電子帳簿保存法について

2021.11.24

みなさん、こんにちは!
今回のブログでは令和4年1月1日から開始される電子帳簿保存法について解説していきたいと思います。
今回の改正についてはすべての事業者が対象となる規制強化の内容が含まれており実務上とても重要な内容となっています。
電子帳簿保存法の全てについて説明するのは難しいので全体像の概要と今回の改正の重要な部分について集中して解説していこうと思います。

 

【今日の内容】

電子帳簿保存法とは

改正の概要

電子取引の範囲

企業が取るべき対応策3選

 ①紙保存のみの業務フローに変更

 ②要件を満たしたシステムの利用

 ③国税庁のすすめる体制の整備

まとめ

 ①早急に義務化される電子取引への対応

 ②使いやすくなった電子帳簿保存法の活用でペーパレスと業務フローの改善

電子帳簿保存法とは

まず初めに電子帳簿保存法がそもそもどう行った制度なのかについて簡単にご説明します。
この法律は1998年にできた法律で、元々はIT化の流れの中でペーパレス化を促進するために、紙媒体での書類の保存ではなく電磁的記録(要は電子データです)での保存を認める制度として生まれました。
その後、時代の流れや技術革新に対応する形で何度か改正が行われ、現時点では大きく次の3つの内容の制度となっています。

 ①電子帳簿保存(以下「電子帳簿」と記載します)

創設当初からの内容で国税関係書類について電磁的記録での保存を認める制度
対象となる具体的な書類の内容としては次の3つです。

国税関係帳簿・・・仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳などの会計帳簿

国税関係書類(決算関係書類)・・・決算書・棚卸表など

国税関係書類(取引関係書類)・・・自社が発行した領収書・請求書・発注書など

→つまり自社で作成した帳簿や書類について電子での保存を認める制度

 ②スキャナ保存(以下「スキャナ」と記載します)

2005年の改正により創設された制度で取引の相手方から受領した領収書・請求書・発注書などを一定の要件を満たすスキャナでスキャンした画像やスマホで撮影した画像での保存を認める制度です。
要件としてはスキャンするまでの期間の要件・解像度・タイムスタンプの付与(説明すると長くなるので詳細は省略します)などがあります。

→つまり相手から受領した紙資料を電子データに変換し、変換したデータでの保存を認める制度

 ③電子取引に係るデータ保存(以下「電子取引」と記載します)

相手方から受領した電子データ(電子決済やメールデータなど)を電子データとして保存する制度。②と同じようにタイムスタンプの要件等がある。
改正前はこの電子データとしてもらっていた請求書等をプリントアウトして紙資料として保存することが認められていた。

改正の概要 6つのポイント

電子帳簿保存法の実務上での利用状況としては、要件が厳しかったり業務フローが逆に複雑になってしまったりするなどの問題があり、なかなか利用がすすんでいませんでした。

実際のところ弊社では1件も利用がありませんし、弊社自身も利用を断念した過去があります(笑)

この法律が令和3年の改正により大きく変わりました。改正については大きくは2つの流れがあります。

①「電子帳簿」「スキャン」の制度については規制が緩和されてより使いやすくなった

②「電子取引」については緩和も行われたが全事業者を対象とする規制強化がなされた

アメと鞭ではありませんが、緩和と規制強化が同時になされた形です。
緩和の部分については知らなくても問題はないのですが規制強化については、すべての事業者が対象になり、また今後の業務フローに影響を与える内容ですので、次の章以降はこちらを中心に記載させていただきます。
その前に改正の概要についてのポイント6つ記載させていただきます!

①事前承認制度の廃止(対象:「電子帳簿」「スキャナ」)

これまで運用開始の3ヶ月前までに税務署長の承認が必要でしたが、今後は承認なしに開始することができるようになりました。

②タイムスタンプ要件の緩和(対象:「スキャナ」「電子取引」)

以前はタイムスタンプを書類の取得日から3営業日までに付与する必要がありました。
最長2ヶ月+7営業日以内に緩和。またスキャン時の自署が不要になりました。

③検索要件の緩和(対象:「電子帳簿」「スキャナ」「電子取引」)

検索要件が「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つのみに緩和

④スキャナ保存後の原本の廃棄が可能に(対象:「スキャナ」)

これまでは複数人の確認を経た後でしか原本の廃棄ができませんでしたが、改正後はスキャナ保存後に書面とデータの確認を行えばすぐに廃棄できるようになります。

⑤電子取引データの書面保存が廃止(対象:「電子取引」)

電子データで取得したものを出力して書面で保存することが認められなくなりました。
今後は電子データで受領したものは電子データで一定の要件を満たす保存が義務化されます(詳しくは次章以降で説明)また、違反した場合は青色申告の承認の取消の対象となりえることとなりました。

✖電子取引データの書面出力での保存

✖メールソフトやECサイトで閲覧できるだけの状態

⇒企業がとるべき対応策3選のいずれかの対応が必要です!

⑥不正に厳しい措置 重加算税+10%(対象:「スキャナ」「電子取引」)

保存要件が①から④に記載の通り緩和され代わりにデータの改ざんや不正の場合の罰則については強化されました。
具体的には10%が加重されることになりました。

電子取引の範囲

改正の概要の通りここからは規制強化された「電子取引」について解説していきたいと思います。
改正の概要⑤で記載の通り今後は電子取引のデータに関しては一定の要件を満たした保存が必要となります。
まずはこの保存の対象となるデータがどういったものなのかを見ていきたいと思います。

「電子取引」の対象となるのは相手方から電子データによる受領をした下記データになります。

  • メールに添付される形で受領した領収書・請求書・発注書など
  • ECサイトからダウンロードする領収書や注文書など
  • クレジットカードのweb明細
  • クラウドのサービスを利用して発行された領収書・請求書・発注書など

(メール等に送られてきたURLにアクセスしてダウンロードするような形式のもの)
こういった資料の受領を行なっている方は今回の電子取引の対応をしていかないといけないことになります。

企業が取るべき対応策3選

では具体的に事業者の方はどういった対応をしていかなければならないのでしょうか?
弊社で考えた3つの方法についてここでご紹介させていただきたいと思います。

①紙保存のみの業務フローに変更

こちらの方法は、現時点で「電子取引」の対象となるデータの収受が数件に限られている方が可能となる方法です。
単純に全てを紙でのやり取りに変えるという方法です。

  • クレジットカード会社での明細を郵送に切り替え
  • 電子データを送ってきている得意先に依頼して書面に変更してもらう

時代錯誤な方法ではありますが「電子取引」がほとんどなく、そのために業務フローを検討したり、システムを導入したりすることがコストも労力ももったいないということであれば、この方法は有効ではないかと考えています。

②要件を満たしたシステムの利用

今回の改正に対応するシステムを導入方法で、手間等を考えると現実的な方法になると考えています。
クラウドのツールを提供している各ベンダーから電子帳簿保存法に対応した電子データ保存用のソフトが提供されているので、そのソフトを利用して電子データを保存する方法です。
弊社ではマネーフォワードを利用していますのでクラウドBoxというツールを顧問先各社に導入いただいて対応していこうと考えています。
このツールに電子データをアップロードすると検索要件のところで必要な「取引年月日」「取引金額」「取引先」を記載し保存することができ、国税庁の求める要件を満たすことができます。

(メリット)

★タイムスタンプの付与が可能で訂正削除のログが確認できる

★検索機能を確保できる

★システムで要件を満たすため訂正削除の防止の事務規定の整備が不要

★アップロードして必要項目を入力するのみなので業務フローがシンプル

★税理士事務所との資料のやりとりに活用できる

(デメリット)

★現在無償提供のツールとなっているが将来的に有償化の可能性が高い

★システムの使用方法についてのレクチャー等が必要

③国税庁のすすめる体制の整備(システムを利用しない方法)

最後にシステムを利用せずに体制整備をすすめる方法について解説したいと思います。
詳しくは国税庁がパンフレットやQ&Aを公表していますのでそちらをご確認ください

(参考)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/12.htm

具体的な整備の方法としては下記の通りとなります。

ⅰ.訂正および削除の防止に関する事務処理規定を作成及び運用する
書式が令和3年11月に上記の参考URLの方に掲載させる予定です。

ⅱ.次のような運用で検索機能を確保する
★フォルダへの保存の際のファイル名を「取引日」「取引金額」「取引先」を含んだ統一   した順序にして検索できるよう状態にする
例:A株式会社_20220103_110,000.pdf
★エクセルで次のような一覧表を作成し検索できる状態にする

連番 日付 金額 取引先 内容
1 20220103 110,000 A株式会社 請求書
2 20220104 220,000 B株式会社 領収書

この方法であれば無料で体制を整備することができますが、2つのフローを必要とし、また税理士事務所への資料提供は別フローで行う必要があるため手間が2~3倍かかります。
あと、一覧への記入漏れなどの人為的なミスをどう防ぐかも検討しなければいけません。

(メリット)

★無料で体制の整備が可能

★既存のシステムでの対応が可能

(デメリット)

★手間がかかってします

★記入漏れなどの人為的なミスが発生する余地が残る

★バックアップ等の措置を取らないとPCや自社サーバーの故障の際にデータがなくなるリスクがある

まとめ

①早急に義務化される電子取引への対応

今回メインで記載させて頂いた電子取引への対応は、すべての事業者で義務化され罰則規定も設けられています。
まずは優先してこちらへの対応を行っていきましょう。
対応策3選を参考に方向性を決めて頂ければと思います。
どれが正解というわけではなく、自社の状況や考え方にあわせて選んでいただくのが良いかと思います。
今後事業拡大や体制整備をすすめていきたいという方はシステム導入がおすすめです!

②使いやすくなった電子帳簿保存法の活用でペーパレスと業務フローの改善

 今回は概要のみを記載しましたが、電子帳簿やスキャナの制度については、とても使いやすい制度となりました。
中長期的には電子化・ペーパレス化は時代の流れとなっています。
これを機会にシステム活用による業務効率化やペーパレス化をすすめていけると良いと思っています。

業務フローの改善には慎重さと勇気が必要になります。
既存の仕組を変えることには労力もかかりますし、反発もあります。検討は慎重に行い、決定したら勇気を出して変える・不要な業務は廃棄するということが、シンプルな業務フローを作る際には重要です。
この新たな制度をうまく活用して、業務効率化がはかれたらと考えています。

まだ構想段階ではありますが、弊社でも電子帳簿保存法への対応パッケージなどをサービス開発していこうと考えています。
まずは自社で色々実験してみます(笑)

 

ということで、本日は電子帳簿保存法の内容と対応策について記載させて頂きました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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