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法人税をざっくり計算する3ステップ!決算までにできる効果的な税金対策を解説

 

決算時期が近づくと「今年の法人税は、どれくらいだろう」と、不安になる方は珍しくありません。特に、事業が順調で利益が出ている時は税金の金額も大きくなるため、少しでも節税したいと考えるでしょう。

 

「税金の計算は複雑で、どうやって計算したらいいのかわからない」「税理士さんに任せておけば大丈夫」と思いつつも、実際どれくらい税金がかかるのか、ざっくりでも知りたいものです。

 

もしかしたら、知らないうちに損をしているかもしれません。しかし、節税対策をしっかり行えば、会社に残るお金を増やして、事業をさらに発展させることもできるはずです。

 

この記事では、法人税をざっくり計算する3つのステップをわかりやすく解説します。また、決算までにできる効果的な税金対策についても詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むことで、法人税の計算や税金対策に対する不安が解消され、ビジネスの経営に役立つ知識が身につくでしょう。

 

目次

法人税をざっくり計算する方法

法人税は以下3つのステップで、ざっくり計算できます。

・ステップ1:利益から所得を計算する

・ステップ2:所得に法人税の実効税率をかけて均等割を足す

・ステップ3:予定納付分を差し引く

 

あくまでざっくりとした計算方法のため、実際の法人税とは異なりますが、目安を知ることができます。

ステップ1:利益から所得を計算する

法人税を計算するには、会社の「利益」と「所得」の違いを理解することが大切です。利益とは、収入から経費を差し引いた金額で、会社が稼いだ金額を指します。一方、所得は利益に税務上の調整を加えたものです。

 

具体的には、経費として認められないものを控除したり、逆に収入とみなされるものを加算したりします。

 

利益から所得を計算するには、決算書の税引前当期純利益を基にします。ここから、税務上の加算項目を足し、減算項目を引きます。具体的な加算項目と減算項目は、以下です。

加算項目

・定期同額給与に該当しない役員報酬

・年間800万円を超えた接待交際費

・事業税の還付

減算項目

・事業税の支払

・法人税や住民税の還付金

・欠損金の繰戻しによる還付金

 

ざっくりと計算したい場合は、利益と所得を同じと見なす方法も考えられます。しかし、事業税の支払いや還付は、所得金額に大きく影響する可能性があるため、把握しておきましょう。

 

例えば利益1,000万円、事業税の支払が200万円の場合は、所得を800万円として計算します。

1,000万円(利益)ー200万円(事業税の支払)=800万円(概算の所得)

 

このように、利益から所得への計算では、細かい税務調整を一時的に省略することで、簡単に次のステップへ進むことができます。

ステップ2:所得に法人税の実効税率をかけて均等割を足す

法人の所得にかかる税金の種類は以下です。

・法人税

・地方法人税

・法人県民税

・法人事業税

・法人市民税

 

税金の種類によって税率などが異なり、それぞれを細かく計算することは大変です。これらの税金をまとめて計算するには、所得に実効税率をかけて均等割を足すことでざっくりした計算ができます。

 

所得 × 実効税率 + 均等割 = 法人税等の金額

 

実効税率とは、所得に対して実際に課税される税率のことです。会社の所得や資本金額などによって実効税率は異なり、財務省によると法人実効税率は29.74%とされています。

 

例えば、所得800万円、実効税率30%、均等割7万円の場合の税金は以下です。

800万円 × 30% + 7万円 = 247万円

 

実効税率や均等割は、自治体や所得などによって異なるため、この方法で計算した金額は、あくまで概算です。正確な法人税額を計算するには、税理士に相談しましょう。

 

参考:財務省「法人税など(法人課税)に関する資料

関連記事:税理士が何もしてくれない理由は?税理士側・経営者側の問題と対策

ステップ3:予定納付分を差し引く

前期の法人税が一定額を超える場合、予定納税が発生します。予定納税が発生すると、事業年度の途中で前期の法人税等の約半分を納付します。もし、すでに予定納税を済ませている場合は、ステップ2で計算した金額から、予定納税分を差し引くことで、ざっくりとした納付額の計算が可能です。

 

例えば、ステップ2で計算した法人税の概算額が237万円で、予定納税額が100万円だった場合、137万円となります。

237万円(法人税等)ー 100万円(予定納税)= 137万円(納付税額)

 

確定した税金よりも、予定納税した税金の方が多額の場合、差額は還付されます。

消費税は計算方法が異なる

法人税と同様に、会社にとって重要な税金である消費税ですが、法人税とは計算方法が異なります。法人税は、会社の所得に対して課税されますが、消費税は課税期間中の収入にかかる消費税額から、経費にかかる消費税額を控除して計算します。

 

そのため、法人税のように所得を基に概算で計算できません。

 

しかし、消費税の概算額は、仮受消費税から仮払消費税を差し引いた金額で計算できます。例えば、仮受消費税が100万円、仮払消費税が60万円だった場合、消費税の概算額は100万円 – 60万円 = 40万円となるでしょう。

ざっくり計算した法人税の金額

税金の金額は、近い所得の法人税と知ることで推測できます。ここでは、以下の例を基にシミュレーションします。

 

資本金:1,000万円以下

法人形態:株式会社

従業員数:50人以下

住所:京都市

 

各シミュレーション毎の法人税等の金額は、以下です。

利益(所得)

法人税等の金額

300万円

741,600円

400万円

965,600円

500万円

1,214,100円

1,000万円

2,695,700円

2,000万円

6,376,100円

 

利益(所得)300万円の法人税

所得300万円の法人にかかる税金は、以下の方法で計算されます。

法人税

450,000円

3,000,000×15%=450,000(百円未満切り捨て)

地方法人税

46,300円

450,000×10.3%=46,350(百円未満切り捨て)

法人県民税

24,500円

450,000×1%+20,000=24,500(百円未満切り捨て)

法人事業税

143,800円

事業税所得割(百円未満切り捨て)

3,000,000×3.5%=105,000

特別法人事業税(百円未満切り捨て)

105,000×37%=38,850

105,000+38,800=143,800

法人市民税

77,000円

450,000×6%+50,000=77,000(百円未満切り捨て)

合計

741,600円

 

所得300万円に対して、741,600円の税金が目安です。所得が300万円前後の場合、所得に対して24.72%の実効税率で計算するといいでしょう。

 

参考:国税庁「法人税の税率

参考:京都府「法人事業税

参考:京都市「法人市民税

利益(所得)400万円の法人税

所得400万円の法人にかかる税金は、以下の方法で計算されます。

法人税

600,000円

4,000,000×15%=600,000(百円未満切り捨て)

地方法人税

61,800円

600,000×10.3%=61,800(百円未満切り捨て)

法人県民税

26,000円

600,000×1%+20,000=26,000(百円未満切り捨て)

法人事業税

191,800円

事業税所得割(百円未満切り捨て)

4,000,000×3.5%=140,000

特別法人事業税(百円未満切り捨て)

140,000×37%=51,800

140,000+51,800=191,800

法人市民税

86,000円

600,000×6%+50,000=86,000(百円未満切り捨て)

合計

965,600円

 

所得400万円に対して、965,600円の税金が目安です。所得が400万円前後の場合、所得に対して24.14%の実効税率で計算するといいでしょう。

利益(所得)500万円の法人税

所得500万円の法人にかかる税金は、以下の方法で計算されます。

法人税

750,000円

5,000,000×15%=750,000(百円未満切り捨て)

地方法人税

77,200円

750,000×10.3%=77,250(百円未満切り捨て)

法人県民税

27,500円

750,000×1%+20,000=27,500(百円未満切り捨て)

法人事業税

264,400円

事業税所得割(百円未満切り捨て)

4,000,000×3.5%=140,000

1,000,000×5.3%=53,000

140,000+53,000=193,000

特別法人事業税(百円未満切り捨て)

193,000×37%=71,410

193,000+71,400=264,400

法人市民税

95,000円

750,000×6%+50,000=95,000(百円未満切り捨て)

合計

1,214,100円

 

所得500万円に対して、1,214,100円の税金が目安です。所得が500万円前後の場合、所得に対して24.28%の実効税率で計算するといいでしょう。

利益(所得)1,000万円の法人税

所得1,000万円の法人にかかる税金は、以下の方法で計算されます。

法人税

1,664,000円

8,000,000×15%=1,200,000

2,000,000×23.2%=464,000

1,200,000+464,000=1,664,000(百円未満切り捨て)

地方法人税

171,300円

1,664,000×10.3%=171,392(百円未満切り捨て)

法人県民税

36,600円

1,664,000×1%+20,000=36,640(百円未満切り捨て)

法人事業税

674,000円

事業税所得割(百円未満切り捨て)

4,000,000×3.5%=140,000

4,000,000×5.3%=212,000

2,000,000×7%=140,000

140,000+212,000+140,000=492,000

特別法人事業税(百円未満切り捨て)

492,000×37%=182,040

492,000+182,000=674,000

法人市民税

149,800円

1,664,000×6%+50,000=149,840(百円未満切り捨て)

合計

2,695,700円

 

所得1,000万円に対して、2,695,700円の税金が目安です。1,000万円前後の所得の場合、所得に対して26.96%の実効税率で計算するといいでしょう。

利益(所得)2,000万円の法人税

所得2,000万円の法人にかかる税金は、以下の方法で計算されます。

法人税

3,984,000円

8,000,000×15%=1,200,000

12,000,000×23.2%=2,784,000

1,200,000+2,784,000=3,984,000(百円未満切り捨て)

地方法人税

410,300円

3,984,000×10.3%=410,352(百円未満切り捨て)

法人県民税

59,800円

3,984,000×1%+20,000=59,840(百円未満切り捨て)

法人事業税

1,633,000円

事業税所得割(百円未満切り捨て)

4,000,000×3.5%=140,000

4,000,000×5.3%=212,000

12,000,000×7%=840,000

140,000+212,000+840,000=1,192,000

特別法人事業税(百円未満切り捨て)

1,192,000×37%=441,040

1,192,000+441,000=1,633,000

法人市民税

289,000円

3,984,000×6%+50,000=289,040(百円未満切り捨て)

合計

6,376,100円

 

所得2,000万円に対して、6,376,100円の税金が目安です。2,000万円前後の所得の場合、所得に対して31.88%の実効税率で計算するといいでしょう。

 

所得や資本金などによって税金が異なります。具体的な税金の金額を知りたい場合は、税理士することをおすすめします。法人税の金額や悩みは、石黒健太税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。

決算までにできる法人の効果的な税金対策

決算が近づくと、法人として適切な税金対策を講じることが大切です。効果的な対策を行うことで、税負担を軽減し、企業の財務状況を健全に保つことができます。ここでは、決算までに実施できる法人の具体的な税金対策について解説します。

30万円未満の少額減価償却資産や消耗品を購入する

青色申告書を提出する中小企業者等が、30万円未満の少額減価償却資産を購入した場合、購入した年に全額を費用として計上できます。購入した年の利益を減らし、税金の負担を軽減することが可能になります。これは、少額減価償却資産の特例と呼ばれる制度を活用したものです。

 

例えば、1台10万円以上のパソコンやプリンターなどの備品を購入する場合、通常は数年に分けて費用を計上していく必要がありますが、30万円未満であれば一括で費用計上できます。

 

また、消耗品費についても、購入時に費用として計上できます。ただし、未使用のコピー用紙などは貯蔵品として、棚卸資産となるため注意しましょう。

 

参考:国税庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

不要な固定資産や在庫を処分する

会社には、使わなくなった機械や設備、売れ残った商品など、不要な固定資産や在庫を抱えている場合があります。これらを決算前に処分することで、節税につながる可能性があります。

 

固定資産を売却した場合、帳簿上の価格と売却価格の差額によって、損益が発生します。もし売却価格が帳簿上の価格を下回れば、その差額は「損失」として計上可能です。この損失は、その年の利益を減らす効果があり、結果として税金の負担を軽減することにつながります。

 

例えば、帳簿価格100万円の機械を50万円で売却した場合、50万円の損失を計上できます。

 

また、在庫についても、処分することで損失を計上できる場合があります。特に、長期間保管され、価値が下がってしまった在庫や、今後販売の見込みがない在庫は、決算前に処分することを検討しましょう。不要な資産を処分することは、会社の財務状況を改善するだけでなく、節税効果も期待できる有効な手段と言えます。

 

ただし、固定資産や在庫を処分する際には、税務上のルールをしっかりと理解しておく必要があります。安易な処分は、思わぬ税務リスクを生む可能性もありますので、事前に税理士に相談するなどして、適切な処理をしましょう。

修繕や設備投資の前倒し

会社の建物や設備の修繕、新しい設備の導入を翌期以降に検討している場合、今期に前倒しで行うことで節税効果が期待できます。

 

修繕費は維持管理に必要な費用であり、原則としてその年に全額経費として計上できます。例えば、老朽化した建物の外壁塗装や、雨漏りの修理などは修繕費に該当するでしょう。

 

設備投資については、取得価額が30万円未満であれば、少額減価償却資産の特例を活用して全額経費計上可能です。もし高額な設備を導入する場合でも、減価償却費として数年間にわたって費用計上することで、利益を圧縮し節税効果を得られます。

 

ただし、修繕費と資本的支出の区別は明確に行う必要があります。資本的支出とは資産の価値を高めたり、改良したりする費用のことです。資本的支出に該当する場合、修繕費とは異なり減価償却の対象となるため注意しましょう。

 

修繕や設備投資の前倒しは、節税効果だけでなく、会社の業務効率向上や生産性向上にもつながる可能性があります。将来的な計画も考慮しながら、決算前に前倒し実施を検討してみましょう。

従業員に決算賞与を支給する

従業員のモチベーション向上と節税対策を両立させたいと考えている経営者の方には、決算賞与の支給がおすすめです。決算賞与とは、会社の業績に応じて従業員に支給する賞与のことです。通常の賞与とは異なり、支給時期や金額を自由に設定できるメリットがあります。

 

決算賞与は、会社の経費として計上できます。決算前に賞与を支給することで、その年の所得を減らし、税金の負担を軽減することが可能です。

 

また、決算賞与は従業員のモチベーション向上にもつながります。会社の業績向上に貢献した従業員に対して、感謝の気持ちを込めて賞与を支給することで、従業員の士気を高め、より一層の活躍を期待できます。

 

ただし、決算賞与を支給する際には、社会保険料や源泉所得税などの負担が発生することに注意が必要です。また、賞与の支給額が大きすぎると、会社の資金繰りを圧迫する可能性もあります。会社の業績や財務状況などを考慮しながら、適切な金額を設定することが大切です。

賃上げ促進税制を活用する

賃上げ促進税制は、従業員等の給与を一定以上引き上げた企業に対して、法人税の一部を控除する制度です。賃上げ促進税制を活用することで、税負担を軽減しながら、従業員のモチベーション向上と人材確保を図ることができます。

 

この制度の概要として、前事業年度と比較して給与額を1.5%以上増加させた中小企業は、給与等支給増加額の15%相当額を法人税額から控除できます。また、2.5%以上増加している場合は、30%相当額を法人税額から控除可能です。

 

ただし、賃上げ促進税制を利用するためには、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、以下です。

・青色申告書を提出

・雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加

・資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人

 

賃上げ促進税制は、決算賞与とあわせて適用すると、効果的と言えます。決算賞与を支給することで、賃上げ促進税制の要件を満たすこともあるでしょう。

 

賃上げ促進税制の要件である雇用者給与等支給額は、従業員に支払う給料や賞与から特定求職者雇用開発助成金などを控除するため注意が必要です。事前に税理士などの専門家に、要件を満たすか確認することをおすすめします。

 

参考:中小企業庁「中小企業向け「賃上げ促進税制」

関連記事:いい税理士はすぐわかる?面談やホームページで見極めるポイントを解説

無駄な税金対策は資金を減らす

節税を目的として交際費などに多額の費用を使うと結果的に支出が増え、手元の資金が減少します。

 

例えば、利益が100万円で税率が30%の場合、本来支払う税金は30万円です。節税のために50万円の交際費を使ったとします。この場合、利益は50万円に減少し、税金は15万円になります。

 

しかし、交際費50万円と税金15万円を合わせると、支出は65万円です。最初に支払う予定だった税金30万円よりも35万円多く資金が減ることになります。

 

無駄な税金対策は節税どころか、かえって資金を減らす結果となります。節税を考える際は、無駄な支出を増やすのではなく、効率的な経費の使い方や適切な会計処理を行うことが大切です。

 

無駄な支出を避けることで、資金を有効に活用でき、ビジネスの成長にもつながります。節税と資金管理のバランスを保つことが、健全な経営の鍵となります。

 

関連記事:お金がない会社の特徴とお金が残らない本当の理由は?経営を安定化するための改善策

法人税の悩みを気軽に相談

法人税は、以下の手順でざっくり計算できます。

・ステップ1:利益から所得を計算する

・ステップ2:所得に法人税の実効税率をかけて均等割を足す

・ステップ3:予定納付分を差し引く

 

この計算方法はあくまで概算です。

 

利益が予定よりも多額な場合、税金対策を行うことで、税負担を軽減し、企業の財務状況を健全に保つことができます。しかし、節税を目的として交際費など、無駄な税金対策は税金以上の資金が必要です。

 

節税を考える際は、無駄な支出を増やすのではなく、効率的な経費の使い方が大切です。また、今期の法人税を知ることで、あなたにとってどの税金対策が有効かわかるでしょう。

石黒健太事務所は税金の申告だけでなく、未来に向けた財務面での戦略的アドバイスや支援を提供を実施しています。お客様の経営目標に合わせた財務戦略の提案も可能です。法人税の悩みや税金対策について、まずはお気軽にお問い合わせください。

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