税務調査が入るとどうなる?通知から結果までの流れ
まずは、税務調査がどのように始まって、どう進んでいくのか、全体の大まかなスケジュールを見ていきましょう。
税務調査は、原則として事前通知を受けたうえで行われます。
基本的には以下のステップで進みます。

事前通知を受けるのが一般的(無予告の場合もあり)
税務調査の多くは、まず税務署からの電話などで連絡(事前通知:※調査を行う旨の事前連絡)が入ります。
顧問税理士がいる場合は、税理士を通じて連絡が入ることがあります。
顧問税理士がいない場合などは、社長の携帯電話や会社へ直接連絡が入ります。
事前通知では、主に以下の内容が伝えられます。
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- 実地の調査を行う日時(業務上やむを得ない事情があれば変更の協議が可能)
- 調査の対象となる期間(対象期間は申告内容や税目によって異なります)
- 調査の対象となる帳簿書類(総勘定元帳、請求書、領収書など)
- 確認したい税金の種類(法人税、消費税、源泉所得税など)
【補足】抜き打ち調査(無予告調査)もある?
現金取引が多い業種(飲食店や美容室など)や、事前に通知すると正確な事実確認が難しくなると判断された場合などには、連絡なしで税務署の調査官が訪問する「無予告調査」が行われることもあります。
調査当日は質問を受け帳簿・会計データ・証拠書類を確認される
調査当日は、税務署の調査官が1〜2名で会社(または税理士事務所)にやってきます。期間は多くは1〜2日程度ですが、会社の規模や取引の内容によって異なります。
一般的な調査当日の流れは、次のとおりです。
- 社長へのヒアリング(午前中など)
会社の事業内容、業界の状況、取引先との付き合い方、社長自身の経歴などを、会話を交えながら聞かれます。 - 帳簿や書類のチェック(午後〜2日目など)
請求書、領収書、通帳、契約書、パソコン内の会計データなどを、1つずつ確認されます。
💡調査官が見ているポイント
調査官は主に「売上が正しく計上されているか」「経費として認められない私的な費用(個人的な買い物や飲食など)が入っていないか」を重点的にチェックしています。
必要に応じて後日追加資料の提出や質問への回答を行う
当日の日程ですべてが終わるわけではありません。
調査当日に確認しきれなかった書類や、調査官から「この取引の証明になる資料を追加で出してください」と言われたものについては、後日郵送や電子データなどで提出することがあります。
また、必要と判断された場合には、取引先などへ事実確認(反面調査)が行われることもあります。
調査終了時に書面による通知または調査結果の説明を受ける
すべての確認が終わると、税務署から調査結果の連絡が来ます。
調査結果が出るまでの期間は調査内容によって異なり、数週間から数か月かかることもあります。
結果のパターンは大きく分けて以下の2つです。
- 問題なし: 申告内容に問題がなかったため、これで終了
- 修正・確認が必要: 申告内容に不備や見直しが必要な箇所が見つかった状態
税務調査の連絡が来ても申告の誤りや不正が決まったわけではない

税務署から連絡が来ると、「何か悪いことでもしただろうか…」とパニックになりがちですが、必ずしも心配しすぎる必要はありません。
税務調査が入る=脱税がバレた、ではありません。
税務調査は申告内容を確認するための手続
税務調査は、一定の基準や分析に基づいて対象が選ばれます。(今はAIによる選定が主流です。)
不正が疑われているとは限らず、申告内容を確認するための手続きとして行われます。
選ばれるきっかけの例として、以下のようなケースがあります。
- 売上や利益の変動(急増・急減)が大きい
- 同業他社と比べて利益率が極端に異なる
- 消費税の還付申告を行っている
- 多額の交際費が計上されている
- 現金取引が多い業種である
- 過去の調査から一定期間が経過している
ただし、これらに該当すれば必ず税務調査の対象になるわけではありません。
実際には、申告書や税務署が保有する各種資料などを総合的に分析し、
最終的に職員が調査の要否や優先度を判断します。
関連記事:京都府の産業の特色と税務調査の関係は?税務調査の対象に選ばれやすい会社の特徴
税務署からの連絡の種類を確認する
税務署からの連絡には、税務調査とは別に、申告内容の確認や資料提出を求める連絡(お尋ねや照会など)が入る場合もあります。
連絡があった際は、まずは「今回の連絡は税務調査ですか?それとも内容確認やお尋ねですか?」と落ち着いて税務署へ質問してみましょう。
確認連絡(お尋ね)であれば、求められた資料の提出や回答を行い、必要に応じて申告内容を見直すことで終わる場合もあります。
税務調査の連絡を受けた会社が最初にすること

税務署から連絡があったら、焦って行動すると逆効果になることがあります。
連絡を受けたあと、会社が最初にやるべきステップをまとめました。
- 連絡内容のメモを取る(日時・担当者名・対象期間など)
- データや書類はそのまま保存する(絶対に消さない!)
- 社内担当者を決め、顧問税理士にすぐ連絡する
- 対象となる年数の資料(請求書・領収書など)を揃える
- 自己判断で手続きを進めず、まずは税理士へ相談する
通知内容をそのまま記録する
税務署から連絡があったら、メモ用紙を用意して以下の項目を正確にメモしてください。
- 連絡をくれた税務署名と担当者の名前
- 連絡があった日時
- 調査を受けたいと言われている日程(候補日)
- 対象となる期間(例:過去3年分など)
- 対象となる税金(法人税、消費税など)
もし提示された日程の都合が悪ければ、その場で確定させず、
「税理士と相談して折り返します」と伝えても問題ありません。
調査日は、業務上やむを得ない事情など合理的な理由がある場合、税務署と変更を協議することができます。
会計データや書類を変更・破棄せず保全する
絶対にやってはいけないのが、調査を免れる目的で帳簿や会計データを書き換えたり、都合の悪い領収書や資料を破棄したりすることです。
データや書類の破棄・隠ぺいが発覚すると、「仮装(かそう)・隠蔽(いんぺい)」とみなされ、非常に重いペナルティ(※重加算税など)が課されてしまいます。
間違いに気づいた場合でも、元の記録や修正履歴を残したうえで、対応方法を税理士へ相談することが重要です。
社内担当者を決め顧問税理士へ連絡する
連絡が終わったら、すぐに会社の対応窓口(社長自身や経理責任者など)を決めましょう。
そして、一刻も早く顧問税理士へ連絡します。
税務署から聞いたメモの内容をそのまま税理士に伝え、今後の日程調整や準備を一緒に進めていきます。
通知された税目・課税期間に合わせて資料を確認する

連絡で指定された年数分の資料をファイルなどにまとめ、すぐ出せるように整理します。
【事前に準備しておく主な書類】
- 確定申告書・決算書の控え
- 総勘定元帳(※すべての取引が記録された会計データ・帳簿)
- 売上・仕入れの請求書、納品書、契約書
- 経費の領収書、レシート
- 銀行口座の通帳(過去数年分)
誤りに気づいても修正申告を検討する場合は税理士へ確認する
書類を整理している途中で、「あ!ここ計算が間違っている…」「経費に入れてはいけないものを入れていた…」と気づくことがあります。
自発的に修正申告を行うことでペナルティが軽減される場合もありますが、タイミングや内容の精査が必要です。
修正申告を検討する場合でも、まずは税理士へ相談しましょう。
税務調査が終わると会社はどうなる?
調査当日のやり取りや追加資料の提出が終わると、最終的な結果が告げられます。
調査が終わった後の会社の状況は、大きく分けて2パターンに分かれます。

更正等が必要ない場合は「問題なかった旨の通知書」が届く
調査の結果、対象となった税目・課税期間について、更正や決定などを行う必要がないと判断された場合、
税務署から「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」が届きます。
その税目・課税期間については、原則として追加の納税はありません。
今回の税務調査はこれで終了となります。
更正等が必要と判断された場合は金額や理由の説明を受ける
申告内容に確認・修正すべき点が見つかった場合は、
税務署から「ここに見直すべき点があります」という説明(指摘)を受けます。
なお、指摘を受けたからといって必ずしも即座に追加で税金を払うことになるとは限りません。
勘定科目の振替だけで税額が変わらないケースもあります。
また、確認の過程で税額を多く申告していたことが判明した場合には、
減額更正や更正の請求などにより、納めすぎた税金が還付される(戻ってくる)可能性もあります。
もし追加で税金を納めることになった場合でも、税務署の指摘が本当に正しいのか、税理士としっかり精査することが大切です。
修正申告の勧奨に応じない場合は更正等が行われることがある
税務署から間違いを指摘された場合、通常は「指摘内容を踏まえて修正申告を出してください(※勧奨:かんしょう)」と言われます。
もし税務署の言い分に納得がいかない場合や見解の違いがある場合は、すぐに同意せず税理士を通じて主張や議論を行うことが可能です。
修正申告の勧奨に応じず、税務署が申告内容を是正する必要があると判断した場合は、
税務署長による「更正(こうせい)」などの処分が行われることがあります。
【重要】
なお、自ら提出した修正申告については、原則として審査請求などの不服申立てをすることができません。
税務署の指摘内容に納得できない点がある場合は、修正申告を提出する前に税理士と十分に検討することが重要です。
追加の本税に加え加算税や延滞税が生じることがある
調査の結果、実際に売上の漏れや経費の誤りなどで追加の税金(本税)を支払うことになった場合は、
併せて以下のようなペナルティが発生するケースがあります。
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ペナルティの種類 |
どんなときにかかる? |
ペナルティの重さ |
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過少申告加算税 |
申告した税金が本来より少なかったとき |
原則として追加税額の10%(一定の場合は15%に加重) |
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無申告加算税 |
期限までに申告していなかったとき |
原則15%〜30%(調査による決定等を予知した後の場合。申告の時期や追加税額などによって異なる ) |
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重加算税 |
売上を隠すなど、悪質な隠ぺいがあったとき |
35%〜40% |
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延滞税 |
税金の支払いが遅れたための利息 |
支払うまでの日数に応じて加算 |
※加算税の割合は、申告や修正の時期、追加税額、過去の加算税歴、帳簿の保存状況などによって異なります。税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に申告した場合などは、加算税が軽減されたり、課されなかったりすることがあります。具体的な取扱いは税理士へご確認ください。
不正や隠ぺいがあると非常に重い税金が課されてしまいます。普段から正しく申告しておくことが、会社を守る一番の近道です。
税務調査を税理士に相談する目安と依頼できること
「税務調査の連絡が来たけれど、今の対応で本当に大丈夫だろうか…」
そんなときは、税理士を頼るのが確実です。状況に応じた相談の目安を見ていきましょう。

顧問税理士がいる場合はまず対応範囲を確認する
すでに顧問税理士がいる会社は、迷わずすぐに顧問税理士へ連絡してください。
その際、「税務調査の当日に立ち会ってもらえるか」「事前準備を一緒にやってくれるか」など、どこまでサポートしてもらえるかを確認しましょう。
顧問税理士がいない場合は対応できる税理士へ相談する
「日頃の決算だけ自分でやっていた」「顧問税理士はおらず、年に1回だけ別の税理士に頼んでいた」という場合は、税務調査のスポット(単発)対応を行っている税理士を探して依頼しましょう。
自分一人で税務署と交渉するのは、専門知識の面で不利になることがあります。
関連記事:税理士のスポット相談の料金の目安は?有効にするポイントを解説
対応できないまたは説明に不安が残る場合はセカンドオピニオンを検討する
顧問税理士はいるものの、以下のような不安がある場合は、別の税理士へ「セカンドオピニオン(※別の専門家からの第2の意見)」を求めるのも一つの方法です。
- 「顧問税理士が税務調査の経験が少なそうで頼りない…」
- 「税務署の言いなりになって、言われるがまま処理されそう…」
- 「税理士から威圧的な態度をとられ、親身に相談に乗ってくれない…」
税理士によっても、税務調査の経験や見解は異なります。不安を感じたら、一度「税務調査に強い別の税理士」に話を聞いてみることをおすすめします。
相談だけ・事前確認・立ち会い・調査後対応のどこまで頼むか決める
税理士に依頼する場合、どのようなサポートをしてほしいのかを整理しておきましょう。
- 事前の打ち合わせと書類確認だけ頼みたい
- 当日の立ち会い(隣に座ってサポート)までお願いしたい
- 調査が終わった後の税務署とのやり取り・交渉まで任せたい
多くの税理士事務所では、これらをセットで引き受けてくれます。
どの税理士にも同じ事実と元の資料を伝える

税理士に相談・依頼するときに一番大切なのは、「事実を正確に包み隠さず伝えること」です。
「実は私的な出費を少し混ぜてしまったかもしれない…」「売上の一部に計上漏れがあるかもしれない…」といった情報も、あらかじめ税理士に伝えておいてください。
事実を正確に伝えていただくことで、税理士は法律の範囲内でどのような対応が適切かを一緒に検討することができます。
まとめ
税務調査の連絡が来ると、誰でも不安になるものです。
しかし、流れを把握し、事前の準備と正しい対応を行えば、慌てる必要はありません。
【税務調査の連絡が来たときのポイント】
- 連絡が来たら焦らずメモを取り、書類やデータを破棄・変更しない
- 修正申告を検討する場合も、まずは税理士へ相談する
- 税務調査が得意な税理士に立ち会いを依頼し、適切な対応方針を検討する
もし「今の顧問税理士で対応できるか不安」「税務調査の立ち会い経験が豊富な専門家に任せたい」とお考えでしたら、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

当事務所には、税務署OBのベテランスタッフが在籍しており、税務調査への対応経験を生かし、事前準備から調査当日の立ち会い、調査後の対応までサポートできる体制を整えております。税務署側の考え方や確認のポイントを踏まえながら、指摘内容を丁寧に精査し、社長のお気持ちに寄り添って適切な対応をサポートいたします。
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