税理士に起業相談するメリット
起業は経営者がやりたいことを形にする一方で、資金繰りや税金、書類の手続きなど、専門的な知識が必要な場面も出てくるでしょう。税理士に相談すれば、こうした不安や負担を軽減でき、スムーズに事業をスタートさせることができます。
ここでは、税理士に起業相談をすることで得られるメリットをご紹介します。
本業に集中できる
起業すると、開業届の提出や会計ソフトの導入、帳簿付け、確定申告など、多くの事務作業が発生します。このような事務作業を自分で行うと膨大な時間と労力がかかり、本来取り組むべき「商品開発」や「営業活動」に集中できなくなってしまいます。
税理士に依頼すれば、これらの煩雑な手続きをサポートしてもらえるため、限られた時間を本業に注ぐことができ、事業の立ち上げを加速させることが可能です。
資金調達の成功率が上がる
創業時には、設備資金や運転資金を金融機関から借り入れるケースも少なくありません。しかし、融資を受けるには「事業計画書」や「資金繰り表」などの書類作成が必要であり、内容の信頼性や整合性が問われます。
資金調達に強い税理士はこうした書類作成に精通しており、金融機関の審査ポイントを踏まえたアドバイスが受けられます。融資に強い金融機関や制度融資の情報も提供してくれるため、資金調達の成功率が高まるでしょう。
自分にあった事業形態のアドバイスをしてくれる
起業する際には、「個人事業主として始めるか」「法人を設立するか」といった事業形態の選択が必要です。個人事業主は手続きが簡単で始めやすいのが特徴です。法人化は手続きに手間がかかりますが、社会的信用が高まり、節税効果も得られるケースがあります。
しかし、法人化には設立費用や維持コストがかかるため、状況に応じた判断が必要です。税理士は、事業の規模や今後の成長性、利益見込みなどを踏まえて、あなたに最適な形態を提案してくれます。
関連記事:会社設立と個人事業主はどっちが得?法人と個人事業主の違いをわかりやすく解説
無駄な税金を払わずに済む
税金の制度は複雑で、知らないと損をしてしまうことがあります。たとえば、青色申告による控除や、開業費の計上、減価償却など、節税につながる制度を知らないまま申告すると、本来払わなくてよい税金まで支払ってしまうことも。
税理士に相談することで、あなたの事業内容に応じた最適な税務処理を行ってもらえ、結果的に「払いすぎ」を防ぐことができます。余計な出費を抑えることは、創業期の資金繰りを安定させるうえでも重要です。
インボイス制度へのアドバイスが受けられる
インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)は、2023年10月から始まった消費税の新制度です。簡単に言えば、「消費税の仕入税額控除を認めてもらうには、登録事業者からの適格請求書等(インボイス)が必要」という仕組みです。
インボイス制度の登録をしていない事業者は、インボイスを発行できないため、取引先から契約を見直される可能性があります。起業時からインボイスを発行するためには登録が必要ですが、消費税は免除されません。
税理士は、あなたの事業内容や取引相手の状況を踏まえて、「登録すべきかどうか」や「インボイス対応の準備方法」について的確にアドバイスしてくれます。
関連記事:インボイス制度後の個人からの仕入れはどうなる?消費税に与える影響と対策を解説
税理士に起業相談するデメリット
税理士に起業時の相談をすることで多くのメリットが得られる一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。事前にこうしたポイントを把握しておくことで、後悔のない選択ができます。
ここでは、起業相談における代表的な3つのデメリットと、その対策について解説します。
報酬が発生する
税理士に相談や業務を依頼すると、当然ながら報酬が発生します。初回の相談は無料でも、その後の契約で月額顧問料や決算申告料などが必要になる場合があります。まだ売上が安定しない創業初期では、このコストが心理的なハードルになることも。
ただし、税理士のサポートによって節税できたり、手続きのミスを防げたりすれば、結果的にコスト以上のリターンが期待できることもあります。
相性が悪いとコミュニケーションが辛くなる
税理士は、経営パートナーとして長期的に付き合う存在になることも多いため、相性は重要です。専門知識が豊富でも、質問しづらかったり、レスポンスが遅かったりすると、ストレスを感じてしまうこともあります。話し方や考え方の方向性が合わないと、相談そのものが億劫になる可能性も。
税理士との相性を確認するためには、複数の税理士に話を聞いてみる、初回相談でのフィーリングを大切にするなど、事前の見極めが大切です。
関連記事:税理士への不満ランキング1位はコミュニケーション!合わない税理士に依頼するデメリット
任せきりになる恐れがある
税理士に業務を依頼すると、「プロに任せているから安心」と思って、すべてを丸投げしてしまうケースもあります。しかし、任せきりにしてしまうと、経営状況を自分で正しく把握できなくなるリスクがあります。
たとえば、売上や経費の推移に無関心になると、資金繰りの悪化に気づくのが遅れたり、思わぬ税金の支払いが発生したりすることも。また、税制改正や制度変更の際に必要な判断が遅れることもあります。
税理士はあくまでサポート役です。正しいアドバイスをもらうためにも、最低限の会計知識や事業状況の把握は経営者自身が行っておくことが大切です。
税理士との関係は、情報のやり取りや相談のしやすさに注目しましょう。もし、これから起業をお考えで「信頼できる税理士に相談したい」「しっかり話を聞いてもらえる税理士を探している」と感じている方は、石黒健太税理士事務所にぜひ一度ご相談ください。豊富な経験と丁寧なヒアリングをもとに、あなたのビジネスに寄り添ったご提案をいたします。
関連記事:月次報告とは?経理初心者が月次決算をするメリットと会社の成長を加速させるポイント
【法人向け】起業で失敗しないためのチェックポイント
法人を設立する際には、資本金や役員報酬など、見落としがちなポイントが後々の経営に影響することがあります。起業時は「何をどう決めればいいかわからない」と悩む経営者も少なくありません。
ここでは、法人設立で失敗しないために、あらかじめ確認しておきたい重要なポイントを解説します。
株式会社と合同会社の違いを理解して選んでいるか
法人を立ち上げる際、多くの方がまず悩むのが「株式会社」と「合同会社(LLC)」のどちらにすべきかという点です。株式会社は信用力が高く、大きな事業展開に向いています。一方、合同会社は設立費用が安く、柔軟な経営ができるので、少人数でスタートするビジネスに適しています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、税理士などの専門家と相談し、自分のビジネスに合った形を選ぶことが重要です。
関連記事:合同会社と株式会社の違いは?向いている会社形態と会社設立で失敗しないためのポイント
資本金の金額は適切か
現在は1円からでも法人を設立できますが、あまりに低い資本金だと信用力に欠け、取引先や金融機関から不安を持たれるかもしれません。また、資本金の額は会社の体力を示す指標にもなります。
たとえば、助成金の申請条件や建設業許可など、資本金が一定額以上でなければ対応できないケースもあるため、将来の事業計画を見据えて、適切な金額を設定する必要があります。
関連記事:自社にあった資本金の決め方は?一時的にあればいい考えのリスクと使うとどうなるかについて解説
将来の事業展開も見据えた事業目的を定款に盛り込めているか
会社設立時に作成する「定款」には、会社が行う事業の内容(=事業目的)を明記する必要があります。ここで重要なのは、現在の事業内容だけでなく、将来的に行う可能性のある業務も含めておくことです。
定款に記載がない事業は基本的に行えないため、新しい事業を始めるたびに定款変更(=法務局への変更登記と費用)が必要になります。無駄な手間や費用を防ぐためにも、将来のビジョンを整理し、幅広く事業目的を盛り込んでおきましょう。
役員報酬の金額は適切か
法人では、役員報酬の金額をあらかじめ決めておく必要があります。ここで注意すべきなのは、「いったん決めた報酬は原則として年度の途中で変更できない」という点です。役員報酬は会社の経費として計上できる一方で、報酬額が多すぎると会社の資金繰りが苦しくなり、少なすぎると個人の生活費が足りなくなることも。
また、法人税と所得税にも影響するため、事業の見通しと収支計画をもとに、適切な金額を税理士と相談して決めることが大切です。
関連記事:中小企業の役員報酬の相場は?役員報酬が高すぎる中小企業の注意点と手取りをシミュレーション
決算月が事業の負担にならないか
法人では「決算月」を自由に決めることができますが、決算月の選び方によっては業務の負担を増やしてしまうことがあります。決算が終わると、2ヵ月以内に法人税の申告と納付を行わなければなりません。そのため、繁忙期や資金繰りが厳しくなる時期に納税時期が重なってしまうリスクが起こります。
たとえば、年末年始が繁忙期の小売業が10月決算を選ぶと、繁忙期の12月に申告・納税が必要になり、多忙な中で準備に追われることに。事業の季節性やキャッシュフローの動きを踏まえ、無理のないタイミングで決算月を設定しましょう。
参考:国税庁「申告と納税」
【個人事業主向け】起業で失敗しないためのチェックポイント
個人事業としての起業は、手続きがシンプルでスタートしやすい反面、税務やお金の管理でつまずきやすい落とし穴もあります。将来的に事業を大きくしていくためにも、はじめから「失敗しない基盤」を整えておくことが大切です。
ここでは、個人事業主が意識すべき基本的なチェックポイントを紹介します。
事業とプライベートの出費の線引きを明確にできているか
個人事業主が見落としがちなのが、「事業のお金」と「生活のお金」の管理を混同してしまうことです。レシートや口座がごちゃごちゃになっていると、経費の正確な把握が難しくなり、確定申告時にミスやトラブルのもとになります。
たとえば、事業用の口座とプライベートの口座を分けておくだけでも、お金の流れが見えやすくなり、帳簿付けや税務処理もスムーズになります。最初の段階から線引きを意識しておきましょう。
家族に給与を支給するか
配偶者や親族に手伝ってもらう場合、「青色専従者給与」として給与を支払うことで、その分を経費に計上でき、節税効果が期待できます。ただし、誰にでも自由に払えるわけではなく、以下のような要件があります。
【青色専従者給与の主な要件】
- 青色申告をしていること
- 15歳以上の家族で、6ヵ月超その事業に専従していること
- 「青色専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
- 支給額が労働の内容に見合った適正な金額であること
また、注意が必要なのが扶養控除との関係です。青色専従者給与を受け取ると、支給額に関係なく、配偶者控除や扶養控除の対象外となります。税務上のメリット・デメリットを比較しながら判断しましょう。
参考:国税庁「青色事業専従者給与に関する届出手続」
法人成りのタイミングを考えているか
事業が軌道に乗ってきたら、「法人成り(法人化)」を検討するタイミングが訪れるでしょう。法人成りとは、個人事業を法人(株式会社や合同会社など)として登記することを指します。
法人成りの主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 所得が一定以上になると、法人税率の方が有利になることがある
- 経費の幅が広がり、節税の選択肢が増える
- 法人名義で契約ができるため、社会的信用が高まる
- 家族への給与支給が柔軟に設計できる
一方で、法人化すると社会保険の強制加入や登記・申告のコスト増など、新たな負担も発生します。どのタイミングで法人成りするのが最適かは、収支状況や今後の事業計画によって異なるため、事前のシミュレーションが欠かせません。
個人事業としての第一歩を踏み出したあとも、「いつ法人化すべきか」「どのくらい節税できるか」「家族の給与はどうするべきか」など、判断が難しい場面はあります。そのようなときこそ、税務と経営に強い専門家のアドバイスがあなたの事業を支えます。起業の悩みや相談は、起業準備から法人成りまで、一貫してサポートできる石黒健太税理士事務所にお気軽にご相談ください。
京都で起業に強い税理士の選び方
起業時のパートナーとして税理士を選ぶ際、「誰でも同じ」と考えて選ぶと後悔することも。税理士にも得意分野やサポート体制、料金体系などに違いがあり、自分の事業に合った人を見つけることが大切です。
ここでは、京都で起業を考えている方に向けて、後悔しない税理士の選び方を5つのポイントに分けてご紹介します。
税金以外のサポート内容で選ぶ
税理士の主な業務は税金の計算や申告ですが、起業時に必要なのはそれだけではありません。開業届の提出、資金調達の支援、事業計画の立て方など、初期段階から幅広くサポートしてくれる税理士を選ぶことで、安心して事業に集中できます。
たとえば、「融資に強い」「創業支援の補助金申請に詳しい」といった付加価値のある税理士なら頼れる存在となるでしょう。
起業支援の実績で選ぶ
「起業に強い」とうたっていても、実際に何件の起業サポートをしてきたかは事務所によって異なります。実績が豊富な税理士は、業種別の注意点や失敗しやすいポイントも把握しており、現実的なアドバイスができるのが強みです。
ホームページや面談時に「これまで何社くらい支援してきたか」「どんな業種が多いか」などを確認しておくと、信頼できるかどうかの判断材料になります。
料金体系で選ぶ
起業直後は資金に余裕がないため、税理士費用が経営の負担にならないかどうかも大切なポイントです。税理士によっては、初年度の割引プランや決算だけプラン、記帳代行込みの月額プランなど、柔軟な料金体系を設けているところもあります。
見積もりを取る際は、月額顧問料・決算申告料・オプション料金の内容まで確認し、トータルの費用を比較することをおすすめします。
得意分野・業種で選ぶ
税理士にも「飲食業に強い」「IT業界に詳しい」「医療・福祉に特化」など、それぞれ得意とする分野があります。たとえば、飲食店なら開業許可や現金管理のノウハウ、IT業界ならインボイス対応やフリーランス契約に関する知識など、業種ごとのポイントを押さえたアドバイスができるかどうかが重要です。
面談の際には、「うちの業種に詳しいか」「これまで同業種のクライアントはいるか」を確認するとよいでしょう。
相性で選ぶ
最後に意外と見落としがちなのが「相性」です。どんなに実績が豊富でも、「相談しにくい」「話が通じにくい」相手では、起業後にストレスを感じることがあります。
税理士とは経営の悩みやお金の話をすることが多くなるため、安心して何でも話せる関係かどうかが大切です。できれば複数の税理士と面談して、自分の感覚に合う人を選ぶようにしましょう。
関連記事:京都で後悔しない!【タイプ別】おすすめの税理士の特徴は?
起業支援は京都の石黒健太税理士事務所にお任せ下さい!
ここまで、法人・個人を問わず起業で失敗しないためのチェックポイントや、税理士選びのコツをご紹介してきました。起業は人生における大きなチャレンジですが、税務や会計、資金調達など専門的な分野でつまずくと、せっかくのチャンスを活かしきれなくなるでしょう。
だからこそ、経験豊富で信頼できる税理士のサポートが、成功の鍵を握ります。
私たち石黒健太税理士事務所は、京都を拠点に、これから起業される方や事業を始めたばかりの個人事業主・法人のお客様を全力でサポートしています。
会社設立や開業届の提出といった初期の手続きはもちろん、資本金や事業目的の決定、青色申告の準備、役員報酬の設計、決算月の設定など「これってどうすればいいの?」という悩みに、私たちが一つひとつ丁寧にお応えします。
私たちが大切にしているのは、「相談しやすさ」と「誠実な対応」です。専門用語ばかりの説明ではなく、わかりやすく、納得感のあるご提案を心がけています。
京都での起業・開業をお考えの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。あなたのチャレンジを、私たち石黒健太税理士事務所が全力でサポートします。
まとめ
起業は経営者がやりたいことを形にする良い機会ですが、税務や資金、手続きの準備が不十分だと、思わぬ落とし穴にハマってしまうこともあります。個人事業か法人か、資本金の決め方、事業目的の設定、家族への給与、インボイス制度への対応など、起業には判断すべきポイントは多岐にわたります。
「いつか起業を」と考えている方も、「すでに準備を始めている」方も、最初の一歩に迷いはつきものです。でも不安に思うことはありません。大切なのは、正しい知識と信頼できるパートナーを持つことです。京都での起業を検討中なら、起業支援に強い石黒健太税理士事務所へご相談ください。あなたの理想のスタートを、一緒に形にしていきましょう。