽にでき、書類の受け渡しも便利なので安心できるという人も少なくありません。距離が近いことのメリットはさまざまありますが、距離を重視して近隣の税理士だけを選択すると、より自社に合った税理士と出会うチャンスを逃してしまう可能性があります。
長期的な視点で考えると、経営のパートナーとして信頼できることや、自社のニーズに応えてくれる専門性の高さも重要です。距離だけではなく、さまざまな視点から自社に最適な税理士を選びましょう。
必ずしも近い税理士がいいとは限らない
経営者の自宅や事業所の近くの税理士に依頼することが、必ずしも会社にとってよい選択とは限りません。
特に地方では、近隣に自社の業種に詳しい税理士がいない場合もあります。会社に近くて通いやすい税理士に依頼しても、自社の経営ビジョンにまったく共感してくれず、適切なアドバイスを得られなかったら本末転倒でないでしょうか。
また、地域のコミュニティの結びつきが強い場合は、地元の税理士を選ぶと、断りたい場面が出てきても断りにくくなるというデメリットもあります。
オンラインでのやり取りもできる
近所にいい税理士が見つからない場合は、オンラインも視野に入れると選択肢が一気に広がります。
実際に会って話したい人は、オンラインでのやり取りに不安を感じるかもしれません。ビデオ会議やチャットを活用すれば、遠方でもスムーズにコミュニケーションを取ることができます。
クラウド会計ソフトを導入すれば、訪問しなくてもリアルタイムで帳簿の確認ができます。書類の確認だけであれば、データのやり取りで済む場合も多いです。
しかし、どの税理士もオンラインに対応しているわけではありません。オンライン対応の税理士に依頼することで、必然的に自社の経理業務などもIT化することになり、業務の効率化につながる可能性もあります。
関連記事:いい税理士はすぐわかる?面談やホームページで見極めるポイントを解説
近い税理士に依頼するメリット
税理士を距離だけで選ぶことはおすすめしませんが、自社に合う税理士が近くにいれば多くのメリットがあります。近くの税理士を選ぶことの具体的なメリットを詳しく解説します。
急な相談や書類の受け渡しがスムーズにできる
近い税理士に依頼する最大のメリットは、必要な時にすぐ会えることです。税務調査や確定申告の際など急ぎで相談したいことがある場合、簡単に行き来できる距離に税理士がいることは経営者にとって大きな安心材料になります。
定期的に対面で税務相談をする場合は、移動にかかる時間が短いため、経営者と税理士の双方がスケジュール調整しやすくなります。
書類の受け渡しは郵送やオンラインで対応できる場合もありますが、重要な書類は直接渡したい、書類の不明点を直接聞きたいというケースもあるでしょう。直接的な書類の受け渡しは、税理士が近くにいる方がスムーズにやり取りができます。
気軽に相談できる環境が生まれる
顔を合わせる機会が多いと、心理的な距離も縮まって、気軽に相談できる関係を築きやすいという利点もあります。実際に会って話すことで、ちょっとした要望や疑問も伝えやすくなり、税理士側もクライアントの状況を把握しやすくなります。
電話やメールでは必要最低限のコミュニケーションになってしまいがちです。しかし、気軽に立ち寄って相談できる環境があることで、税務の不安を早期に解決し、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
地域特有の経済状況や税務に詳しい
事業を経営している地域の税理士は、その地域の経済状況や、地域独自の制度や補助金などに詳しい場合が多いです。
起業して間もない経営者の方は、税理士を介して地域の経営者コミュニティに参加したり、地域の経済動向についての知識を得たりしながら、その地域の経営者としての立場を築いていくこともあります。
地元の事情に詳しい税理士にサポートしてもらえば、その地域でビジネスを展開しやすくなるでしょう。
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知人に紹介しやすい
近くの税理士は、地元の知人や同業者に紹介しやすいものです。紹介される人も、地元の経営者から「この税理士は業界の専門知識が豊富だよ」「融資の相談にも乗ってくれるよ」などと口コミがあれば安心して依頼しやすくなります。
逆に自分が税理士を探している場合は、地元のコミュニティで税理士を紹介してもらうのも一つの手です。同じ業種の経営者から、自社の業種に強い税理士を紹介してもらえる可能性もあります。
交通費や時間が節約できる
移動コストが低いことは、距離が近いことの大きなメリットです。定期的に対面での打ち合わせをする場合、遠方であるほど交通費も時間もかかります。
往復にかかる移動時間が長いと、なかなかスケジュールの調整がつかず、打ち合わせをしたくても予定がかなり先になってしまうケースもあります。近くの税理士であれば必要なとき、すぐに対応できる可能性が高くなり安心です。
近い税理士に依頼するデメリット
近くの税理士に限定して探すことや、自社が依頼している税理士が近くにいることのデメリットもあります。
たとえば、自社の近くに税理士がいても、自社の業種や依頼したい業務に詳しい税理士であるとは限りません。また、特に地方ではIT化が遅れている税理士も多く、業務効率の低さがストレスに感じる場合もあります。ここでは、特に注意が必要なデメリットを5つ紹介します。
あなたの業種に詳しいとは限らない
たまたま近くに、自社の業種を専門とする税理士や、依頼したい業務の実績が特に豊富な税理士がいたら、それはとても運がいいケースだと言えます。
医療、建設、飲食など、それぞれの業界特有の税務知識が必要な場合には、専門知識が乏しい税理士では適切なアドバイスを受けられない可能性があります。
また、事業規模が大きくなったり、複雑な取引が発生したりする場合には、全国規模で専門性の高い税理士を探した方が効率的です。専門外の税理士では対応しきれず、トラブルの原因となることも考えられます。
関連記事:自社にあった税理士の探し方は?気をつけることを税理士目線で解説
地域の交流があり断りにくくなる
自社と同一地域の税理士に依頼すると、地域コミュニティ内で共通の知り合いが多いなどの理由から、自社に合わないと感じても断りにくくなってしまう可能性があります。
特に地方だと、税理士と知人や親戚が知り合いどうしで、率直なフィードバックを伝えにくいケースも少なくありません。知人や親戚を介して依頼したわけではないのに、後から繋がりが判明するのはよくあることです。
税理士とのコミュニケーションに対する経営者の心理的負担が大きくなると、経営のことを気軽に相談できる関係ではなくなってしまいます。地元の税理士との関係構築に不安がある場合は、あえて近隣の税理士は選ばず、オンラインでやりとりできる税理士を探す選択肢もあります。
地方の税理士はIT化が遅れていることがある
地方では、税理士事務所のIT化が進んでいない場合があります。例えば、クラウド会計ソフトを導入していない、オンライン相談に対応していないといったケースです。
クラウド会計ソフトを導入していないと、記帳で不明点がある場合に同期的に確認することができません。月1回の訪問時に書類を確認してもらい、不明点はその際にまとめて聞かなければならないなど、効率的に業務が行うことが難しくなります。
紙ベースのやり取りが多い税理士事務所では、帳簿や書類の管理が煩雑になりやすいというデメリットもあります。効率の良さを重視するのであれば、業務のIT化が進んでいる税理士を選ぶとよいでしょう。
地域を限定するとより良い税理士に出会う機会が少なくなる
距離的な近さを第一条件として税理士を探すと、地域外の優れた税理士に出会うチャンスを逃してしまうリスクがあります。特に、特定の業種や業務を専門とした税理士は地方ではなかなか見つからないのが実情です。
地域で評判のいい税理士に依頼しても、自社にあったアドバイスがもらえず期待外れに終わるかもしれません。
一方、事務所は遠方でも、オンラインで全国対応している税理士もいます。全国に目を向けてみると、専門性の高い税理士に依頼できる可能性があります。
税理士事務所で知り合いにあう恐れがある
地域に根ざした税理士は、同じ地域の多くの経営者と関わりがあるため、事務所を訪れた際に知り合いと鉢合わせする可能性があります。プライバシーが気になる方にとっては、知り合いと顔を合わせることは大きなストレスでしょう。
また、知り合いが税理士事務所を訪れた際に、あなたの利用状況を知ってしまう可能性もあります。税務相談には会社の経営状況や個人の経済状況など、デリケートな情報が多く含まれます。
起業したことを知り合いに知られたくない場合は、住んでいる地域から離れた税理士に依頼した方がいいでしょう。
信用できない税理士は勇気を持って断る
税理士は経営のパートナーとも言うべき存在です。信用できない税理士に依頼することは、会社にとって大きなリスクを伴います。税務処理のミスが頻発する、連絡のレスポンスが遅い、説明がわかりにくいなどの問題がある場合は、税務上のトラブルにつながる可能性があります。
また、経営者が税理士とのコミュニケーションにストレスを感じる場合は、連絡をとること自体が億劫になってしまい、税務対応が後回しになってしまいがちです。信用できないと思ったら、知り合いに紹介された税理士であっても断る勇気を持つことが重要です。
関連記事:税理士への不満ランキング1位はコミュニケーション!合わない税理士に依頼するデメリット
税理士選びで失敗しないためのポイント
税理士選びで失敗すると、無駄な時間とお金がかかるだけでなく、事業にも大きな影響を及ぼすことがあります。税理士に依頼する目的を明確にする、面談で相性を確認するなどのポイントを押さえて慎重に比較検討することで、あなたにぴったりの税理士を選ぶことができます。
税理士に依頼する目的を明確にする
あなたが税理士に依頼したいのはどのような業務でしょうか。確定申告、節税対策、資金繰りの相談、融資支援など、目的によって適した税理士が異なります。
税理士はそれぞれ得意分野、専門分野があります。自社のニーズを事前に整理し、自社と同じ業種の知識や経験があるか、依頼しようとする業務の実績があるかを確認するとよいでしょう。
目的がはっきりしていると、自社に適した税理士を選びやすく、税理士もどのようなサポートをすればよいかが明確になるので、コミュニケーションがスムーズになります。
関連記事:税理士が何もしてくれない理由は?税理士側・経営者側の問題と対策
面談で相性を確認する
税理士の専門性や実績を見て依頼したいと思っても、相性は実際に話して見ないとわからないものです。初めて依頼する税理士とは必ず面談を実施し、円滑にコミュニケーションをとれるか確認しましょう。
説明の際に難しい専門用語を多用する税理士や、経営者のビジョンに共感してくれない税理士だと、相談するたびに「説明がよくわからなかった」「自分の考えをわかってもらえなかった」というストレスが積み重なってしまいます。
一方、親身になって相談に乗ってくれる税理士であれば、小さなことでも気軽に相談できる関係を築きやすくなります。面談では、質問に対する回答が丁寧であるか、自分の疑問にしっかり向き合ってくれるかを見極めることがポイントです。
営業時間を確認する
税理士事務所の営業時間も重要なポイントです。平日の昼間に動けない経営者にとっては、近くに税理士がいても営業時間が合わず、気軽に相談できないおそれがあります。
平日の昼間に時間が取れない人は、平日の夜間や土日に対応してくれる税理士であれば、仕事の合間を縫って相談できます。営業時間は必ず確認し、経営者の事業スタイルに合った税理士を選びましょう。
税務以外のサポート内容を確認する
税理士によっては、銀行融資などの資金調達、補助金活用、財務戦略コンサルティングなど、税務以外のサポートを提供している場合があります。
特定の手続きをスポットで依頼するのではなく、長期的に経営をサポートしてもらいたい場合は、税務以外のサポートが充実している税理士に依頼するのがおすすめです。
関連記事:融資に強い税理士の特徴は?探し方と資金不足の改善について解説
明確な料金体系の有無を確認する
税理士に依頼する際には、何にいくらかかるのかを事前に確認することが大切です。料金を確認しておかないと、顧問料のほかにオプション費用がかかるなど、思わぬコストが発生する可能性があります。
提示された金額が安い場合は、サービス内容が不十分だったり、別途オプション費用がかかる場合があります。逆に、相場より高い見積もりで、金額の内訳が明確にわからない場合も要注意です。
顧問契約を結ぶ場合、顧問料だけでどの範囲まで対応してもらえるのか、何を依頼するとオプション費用がかかるのかなど詳細に確認しておくと安心です。明確な料金体系がある税理士であれば、自社に必要な業務を依頼すると、いくらかかるかおおよその見当がつきます。
税金に関する悩みは気軽に相談を!
税理士は、税金のサポートや経営相談などをする上で大切な存在です。あなたにあった税理士が、必ずしも自宅や職場に近いとは限りません。専門性やサポート内容、相性などを総合的に考えて、自社に適した税理士を選ぶことが大切です。
同じ地域だけではなく、オンラインも視野に入れて探すことで、全国の専門性の高い税理士に出会うチャンスが生まれます。
石黒健太税理士事務所は、財務コンサルティング、資金調達支援、クラウド会計導入サポートなどビジネスを幅広くサポートいたします。税理士選びに悩んだら、まずはお気軽にお問い合わせください。