法人成り

法人化するタイミングは何月がいい?おすすめしない月と月の途中で法人成りするときのポイント

個人事業主が法人化しようと考えたとき、まず気になるのが「いつ設立するのがベストなのか?」ということではないでしょうか。

 

実は、法人化のタイミング次第で、税金や経理の負担が大きく変わる可能性があります。何も考えずに設立してしまうと、想定外の税金負担や手続きの煩雑さに悩まされることも。

 

本記事では、法人化のタイミングについてわかりやすく解説します。あなたの事業にとって最適な設立日を見つけ、スムーズなスタートを切るために、ぜひ参考にしてください。

目次

法人化のタイミングは何月がいい?

法人化するタイミングは、事業の状況や目的によって異なります。その他にも税務や経理の手続きのしやすさ、資金繰り、決算月などを考慮する必要があります。スムーズに法人成りができる1月や決算月が多い3月にするため4月に法人化を考える人が多いのではないでしょうか?

 

ここでは、1月と4月に法人化するそれぞれのメリットとデメリットを解説します。

1月から法人化するメリットとデメリット

1月に法人化するメリットは、新しい年の始まりとともに法人としてスタートできるため、ビジネスの計画を立てやすくなることです。

 

また、会計期間を1月から12月にすることで、個人事業時代の収支との比較がしやすくなります。個人事業の決算を12月で締め、そのまま法人として1月から開始すれば、個人と法人の会計が混在することなく、確定申告の手間を減らせます。

 

一方で、1月に法人化するデメリットもあります。年末年始は役所や金融機関が休業しているため、手続きを進めるには年末に準備を整えておかなくてはなりません。また、年始は売上が落ち込みやすい業種も多いため、法人設立後の資金繰りをしっかり考えておくことが必要です。

4月から法人化するメリットとデメリット

4月に法人化するメリットは、学校や官公庁の新年度とタイミングを合わせられるため、事業の計画を立てやすくなることです。新しい年度の始まりに合わせて法人化することで、取引先や従業員にも分かりやすく、スムーズな運営が可能になります。

 

一方で、4月に法人化することにはデメリットもあります。決算月が3月の法人が多いため、税理士や会計士の繁忙期と重なり、十分なサポートを受けられないかもしれません。また、4月は新規法人の設立が増える時期でもあるため、法務局や税務署の手続きが混雑し、思うように進まないこともあります。

設立日よりも決算日を重視する

法人を設立する際、設立日をいつにするかを考えることが多いですが、それ以上に決算日の設定を重視しましょう。決算月をいつにするかによって、税金の支払い時期や経理のしやすさが変わるため、慎重に選ぶ必要があります。

 

例えば、決算日は事業の繁忙期を避けるとよいでしょう。忙しい時期に決算を迎えると、経理作業の負担が増えてしまうため、余裕のある時期を選ぶことが大切です。

 

また、税金の支払いタイミングも考慮する必要があります。特に消費税の納税義務が発生するタイミングを把握し、キャッシュフローに影響が出ないように調整することが必要です。

 

関連記事:法人化に後悔する5つのケースとは?法人化が後悔する人の特徴と対策

法人化を避けた方がいい決算月

法人の決算月は、慎重に選ぶことが大切です。決算月の2ヶ月後には法人税や消費税の申告・納付期限が訪れるため、資金繰りや事務作業の負担が大きくなるからです。

 

例えば、次のような月は、決算月として避けた方が良い場合があります。

 

・事業の繁忙期と重なる月

・プライベートのイベントと重なる月

・資金繰りが厳しくなる月

・税理士が忙しくなる12月から5月

 

順に見ていきましょう。

事業の繁忙期と重なる月

決算処理には多くの時間と労力が必要になります。事業の繁忙期と決算が重なると、経理作業に十分な時間を割けず、結果的にミスが生じるリスクが高まります。

 

例えば、年末や年度末など、業種によっては忙しくなる時期を避けることで、スムーズに決算を進めることができます。事業の繁忙期と重なる月を決算月にする場合、決算時の負担を減らすための準備をすることが大切です。

プライベートのイベントと重なる月

決算月がプライベートの大切なイベントと重なると、個人的な時間を確保するのが難しくなります。個人事業主のときには家族との時間を確保できていたとしても、法人化後は決算の業務が増えるため、自由な時間を持ちにくくなるかもしれません。

 

例えば、年度末や長期休暇前の決算だと、休みをしっかり取ることが難しくなるため、慎重に決める必要があります。プライベートが疎かになると、家族から不満がでるかもしれません。

 

プライベートを重視する場合は、イベント月と重ならない決算月を選びましょう。

資金繰りが厳しくなる月

法人税や消費税の納付期限は決算月の2ヶ月後に訪れます。そのため、売上の入金が少ない月や、経費の支払いが多い月と重なると、資金繰りが厳しくなるかもしれません。

 

例えば、取引先の支払いサイトが長く、資金の回収が遅れる月を決算月にすると、納税資金の確保が難しくなることもあります。法人税や消費税の納付が遅れると、延滞税などのペナルティが課される可能性があります。

 

資金繰りが厳しくなる月を決算月にする場合、納税資金を毎月積み立てることをおすすめします。以下の記事では、資金繰りが厳しい会社の特徴について解説しているので、資金繰りが厳しいと感じる方は参考にしてください。

 

関連記事:資金繰りが厳しい会社の特徴は?さらに悪化する原因と資金繰りに苦しい会社を改善する方法

税理士が忙しくなる12月から5月

法人の決算や確定申告の関係で、税理士は12月から5月にかけて特に忙しくなります。この時期は、個人の確定申告や多くの法人が決算を迎えるため、税理士事務所に依頼をしても新規の受け入れを断られる可能性があります。

 

良い税理士が見つかっても、繁忙期には対応してもらえない場合があるため、余裕をもって税理士選びをすることが重要です。

 

法人化や決算のタイミングについて迷っている方は、専門家に相談することをおすすめします。石黒健太税理士事務所では、法人設立のサポートや適切な決算月のアドバイスを提供しています。電話相談も可能なため、まずはお気軽にお問い合わせください。

月の途中で法人成りするときの注意点

個人事業主から法人化する際、月の途中で法人成りすることもあります。しかし、月の途中で法人成りするときは、税務や会計の処理に注意が必要です。個人と法人の収入・支出を明確に区別しないと、税金の計算ミスやトラブルにつながる可能性があります。

 

ここでは、スムーズに法人成りを進めるために押さえておきたい注意点を解説します。

締め日に注意する

個人事業から法人に移行する際、締め日と異なるタイミングで法人成りすると、個人と法人の収支が混在し、税金の計算を間違える可能性があります。

 

例えば、個人事業の締め日が月末にもかかわらず、月の途中で法人化すると、売上や経費をどちらに計上するか混乱しやすくなります。これを避けるために、個人事業の最終日と法人の開始日を明確にし、それぞれの取引を分けて記帳することが重要です。

青色申告特別控除額を期間按分しない

個人事業では、青色申告をしている場合に最大65万円の控除を受けられる「青色申告特別控除」があります。月の途中で法人化すると、「個人事業としての期間が短いから、控除額を按分しなければならないのでは?」と考えることもあるでしょう。

 

実は、青色申告特別控除の按分は不要で、事業期間に関わらず満額適用されます。

 

1月1日から12月31日まで個人事業を続けても、1月1日から3月15日で法人化しても、適用条件を満たしていれば控除額は変わりません。誤って按分計算してしまうと、控除を受けられる額が減ってしまうので注意しましょう。

1ヶ月に満たない端数は切り捨てて均等割を計算する

法人には、所得の有無に関わらず支払わなければならない「均等割」という税金があります。この均等割は、法人が設立された月から決算月までの月数で計算されます。ただし、1ヶ月に満たない期間は切り捨てて計算されるため、月の途中で法人を設立した場合、その月はカウントされません。

 

例えば、3月15日に法人を設立し、12月決算とした場合、均等割の対象となる月数は「4月から12月の9ヶ月」となります。1ヶ月に満たない期間はカウントせず、無駄な税金を支払わないようにしましょう。

 

参考:京都市「法人市民税

会社設立日の決め方

会社を設立するときは、設立日を慎重に選ぶことが大切です。設立日は法人としてのスタートを切る重要な日であり、事業運営や税務上の影響もあります。

 

ここでは、設立日を決める際のポイントを解説します。

縁起が良い日を選ぶ

日本では、縁起の良い日に重要な決断をする習慣があります。特に会社設立日も、縁起を担いで決める方が多いです。

 

例えば、「大安」は最も縁起が良いとされる日で、結婚式や開業日などに選ばれることが多いです。また、「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」も、始めたことが何倍にも広がるとされ、事業の成功を願うのに適しています。

 

これらの日を考慮して設立日を決めるのも一つの方法です。縁起がいい会社名や成功しやすい会社名については、以下の記事で解説しています。

 

関連記事:縁起がいい会社名・成功しやすい会社名の決め方は?注意すべき基本ルールと決まらないときの対策

個人的な記念日にする

個人的に意味のある日を会社設立日にするのも良い方法です。例えば、自分の誕生日や家族の記念日などに会社を設立すると、モチベーションの向上につながります。また、記念日と合わせることで、設立日の管理がしやすくなるメリットもあります。

 

一生に一度の決断として、思い入れのある日に法人化することで、より特別なスタートを切ることができるでしょう。

消費税の免除期間で決める

会社を設立する際には、消費税の免除期間を考慮することも重要です。通常、資本金1,000万円未満の法人は、設立から最大2年間、消費税の納税が免除される可能性があります。

 

例えば、決算月を5月にする場合、6月を会社の設立日にすると消費税の免除期間が長くなります。

 

ただし、インボイス発行事業者になったり、消費税課税事業者選択届出書の提出していると納税義務の免除は適用されないため、どのような選択をするとよいか事前に確認することが必要です。

 

関連記事:法人成りすると消費税の免除がなくなる?免除期間を長くするポイントと個人事業主への影響

所得税をシミュレーションして決める

法人成りすると、法人税や消費税だけでなく、個人の所得税にも影響を与えます。そのため、個人事業主のときよりも法人化した方が所得税の負担が軽減されるまたは増加するケースがあります。

 

例えば、法人の利益や役員報酬の設定によって税金の額は大きく変わるため、事前にシミュレーションを行うとよいでしょう。税金計算は複雑なため、専門家である税理士に相談することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、より有利な設立時期を選ぶことができます。

 

関連記事:1人社長が儲かると言われる理由は?役員報酬を決めるときの注意点と1人社長が抱える悩み・リスク

法人化のお悩みはお気軽にご相談を!

法人化のタイミングや手続きは、事業の状況や税務の影響を考えて慎重に決めることが大切です。特に月の途中で法人成りする場合は、個人事業と法人の取引を明確に分け、税務処理のミスを防ぐ必要があります。

 

また、法人化の準備を進める際には、決算月や消費税の免除期間なども考慮し、事業にとって最適なタイミングを見極めることが重要です。資金繰りや税金の負担を抑えるためにも、事前にシミュレーションを行い、余裕をもって計画を立てましょう。

法人化は事業の成長にとって大きな一歩ですが、正しい知識と準備があればスムーズに進められます。迷ったときは専門家に相談するのが安心です。

 

法人化に関するお悩みは石黒健太税理士事務所にお気軽にご相談ください。あなたの事業の成功を全力でサポートいたします。

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