法人成り

法人成りとは?手続きの流れと必要な準備・費用について解説

目次

フリーランスや個人事業主のみなさん 「法人成りするとどうなるのだろう」「自分は法人成りした方がいいのだろうか」と、悩んでいないでしょうか。

法人成りとは、個人事業主が株式会社などに組織変更することです。法人成りをすることで対外的な信用度が高まる、

消費税の納税義務が最大2年間免除されるなどのメリットがあります。

 

この記事では「法人成り」について解説します。

手続きの流れや必要な準備、法人成りするタイミングについても、わかる内容になっています。法人なりを検討されている方はぜひご確認ください。

法人成りとは

法人成りとは、個人事業主として営んでいた事業を、株式会社や合同会社といった「法人」に組織変更することです。法人成りすると、個人事業主にはないメリットが受けられます。

 

たとえば、社会的な信用度が高まる、金融機関からの資金調達が容易になる、取引先からの信頼を得やすくなるなどです。また、税制面での優遇措置を受けられる場合もあります。

 

法人成りと起業の違い

法人成りと起業は、どちらも会社を設立するという点で同じですが、その目的や手続きが異なります。起業は、新しい事業を始めることを指します。

 

一方、法人成りは、すでに個人事業主として事業している人が、事業を会社に移行することを指します。

言い換えると、起業は0から1を生み出すことであり、法人成りは1を10にすることと言えるでしょう。

 

たとえば、新しいアイデアを思いつき、会社を設立した場合は起業です。一方、個人でフリーランスとして活動しており、

事業を拡大するために会社を設立した場合は法人成りです。

法人成りは起業とは異なり、すでに事業している人がさらなる成長を目指すための手段とも考えられます。

 

法人成りと個人事業主の違い

個人事業主の場合、事業で得た利益は事業主の所得となります。一方、法人は、事業主とは別の独立した存在であり、事業で得た利益は法人のものとなります。

 

また、個人事業主は、所得税の累進課税が適用されるため、所得が増えるほど税率が高くなりますが、

法人税の税率は一定なため、所得が増えても税率は変わりません。(*中小企業等の法人税や法人事業税などの税率は、所得によって異なります)

一般的には事業での利益が低いうちは個人事業での税負担が安く、利益が増えてくると法人にした方が税負担が少なくなる傾向にあります。

 

個人事業主が法人成りする7つのメリット

個人事業主として順調に事業を成長させていく中で、「法人成りした方が良いのだろうか?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

個人事業主が法人成りすることで得られるメリットは多く、事業の成長を加速させる可能性を秘めています。

 

ここでは、個人事業主が法人成りのするメリットをご紹介します。

 

対外的な信用度が高まる

法人は法律で認められた組織で、事業継続性やコンプライアンス体制がしっかりしているイメージがあり、対外的な信用度が高まります。

銀行から融資を受けやすくなったり、大企業との取引がしやすくなったりするでしょう。

 

事業承継が円滑になる

法人は、株主が変わっても事業を継続できます。たとえば、後継者に株式を譲渡したり、役員を交代したりすることで、スムーズな事業承継が可能です。

 

経営者の退職金を経費にできる

個人事業主の場合、事業主の退職金は経費として認められません。しかし、法人であれば、経営者の退職金を経費として計上できます。

 

たとえば、退職金を積み立てておくことで、将来の生活資金を確保可能です。また、退職金を支払うことで、節税効果も期待できます。

経営者の退職金を経費にできることは、経営者の老後の生活設計や節税対策に役立つでしょう。

 

決算月を変更できる

個人事業主の場合、決算月は12月と決まっています。しかし、法人成りすると、決算月を変更可能です。

あまり忙しくない時期に合わせて決算月を設定することで、決算業務を効率化できます。

たとえば、繁忙期を避けて決算月を設定すると、決算作業に追われることなく、本来の業務に集中できます。

 

消費税の納税義務が最大2年間免除される

2年前の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。しかし、法人成りすると、設立から最大2年間は消費税の納税が免除されます。

免除された消費税を設備投資や人材採用に充てることで、事業の基盤を強化が可能です。

 

ただし、資本金が1,000万円以上や、インボイスの適格請求書発行事業者に該当する場合などは、消費税の納税義務は免除されない可能性があるため注意しましょう。

 

社会保険に加入できる

個人事業主の場合、国民健康保険と国民年金に加入することになります。

しかし、法人であれば、社会保険の加入です。社会保険は、健康保険料や厚生年金保険料の一部を会社が負担するため、個人負担が軽減されます。

 

社会保険の加入は、従業員の福利厚生を充実させ、安心して働ける環境を提供することに繋がります。

 

赤字を10年間繰越できる

個人事業主の場合、赤字を繰り越せる期間は3年間ですが、法人成りすると、最大10年間まで赤字を繰り越すことが可能です。赤字が発生した場合でも、最大10年間は将来の黒字と相殺することで、税負担を軽減できます。

 

個人事業主が法人成りする5つのデメリット

法人化にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。ここでは、個人事業主が法人成りする際のデメリットを5つ解説します。

 

設立費用がかかる

会社の設立には定款の作成や認証、登記といった手続きが必要で、株式会社の場合は手続きに約20万円の費用が発生します。また、司法書士に依頼する場合は、さらに費用がかかります。

 

個人事業主の場合、開業手続きは比較的簡単で費用もほとんどかかりません。しかし、法人成りすると、これらの費用が発生するため、資金の準備が必要です。

 

赤字でも税金が発生する

個人事業主の場合、赤字の年は所得税や住民税はかかりません。

しかし、法人成りすると、赤字であっても法人住民税の均等割という税金を支払う必要があります。

均等割は、都道府県や市区町村などによって金額が異なりますが、年間で約7万円です。

 

社会保険の加入義務がある

個人事業主で従業員が5人未満の場合、社会保険の加入は任意です。しかし、法人成りすると、社長一人であっても社会保険に加入する義務があります。

 

社会保険料は、給与の額に応じて計算されますが、年間で数十万円程度の負担となることも珍しくありません。

さらに、従業員が増えると会社が負担する社会保険料が増えます

 

役員報酬の変更に制限がある

個人事業主は自由に生活費を上げたり下げたりできますが、法人の役員報酬の変更には制限があります。

具体的には、役員報酬は事業年度開始の日から3ヶ月以内に変更しないといけません。

 

3ヶ月を超えて変更した場合、会計上は費用でも、税務上は損金と認められない恐れがあるため注意が必要です。

 

申告書の作成が困難になる

個人事業主の確定申告は税理士に依頼しなくても自分で作成可能です。しかし、法人税の申告書は、決算書の作成だけでなく勘定科目内訳書や法人事業概況書などの作成が必要になります。

 

また、法人税の申告書の作成は、専門的な知識が必要です。税務申告の知識がない場合は、税理士などの専門家への依頼をおすすめします。

 

法人成りの悩みは、お気軽に石黒健太税理士事務所へお問い合わせください。

 

個人事業主が法人成りするタイミング

個人事業主として順調に事業を成長させていると、法人成りを検討するタイミングが訪れるでしょう。

しかし、タイミングによっては法人成りせず、個人事業主のままの方が適切な可能性があります。

 

法人成りのタイミングは、以下の5つが考えられます。

・所得金額が900万円を超えたとき

・2年前の課税売上高が1,000万円を超えたとき

・金融機関からの融資を受けたいとき

・事業承継を検討しているとき

・取引先から法人化を求められたとき

 

ここでは、個人事業主が法人成りするタイミングについて解説します。

 

所得金額が900万円を超えたとき

所得金額が900万円を超えると、個人事業主として納める税金よりも、法人として納める税金の方が少なくなるでしょう。

 

法人税率は一定ですが、所得税は累進課税のため、所得が増えるほど税率が高くなります。

所得金額が900万円を超えると、法人成りした方が税金面で有利になる可能性があります。

 

たとえば、年間所得が1,000万円の個人事業主の場合、所得税と住民税、事業税を合わせた税金は約315万円です。

一方、法人の税金は、市区町村などによって異なりますが、京都の場合は約252万円です。

 

年間所得が1,000万円の場合、法人成りした方が個人事業主に比べて約63万円、税金の負担が減るでしょう。

 

2年前の課税売上高が1,000万円を超えたとき

消費税の課税事業者になるタイミングで法人化を検討するのも一つの選択肢です。

2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が発生します。しかし、法人成りすることで、消費税の納税義務を2年間猶予できます。

 

たとえば、令和5年の課税売上高が1,000万円を超えた個人事業主は、令和7年は消費税の納税義務が発生します。

しかし、令和6年中に法人成りをすれば、設立から2年間は消費税の納税が免除される可能性があります。

 

消費税の納税義務は、資本金や役員報酬の金額なども影響するため、税理士などの専門家への相談をおすすめします。

 

金融機関からの融資を受けたいとき

金融機関は、個人事業主よりも法人の方が、事業の継続性や安定性が高いと判断する傾向があります。

法人成りすることで、信用力が高まり、融資の審査に通りやすくなるでしょう。

 

設備投資や事業拡大のために多額の資金が必要な場合、個人事業主では融資の審査が厳しい場合があります。

しかし、法人の場合、融資限度額が引き上げられたり、金利が優遇されることも珍しくありません。

 

事業承継を検討しているとき

個人事業主の場合、事業主が亡くなったり、病気になったりすると、事業の継続が困難になる場合があります。

一方、法人成りすると、会社の所有と経営が分離されるため、事業主個人の状況に左右されずに事業の継続が可能です。

 

たとえば、後継者に事業を引き継ぎたい場合、個人事業主では、事業用資産の名義変更や債務の引継ぎなど、複雑な手続きが必要です。

 

しかし、法人成りすると、後継者への経営ノウハウの伝承や株式の譲渡だけで事業承継が完了するため、スムーズな承継が可能になります。また、従業員の雇用維持にも役立ちます。

 

取引先から法人化を求められたとき

一部の企業は、個人事業主との取引を避け、法人との取引を希望する場合があります。

個人事業に比べて法人は信用力が高く、契約上の責任も明確であると認識されているためでしょう。

 

たとえば、大企業との取引を開始したい場合、個人事業主では取引に応じてもらえないことも珍しくありません。

 

法人成りのタイミングに悩んでいる方は、お気軽に石黒健太税理士事務所へお問い合わせください。

法人成りの手続きと流れ

法人成りの手続きと流れは、以下の5つのステップでスムーズにできます。

ステップ1:会社の基本事項を決定する

ステップ2:定款を作成し認証を受ける

ステップ3:資本金を払い込む

ステップ4:法務局へ登記申請する

ステップ5:登記が完了し法人設立

 

ここでは、法人成りの手続きと流れについて解説します。

 

ステップ1:会社の基本事項を決定する

会社の基本事項を決定することは、法人成りの最初のステップであり、その後の手続きの方向性を定める重要なプロセスです。

会社の基本事項は、定款の作成や登記申請など、その後の手続きにおいて必要となる情報です。

 

具体的には、会社の種類(株式会社、合同会社など)、会社名、事業目的、本店所在地、資本金の額、役員の構成などを決定します。

 

会社の基本事項を決定することで、法人成りの全体像を把握し、具体的な手続きを進める準備が整います。

このステップをしっかりと行うことで、スムーズかつ効率的に法人成りを進められるでしょう。

 

ステップ2:定款を作成し認証を受ける

会社の基本事項を決定したら、次に定款を作成し、公証役場で認証を受けます。

定款は、会社のルールブックのようなもので、会社の運営に関する基本的なルールを定めたものです。

 

定款には、会社の目的、商号、本店所在地、資本金の額、事業年度など、会社の基本的な事項を記載します。

定款の作成にあたっては、法律の規定に違反しないように注意しましょう。

 

作成した定款は、公証役場で認証を受ける必要があります。公証人は、定款の内容が法律に違反していないかを確認し、認証します。

認証を受けた定款は、法的な効力を持ち、会社の設立登記の際に必要です。

 

定款の作成と認証は、専門的な知識が必要となる場合がありますので、司法書士などの専門家への相談をおすすめします。

 

ステップ3:資本金を払い込む

資本金は、会社が事業を始めるために必要な資金であり、会社の信用力を示す指標の一つでもあります。

 

資本金の払い込み方法は、現金の払い込みと現物出資の2種類があります。

現金の払い込みは、銀行口座に資本金の額を振り込む方法です。現物出資は、不動産や車など現金以外の財産を資本金として出資する方法です。

 

資本金の額は、会社の規模や事業内容によって異なりますが、株式会社の場合は、最低1円以上の資本金が必要です。

 

ステップ4:法務局へ登記申請する

登記申請は、会社を法的に設立するための手続きであり、登記が完了することで、会社は正式に法人として認められます。

 

登記申請には、定款、資本金の払い込みを証明する書類、役員の就任承諾書など、様々な書類が必要です。また、登録免許税の納付も必要です。

 

登記申請が受理されると、法務局は、申請内容を審査し、問題がなければ登記します。

登記が完了すると、登記事項証明書が交付され、会社は正式に法人として設立されたことになります。

 

ステップ5:登記が完了し法人設立

登記が完了すると、会社は晴れて法人として設立されます。法人設立後は、税務署や年金事務所など、関係機関への届出が必要です。

 

税務署に提出する「青色申告の承認申請書」などは、期限があります。提出期限をすぎると、青色申告にならない恐れがあるため注意しましょう。

 

法人成りを税理士に相談するメリット

「法人成りって税理士に相談した方がいいの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。法人成りは、事業を成長させるための大きなステップですが、税金や手続きなど、考慮すべき点が多くあります。

 

税理士に相談することで、専門知識と経験に基づいたアドバイスを受けられ、スムーズかつ有利な法人成りが実現できます。

ここでは、法人成りを税理士に相談するメリットを解説します。

 

税金のアドバイスが受けられる

税理士に相談することで、法人成りに伴う税金面でのメリット・デメリットを理解し、最適な選択ができます。

たとえば、法人成りによって所得税と法人税のどちらが有利になるのか、役員報酬をいくらに設定するのが適切なのか、といった具体的なアドバイスが受けられます。

 

税理士に相談することで、法人成り後の税負担を軽減し、節税対策の検討が可能です。

 

創業融資のサポートが受けられる

法人成り後、創業融資を受けることを検討する方もいるでしょう。創業融資は、新しく事業を始める方向けの融資制度です。

税理士に相談すると、創業融資の申請に必要な書類の作成や、金融機関との交渉などのサポートが受けられます。

 

たとえば、事業計画書の作成や、金融機関との面談の練習などです。税理士は金融機関とのつながりを持っている場合も多く、融資を受けられる可能性が高まります。

 

税務に関する手続きや届出のサポートが受けられる

法人成りをした後は、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場などに届出が必要です。期限が定められているため、不慣れな方がするのは大変でしょう。

 

たとえば、法人設立登記や青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届出などです。また、個人の廃業等届出書も提出した方がいいでしょう。税理士に相談すれば、スムーズに手続きを進めることが可能です。時間と手間を節約し、安心して事業が継続できます。

 

法人成り後のアドバイスが受けられる

法人成り後は、経理処理や税務申告など、個人事業主時代とは異なる業務が発生します。たとえば、会計ソフトの選び方や使い方、決算対策、税務調査への対応などです。また、経営状況に応じて適切な節税対策や資金調達方法のアドバイスも受けられます。

 

法人成りが必要か相談が受けられる

法人成りにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。法人成りは、必ずしもすべての人にとって最適な選択ではありません。場合によっては、法人成りしない方が良いこともあります。

 

税理士は、個々の状況に応じてメリット・デメリットを丁寧に説明し、法人成りが本当に必要なのかどうか総合的に判断してくれます。

 

法人成りに関するまとめ

個人事業主が法人成りすることで、対外的な信用度が高まり、金融機関からの融資や大企業との取引が有利な環境を整えられます。

また、税制面でのメリットは消費税の納税義務が最大2年間免除されたり、赤字を10年間繰り越せるなどです。

 

法人成りのタイミングは、所得金額が900万円を超えたときや、2年前の課税売上高が1,000万円を超えたときなどが考えられます。金融機関からの融資を受けたいときや、事業承継を検討しているときも、法人成りを検討する良い機会です。

 

法人成りは、税金や手続きなど、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。税理士に相談することで、税金面でのアドバイスや創業融資のサポート、税務に関する手続きのサポートなどが受けられます。また、法人成り後も、経理処理や税務申告などのアドバイスを受けられるため、安心して事業の継続が可能です。

 

法人成りは、法人成りに詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

当事務所は、マネーフォワードを使ったクラウド会計や創業融資や起業サポートに強く、京都を中心に200社を超える法人の創業を支援してきました。

京都での法人成りの悩みや相談は、石黒健太税理士事務所に気軽にお問い合わせください。

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