中小企業におすすめのクラウド会計ソフトとは?検討ポイント3つを紹介!
目次
- 【今日の内容】
- 【クラウド会計を導入すべき5つの理由】
- ①業務の効率化
- ②税制改正への対応力
- ③複数人がいつでもどこでもできる
- ④バックオフィスの全体最適のきっかけになる
- ⑤早期試算表の把握が可能になる
- 【導入がなかなか進まない3つの理由】
- ①業務の流れが変わることに抵抗がある
- ②導入を支援してくれる人材がいない
- ③税理士から反対された
- 【クラウド会計ソフトを選ぶ5つのポイント】
- 経理担当者のレベルは?
- 会社規模は?
- 会計事務所が対応できるソフトか?
- どこまでのバックオフィス業務の管理ができるか?
- クラウド会計ソフト会社のサポート体制は?
- 【おすすめするクラウド会計ソフト3選】
- Money Forwardクラウド
- freee
- 弥生会計オンライン
- 【自社にあったクラウド会計ソフトを導入しましょう】
みなさん、こんにちは税理士の石黒です。
近年、中小企業のデジタル化が課題となっています。多くの中小企業の方が自社の業務のデジタル化について検討をされているかと思います。
バックオフィス業務についても同じで会計・請求・経費精算などのデジタル化の選択肢としてクラウド会計の導入を検討されている方が増えてきています。
そこで今回は、中小企業で成功するクラウド会計導入のポイントをご紹介いたします。
【今日の内容】
1.クラウド会計を導入すべき5つの理由
2.導入がなかなか進まない3つの理由3つ
3.クラウド会計ソフトを選ぶ5つのポイント
4.おすすめするクラウド会計ソフト3選
5.自社にあったクラウド会計ソフトを導入しましょう
【クラウド会計を導入すべき5つの理由】
まず初めに、よく「クラウド会計」って聞くけど、ほんとにいいのか?今までの会計ソフトと何が違うのか?という方のために、おすすめする理由を5つ解説いたします。
①業務の効率化
クラウド会計が最も得意とすることは、データの連携です。
・クレジットカード→クレジットカードのウェブ情報に連携し自動で取引を取得
・預金→ネットバンキングに連携し自動で取引を取得
・売上→ウェブで発行請求書を作成し自動で取引を取得
等、ウェブ上に存在するデータを活用し会計ソフトにつなげることで会計入力という作業を大幅に削減できるのがクラウド会計です。
②税制改正への対応力
正しい会計を行うには、ソフトが最新の税制改正に対応していることが必須です。
パッケージ型会計ソフトでは、最新の税制改正に対応するために有償無償に関わらず更新作業が必要となります。それに比較して、クラウド会計ソフトでは自動でソフト側が対応してくれているので安心です。
③複数人がいつでもどこでもできる
クラウド会計では、インターネットがつながっていて、PCがあればいつでもどこでも作業を行うことが可能になります。そのため、在宅での作業や複数人が一緒に会計処理の業務をすること、従業員が処理をしている途中に、経営者が試算表を確認することも全て可能になります。
④バックオフィスの全体最適のきっかけになる
近年のクラウド会計は、会計のみにとどまらず請求書の発行や入金消込、経費精算、資料の保管までバックオフィス全体をインターネット上で管理できるよう設計されています。
今まで、アナログで管理していた帳票類をインターネット上で管理する方法に移行するには時間と労力がかかるのは事実ですが、クラウド会計を導入したことがきっかけでバックオフィス全体の見直しができれば工数削減が可能となります。
⑤早期試算表の把握が可能になる
会計業務を効率化した場合に、まず得られるメリットは早期の経営状況の把握です。
早い段階で数字を知ることで目標と現状との差を早期に知ることができます。売上が目標に足りていない場合にはどうやって差を埋めるのかという戦略を検討するきっかけになりますし、経費が多くかかっていたら改善すべきポイントがわかり行動へ移すことができます。
【導入がなかなか進まない3つの理由】
デジタル化を進めようと考えている中小企業は、年々増えてきています。
ですが、中小企業におけるクラウド会計ソフトの利用率は14.5%なのが現状です。
なぜ、導入が難しいのかその理由をご紹介いたします。
①業務の流れが変わることに抵抗がある
クラウド会計ソフトを最大限活用するには、業務の流れから見直す必要があります。
・現金取引が多い→預金取引、クレジットカード取引に移行する
・手書きの請求書を発行→請求書のデジタル化 など
アナログ業務のままだと、クラウド会計ソフトを最大限活用することはできません。しかし、既存の業務フローで問題が起きていない場合には、この業務フローの変更に経理担当や社員から反発があり、なかなか進まないということがあります。
②導入を支援してくれる人材がいない
クラウド会計ソフトの活用においてツールの導入と共に重要なのが社内の体制の構築です。ツールだけをいれても運用する体制ができていないとうまく活用がすすみません。中小企業だとITリテラシーの高い人や業務改善に意識のある方の採用や育成が難しく、社長1人が頑張っていて、活用がすすまないということがあります。
一緒にクラウド会計ソフトの導入と活用を考えてくれる社内のメンバー+外部の専門家がいると導入の難易度がぐっと下がります。
③税理士から反対された
会計事務所では、メインとなる会計システムがそれぞれ存在します。会計事務所では取り扱っていない会計システムは、「確認がしづらい」「操作がわからない」といった理由から顧問の税理士の先生にクラウド会計の活用を反対されることがあるようです。税理士は会計税務の専門家ではあるのですが、ITの専門家ではないので、新しい技術の導入に抵抗のある税理士さんも多く存在します。
若い税理士の方は積極的にクラウド活用等されているので、このようなパターンの場合には税理士の変更を考えることも必要となってきます。
【クラウド会計ソフトを選ぶ5つのポイント】
では、3つの問題を回避するには、どんなポイントでクラウド会計ソフトを選ぶとよいのでしょうか?この章ではクラウド会計ソフトを選ぶ際の5つのポイントをご紹介いたします。
経理担当者のレベルは?
クラウド会計ソフトは次の2つの設計思想があるため、経理担当者レベルを確認して、そのレベルにあったソフトの選定が必要です。
★従来型の会計ソフトの進化版としてAI等の活用をしているクラウド会計(マネーフォワードや弥生会計)・・・会計の知識や実務経験がある経理担当者の方には使いやすい
★未経験の方・会計の知識がない方でも操作可能で経理業務全般(請求・会計・経費精算)をパッケージ化した新しいコンセプトのクラウドソフト(freee)・・・未経験の方を前提に経理の体制を作るのに適している
まず、自社の経理担当者は現在会計ソフトに入力をしているのか?していないのか?を確認し、簿記知識の有無を明確にしましょう。
次に、経理担当者が、奥様など継続的に自社で働いてくれる見込みがある人物なのか?もしくは退職するかもしれない、部署を異動しているかもしないなど経理担当者のレベルが変動する可能性があるのか。の検討が必要です。
簿記の知識がある人が継続的に担当できる状況であればマネーフォワード等の従来型の会計ソフトに近い仕様のクラウド会計がおすすめです。逆に未経験の方に経理業務を任せる場合にはfreeeのような未経験の会計知識がない方向けの仕組作りが有効です。
会社規模は?
社長や経理担当1人が経理業務のすべてを行っているには、請求業務から会計まで全て1人で完結できるクラウドソフトをおすすめします。
逆にある程度の規模の企業で経理業務を分業でおこなっていく場合には、請求業務や会計業務を分業できるクラウド会計ソフトがおすすめです。
この会社規模を考慮する際に重要なのが、現在の従業員規模で検討するのではなく、将来的にどこまでの規模の会社をめざすのか、その時にはどのような体制になっているべきかを考えて会計ソフトを選ぶことが重要です。途中から会計ソフトを変えることはもちろん可能なのですが、継続性や仕組み作りということを考えると最初からゴールを意識した仕組み作りが効果的です。
会計事務所が対応できるソフトか?
今日本には、有料無料含めて無数のクラウド会計ソフトが存在します。
クラウド会計ソフトの多くは会計・経理の機能に限定されており、申告書は作れないものが多いです。申告書作成について税理士事務所に委託されている方が多いと思うのですが、この申告書を作るための顧問税理士とのデータ共有に手間がかかってしまうクラウド会計ソフトも存在します。会計事務所によって得意とするクラウド会計ソフトがあるので、今お世話になっている会計事務所が
①どのクラウド会計ソフトが得意か
②業務の流れの改善からサポートしてくれるか
一度相談をしてみるとよいでしょう。
どこまでのバックオフィス業務の管理ができるか?
クラウド会計ソフトの多くは、他の業務(具体的には請求管理・経費精算・給与計算・勤怠管理等)のクラウドソフトと連携する仕様になっています。どこまでの業務についてクラウドソフトを活用するのか、どういった連携が可能なのかを検討する必要があります。
次のような手順でバックオフィス業務の見直しをして頂いて使うソフトの選定を行うと効果的です。
- どういった業務をおこなっているのかの棚卸し
- それぞれの業務の担当者・成果物・使っているシステムの確認
- 業務間の連携の確認
- 業務改善の検討(システムの活用、システムの連携、無駄な業務の排除など)
- 活用するシステムの検討
クラウド会計ソフト会社のサポート体制は?
新しい会計ソフト、新しい業務管理となるとわからない操作や疑問が常に出てきます。
そんな時、きちんとサポートしてくれるクラウド会計ソフトを選びましょう。
★操作画面ごと、項目ごとにマニュアルがあり、見つけやすい
★チャット等、直接質問できる体制が整っている。
以上2点が揃っていることを確認しておくと良いと思います。
以上がクラウド会計ソフトを選ぶときのポイントになります。ぜひ自社にあったソフトを選ぶ際の参考にしてください。
【おすすめするクラウド会計ソフト3選】
ポイントをお伝えしたので、具体的なクラウド会計ソフトのご紹介をこの章ではさせて頂きます。今回は代表的な3つのクラウド会計ソフトについてご紹介します。
Money Forwardクラウド
経理担当者レベル:簿記知識がある
得意とする会社規模:従業員が数名いる会社
サポート体制:チャット
会計事務所との相性:★★★
→簿記知識があり、ネットバンキングやクレジットカードを活用している会社におすすめ!
会計事務所での導入率も高いので税理士の連携もしやすいです。
freee
経理担当者レベル:簿記知識があまりない
得意とする会社規模:従業員がいない会社
サポート体制:チャット、電話
会計事務所との相性:★
→小規模で、簿記知識がない会社におすすめ!会計の知識がなくても効率的な経理の仕組が作れます。
×freeeに合わせた業務フロー構築が必要(独特のシステム設計のため)
税理士との連携についてはfreeeに強い税理士さんを検索していくことをおすすめします
弥生会計オンライン
経理担当者レベル:簿記知識がある
得意とする会社規模:全般
サポート体制:チャット、メール、電話
会計事務所との相性:★★
→弥生会計を使っていた人におすすめ!弥生会計と似た設計で操作が分かりやすいです。
×データ取込や反映にやや時間がかかる
以上がおすすめのクラウド会計ソフト3選です。繰り返しになりますが何が1番良いではなく自社にあったクラウド会計ソフトを選んでいただくのが重要だと思います。
【自社にあったクラウド会計ソフトを導入しましょう】
冒頭でも申し上げた通り、今日本では、国を挙げてデジタル化をすすめています。しかし中小企業においてはなかなか進んでいないのが現状です。その中でもバックオフィス業務について未だに紙ベースの文化があったり、長年いる経理担当者に属人化してしまったりしているケースをよくみます。国もこの状況を変えていく必要性を感じており、最近ではIT導入補助金などの支援策が拡充されています。ぜひ、これを機会にクラウド会計ソフトの導入からバックオフィス業務の合理化をはじめてもらえたらと思います。
その際は、
①自社の経理担当者レベルは?
②従業員はどのぐらい増える?
③顧問税理士が得意とするクラウド会計システムは?
④どこまでのバックオフィス業務の管理が必要?
⑤クラウド会計ソフト会社のサポート体制は?
この5つのポイントについてまずは検討してもらえたらと思います。
本日の内容は以上で終わりになります。最後までお読みいただきありがとうございました。