財務分析の指標と達成すべき目安とは?

2022.01.12

みなさん、こんにちは!代表の石黒です。

 

今日は財務分析の指標について解説と、社長にぜひ押さえておいて欲しい“達成すべき目安”についてお伝えしたいと思います。

 

これまでのブログで「財務分析の全体のポイントの解説」

 https://ishiguro-tax.jp/blogpost/financial-statements/

 

と「財務分析が簡単にできるツールのご案内」

 https://ishiguro-tax.jp/blogpost/financial-analysis/

 

をさせて頂きました。
今日はその第3段ということで、財務分析の結果得られる各指標の解説と経営者の方におさえて頂きたい各指標の目安を次のような順で解説していきたいと思います。

 

①算式・・・その指標をもとめるための算式

②概要・・・その指標の簡単な解説

③達成すべき目安・・・何%ぐらいが健全な状態なのか

④ポイント・・・その指標を見るときのポイントや改善するためのポイント

 

代表的な指標に絞って解説させて頂きますので、できる限り抑えて頂きたいが、大変と思われる方は自社の戦略上で重要だと思う指標に限定してもらって、その部分だけでも完璧にマスターしてもらえると良いかと思います。

 

【本日の内容】

1.財務分析の5つのカテゴリー

2.収益性分析の解説

3.効率性分析の解説

4.生産性分析の解説

5.安全性分析の解説

6.成長性分析の解説

7.まとめ

 

1.財務分析の5つのカテゴリー

財務分析には5つのカテゴリーがあります。
個別指標を見る前にまずはそれぞれのカテゴリーがどういった内容なのかを見ていきたいと思います。

 

「収益性分析」・・・収益性とは「会社の稼ぐ力」の事を言います。稼ぐ力の見方には色々なものがあり、
①持っている資産に対してどれだけ利益を稼げているのか
②売上に対してどれだけ利益を出せているか などを見ていきます。
売上の規模ではなく、売上の質を見ていくのが収益性分析です。
少ない資産や少ない売上高でより多く利益を上げられている会社=評価が高い会社になります。なので、この分析とあわせて絶対額もちゃんと見て頂く必要はあります。

 

「効率性分析」・・・同じ売上高に対して、どれだけ効率的に会社経営をしているのかを分析するのが効率性分析です。
資産規模(資金や設備等の合計)に対してどれだけで売上を作れているのか、売れる在庫を抱えているか(在庫回転率が高い=売れる商品をそろえている)、資金の効率はよいか(代金の回収期間や支払期間)などを見ていきます。

 

「生産性分析」・・・会社が持っている「人・モノ・お金」という経営資源を有効的に使い売上高や利益を上げられているのかを分析するのが生産性分析です。
従業員1人あたりの売上高や利益額、売上に占める人件費の割合、1人当たりの設備の保有額などを分析します。
より詳細に分析するためには労働時間等でも分析することが必要になりますが、今回の解説では従業員数での指標を解説します。

 

「安全性分析」・・・会社の倒産のリスクを分析するのが安全性分析です。
安全性分析には短期と長期の2つの分析があります。
安全な会社経営をしていく上では両方の数値を良くしていく必要があります。

世の中には「黒字倒産」というものがあります。
これは短期の資金繰りがうまくいかなかったため、支払等ができずに銀行取引が停止されてしまうことで生じる倒産です。

逆に短期の資金は潤沢にあっても、中長期の安全性が高まらないといつかは経営が傾いてしまうことになります。

なので、両方のバランスを取って経営していくことが必要になります。

 

「成長性分析」・・・売上高や総資産の規模が前年と比べてどれだけ増減したのかを分析するのが成長性分析です。
シェアや規模の拡大を狙っている経営者の方には重要な指標ですが、収益性や安全性と合わせて分析を行わないと「規模だけを追って借り入れに頼った過剰な設備投資」などの危険な経営に繋がってしまいます。

また、会社組織としての成長(人や体制や資金調達力)と会計上の売上や総資産規模の成長があっているかを確認して頂くことも重要となります。

 

2.収益性分析の解説

「売上高○○利益率」 ○○利益÷売上高×100 (単位:%)

①概要・・・○○には営業/経常などが入ります。
売上高に対して各利益がどれぐらい稼げたのかを見る指標です。高ければ高いほど効率的に稼げている会社という判断ができます。

②達成すべき目安・・・経常利益率については「5%」が目安になります。

③ポイント・・・業種平均との比較が必要

基本的には高ければ高いほど良い

この率だけでなく絶対額(売上額や利益額)も確認が必要

自社の戦略との確認が必要

 

「総資本○○利益率」 ○○利益÷資産合計×100 (単位:%)

①概要・・・○○には営業/経常などが入ります。
会社が持っている資産の金額に対して各利益がどれぐらい稼げたのかを見る指標です。
高ければ高いほど資産を効率的に使って稼げている会社という判断ができます。
小資本経営(極力設備等を保有しない経営)を心掛けることで高くなります。
社屋や店舗を購入すると資産合計が一気に高まるため悪化します。

②達成すべき目安・・・売上高経常利益率と同じく、「5%」が目安となります。

③ポイント・・・高額な設備投資をすると悪化する

使っていない土地や設備などの売却により改善

 

3.効率性分析の解説

「総資産回転率」 売上高÷資産合計 (単位:回)

①概要・・・会社の資産規模と売上高との比較、数値が高ければ高いほど会社の資産を使って効率的に売上を上げられていることになる。
「総資本○○利益率」と同じように小資本経営を心掛けることで高くなります。

②達成すべき目安・・・業種により大きく異なるため要確認 サービス業は平均1.3回

資産を保有する不動産業では0.32回が平均

③ポイント・・・小資本経営を心掛けることで良い数値となる

数値が低い場合には販路拡大or遊休資産の処分で改善

 

「売上債権回転日数」 ((受取手形+売掛金)÷売上高)×365 (単位:日)

①概要・・・売上債権(受取手形と売掛金)を回収するのに要する日数を表しています短いほうが望ましく、一般的に決済までの期間は取引先との間や業界の慣行で決まっているのでそこに対してどうなっているかの確認が必要な指標です。

②達成すべき目安・・・概要に記載の通り、自社が得意先と設定している日数であったりその業界の慣行と比べてより短い方が良いと判断できる

③ポイント・・・回収が難しい先が発生すると悪化する⇒法的手続きや経費化を検討

回収サイトの交渉は資金繰りの健全化には効果が高い

売って終わりではなく回収までが仕事であることを社内で共有する

 

「棚卸資産回転日数」 (棚卸資産÷売上高)×365 (単位:日)

①概要・・・在庫が売上高の何日分あるかを示した指標です。
在庫管理が必要な業種では管理すべき指標になります。在庫を多く抱えると資金繰りが圧迫されたり、不良在庫が発生したりするため一般的には短い方が良いとされています。

②達成すべき目安・・・業種や扱う商材や価格帯によって異なります。
また期末が繁忙期なのか閑散期なのかによっても大きく変動します

③ポイント・・・日数が長い場合には管理方法に問題or不良在庫の可能性

システムによる適正在庫の設定・管理による改善

不良在庫の処分による改善

 

4.生産性分析の解説

「労働分配率」 人件費÷付加価値×100 (単位:%)

①概要・・・会社が生み出した付加価値を人件費にどれだけ分配したのかを示す指標。
高いか低いかが基準ではなく、適正な水準に保つことが重要です。従業員がモチベーションを出し、成果をあげられるような賃金水準を保ったうえで、会社の利益を確保するにはなるべく低い方が良いのが労働分配率の難しいところです。

②達成すべき目安・・・会社規模や業種によりますが、中小企業では70%程度が目安

③ポイント・・・業種平均を知ることで給与や賞与の設定の参考になる

高いか低いかが重要ではなく、生み出している付加価値に対して適正に分配できているかが重要

 

「1人当たり売上高」 売上高÷期末従業員数 (単位:円)

①概要・・・従業員1人当たりの売上高を示します。
業種平均/競合/ベンチマークとしとの比較により労働生産性の相対的な状況を把握することができます。

②達成すべき目安・・・①に記載の通り業種や競合分析により確認

③ポイント・・・人員配置や従業員の平均的な能力により左右される

近年の働き方の多様化で単純比較が難しいので正社員換算を使う

設備を持つ事業か労働集約的な事業かで大きく変わる

 

「1人当たり有形固定資産額」 有形固定資産合計÷期末従業員数 (単位:円)

①概要・・・別名「労働装備率」と言い、従業員一人当たりの有形固定資産(土地・建物・機械など)の額を示します。
「1人当たり売上高」とセットで同業他社と比べることにより売上に対して設備が過大なのか不足しているのかを知ることができます。

②達成すべき目安・・・①に記載の通り同業他社との比較

③ポイント・・・設備の保有形態(所有するのか賃借するのか)により変わる

外注を多く使う場合には低くなる

上記をふまえて同じような事業形態の同業他社との比較が必要

 

5.安全性分析の解説

「自己資本比率」 純資産合計÷資産合計×100 (単位:%)

①概要・・・すべての資産の合計額に占める自己資本(純資産合計)の割合を示します。
言い換えると、会社が持っているすべての資産のうち純粋に自社の力で持っているものの割合です。例えば自己資本比率が30%場合は言い換えれば70%は銀行借入等の他人資本で手に入れたものになります。この自己資本比率が高ければ長期的な安全性が高い会社ということになります。

②達成すべき目安・・・まずは15%、優良な会社の基準は30%

③ポイント・・・利益を積み上げていくことで数値が高まります

過度な節税意識により自己資本が少ない会社は潰れやすい

出資を受けることで改善する

 

「流動比率」 流動資産合計÷流動負債合計×100 (単位:%)

①概要・・・流動負債(短期的に支払わないといけないお金)に対して流動資産(現預金+短期的に現金化できる資産)がどれぐらいあるのかを示した指標。
短期的な安全性の分析に使います。

②達成すべき目安・・・150%を死守

③ポイント・・・当座比率と合わせてみることが必要(現預金が少なくても、商品や売掛金が多くなると数値が良くなる)

150%を下回る場合には運転資金の借入などを検討

現預金で高額な設備投資を行うと急激に悪化することが多い

⇒設備投資のための借入を活用することで回避

 

「当座比率」 当座資産合計÷流動負債合計×100 (単位:%)

①概要・・・流動負債(短期的に支払わないといけないお金)に対して当座資産(現預金+売掛金)がどれぐらいあるのかを示した指標。
流動比率よりも、短期的な支払能力をより明確に表している指標となっています。

②達成すべき目安・・・120%を死守

③ポイント・・・100%を切ると自転車操業状態になるので早めの資金調達

現預金で高額な設備投資を行うと急激に悪化することが多い

⇒設備投資のための借入を活用することで回避

 

「借入金月商倍率」

①概要・・・借入金が月商の何ヶ月分あるかを示す指標です。
この数値が小さいほど安全な経営をしていると判断できます。

②達成すべき目安・・・3ヵ月以内(コロナ禍で6ヶ月ぐらいの企業が増えています)

③ポイント・・・この数値が業種平均より大きい場合には借入の適正化(返済)や使い道の見直し検討(借入に見合った売上を上げられる使い道)が必要

 

6.成長性分析の解説

「売上高成長率」

①概要・・・売上高が前年に対してどれだけ増加したのかを表す指標です。事業の成長率を示します。

②達成すべき目安・・・自社の戦略や計画とあっているのか

③ポイント・・・災害などの一時的要因、顧客ニーズや環境の変化によって変動する部分(業種平均)と自社の経営努力による成長をわけて考える

 

7.まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。
以上が財務分析指標の解説とおさえて頂きたい“判断の目安”になります。いかがだったでしょうか?

 

タイトルの割に意外と

①目安がない

②業種平均を参考にする

③自社の戦略との整合性を確認

という指標が多いと感じたのではないでしょうか?

 

そうなんです、重要なのはこの部分なんです!正解があるのではなく、判断をするための基準やバロメーターになるのがこれらの指標なのです。

もちろん記載した通り、この比率は守りましょうというもののあるのですが、多く指標が戦略や業種平均と比べて初めて意味を持つものとなっています。
ですので、皆さんにはぜひ次の3つを行っていただければと思います。

 

①指標と業種平均を知っていただく

②決算や月次報告会の際に指標を確認する癖をつける(感覚を身に着ける)

③自社の戦略に定量目標(今回の指標を使った目標値)を設定して使いこなしていく

 

これらをすることによって自社の会計の理解につながりますし、会計を使って会社を強くすることが可能になります。ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

 

本日の内容は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。

何かご不明な点等あれば、私か弊社担当までお問い合わせください。宜しくお願い致します。

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