法人成り

合同会社設立までの5つの流れは?設立に必要な書類とひとりで手続きをするデメリット

「合同会社の設立手続きは、ひとりでできる?」「合同会社設立の流れや必要書類が知りたい」このようにお悩みではないでしょうか。合同会社の設立手続きは、株式会社よりも必要な手順が少ないため、流れがわかればひとりでもできます。

 

ただし、手続きの中には細かいルールが存在するものもあります。書類作成で不備が生じ、予定通りに進まない人がいるのも事実です。経験や専門知識が不足する場合、失敗のリスクが伴うことは理解しておくべきでしょう。

 

本記事では、合同会社設立までの流れと必要書類を解説します。失敗しないための対策や専門家に相談するメリットも紹介するので、スムーズに合同会社を設立したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

合同会社設立までの5つの流れ

手続きに漏れがあると、「過料などのペナルティが発生する」「会社の信用が下がる」など、今後の経営に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、会社設立の手続きは、正しい手順を把握した上で、計画的に行うことが大切です。

 

ここからは、合同会社を設立するまでの流れについて、以下の5ステップに分けて紹介します。

 

ステップ1:会社の基本情報を決める

ステップ2:実印を作成する

ステップ3:定款を作成する

ステップ4:出資金を口座に払い込む

ステップ5:登記書類を法務局に提出する

 

専門用語なども多いですが、初めての方に向けてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。

ステップ1:会社の基本情報を決める

会社の基本情報は、後に作成する「定款」に記載が必要なため、最初に決めておきます。会社設立で重要な基本情報は、以下の通りです。

 

基本情報

概要

会社名(商号)

会社が営業活用などで使用する名称のこと。名称には、合同会社の文言を必ず入れるなどのルールが存在する。

例)〇△合同会社

事業目的

会社が行う事業内容や、取り組む仕事内容を明確にしたもの。

例)レストランの運営

本店所在地

本店などの会社の主たる住所のこと。公的機関に届け出る際に必要なため、長期的に利用する住所を指定する。

資本金(出資金)

会社経営の元手資金として、会社設立時に出資するお金のこと。金額は1円から設定できるが、会社の信用力にも影響する重要な指標のため、慎重に決める。

会計年度

収支計算の対象となる一定期間のこと。基本的には1年間で期間を指定する。個人事業主とは違って、期間は自由に決められる。

例)4月1日~翌年3月31日

出資者(社員)

会社に出資した人のこと。出資者は「社員」と呼ばれ、会社の所有者と経営者を兼任する。

社員の構成

業務執行社員と代表社員を決定する。業務執行社員は日常業務を遂行する者のことで、代表社員は、株式会社で言うところの代表取締役と同じ役割の者。

 

これらの項目の中で、特に注意したいのが「会社名」「資本金」「会計年度」の3つです。会社名については、商標登録されている名前や、他社と類似する名前は避ける必要があります。特定の記号が使えないなどのルールもあるので、複数の案を出しておきましょう。

 

また、詳細は後述しますが、会社の手元資金となる資本金は、納める税金額にも影響します。建設業などでは、一定の資本金額を用意していないと許認可を得られないケースもあるため、金額については業界の平均や、税金なども考慮しながら慎重に決める必要があるでしょう。

 

そして、会計年度は、決算や税務申告に影響を与えます。業務の繁忙期と決算月が重なった場合、業務効率が下がる恐れがあります。税金の納期と経費の支払いが重なると、資金繰りが厳しくなるかもしれません。収支計画と業務の見通しを立てた上で期間を決めると良いでしょう。

 

会社名、資本金、会計年度に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

関連記事:縁起がいい会社名・成功しやすい会社名の決め方は?注意すべき基本ルールと決まらないときの対策

関連記事:中小企業の資本金の平均額は?資本金を増やさない理由と税金との関係

関連記事:法人化するタイミングは何月がいい?おすすめしない月と月の途中で法人成りするときのポイント

ステップ2:実印を作成する

実印は、法務局への設立登記だけでなく、契約書作成などの事業活動でも使用します。オンラインでの申請が増えたものの、実印を使う場面は多々あるため、必ず作成しましょう。

 

実印を作成するときは、以下の点に注意しましょう。

・1cm~3cm以内の正方形に収まるサイズで作る

・黒水牛などの耐久性のある素材を使用する

・正しい会社名や役職名を掘る(省略しない)

 

また、出来上がった実印については、法務局へ「印鑑届書」の提出ができます。様式は、法務局のホームページにあるため、設立登記の手続きで慌てないよう、事前に準備しておきましょう。

 

参考:法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)

ステップ3:定款を作成する

定款とは、会社運営におけるルールを定めた書類です。会社設立時に必ず作成しなければならない書類で、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つの要素で構成されています。

 

定款の記載事項

内容

絶対的記載事項

・目的

・商号

・本店の所在地

・社員の氏名または名称及び住所

・社員の全部を有限責任社員とする旨

・社員の出資の目的及びその価額または評価の標準

相対的記載事項

・持分を譲渡するときの要件

・業務執行社員の指名または選任方法

・社員や業務執行社員が2人以上いるときの業務の決定方法

・代表社員の指名または互選

・存続期間または解散の事由  等

任意的記載事項

・業務執行社員の員数

・業務執行社員の報酬

・事業年度 等

参考:法務省「合同会社の設立手続について

 

絶対的記載事項については、必ず記載が必要です。これは記載漏れがあると、定款としての効力が認められないためです。相対的記載事項は、記載がなくても定款は有効になりますが、記載がない内容については、効力を発揮しません。

 

任意的記載事項は、その名の通り、任意で記載できる内容です。会社運営で必要なルールなど、実態に即した内容を記載すると良いでしょう。

 

また、株式会社の場合は、定款を公正証書役場で認証する手続きが必要ですが、合同会社の場合は不要なため、費用や手間も少なくて済みます。さらにコストを抑えたい場合は、定款を電子で作ると、登記費用が抑えられます。

ステップ4:出資金を口座に払い込む

設立登記の申請では、出資金を払い込みしたことがわかる書類が必要なため、法務局への手続きの前に、出資金払込の処理を行います。具体的な手順と注意点については、以下の通りです。

 

手順

内容と注意点

①発起人名義の口座を用意する

 (既存の口座でも可)

・現時点で法人名義の口座は作れないため、個人の口座を用意する

・発起人が複数いる場合は、代表者を決める

②用意した口座に出資金を払い込む

・預入ではなく振込で出資金の入金を行う

(預入だと誰が入金したかがわかりにくいため)

③通帳のコピーを取る

・通帳の表紙、表紙裏、振込内容がわかる明細のページについて、A4サイズでコピーを取る

・銀行名、預金種別、口座番号、口座名義人、支店名、支店番号、銀行印、取引内容が鮮明に写るように注意する

④払込証明書を作成する

・決まった書式はないのでWordなどで作成する

・書類には以下の7項目を記載する

 1.払込された金額の総数

    2.払込があった株数

    3.1株の払込金額

    4.日付(振込が複数回ある場合は、最も遅い日付)

 5.本店所在地

 6.会社名(商号)

    7.設立時代表取締役氏名

⑤これまでの書類をまとめて保管する

・書類は上から、払込証明書→通帳の表紙の写し→通帳の表紙裏の写し→通帳明細の写しの順番になるよう重ねてホチキスでまとめる

・実印を使って各ページの境目に割り印する

 

手順の中で、特に注意が必要なのが出資金の入金方法です。預入の場合、誰が入金した取引なのかがわかりづらくなってしまいます。そのため、明細に振込依頼人が記載される「振込」で入金処理を行いましょう。

 

また、インターネットバンキングなどの紙の通帳がない場合は、明細のページなどをプリントアウトしておきます。法務局へ提出することも考えると、コピーやプリントアウトの用紙サイズは、A4が好ましいでしょう。

ステップ5:登記書類を法務局に提出する

本店所在地を管轄する法務局に登記書類を提出しますが、このときに以下の費用が必要になります。費用は最低でも6万円必要です。直前で慌てることがないよう、資金は多めに準備しておきましょう。

 

【登記申請にかかる法定費用】

・収入印紙代(電子定款の場合は不要)

・登録免許税

 

また、書類の提出後、特に不備がなければ通常1週間程度で登記が完了します。必要書類や書類のまとめ方については、細かいルールが多いため、くわしくは後述します。

ひとりで合同会社の設立手続きをするデメリット

専門家に相談すると費用がかかるため、自分で手続きしたいと考える方もいるでしょう。しかし、設立手続きは、予想以上に複雑です。最初に決める基本事項の中には、後の税金や経営にまで影響を及ぼすものもあるため、知識なしでの手続きはリスクが高いと言えます。

 

ここからは、ひとりで設立手続きをするときに生じるデメリットを解説します。失敗すると後戻りができないケースもあるため、これから紹介する内容は、しっかり読み込んでおきましょう。

時間と手間がかかり本業の時間が減る

定款などの書類作成は、経験のない人にとっては労力のかかる作業です。周りに相談できる人がいない場合、調べながらの作業になるため、かなりの時間もかかるでしょう。

 

自力で手続きする人の中には、時間が足りず、本業の時間を充てる人がいるのも事実です。本業に割く時間が減ると、収入の減少をもたらす可能性があります。資本金の準備が必要な中での収入減少は、痛手にもなるでしょう。

 

また、書類の不備によって法務局に何度も再提出を要請されることも珍しくありません。設立までに時間がかかりすぎると、法人設立に最適なタイミングを逃してしまうかもしれません。

 

関連記事:合同会社は後悔する?設立するメリットとデメリット・後悔しないためのポイントを解説

事業承継が難しくなる

合同会社では、会社の所有割合を「持分」で示します。株式会社の「株式」と似た概念ではあるものの、その取扱いは全く異なるため注意が必要です。持分と株式の違いは、事業承継や相続の難易度にも影響します。

 

株式会社では、株式の譲渡によって事業承継が可能です。保有する株式を後継者に買い取ってもらえばスムーズに承継できるため、経営に及ぼす影響も少ないと言えます。

 

合同会社も持分の譲渡によって事業承継できますが、持分を他者に譲るには、他の社員全員の同意が必要になります。社員からの同意が得られず、事業承継が進まないことも珍しくありません。

 

また、株主が亡くなった場合、株式は相続財産として相続人に引き継がれます。しかし、合同会社の社員が亡くなった場合、持分は相続の対象外になるのです。ただし、あらかじめ定款に「出資者の地位が相続の対象となる」などの条項を追加することで、相続対象にできるなどの解決策があります。

 

合同会社では、株式会社よりも事業承継や相続の難易度が高いといった特徴があります。そのため、専門家への相談なしで手続きを行うと、いざというときに身動きが取れない恐れがあるのです。

税負担が増える恐れがある

資本金の金額によっては税負担が増えるかもしれません。資本金が関係する税金には、法人市・県民税と消費税が挙げられます。法人市・県民税の均等割は、資本金の金額などに応じて計算される仕組みのため、赤字・黒字に関係なく支払いが必要です。

 

また、消費税には、最大2年間は納税義務が免除される特例があります。しかし、設立時の資本金が1,000万円以上の場合は、免除の特例は適用されません。資本金が高額だと、1期目から消費税の支払いが生じてしまう点には注意が必要です。

 

資本金の他にも、税金の負担に繋がる決定事項は多々あります。そのため、ひとりで手続きすると、税金が高額になるなど、取り返しのつかないことになるかもしれません。税制は複雑なため、専門家などに相談しながら設立準備を進めるのがベストです。

 

資本金や税金でお困りであれば、ぜひ当事務所へご相談ください。創業などのスタートアップに携わった優秀なスタッフが対応いたします。ご相談はお電話でも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

 

関連記事:自社にあった資本金の決め方は?一時的にあればいい考えのリスクと使うとどうなるかについて解説

合同会社の設立に必要な書類とまとめ方

合同会社を設立するには、法務局で法人登記の申請を行う必要があります。法務局に提出する書類は、以下の通りです。

 

①合同会社設立登記申請書

②登録免許税納付用台紙

③定款(電子の場合はCD-R)

④代表社員、本店所在地及び資本金決定書(定款に記載しているときは不要)

⑤代表社員就任承諾書

⑥代表社員の印鑑登録証明書

⑦出資金の払込証明書

⑧印鑑届書

⑨登記すべき事項を記載した書面(CD-Rでも可)

 

また、これらの書類は、まとめた上で提出しますが、綴じる順番などにはルールがあります。まずはじめに、「合同会社設立登記申請書」と「登録免許税納付用台紙」は、申請書を上にして左綴じを行い、見開きに会社の実印で割り印を押印しましょう。

 

そして、綴じた登記申請書に③〜⑦の順番で書類を添付してホチキスでまとめます。⑧と⑨の書類については、ホチキスではなくクリップでとめておきます。順番が崩れると、法務局での書類審査に時間がかかる恐れがあるため、ルールは徹底しておきましょう。

合同会社の設立後にやること

設立登記が完了したら、すぐに事業が始められると思いきや、そうでもありません。会社を設立したら、税務や労務などの様々な手続きが必要になります。ここからは、合同会社の設立後に必要な手続きを5つ紹介します。

 

・税務書類を税務署に提出する

・地方税の届出を地方自治体に提出する

・社会保険の書類を年金事務所に提出する

・従業員を雇用するときは労働保険の手続きをする

・法人口座を開設する

 

手続きが遅れると、罰則などのペナルティが発生するものもあるため、用意する書類などは事前に把握しておきましょう。内容をくわしく解説します。

税務書類を税務署に提出する

税務署では、税務関係の手続きを行います。合同会社設立後は、管轄の税務署に以下の書類を提出しましょう。

 

・法人設立届出書(定款や登記簿謄本のコピーが必要)

・給与支払事務所等の開設届出書

・青色申告の承認申請書 ※

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 ※

・適格請求書発行事業者の登録申請書 ※

・棚卸資産の評価方法の届出書 ※

・減価償却資産の償却方法の届出書 ※

※必要に応じて提出

 

特に注意したいのが「法人設立届出書」と「給与支払事務所等の開設届出書」です。法人設立届出書の提出期限は、設立日から2ヶ月以内のため、書類の準備期間も短くなります。

 

そして、給与支払事務所等の開設届出書は、従業員を雇用するときに提出する書類ですが、一人社長で自分に役員報酬などを支払う場合も提出が必要です。提出を失念すると、源泉所得税の納付ができず、追徴課税などの対象となる恐れがあるため、注意しましょう。

 

また、税金対策をしっかり行いたい場合は、青色申告の承認申請書を提出し、承認を受けておきましょう。青色申告を選択することで、赤字を繰り越しできるなどの節税メリットが得られます。

地方税の届出を地方自治体に提出する

税務署に提出するのは、国税に関する書類です。地方税については、自治体での手続きが必要なので失念しないようにしましょう。地方税を管轄するのは、県税事務所と市区町村の役場で、それぞれに法人設立届出書(定款の写しを添付したもの)を提出します。

 

ただし、東京23区内で設立した法人については、都税事務所に提出すれば、区役所への提出は必要ありません。自治体ごとに届出の取り扱いが異なるため、詳細は自治体のホームページなどで確認してみましょう。

社会保険の書類を年金事務所に提出する

合同会社を含む法人は、社会保険の強制適用事業所となります。そのため、設立後は、適用事業所の届出と健康保険・厚生年金の加入手続きが必要です。管轄の年金事務所に提出する書類は、以下の通りです。

 

・健康保険 厚生年金保険新規適用届

・登記簿謄本(コピー不可)

・健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届

・健康保険被扶養者(異動)届(配偶者など被扶養者がいる場合)

 

また、手続きを後回しにすると、最悪の事態を招く恐れがあります。詳細は以下の記事で紹介していますが、罰則などのペナルティの対象になるかもしれません。社会保険の加入は、助成金の審査にも影響することがあるため、困ったときに慌てないよう、期限内に手続きを終えておきましょう。

 

関連記事:1人社長の社会保険料はいくら?具体的な計算方法と役員報酬8万円の社会保険料の金額

従業員を雇用するときは労働保険の手続きをする

従業員を一人でも雇っている場合は、労働保険の手続きが義務付けられています。労働保険には、労災保険と雇用保険の2種類があり、それぞれに関する届出が必要です。労災保険については労働基準監督署へ、雇用保険についてはハローワークに提出します。

 

【労災保険関係の届出一覧】

・保険関係成立届

・労働保険概算保険料申告書

 

【雇用保険関係の届出一覧】

・雇用保険適用事業所設置届

・雇用保険被保険者資格取得届

 

雇用保険に関しては、労災保険の手続きが完了してからでないと手続きができないため、先に労災保険関連の届出を提出しましょう。

法人口座を開設する

合同会社設立後は、法人名義の口座が必要になるため、金融機関で口座開設の手続きを行います。口座開設では一般的に、登記簿謄本や法人の実印・印鑑証明書、代表者の身分証明書が必要です。取り扱いは金融機関で異なるため、詳細は金融機関に問い合わせてみましょう。

 

また、創業間もない法人の場合、実績が少ないなどの理由で口座開設を断られることも珍しくありません。口座開設の審査通過率を高めるためには、事業計画書などを作成した上で、サービスの内容や将来性を担当者にしっかりとアピールする必要があるでしょう。

 

以下の記事では、口座開設や融資の審査で必要になることが多い「事業計画書」について解説しています。まだ作成していない方は、ぜひ参考にしてください。

 

関連記事:事業計画書のスムーズな作り方とは?わかりやすい方法を解説

合同会社の設立で失敗しないための対策

合同会社の設立を検討している方の中には、「株式会社よりも手間が少なそう」「税金のコストを抑えたい」と、考える方もいるでしょう。しかし、実際に会社運営を行うと、想定外のトラブルによって、合同会社の設立を失敗に感じることも少なくありません。

 

失敗に感じる理由は、経営やコストの問題など人によって様々ですが、事前の対策によって失敗を最小限に抑えることが可能です。会社の廃業や個人成りには、費用と手間がかかるため、後悔しないためにも、これから紹介する対策をしっかり理解しておきましょう。

株式会社との違いを理解して選ぶ

日本で会社を設立する場合、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類から会社形態を選択します。株式会社か合同会社の選択で悩む人が多いものの、その違いを明確に把握できている人は少ないでしょう。

 

株式会社と合同会社の違いには、設立時のコストや経営の自由度、事業承継の難易度など様々です。知名度に関しては株式会社に軍配が上がるため、将来の展望などによっては、株式会社を選択した方がメリットを得られやすい可能性があるのです。

 

合同会社と株式会社の違いは、以下の記事でくわしく解説しています。記事を読むことで、正しい会社形態を選択できるようになるので、迷っている方はぜひ参考にしてください。

 

関連記事:合同会社と株式会社の違いは?向いている会社形態と会社設立で失敗しないためのポイント

社員間の対立を防げる定款の内容にする

合同会社では、社員一人につき1票の議決権があります。そのため、社員が偶数の場合、意見が対立してしまうと、意思決定が遅れる可能性があります。社員間の対立が長引くことで、経営トラブルに発展することもあるため、議決権の問題は慎重に取り扱う必要があります。

 

社員間の対立を防ぐには、定款内で議決するときのルールを定めておく方法が効果的です。例えば、「出資額に応じて議決権を持ち、過半数の同意で意思決定ができる」などの旨を定款に定めれば、出資比率に応じた議決権を与えることができ、結論が出やすくなります。

 

合同会社は定款の自由度が高いことがメリットです。運用のルールを明確に定めることで、トラブルのリスクを回避することができるでしょう。

出資者間で利益配分のルールを決める

利益分配は出資比率に応じて行うのが一般的です。しかし、合同会社の場合、定款に定めることで、利益分配の割合を自由に変更できます。自由に変更できることはメリットに感じますが、他の出資者が納得していないルールだと、不公平感によって確執が生まれるかもしれません。

 

利益分配のルールを決めるときは、出資者間で慎重な議論を重ね、双方が納得いく内容を定款に盛り込みましょう。公平でわかりやすいルールにするなら、業績や会社への貢献度など、目に見える成果を利益分配に反映させることも効果的です。

余裕のあるスケジュールで設立する

合同会社を設立するには、基本事項の決定や登記申請といった一連の手続きが必要です。手続きの中には法務局の審査など、時間がかかるものもあるため、全てが終わるまでに1ヶ月程度以上かかることもあるでしょう。無計画だと、予定よりも大幅に設立時期がズレるかもしれません。

 

また、慌てて手続きすると、必要な届出を漏らしてしまうなどのミスにも繋がります。前述した通り、提出期限から遅れるとペナルティの対象になる手続きがあるため、期限などのスケジュール管理は徹底して行いましょう。

税金を意識した資本金にする

前述した通り、資本金の金額は、後に発生する税金に影響を与えます。設立して間もないときは、経営基盤も安定しておらず、税金の支払いが負担に感じることも少なくありません。税負担を軽減させたいなら、税金を意識した資本金を設定しましょう。

 

ただし、資本金が少なすぎると、早期の段階で資金の枯渇を招く恐れがあります。資金が枯渇すると、取引先に支払いができないなど、取り返しのつかないことになります。今後の事業計画と税金への影響を天秤にかけながら、適切な金額を見つける必要があるでしょう。

 

資本金や設立準備でお悩みのことがあれば、ぜひ当事務所へご相談ください。200件以上の創業支援経験を踏まえた具体的なアドバイスが可能です。もちろん節税対策のご提案も行っております。ご相談はお電話でもできますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

税理士に合同会社の設立を相談するメリット

合同会社の設立を相談できる専門家には、司法書士、行政書士、税理士がいます。これらの専門家に相談すると、短期間で会社設立ができたり、事業に専念しやすくなったりします。ただし、専門家ごとに相談できる内容や範囲が異なる点には注意が必要です。

 

・司法書士…定款の作成や設立登記などを依頼できる

・行政書士…営業許可証、建設許可証などの行政手続きを依頼できる

・税理士…税金関連の届出や資金調達のサポートなどを依頼できる

 

ここからは、会社設立を税理士に相談することで得られるメリットを3つ紹介します。

書類作成や手続きの負担が減る

前述した通り、会社設立の手続きには、多くの書類作成が必要です。初めて手続きを行う場合、書き方やフォーマットを調べながらの作業になるため、出来上がるまでにかなりの時間を要します。設立手続きに負担を感じ、本業との両立が難しくなることもあるでしょう。

 

書類作成や手続きの負担を減らしたいなら、専門家への相談がおすすめです。税理士には、税金関連の届出や資金調達のサポートなどを依頼できます。また定款の作成などは、提携している司法書士などを紹介してくれることもあります。

 

税理士に相談することで、他の専門家を探す手間が省け、手続きの負担を大幅に軽減できるでしょう。専門家が正確な手順で手続きを進めるので、短期間での会社設立も可能になります。

税金を意識した会社設立ができる

資本金の他にも、税金に関係する決定事項があります。例えば、役員報酬が挙げられますが、いくらに設定すれば得になるかは、個々の状況で異なります。役員報酬などは原則年度の途中での変更ができないため、会社設立時にしっかり検討しなければなりません。

 

税金を意識した会社設立は簡単ではありません。対策を打つには、知識と経験が必要なため、自信がなければ税理士に相談しましょう。ケースによっては、数十万円規模での節税ができるので、税金で損をしなくて済みます。

 

また、節税できれば手元に資金を多く残せるため、資金繰りの改善や事業の拡大も期待できるでしょう。以下の記事では、企業の成長が加速する税理士の選び方について紹介しています。スピード感を持って会社を成長させたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

関連記事:企業の成長が加速する税理士の選び方は?依頼する目的から選ぶ税理士の選び方とポイント

関連記事:中小企業の役員報酬の相場は?役員報酬が高すぎる中小企業の注意点と手取りをシミュレーション

会社設立後もサポートが受けられる

会社設立後は、経営方針の決定や財務管理など、数々の業務をこなす必要があります。あまりの多忙さに事業に専念できないと感じる方も少なくありません。また、法人の決算申告は、個人の税務申告よりも複雑なため、ひとりでは対応しきれないこともあるでしょう。

 

会計や税務の悩みについては、税理士への相談で解決できます。税理士は会計処理や決算申告などのサポートを行っているため、経営者は事業に専念しやすくなります。他にも、融資や助成金などの相談も可能なため、資金繰りなどで困ったときにも頼りになるでしょう。

 

また、税理士は、会計業務のサポートを通じて、経営の問題点などを見つけてくれます。「月次報告」という方法でも課題などを発見することができますが、初心者だとわかりづらいため、正確に問題点を把握するなら税理士からの長期サポートがおすすめです。

 

関連記事:月次報告とは?経理初心者が月次決算をするメリットと会社の成長を加速させるポイント

合同会社の設立はお気軽にご相談を!

設立手続きはひとりでもできますが、専門的な知識がない場合、事務の手間だけでなく、税負担も増える可能性があります。税金の負担は、資金繰りにも直結する問題のため、軽視できません。税金を意識した会社設立を行うためにも、税理士に相談しながら準備を進めましょう。


合同会社の設立でお悩みの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。会社設立の手続きだけでなく、会計業務や決算申告など、設立後のサポートも充実しています。ご相談はお電話でも受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。

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