縁起がいい会社名の決め方
新しく会社を立ち上げる際には、縁起がいい会社名をつけたいと考える人も少なくありません。響きなどで良いアイデアが浮かんでも、縁起の良さが気になって画数を調べたりするケースもあります。
縁起がいい会社名にするには、縁起の良い意味を持つ漢字や、縁起の良い動物や植物を会社名に含めたり、運勢が良いと言われる画数にしたりする方法があります。ここでは、縁起の良いとされる要素や画数の一例を紹介します。
縁起の良い意味を持つ漢字を取り入れる
日本には古くから「言霊(ことだま)」の文化が根付いており、言葉や漢字には強い力が宿っているとされています。縁起の良い漢字を社名に取り入れることで、創業者の願いや決意を込めることが可能です。
また、漢字にはそれぞれ多くの人が抱くイメージがあります。会社名に縁起の良い意味を持つ漢字を選ぶことで、名刺やチラシなどで社名を見かけたときに会社に良いイメージを持ってもらいやすくなります。
以下に縁起の良い漢字の例を挙げます。漢字にどのような印象をもつか、どのような熟語を連想するかを考えて、会社のイメージにぴったりの漢字を選びましょう。
縁起の良い漢字の具体例
漢字 |
意味 |
福 |
幸福・繁栄 |
隆 |
成長・拡大・発展 |
栄 |
繁栄・成功 |
興 |
繁栄・成功 |
円 |
円満・縁・金運 |
翔 |
飛躍・上昇 |
輝 |
輝く・成功 |
創 |
創造 |
安 |
安心、安全、平和 |
信 |
信頼、信用 |
和 |
調和、協調 |
画数を考慮する
日本には、姓名判断のように画数が運気に影響を与えるという考え方があります。会社名も同様に、良い画数が良い運気を引き寄せるとされているため、画数から会社名を考えるのもひとつの方法です。
縁起の良い画数の例(50までの数字)
大吉 |
1、3、5、6、15、16、21、23、24、31、32、41、45、48 |
吉 |
7、8、11、13、18、25、29、33、37、39、47 |
画数の考え方には諸説ありますが、上記に一般的に運勢が良いとされる画数の例を挙げました。良い画数にならない場合は、ひらがな・カタカナ・アルファベットなど同じ響きでも表記を変える、別の漢字を使うなどの方法で画数を調整できます。
縁起の良い動物や植物をモチーフを含める
動物や植物にも縁起が良いとされるものが多く存在します。これらの要素を取り入れることで、会社名に縁起の良さをプラスするとともに会社を象徴するモチーフとなり、覚えてもらいやすくなります。
縁起の良い動物の例
動物 |
意味 |
鶴 |
長寿・繁栄 |
亀 |
安定・成功 |
馬 |
勝利・前進 |
ライオン |
勇気・力強さ |
鷲 |
自由・力強さ |
フクロウ |
知恵・洞察力 |
縁起の良い植物の例
植物 |
意味 |
松 |
不変の成功 |
竹 |
成長・繁栄 |
梅 |
忍耐・開運 |
ローズ |
愛、成功、繁栄 |
オリーブ |
平和、繁栄、希望 |
アカシア |
友情、誠実、成功 |
クローバー |
希望、信頼、幸運 |
縁起の良いモチーフの例
モチーフ |
意味 |
月 |
知性・成長 |
星 |
富・健康 |
ハート |
愛情・結婚 |
王冠(クラウン) |
栄誉・成功 |
上記のようなモチーフは、会社名にワードとして入れるのが難しい場合は、会社のロゴマークに取り入れることもできます。ただし、動物や植物などを会社名やロゴマークに含める場合、文化的背景や象徴する意味を理解したうえで選ぶことが大切です。
成功しやすい会社名の決め方
会社名は単に縁起が良い要素を選ぶだけでなく、ビジネス上のメリットも考慮して決めましょう。社名が顧客に認知されやすく、印象に残るものであれば、事業の成長にもプラスになります。ここでは、成功しやすい会社名の特徴を5つ紹介します。
シンプルで覚えやすい会社名にする
短くてシンプルな会社名は、顧客や取引先に覚えてもらいやすく、広まりやすい特徴があります。日本語でも英語でも発音しやすいことや、聞き取りやすいこと、読み方が分かりやすいことは特に重要です。考えた会社名が口頭でのやりとりで1回で聞き取れるか、名刺やホームページで見てすぐに覚えてもらえるかなどの観点で検討するとよいでしょう。
事業内容がわかるような会社名にする
会社名からどのような事業を行っているのかを連想できると、顧客の信頼を得やすくなります。たとえば、「〇〇デザイン」「〇〇エンジニアリング」のような業種がわかる会社名や、「〇〇ケーキ」「〇〇クリーニング」のようなサービス内容がわかる会社名などがあります。
ただし、将来的に事業を多角化する予定がある場合は、特定の業界に縛られない名前を選ぶのも一つの方法です。
ドメインが取得できる会社名にする
会社名を決める際には、会社名でドメイン(.com /.jp /.co.jpなど)が取得できることが重要です。webサイトやメールアドレスなどで会社の独自ドメインを使用していると信頼性が高まります。SNSを利用した集客を行うケースが多いため、InstagramやXなどのSNSアカウントが取得できるかも確認しましょう。
希望するドメインやアカウント名が既に利用されている場合、多少表記を変えることで取得できる場合もあります。ただし、他の起業やブランド、特に同業他社と同じような会社名にすると、間違われる可能性があるだけでなく、最悪の場合は他社とトラブルになるリスクもあるため要注意です。
ターゲット層を意識する
会社名は、ターゲットとする顧客に好印象を与えることが重要です。たとえば、高級ブランドを扱う会社では漢字や英語を活用して品のある響きに、親しみやすさを重視する場合はひらがなやカタカナを含めて柔らかい印象にするとよいでしょう。
ターゲットや競合他社を分析し、他社にはない特色を打ち出せるよう、会社名だけでなくロゴマーク、コーポレートカラーなども併せて戦略的に決めるのが理想です。
造語はカタカナ表記にする
会社名にオリジナルの造語を使う場合は、カタカナ表記がおすすめです。カタカナの社名は他社と被りにくく、日本語と英語の両方に対応しやすいという特徴があります。
たとえば、英単語をもとにした造語(例:「テック+〇〇」「ライフ+〇〇」)や、日本語の単語をアレンジした造語(例:「〇〇ックス」「〇〇ート」)など、さまざまな方法でユニークな社名を作ることができます。
会社設立にあたり会社名などのお悩みがある方は、ぜひ石黒健太税理士事務所にご相談ください。会社設立サポートの専門家があなたのお悩みを丁寧にヒアリングし、アドバイスいたします。お電話での相談も受け付けています。
社名を決める時に注意すべき基本ルール
会社名を決める際には、単に縁起が良い・成功しやすいという観点だけでなく、法人として設立登記をするためのルールや実務的な要素も考慮する必要があります。ここでは、会社名を決める際に注意すべき基本的なルールを解説します。
会社の種類を表す言葉を会社名の最初または最後につける
会社を設立する際は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」などの種類を示す言葉を会社名の前か後ろにつけることが義務付けられています。株式会社であれば、必ず「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」のどちらかになります。この表記を省略することはできません。
たとえば、会社名が「〇〇カンパニー」でも、登記する際の正式名称としては「〇〇カンパニー株式会社」などとします。
関連記事:合同会社と株式会社の違いは?向いている会社形態と会社設立で失敗しないためのポイント
符号や文字に制限がある
会社名に使用できる文字や記号は、以下のように法律で制限されています。使用できない記号を使った会社名では会社設立登記ができないため注意しましょう。
使用できる文字
・ひらがな、カタカナ、漢字
・英字(A~Z、大文字・小文字ともに可)
・数字(0~9)
・記号(「&」「’」「,」「-」「・」「.」のみ使用可)
使用できない記号の例
・「@」「#」「%」「$」「*」「+」などの特殊記号は使用不可
・括弧「( )」「{ }」「[ ]」は使用不可
たとえば、「株式会社@ビジネス」は使用できない記号が入っているため不可ですが、「株式会社アンドビジネス」や「株式会社ビジネス&パートナーズ」は可です。使用可能とされている記号も、会社名の最初や最後にはつけられません。例外として、「.(ピリオド)」は末尾につけることが認められています。
参考:法務省「商号にローマ字等を用いることについて」
同じ住所に同じ会社名は登録できない
会社法上、まったく同じ会社名を全国で使用することはできますが、同一の住所(本店所在地)で同じ会社名は登記できません。たとえば、すでに「株式会社〇〇」が京都府京都市南区〇町〇番地に存在する場合、同じ住所で「株式会社〇〇」を設立することはできません。
誤認させるような会社名は使用しない
他の有名企業と誤認されるような会社名をつけると、トラブルのもとになります。特に、大手企業と酷似した会社名をつけて有名企業の信用を利用して不当に利益を得ると、不正競争防止法に抵触するおそれがあります。自社サイトが検索上位に表示されず、自社にとって不利になるリスクもあるため、大手と類似する会社名は要注意です。
また、公的機関と誤認されるような名前や、業種と不一致の会社名(例:「〇〇銀行」と名乗りながら金融業ではない場合など)も利用できません。犯罪を連想させる文言や、公序良俗に反する文言は使用が禁止されています。誤認させるような会社名は避けましょう。
商標登録された名称は使用しない
会社名として登録するだけでは商標権が発生しません。すでに他の企業や個人が商標登録している名前を使用すると、商標権の侵害にあたり、名称変更の要求や損害賠償請求を受ける可能性があります。商標登録された名称を誤って使わないためには、事前に調査を行うことが大切です。
特許庁の「J-PlatPat(商標検索サービス)」で検索すると商標登録の有無が確認できます。自社の会社名の商標登録なども検討している場合は、弁理士に相談するとよいでしょう。
会社名が決まらないときの対策
会社名は事業の顔となる大切な要素ですが、なかなか納得できる名前が思い浮かばないこともあります。時間をかけて考えても決まらない場合は、自分ひとりで長期間考え込むのではなく、以下の方法を試してみるとよいでしょう。
家族や友人の意見を参考にする
第三者の視点を取り入れることで、新たなアイデアが生まれることがあります。特に、会社の理念や事業内容を説明した上で、家族や友人に意見を求めると、思いもよらないヒントを得られるかもしれません。
あなたが考えた会社名の響きやイメージについて客観的な意見がもらえたり、ターゲット層に近い人の感覚を知ることができたりするので、あまり構えずに聞いてみるのがよいでしょう。候補をいくつか挙げて、「どれが覚えやすいか」「どんな印象を受けるか」と聞いてみるのもおすすめです。
理念やビジョンを言語化する
会社名を決める前に、事業の理念やビジョンを明確にすることで、方向性が定まりやすくなります。会社を通じて実現したいことは何か、どのような価値を提供するのか、どのような人にサービスを届けたいのか、将来的にどのような事業展開を考えているかなどを言語化して、キーワードを抜き出してみると、会社名のヒントが見えてくることがあります。
関連記事:事業計画書のスムーズな作り方とは?わかりやすい方法を解説
クラウドソーシングでアイデアを募集する
どうしても自分でよいアイデアが浮かばない場合、クラウドソーシングを活用してネーミングを募集する方法もあります。クラウドソーシングサイトでは、多くの人が自由な発想でアイデアを出してくれるため、さまざまなネーミング案に出会える可能性があります。
事業内容や理念、希望するイメージを具体的に伝えると、より的確なアイデアが集まりやすくなるでしょう。
時間を置いて見つめなおす
考えすぎると視野が狭くなり、アイデアが浮かばなくなることがあります。少し時間を置き、別のことをしながらリラックスすることで、新しい発想が生まれることもあります。
他の経営者がどのように会社名を決めたのかリサーチしたり、時には一晩寝かせてみたりすることも有効です。時間をおくことで、自分のアイデアから少し距離を置いて客観的に見られるようになります。
創業支援が得意な専門家に相談する
会社設立に詳しい専門家に相談することで、実務的なアドバイスを受けることができます。特に、税理士や司法書士などの専門家に相談すれば、会社名に関する法的な制約をクリアできるか確認できるでしょう。
石黒健太税理士事務所では、登記や税務関係の手続きなど、会社設立に際して発生する各種手続きをサポートしています。会社名や会社設立に関するお悩み事にも、あなたのビジネスモデルに合わせてアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
関連記事:企業の成長が加速する税理士の選び方は?依頼する目的から選ぶ税理士の選び方とポイント
会社名はあとから変更できる
会社名を決める際に「本当にこの名前でいいのか?」と悩むことはよくあります。しかし、一度決めた会社名は絶対に変更できないわけではありません。
特定の業種に特化していた会社が事業を拡大するにつれて、現在の社名が合わなくなることもあるでしょう。会社の知名度が上がるにつれ、よりインパクトのある名前に変更することでブランド力を強化したい場合など、前向きな理由で会社名を変えることもあります。
会社名(商号)は定款に記載されているため、まずは定款の変更を行います。株式会社の場合は定款を変更するために株主総会での特別決議が必要です。定款を変更したあと、法務局に「商号変更登記」を申請しましょう。必要書類を提出し、登録免許税として3万円(株式会社)または1万円(合同会社)を納めます。
登記が完了したら、税務署や社会保険事務所、銀行などに届け出が必要です。また、会社の実印、社判、名刺、封筒、ウェブサイトの社名表記など、会社名を使用しているあらゆるものを新しい社名に変更し、取引先や顧客に通知します。
会社名の変更は手続きと周知に、手間とコストがかかります。会社名の変更により、これまで築いてきたブランドイメージがリセットされる可能性もあるため、特に既存の名前が広く認知されている場合は慎重に判断することが重要です。もし会社名を決める際に迷っている場合は、専門家に相談することでスムーズな手続きを進めることができます。
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会社名は事業の成功に大きく関わる重要な要素です。縁起の良さや成功しやすいネーミングを意識するのも大切ですが、法律上のルールや実務的な側面も考慮しながら慎重に決める必要があります。
石黒健太税理士事務所では、創業支援の専門家の視点からあなたの会社名のお悩みにアドバイスいたします。電話での相談も受け付けていますので、縁起の良い会社名をつけたい、事業内容に合った名前を考えたいなど、会社名でお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。