仕入れのない商売7選と特徴
商売で利益を得るには、商品の仕入れが必要と考える方も多いでしょう。しかし、インターネットの普及によって、形のない財やサービス(無形財)の需要が増えています。また、顧客のニーズが複雑になった昨今、アイデア次第では仕入れなしでも利益を拡大することが可能です。
仕入れのない商売には、以下が挙げられます。
仕入れのない商売 |
特徴 |
Webライター |
・パソコンなどの機材があれば起業できる ・クライアントの記事などを作成することで報酬が得られる ・文章の読み書きや、リサーチ能力が求められる |
アフィリエイト |
・パソコンなどの機材があれば起業できる ・紹介した商品が売れると報酬が得られる ・好きな時間に作業できる分、自己管理能力が必要になる |
ドロップシッピング |
・パソコンなどの機材があれば起業できる ・仕入れや在庫管理なしで商品を販売できる ・顧客を集客するためのマーケティングスキルが必要になる |
デジタルコンテンツ販売 |
・パソコンなどの機材があれば起業できる ・スキルや得意なことを商品として販売できる ・コンテンツ作成のスキルや集客スキルが必要になる |
コンサルタント |
・パソコンなどの機材があれば起業できる ・クライアントを支援することで報酬が得られる ・問題解決能力やコミュニケーション能力が必要になる |
動画編集 |
・高機能パソコンなどの機材があれば起業できる ・YouTubeの配信や企業の研修動画など仕事の幅が広い ・地道な作業が多いため、忍耐力が必要になる |
SNS運用代行 |
・スマホやパソコンなどの機材があれば起業できる ・企業などのSNSを代わりに運用することで報酬が得られる ・データの分析力やトレンドなどの情報収集能力が求められる |
仕事の概要について、くわしく解説します。
Webライター
Webライターとは、インターネット上に掲載する記事を執筆する仕事です。主な仕事内容としては、情報収集や構成の作成、執筆などが挙げられます。作成した記事は、クライアントのWebサイトなどに掲載されるため、書籍販売のように在庫を抱える心配がありません。
事業に必要な初期投資は、以下の通りです。
・パソコンなどの機材
・インターネット環境などの整備
パソコンや安定したインターネット環境が整っていれば、すぐに起業ができるのは魅力的と言えるでしょう。ただし、参入障壁が低く、競合の多い仕事でもあるため、継続的なスキル向上が求められます。執筆作業を苦に感じない方や、情報収集が好きな人には向いているでしょう。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、企業の商品やサービスを紹介して報酬を得るビジネスモデルです。具体的には、ブログやSNSに掲載した広告から商品やサービスが売れると、紹介料として報酬を受け取れます。他者の商品を紹介するビジネスのため、自分で在庫を持つ必要がありません。
事業に必要な初期投資は、以下の通りです。
・パソコンなどの機材
・インターネット環境などの整備
・ブログなどのサイト開設
ブログ開設の費用は、1万〜2万円が相場です。そのため、自宅に機材などが揃っている場合は、少額での起業が可能です。アフィリエイトは、読者の獲得によって、継続収入に繋がる可能性があるため、資産性の高いビジネスと言えます。
ただし、ブログなどの運営は、読者獲得までに時間がかかるため、即金性が低い点には注意が必要です。読者獲得のためのマーケティングスキルや、継続するための自己管理能力が求められます。
ドロップシッピング
ドロップシッピングとは、「無在庫販売」とも呼ばれるビジネスモデルです。具体的に説明すると、運営するサイトに商品の注文が入った際、メーカーや卸売業者に注文情報を送信することで自動で顧客に商品が発送される仕組みになっています。
事業に必要な初期投資は、以下の通りです。
・パソコンなどの機材
・インターネット環境などの整備
・オンラインストアなどの開設
事業を始めるにあたって、オンラインストアなどのサイトが必要です。サイトの設立費用は、規模などによって様々ですが、ネットショップ作成サービスなどを利用すると、0円になる場合もあります。在庫リスクがないため、初心者でも始めやすいのがメリットです。
ただし、競合が多いため、価格競争に巻き込まれる可能性があります。継続的に収入を得るためには、他社との差別化を図るなどのマーケティングスキルが必要です。
デジタルコンテンツ販売
デジタルコンテンツ販売とは、スキルや得意なことを商品にして販売するビジネスモデルです。例えば、有益な情報をまとめた動画を販売する方法や、イラストやテキストの販売が挙げられます。精通する情報やスキルがあれば事業が成り立つのが特徴です。
事業に必要な初期投資は、以下の通りです。
・パソコンなどの機材
・インターネット環境などの整備
・サイトの開設
既存のプラットフォームを利用してコンテンツを販売する場合は、初期投資0円で起業できる可能性があります。また、デジタルコンテンツは、一度作成した商品の複製や、改良などが容易なため、効率良く作業できるのは強みと言えます。
ただし、コンテンツの魅力を伝えるための宣伝・集客スキルや、コンテンツの作成能力が求められるため、収益化までのハードルが高いと感じる方もいるでしょう。販売までの準備に時間がかかる恐れがあるので注意が必要です。
コンサルタント
コンサルタントは、企業などからの相談に対して、提案や改善を行う仕事です。コンサルの種類には、「経営」「マーケティング」「業務改善」など、様々な種類があります。資格は必要ないものの、特定の分野について豊富な知識やノウハウが求められます。
事業に必要な初期投資には、以下が挙げられます。
・パソコンなどの機材
・オフィスなどの賃料(自宅開業の場合不要)
・広告費
仕入れは必要ないものの、顧客の獲得の手段として広告費用を行うのが一般的です。顧客が獲得できれば継続収入を得られますが、軌道に乗るまでにかかる広告費用は1ヶ月5万円〜30万円ほどかかります。起業後、ランニングコストがかかる可能性がある点には注意が必要です。
動画編集
動画編集とは、映像のカットや加工などの編集、BGMの挿入などを行う仕事です。クライアントから依頼された業務を行うのが一般的で、CM作成やYouTube動画など、案件の種類が多いのが特徴です。
事業に必要な初期投資は、以下の通りです。
・パソコンなどの機材
・インターネット環境などの整備
・動画編集ソフトの導入
編集ソフトを動作させるので、高機能パソコンを準備する必要があります。動画処理に適したパソコンの価格は、20万円以上が相場です。また、細かい作業の連続も多いため、忍耐力も必要です。細かい作業を苦に感じない方には向いているでしょう。
SNS運用代行
SNS運用代行とは、企業などの代わりにSNSの運用を行う仕事です。具体的な仕事内容には、SNSへの投稿や投稿後の分析、フォロワーの獲得などが挙げられます。スマホやパソコンがあれば事業が成り立つため、気軽に始められるのはメリットでしょう。
事業に必要な初期投資は、以下の通りです。
・スマホやパソコンなどの機材
・インターネット環境などの整備
自宅に機材やインターネット環境が整っている場合は、0円での起業も可能です。また、Instagramなどのプラットフォームは、利用料がかからないため、管理コストが低いのも特徴です。ただし、参入障壁が低いため、競合が多い点に注意が必要です。
競合との競争に勝ち残るには、分析力やトレンドなどを把握する情報収集能力が求められるため、普段からSNSをよく利用する人には向いているでしょう。
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在庫を持たない商売のメリット
事業を行う上で仕入れが必要な場合、コストの増加や在庫リスクなど、様々な不安がつきまといます。そのため、リスクを最小限に抑えたいなら、在庫を持たないビジネスモデルを検討するのがおすすめです。
ここからは、在庫を持たない商売のメリットを5つ紹介します。
初期投資を抑えられる
在庫を抱える商売を始める場合、商品の仕入れ、倉庫の敷金・礼金や火災保険など、様々な初期投資が必要です。費用は、商品の種類や事業規模などによって様々ですが、100万円近くかかるケースがあるのも事実です。初期投資が高額だと、資金繰りの悪化を招くことにも繋がります。
一方、在庫を持たない商売であれば、仕入れや倉庫の保管場所などの初期投資が必要ありません。そのため、在庫を抱える商売よりも、費用を抑えた起業が可能です。初期投資が抑えられれば、起業後、費用を早々に回収しやすいなどのメリットが得られます。
在庫管理の手間とコストが不要になる
商品を仕入れると、在庫数の把握や最適な状態で維持するための管理などの手間が発生します。商品の種類によっては、保管場所の賃料だけでなく、光熱費なども必要になるでしょう。これらのランニングコストは、経営を圧迫する恐れがあるため軽視できないポイントです。
しかし、在庫を持たない商売であれば、在庫管理に関する費用や手間がかかりません。そのため、ランニングコストの削減や、業務の効率化を図ることができ、さらなる事業の成長が期待できます。
売れ残りや廃棄ロスのリスクがない
商品の売れ残りには、商品価値の低下や仕入額を回収できないなどのリスクが生じます。また、商品の廃棄には、コストが発生するだけでなく、ブランドイメージが低下するなどのリスクもあります。商品価値が下がれば利益率が悪化するため、経営不振を招く恐れがあるのです。
在庫リスクによる影響を受けたくないなら、在庫を持たない商売を選ぶと良いでしょう。インターネットビジネスなどの無形財の商売であれば、商品の在庫を気にする必要がありません。
場所を選ばずに働けることがある
将来的に、家庭の事情などで移住を選択することもあるでしょう。しかし、店舗で商品を販売するビジネスモデルの場合、働く場所が固定される恐れがあります。店舗の移転は費用も手間もかかるため、場合によっては廃業を選択するケースも珍しくありません。
一方、在庫を持たない商売の場合、業種によっては場所を選ばずに働けることがあるのです。例えば、前述したWebライターやアフィリエイトなどは、基本的にパソコンとインターネット環境があれば、どこでも仕事ができます。
場所にとらわれない働き方ができれば、子育てや介護などの不安がある方でも、事業が継続しやすくなります。将来的に移住などの選択肢がある方は、在庫を持たない商売が向いているでしょう。
事業転換や撤退がしやすい
在庫を抱えるビジネスでは、事業転換や撤退が難しいのがデメリットです。例えば、アパレルから別事業に転換したい場合、服などの在庫を処分する必要があります。処分セールなどを行うケースでは、利益が出ず、資金繰りの悪化に繋がることもあるでしょう。
最初の事業で失敗すると、次に起業することを躊躇するかもしれません。事業方針の転換を余儀なくされる事業者がいることも事実なため、身軽に商売を始めるなら、在庫を持たないビジネスモデルを策定しましょう。
当事務所では、事業や経営に関するご相談が可能です。企業様の創業支援や財務改善に携わった経験から、事業の方向性や考え方をアドバイスさせていただきます。ご相談はお電話でも受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。
起業に失敗しないためのポイント
起業に失敗する主な原因には、「資金不足」や「見通しの甘さ」などが挙げられます。特に資金面の問題は、経営や事業に大きな影響を及ぼすため、軽視してはいけません。起業での失敗を避けるには、事前の準備や計画立てが大切です。
ここからは、起業に失敗しないためのポイントを5つ解説します。対策を後回しにすると、経営不振や倒産などの取返しのつかない事態を招く恐れがあるため、紹介する内容をしっかりと理解しておきましょう。
スモールビジネスから始める
スモールビジネスとは、少額から始められる小規模なビジネスのことを指します。スモールビジネスには、以下の特徴があります。
・初期投資や人件費などのランニングコストが抑えられる
・少人数の運営のため意思決定がスピーディー
・自由に働きやすい
・副業から始められる
事業規模が大きい場合、設備投資や運転資金を確保するために多額の融資を受けることもあるでしょう。しかし、多額の資金を動かすのはリスクが高いと言えます。事業が軌道に乗るまでには時間がかかるため、返済の負担によって資金繰りが悪化する可能性があるのです。
事業運営と資金繰りは密接に関係しています。倒産や廃業などのリスクを抑えたいなら金銭的な心配が比較的少ないスモールビジネスがおすすめです。以下の記事では、起業に向けて必要な準備などを解説しています。
関連記事:とにかく起業したい30代が今するべきことは?焦って起業するリスクと成功するためのポイント
時間管理と自己管理を徹底する
サラリーマンなどの場合、仕事の進捗を上司が管理していることもあるでしょう。しかし、起業後は、自分自身でタスクや締め切りの管理を行わなければなりません。納期遅れは、信用の低下を招きます。継続収入を得るには、取引先からの信用が必要不可欠であると言えます。
また、事業を行う中で、「急に売上が下がる」などの予測していない事態に陥ることもあるでしょう。しかし、焦って行動すると、利益がさらに下がってしまうなどの悪循環を生む可能性があります。
事業の継続や安定化には、冷静な分析と社会的信用が必要です。「時間管理能力」や、メンタルに影響を与える「自己管理能力」は意識すれば身につく能力です。起業後が不安な方は、今のうちに生活改善に取り組んでおきましょう。
資金計画を立てる
資金計画とは、お金の出入りを予測した計画のことです。毎月いくらの支出があり、いくら収入が入る予定かを細かく予測することで、お金の流れが可視化でき、事前に現金の不足などに気づきやすくなるのです。
起業に失敗する理由のひとつに、資金のショートが挙げられます。資金のショートとは、手元のお金が不足し、支払いができない状態のことを指します。黒字化に成功しても、資金がなければ、経費や取引先への支払いができず、黒字倒産に陥る恐れがあるのです。
また、起業前には資金の準備も大切です。必要な金額を用意できていない場合、起業後に資金が足りなくなる恐れがあります。以下の記事では、起業時に必要な金額について解説しているので、自己資金を用意するときの参考として、ぜひご覧ください。
関連記事:起業資金の最低額の目安は?起業資金不足の対策と50万円あれば始められるビジネス7選
ランニングコストを減らす
事業運営では様々なコストが発生します。個人事業主や法人などの形態によって、発生するコストに差があるものの、一般的に以下の費用がかかります。
・人件費
・光熱費
・家賃
・税金
・税理士顧問料
また、法人の場合は、上記に加えて「役員の変更に伴う登記費用」や「株主総会の開催費用(株式会社のみ)」などがかかります。事業規模によって異なりますが、法人の場合、ランニングコストは少なくとも月5万円以上はかかるでしょう。
ランニングコストは、事業や会社運営の維持に必要な費用のため、見通しが甘いと赤字期間を長引かせることに繋がります。黒字化を早期に達成させるためにも、前述したスモールビジネスから始めるなどのコスト削減に取り組みましょう。
以下の記事では、起業後のランニングコストについてくわしく解説しています。コスト負担によるリスクを抑えたい方は、ぜひご覧ください。
関連記事:スムーズに起業する方法と手続きは?起業後にかかるランニングコストと成功率を高めるポイント
起業を得意とする専門家に相談する
起業では、行政機関への届出や事業に必要な資金の調達、会社の登記申請など準備することが山ほどあります。また、法律の知識などがない場合、手続きを漏らしてしまうことも珍しくありません。手続きの漏れによって、罰則などのペナルティを科せられる恐れがあるため注意しましょう。
起業時の手続きなどに不安がある方は、専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談することで、「スムーズに起業できる」「事業の準備に専念できる」などのメリットが得られるためです。
また、起業の相談ができる専門家には、「司法書士」「行政書士」「税理士」がいますが、経営や税金面での相談は、税理士が適任です。税理士は、節税対策や融資のサポートなど、金銭的な問題の解決に長けているため、相談によって早期に事業の安定化が図れます。
以下の記事では、税理士への相談について深堀しています。お困りのことがあれば、ぜひこちらの記事もご覧ください。
関連記事:税理士は無料相談でどこまで対応してくれる?電話相談はおすすめできない理由と有意義にするポイント
起業のお悩みはお気軽にご相談を!
Webビジネスなどの仕入れのない商売は、初期投資や在庫管理のコストがかからない他、身軽な働き方が実現しやすいのもメリットです。そのため、初めて事業を行う方でも気軽に挑戦しやすいでしょう。
しかし、事業の成功には、ランニングコストを把握することや、徹底した資金管理を行うことが大切です。対策が後手になると、損失などを取り返すのは難しくなるため、専門家などのサポートを得ながら、事前に計画立てなどの準備を行いましょう。
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