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マイクロ法人が後悔すると言われる理由は?売上なしマイクロ法人の注意点を解説

「マイクロ法人は節税になると聞いたけど本当だろうか」「マイクロ法人で後悔する人がいるけど、なぜだろう」と、悩んでいないでしょうか。マイクロ法人は、副業や節税対策として注目を集めていますが、後悔するケースは珍しくありません。

 

マイクロ法人が後悔すると言われる理由は以下が挙げられます。

・ランニングコストがかかるから

・個人に比べて法人の申告は難しいから

・赤字でも均等割が発生するから

・法人の赤字と個人の所得を相殺できないから

・将来受け取る年金が少なくなるから

 

また、売上なしでもマイクロ法人を設立できるか、気になるところでしょう。結論から言うと、売上なしでもマイクロ法人を設立できます。しかし、売上なしでも申告が必要、ペーパーカンパニーと誤解されると脱税とみなされる恐れがあるため注意しましょう。

 

「マイクロ法人は設立しない方がいいのではないか」と、疑問に感じていないでしょうか。マイクロ法人に後悔するケースはありますが、事前にしっかりと準備することで対策が可能です。

 

この記事では、マイクロ法人設立が後悔すると言われる理由や、売上なしのマイクロ法人を設立する注意点について解説します。設立する年収の目安、後悔しないための対策についても分かる内容です。

 

この記事を読めば、マイクロ法人設立に関する不安が解消され、あなたにとって最適な選択をするための方法が分かるでしょう。

目次

マイクロ法人が後悔すると言われる理由

マイクロ法人とは、一般的に経営者一人で事業活動を行う会社を指します。個人事業主やフリーランスが、税金や社会保険料の節約を目的に設立されることが多いです。

 

節税対策などになると言われていますが、一方で「マイクロ法人にして後悔した」という声も少なくありません。特に売上がない、または少ないマイクロ法人には注意が必要です。ここでは、マイクロ法人が後悔すると言われる理由について解説します。

ランニングコストがかかるから

会社を維持するためには、さまざまな費用がかかります。これはマイクロ法人でも同じです。たとえ売上がなくても、会社が存在する限りランニングコストは発生します。法人を維持するためのランニングコストは以下が挙げられます。

 

・家賃

・水道光熱費

・社会保険料

・税理士の報酬

・税金

 

ランニングコストは会社の収入に関係なく発生するため、収入が少ない場合は大きな負担となります。マイクロ法人を設立する前に、発生するランニングコストをしっかりと把握し、無理のない計画を立てることが大切です。

個人に比べて法人の申告は難しいから

法人の確定申告は、個人事業主の確定申告に比べて複雑です。専門的な知識がないと正確な申告は難しく、誤った申告をしてしまうリスクもあります。また、作成する申告書や書類が増え、一般的には以下の申告書を作成します。

事業形態

作成する申告書の種類

個人事業主

・所得税の申告書

・消費税の申告書

法人

・法人税の申告書

・法人県民税の申告書

・法人事業税の申告書

・法人市民税の申告書

・消費税の申告書

 

個人事業主の確定申告は、収入から経費を差し引いて所得を計算し、それに基づいて税金を計算するという比較的シンプルなものです。しかし、法人は決算書の利益と税金を計算する基となる所得の考え方が異なるため、注意が必要です。

 

個人の確定申告を自分で作成している方でも、法人の申告書を自分で作成するには時間と労力がかかります。法人の申告は、税理士に依頼することが一般的です。

 

税理士に依頼すれば、これらの複雑な手続きを代行してもらえますが、費用がかかります。しかし、専門家のアドバイスを受けられるため、安心して経営に専念できるというメリットもあります。

 

自分で法人の申告をする場合は、しっかりと勉強し、必要な知識を身につける必要があります。税理士に依頼する場合は、費用とメリットを比較検討し、自分に合った方法を選択することが大切です。

 

以下の記事では、会社が税理士を雇わないリスクについて解説しています。

 

関連記事:会社が税理士を雇わないリスクは?税理士なしで法人決算をする方法と費用を抑えるポイント

赤字でも均等割が発生するから

法人は個人事業主と異なり、赤字であっても均等割の納付が必要です。均等割の金額は、会社の資本金や従業員数などによって異なります。たとえば、京都市に資本金1,000万円以下、従業員1人の会社がある場合、均等割は年間7万円です。これは、あくまで一例であり、地域によっては7万円より高い場合もあります。

 

マイクロ法人を設立し、最初の1年間は売上が全くなく赤字だとしても、均等割の納付は必要です。赤字で苦しい状況の中、さらに税金を支払うのは、精神的にも経済的にも大きな負担となるでしょう。

 

均等割は、会社を維持するための最低限の費用と考えるべきです。マイクロ法人を設立する際は、赤字になった場合でも均等割を支払えるだけの資金を確保しておくことが重要です。

 

参考:京都府「法人府民税

参考:京都市「法人市民税

法人の赤字と個人の所得を相殺できないから

個人事業主の場合、事業の赤字は給与所得などの他の所得と相殺できます。しかし、マイクロ法人を設立すると、この相殺はできません。法人の赤字は、あくまで法人の損失であり、社長個人の所得とは切り離して考えられます。法人の赤字は、個人の給与所得などと相殺できないため注意しましょう。

将来受け取る年金が少なくなるから

マイクロ法人を設立すると、将来受け取る年金が少なくなる可能性があります。厚生年金の保険料は、給与の額に応じて決まります。給与が高ければ高いほど保険料も高くなり、将来受け取る年金額も増えるでしょう。逆に、給与が低ければ保険料も安くなりますが、将来受け取る年金額も少なくなります。

 

マイクロ法人の場合、社会保険料の負担を減らすため役員報酬を低く設定することがあります。しかし、役員報酬を低く設定すると、厚生年金の保険料も低くなり、結果として将来受け取る年金額も少なくなる恐れがあります。老後に備えるためには、自分自身で老後資金を準備する必要があるため注意しましょう。

 

マイクロ法人は税金や社会保険料の対策になりますが、後悔するケースも珍しくありません。後悔しないためには、事前に専門家にそうだすることが大切です。

 

マイクロ法人設立の悩みや疑問は、石黒税理士事務所へご相談ください。お電話でもお問い合わせ可能です。

売上なしのマイクロ法人を設立する注意点

マイクロ法人は売上なしでも設立できますが、以下の点に注意しましょう。

・売上なしでも申告は必要になる

・廃業手続きに手間と費用がかかる

・ペーパーカンパニーは脱税とみなされる恐れがある

 

ここでは、売上なしのマイクロ法人を設立する際の注意点について解説します。

売上なしでも申告は必要になる

売上がない状態であっても、税務署や自治体に申告書を提出する義務があります。仮に申告をしない場合、青色申告を取り消されるだけでなく、税務調査の対象となる恐れがあります。

 

また、本来は売上があるのに申告をしないと、本来納めるべき税金に加えて、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があるため注意しましょう。売上なしの決算や税金については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

関連記事:売上なしの合同会社にかかる税金とかからない税金は?売上なしでも決算は不要にならない

廃業手続きに手間と費用がかかる

マイクロ法人を設立したものの事業がうまくいかず廃業する場合、設立時と同様に、さまざまな手続きと費用が発生します。会社を解散し清算する手続きには、法務局への登記申請や官報への公告などの作業が必要です。

 

これらの手続きを自分で行うのは難しいため、司法書士や税理士などの専門家に依頼するのが一般的です。専門家への依頼費用は、数万円から数十万円程度かかる場合があります。また、会社に残った財産を整理する際にも、費用が発生する可能性があります。

 

法人を設立する際は将来的に廃業する可能性も考慮し、手続きや費用について事前に調べておくことが重要です。簡単に設立できるからといって安易に法人化すると、後で思わぬ負担が生じる可能性があるため注意しましょう。

ペーパーカンパニーは脱税とみなされる恐れがある

ペーパーカンパニーとは、登記上は存在するが、事業活動の実態がない会社を指します。税務署はペーパーカンパニーの監視しており、節税目的でペーパーカンパニーを作るのはリスクが高いと言えます。

 

売上なしの法人すべてがペーパーカンパニーに該当するわけではありませんが、事業活動をしていない場合は、ペーパーカンパニーとみなされる恐れがあるため注意しましょう。

 

関連記事:法人化に後悔する5つのケースとは?法人化が後悔する人の特徴と対策

マイクロ法人の設立は年収いくらから?

マイクロ法人を設立する年収の目安は、以下が考えられます。

・ランニングコストが確保できる年収30万円

・社会保険料を抑えた年収100万円

 

ここでは、マイクロ法人を設立する年収の目安について解説します。

ランニングコストが確保できる年収30万円

役員報酬を設定しない場合、ランニングコストが維持できる金額が目安となります。具体的には、法人のランニングコストの目安は以下です。

 

ランニングコストの内容

目安金額

法人住民税の均等割

7万円

税理士の報酬

15万円

通信費や水道光熱費などの諸経費

8万円

合計

30万円

 

また、上記のランニングコスト以外に、事務所の家賃などがかかる可能性もあります。

 

これらの費用を無理なく支払えるだけの収入があるかどうかが、マイクロ法人設立の一つの目安と言えます。事業収入が安定して30万円以上見込めるようになったら、法人化を検討する初期段階と言えるでしょう。

社会保険料を抑えた年収100万円

社会保険料を抑える場合は、年収100万円が目安となります。役員報酬を設定した場合のランニングコストの目安は以下です。

 

ランニングコストの内容

目安金額

役員報酬

54万円

会社負担分の社会保険料

14万円

法人住民税の均等割

7万円

税理士の報酬

15万円

通信費や水道光熱費などの諸経費

10万円

合計

100万円

 

社会保険料と所得税を安くするためには、役員報酬を月45,000円以下(年間54万円)にする必要があります。役員報酬を45,000円とする場合、会社が負担する社会保険料は約14万円です。また、社会保険の手続きを依頼する場合、代行費用もかかるため、ランニングコストとして100万円ほどかかるでしょう。

 

法人設立は税金や社会保険料を抑えることだけを目的とするのではなく、自身の生活費や将来設計も考慮することが重要です。1人社長の社会保険料の目安については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

関連記事:1人社長の社会保険料はいくら?具体的な計算方法と役員報酬8万円の社会保険料の金額

マイクロ法人の設立に後悔しないための対策

マイクロ法人は、ランニングコストや赤字でも均等割が発生するなどの理由で後悔する可能性があります。マイクロ法人の設立に後悔しないためには、以下のポイントを意識しましょう。

・設立する目的を明確にする

・法人と個人の違いを理解する

・事前に詳細なシミュレーションをする

 

ここでは、マイクロ法人の設立に後悔しないための対策について解説します。

設立する目的を明確にする

マイクロ法人設立で後悔しないためには、会社を作る目的をはっきりさせることが大切です。会社設立には税金面での優遇など、魅力的に見える点があります。それだけを目的にしてしまうと、設立後に後悔する可能性があります。

 

目的意識が明確でないと、日々の業務の中で発生する事務作業や手続きの煩雑さに、モチベーションを維持できなくなるかもしれません。モチベーション対策として、設立する目的を明確にすることで、日々の業務に対するモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

法人と個人の違いを理解する

マイクロ法人を設立する前に、法人と個人事業主の違いをきちんと理解しておくことが重要です。

 

たとえば、お金の管理方法です。個人事業主の場合、事業で得たお金は自分のお金として自由に使うことができます。しかし、法人の場合は、会社のお金と個人のお金を明確に区別しなければなりません。たとえ社長一人だけの会社であっても、会社のお金を個人的に使うことは原則として許されません。

事前に詳細なシミュレーションをする

マイクロ法人の設立によって、税金や社会保険料がどのくらい節約されるか事前に詳細なシミュレーションをすることが大切です。同時に、ランニングコストについて把握すると、設立後の後悔を避けられるでしょう。

 

シミュレーションは一人でもできますが、マイクロ法人の設立を得意とした専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談することで、想像していなかったデメリットや税金や社会保険料を具体的に知ることができます。

 

マイクロ法人設立に関する悩みや疑問は、石黒税理士事務所へお気軽にご相談ください。あなたにあったシミュレーションや法人設立のサポートが可能です。無料相談も実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

マイクロ法人の設立を税理士に相談するメリット

マイクロ法人は、自分で設立できますが手間や労力がかかります。事業への時間が減るため、設立費用以上に売上が減少する恐れがあるため注意が必要です。手間をかけずに法人を設立するためには、税理士に相談する方法があります。

 

法人設立を税理士に相談するメリットは、以下が挙げられます。

・マイクロ法人の設立が節約に繋がるかがわかる

・自分にあった事業形態がわかる

・法人の設立手続きをサポートしてもらえる

・経営に関する悩みや疑問を相談できる

・継続的なサポートが受けられる

 

ここでは、マイクロ法人の設立を税理士に相談するメリットについて解説します。

マイクロ法人の設立が節約に繋がるかがわかる

マイクロ法人を設立することで、税金や社会保険料の節約が期待できます。しかし、本当に節約に繋がるかは、あなたの収入や家族構成などによって異なります。

 

税理士に相談することで自身の状況を詳しく分析し、法人化によって実際にどの程度の節約効果が見込めるのか、具体的なシミュレーションをしてもらうことが可能です。マイクロ法人設立が本当に自分にとって得なのかどうか、客観的な判断材料を得ることができます。

自分にあった事業形態がわかる

事業形態には、個人事業主、合同会社、株式会社などがあります。それぞれにメリットとデメリットがあり、事業の内容や将来の展望によって最適な形態は異なります。たとえば、初期費用を抑えたい場合は合同会社、将来的に事業を大きくしたい場合は株式会社が適している場合があります。

 

税理士は、あなたのビジネスプランや将来の目標を詳しくヒアリングした上で、最適な事業形態の提案が可能です。それぞれの事業形態の特徴を分かりやすく説明し、あなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれるでしょう。

 

安易に「マイクロ法人」という言葉に飛びつくのではなく、専門家の意見を聞き、自分にとって本当にベストな選択をすることが大切です。以下の記事では、合同会社と株式会社の違いについて解説しています。

 

関連記事:合同会社と株式会社の違いは?向いている会社形態と会社設立で失敗しないためのポイント

法人の設立手続きをサポートしてもらえる

会社を設立するには、さまざまな書類の作成や手続きが必要になります。定款の作成、登記申請、税務署への届け出など、慣れない作業は非常に煩雑で時間も手間もかかります。特に、初めて会社を設立する方にとっては何から手をつけて良いのか分からず、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。

 

税理士は、これらの手続きをサポートしてくれます。本業に集中できる時間を確保できるだけでなく、手続きのミスを防ぎスムーズな会社設立が可能です。時間と労力を節約し、確実な手続きを行うためにも、税理士のサポートは非常に有効と言えます。

 

関連記事:いい税理士はすぐわかる?面談やホームページで見極めるポイントを解説

経営に関する悩みや疑問を相談できる

事業をしていると、資金繰りや集客、人材育成など、経営者はさまざまな課題に直面します。特に、一人社長や小規模なマイクロ法人では、相談できる相手が限られており、孤独を感じることもあるでしょう。

 

税理士には、税金だけでなく、経営に関する悩みや疑問を相談できます。経営戦略や資金調達、マーケティングなど、幅広い分野で相談に乗ってくれるでしょう。経験豊富な専門家からのアドバイスは、あなたのビジネスを成功に導くための貴重な指針となるでしょう。

 

関連記事:自社にあった税理士の探し方は?気をつけることを税理士目線で解説

継続的なサポートが受けられる

マイクロ法人の設立がゴールではなく、法人運営のスタートです。法人設立後も、税務申告や決算、税制改正への対応など、会社を経営していく上で専門的な知識が必要となる場面は多々あります。

 

設立前から相談することで、将来を視野に入れた継続的なサポートを受けることが可能です。設立後も定期的な面談や相談を通じて、あなたの会社の状況を常に把握し、適切なアドバイスをしてくれます。

 

石黒税理士事務所では、創業支援を行う税理士としてお客様・経営者の隣に立ち、資金調達から経営成長戦略まで全力サポートさせていただきます。電話でのお問い合わせも可能なため、まずはお気軽にご相談ください。

マイクロ法人の設立に関するお悩みはお気軽にご相談を!

マイクロ法人はランニングコストや赤字でも税金が発生するため、後悔すると言われることがあります。事前に詳細なシミュレーションがされていないと赤字が続き、法人を維持することが難しくなる恐れがあります。

 

法人設立を後悔しないためには、事前に専門家に相談することをおすすめします。特に、創業や経営支援に強い専門家に相談すると、企業の成長が加速するでしょう。

マイクロ法人の設立に関するお悩みは、石黒税理士事務所へお気軽にご相談ください。これまで200件以上の創業・起業を支援してきた豊富な実績があり、資金調達から経営成長戦略まで全力サポートさせていただきます。電話でのお問い合わせも可能なため、まずはお気軽にご相談ください。

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