法人成り

今すぐ法人化できない人の特徴は?条件次第で法人化できる人とお金がないときの対策

「法人化には何か条件があるの?」「法人化できない人はどのような人だろう」このようにお悩みではありませんか。節税対策や社会的な信用の観点から、法人化を検討する個人事業主も多いでしょう。

 

法人化できない人には、法律の欠格事由に該当する場合や、専門知識や費用が不足しているなど、様々なケースがあります。法人化できないと思っていても、条件次第で法人化できる人もいます。チャンスを見落とさないためにも、法律などの知識は把握しておきましょう。

 

また、法人化には、メリットだけでなくデメリットがあるのも事実です。デメリットを知らずに手続きすると、損な状況に陥ったり、手間が増えたりして、法人化を後悔することにも繋がります。法人化は、現状や将来の展望を踏まえ、慎重に検討することが大切です。

 

本記事では、今すぐ法人化できない人の特徴を中心に紹介します。法人化に向いていない人や、資金不足によって法人化できないときの対策もわかるので、スムーズに法人化したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

今すぐ法人化できない人

法人化を簡単に説明すると、個人事業主が会社を設立し、事業を引き継ぐことです。法人は個人事業主よりも、「税金の優遇措置が多い」「資金調達がしやすい」など、多くのメリットがあります。事業の安定化や拡大を目指す人にとって、法人化はマストと言えるでしょう。

 

しかし、法人化したくても法律上の制限や知識・資金不足などが原因で、法人化できない人がいるのも事実です。ここからは、今すぐ法人化できない人について解説します。

取締役になれない人

会社設立の際には、会社経営を行う役員として取締役を選任する必要があります。法人化の場合、発起人である個人事業主が取締役になるケースが一般的でしょう。しかし、法律上、以下の欠格事由に該当する場合は、取締役になることができません。

 

・法人

・会社法、証券取引法、破産法などの法律に違反し、刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない人

・上記以外の罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、または刑を受けることがなくなるまでの人(執行猶予中は除く)

 

これらにあてはまる人が法人化を行うには、取締役を別の人に選任するか、欠格事由に該当しなくなるまで待つしか方法はないでしょう。

 

参考:e-Govポータル「会社法331条

法人化に関する知識が不足している人

法人化にあたり、資本金の金額や役員の選任、定款の作成など、様々な手続きが必要です。手続きには、専門知識やルールなど、把握しておかなければないことも多いため、難易度が高いと感じるでしょう。

 

また、法人化に関する知識が不足している人は、手続きに時間や手間などの負担が生じ、事業に支障をきたす恐れがあります。事業との両立ができなくなり、法人化を断念するケースも珍しくありません。

 

法人化をスムーズに行うには、どのような手続きが必要かを把握することが大切です。また、すべての手続きを自力で行う必要はありません。できる手続きは自力で行い、分からない手続きは専門家に依頼するなど、分担して行うのもひとつの手段です。

 

以下の記事では、法人化に必要な手続きや、法人設立までの流れを解説しています。くわしく知りたい方は、ぜひご覧ください。

 

関連記事:法人成りとは?手続きの流れと必要な準備・費用について解説

資本金と会社の設立費用が捻出できない人

法人設立には、資本金や設立にかかる費用など、まとまったお金が必要です。これらの費用の目安は、以下の通りです。

 

・資本金…300万円~500万円

・設立費用…10万円~25万円

 

資本金は、運転資金や設備投資など、事業の継続や拡大のために用意するお金です。そのため、少額だと事業の継続が困難になる恐れがあります。また、会社設立の費用とは、公的手続きで生じるお金のことで、登録免許税の支払いや、定款の認証費用などが挙げられます。

 

これらの費用が捻出できず、法人化を断念する人がいるのも事実です。しかし、資金不足の問題は、国や自治体が行う創業融資や創業支援制度を活用することで、解決できる可能性があります。

 

資金不足についてお悩みの方は、ぜひ当事務所へお任せください。当事務所では、200社以上の創業支援経験があり、融資や補助金に関するノウハウも豊富です。お電話でのご相談も可能なため、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

関連記事:自社にあった資本金の決め方は?一時的にあればいい考えのリスクと使うとどうなるかについて解説

関連記事:株式会社の設立費用の目安と内訳は?資本金1円でも節約にならない理由と節約する方法を解説

条件次第で法人化できる人

世間的に取締役などの役職に就くのが困難と思える人でも、一定の条件下であれば、役職に就けたり、法人化したりすることが可能です。ここからは、条件次第で法人化の手続きができる人について、解説していきます。

15歳以上の未成年

未成年は会社設立ができないと考える方も多いでしょう。実は、会社の設立や運営などを定めた「会社法」には、会社設立にあたる年齢制限は設けられていません。言い換えると、会社設立は、何歳からでも可能なのです。

 

しかし、実務的には、15歳以上でないと会社設立の手続きはできません。これは、法務局で申請する登記申請に印鑑証明書の添付が必須であるにも関わらず、15歳未満は印鑑登録ができないためです。

 

また、15歳以上で印鑑登録を済ませていない方は、お住まいの自治体で早めに手続きを行いましょう。印鑑登録の手続きは、自治体ごとに運用が異なる可能性があるため、詳細は自治体のホームページなどでご確認ください。

 

参考:京都市「印鑑登録

自己破産している人

自己破産は、法律上の欠格事由にはあたりません。そのため、自己破産していても会社を設立することは可能です。ただし、自己破産中や自己破産後は、以下の制約があり、会社設立や手続きに影響を及ぼすのも事実です。

 

・財産が自由に使えない

・就ける職業や資格が制限される

・居住地が制限される

・一時的に取締役を退任する必要がある

・融資やローンの審査が下りなくなる

・取引先との信頼関係の構築が困難になる

 

自己破産の手続きが開始すると、所有する財産は裁判所から選任される「破産管財人」が管理を行い、債権者に配当されます。また、財産隠しを防ぐために居住地なども制限されるため、金銭面だけでなく行動にも影響が出るでしょう。

 

そして、自己破産をした後は、5年〜10年ほどブラックリストに載ってしまいます。新規の借入やクレジットカードの作成が出来なくなるため、資金調達が困難になるでしょう。

承認または同意を得た成年被後見人・被保佐人

成年被後見人とは、判断能力が欠けているとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人のことです。一方、被保佐人とは、判断能力が不十分であるとして、保佐開始の審判を受けた人のことです。いずれもサポートが必要な人ですが、サポートを受ける範囲が異なります。

 

成年被後見人・保佐人は、取締役に就けないと感じる方も多いでしょう。しかし、両者とも会社法の欠格事由にはあたらないため、取締役に就任できます。ただし、就任には、成年後見人や保佐人の同意が必要です。同意が得られない場合は、他者を取締役に選任するなどの対策を講じなければなりません。

法人化が向いていない人

法人は、税金面などのメリットが多いため、一般的には個人事業主よりも得と言われています。しかし、これは全ての人にあてはまるわけではありません。法人のデメリットを理解した上で、あえて個人事業主を選択する人がいるのも事実です。

 

事業の運営や経営は人それぞれのため、法人化はデメリットも踏まえて、慎重に検討しましょう。法人化が向いていない人の特徴は、以下の通りです。

 

・赤字が続いている人

・近々廃業する予定がある人

・経理や税務処理が苦手な人

・お金の使い方が荒い人

・会社の利益を自由に使いたい人

 

内容について、くわしく解説します。

赤字が続いている人

法人が支払う税金で注意したいのが「法人市民税」と「法人県民税」です。法人市・県民税では、資本金の金額などから税金額を算出する「均等割」というものがあり、赤字であっても納税義務が発生します。金額は自治体によって異なりますが、最低7万円〜8万円の負担が必要です。

 

個人事業主の場合、赤字だと税金の負担はありません。しかし、法人の場合は、均等割の負担が発生するため、赤字経営が続いている場合はかなりの痛手となるでしょう。

 

赤字が続いている人は、税金の負担によってキャッシュフローの悪化などを招く恐れがあるため、法人化は向いていないと言えます。

近々廃業する予定がある人

法人は設立時だけでなく、廃業時にも手続き費用が発生します。廃業手続きにかかる費用には、登記費用や官報公告の掲載費用などが挙げられ、中小企業の場合は、10万円以上が相場です。廃業の原因が経営悪化などの場合、費用が捻出できないケースがあるのも事実です。

 

一方、個人事業主の廃業は、税務署や自治体に届出を提出するだけで完了します。廃業時にお金も時間もかからないのは、個人事業主のメリットと言えます。近々廃業予定の人は、個人事業主のまま事業を継続した方が良いでしょう。

経理や税務処理が苦手な人

法人では、決算を行った上で、数種類の税金の申告書を作成しなければなりません。多くの税金は、事業年度の翌日から2ヶ月以内が提出・納付期限です。法人の申告書は、ルールが複雑で期限もタイトなため、頭を抱える経営者が多いのも事実です。

 

また、法人と個人事業主では、所得と利益の概念や、経費の範囲などが異なります。個人事業主での経験が豊富な方でも、これまでの経験や知識が活かされないと感じることも珍しくありません。

 

経理や税務処理が苦手な人は、法人化によって経理業務や税金の申告に支障をきたす恐れがあるため、税制が比較的わかりやすい個人事業主の方が向いているでしょう。

お金の使い方が荒い人

個人事業主だと、事業口座などからのプライベートな支出は「事業主貸」として処理していましたが、法人の場合は「役員貸付金」として処理する必要があります。役員貸付金とは、会社が役員に貸し付けるお金のことで、返済時には利息(認定利息)が発生する恐れがあります。

 

また、認定利息は、会社の収益として扱われるため、法人税の課税対象になるので注意が必要です。その他にも、会社のお金を使い込んでいると判断された場合、融資の審査に通りづらくなる可能性もあります。会社のお金を使うと、税金面だけでなく、資金調達にも影響するのです。

 

お金の使い方が荒い人は、多額の役員貸付を発生させてしまい、信用力の低下を招く恐れがあります。信用力は、会社経営を左右する大切な要素です。お金を使いすぎてしまう人は、法人化を避けるべきでしょう。

 

関連記事:お金がない会社の特徴とお金が残らない本当の理由は?経営を安定化するための改善策

参考:国税庁「金銭を貸し付けたとき

会社の利益を自由に使いたい人

法律上、法人と個人は別人格として定義されています。そのため、会社の利益は会社のものになり、個人が自由に使うことはできません。これは、取締役などの役員であっても同様です。

 

法人の場合、役員には役員報酬を支給します。役員報酬は、経費計上できるため、法人の税金は節税できますが、金額によっては役員個人の所得税や社会保険料の負担が増加する恐れがあります。

 

役員報酬については、専従者や扶養家族など自身の状況に合わせてシミュレーションを行い、金額を決める必要があるでしょう。

 

法人化した場合の手取りのシミュレーションは、当事務所へお任せください。節税対策に精通したスタッフが対応いたします。お電話でもご相談可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

お金がなくて法人化できないときの対策

法人化したくても資金が足りない方もいるでしょう。自己資金が不足する場合、以下の対策を講じることで、資金調達が可能です。

 

・無駄な経費がないか見直す

・合同会社を検討する

・融資制度を活用する

・毎月収支を把握する

・専門家に相談する

 

内容をくわしく解説しています。

無駄な経費がないか見直す

経費計上できれば節税に繋がるため、経費を増やした方が良いと考える方は多いでしょう。しかし、無駄な経費が増えると、利益の減少を招きます。支払う税金よりも経費の方が多い場合、手元にお金が残らないため、慢性的な金欠状態にもなるでしょう。

 

手元にお金を残すためには、不要な出費がないか確認することが大切です。無駄な経費の一例は、以下の通りです。

 

・備品や消耗品の大量購入

・事務所などの高額な賃料

・高級ラウンジなどでの接待交際費

 

また、手元にお金が残らないケースには、経費として認められる支出を把握できていないことが挙げられます。経費計上できるにもかかわらず、適切に処理できていない場合、税金を払い過ぎている可能性があるのです。以下の記事では、税金貧乏になる個人事業主について解説しています。

 

関連記事:個人事業主が税金貧乏になる理由は?対策とお金の残し方を解説

合同会社を検討する

合同会社とは、出資者がそのまま社員になる法人形態のことです。株式会社と混同されやすいですが、大きな違いがあります。株式会社との違いは、以下の通りです。

 

・会社の所有者と経営者が一致する

・設立費用が安い

・株式上場できない

 

株式会社では、出資者である株主が会社を所有しますが、実際の経営は代表取締役などが行います。対して、合同会社は出資者が社員になるため、会社の所有者と経営者が一致するのです。

 

また、合同会社は株式会社の設立よりも手続きが簡素なため、費用も抑えられます。資本金の金額などにもよりますが、株式会社の半分くらいの費用で設立できます。設立費用の捻出が困難なときは、合同会社を検討しましょう。

 

以下の記事では、合同会社の設立費用や株式会社との違いをくわしく解説しています。合同会社のメリットやデメリットも把握できるので、ぜひご覧ください。

 

関連記事:自分で合同会社を設立するときの費用の目安と内訳は?設立後にかかるランニングコストと注意点

融資制度を活用する

融資制度は、公的融資と民間融資の2種類に分けられ、それぞれ以下の特徴があります。

 

公的融資

民間融資

国の機関や自治体から融資を受ける

金融機関などの民間から融資を受ける

低金利・無担保の融資が多い

公的融資より高金利・有担保な場合が多い

審査が厳しい

融資元によって審査の難易度が異なる

 

融資制度の活用は、多額の資金を調達できるなどのメリットがある一方で、返済が経営を圧迫する恐れがあるなどのデメリットもあります。融資を検討する際は、月々の収支や必要額などを確認し、妥当な融資額を検討しましょう。

 

また、融資の審査では、自己資金も重要な要素です。自己資金がゼロの場合は、融資の審査が通過しづらくなります。しかし、事前に対策を講じることで、融資の成功率を高めることが可能です。以下の記事では、自己資金なしで融資を受ける方法について解説しています。

 

関連記事:女性起業家は自己資金なしでも融資を受けられる?融資以外で資金調達する方法とスムーズに起業するための対策

毎月収支を把握する

毎月収支を把握していない場合、資金繰りが悪化するリスクが高まります。資金繰りが悪化すると、資金の過不足を調整できなくなるなどの危機的状況を招きます。最悪の場合、取引先や経費の支払いができないなど、事業継続が困難になることもあるでしょう。

 

また、支出を細かくチェックすることで、固定費や変動費などの見直しもしやすくなります。支出削減や事業継続のためにも、月に一度は収支を確認しましょう。

 

以下の記事では、事業や資金の安定化に欠かせない月次決算について解説しています。法人化後も活かせる知識のため、気になる方はぜひご覧ください。

 

関連記事:月次報告とは?経理初心者が月次決算をするメリットと会社の成長を加速させるポイント

専門家に相談する

自力での資金調達が困難な場合は、専門家への相談がおすすめです。専門家は、融資の知識や審査に通過するためのノウハウが豊富です。有益なアドバイスやサポートによって、スピーディーな資金調達が期待できます。

 

また、相談相手に最適なのは、創業支援を得意とした専門家です。法人化では、資金調達以外にも、事業計画の策定や経理などの業務体制を整えるなど、必要な準備が多岐にわたります。あまりの多忙さから、事業との両立ができず、売上に影響が出ることも珍しくありません。

 

時間や手続きが長引くほど、法人化後の経営が不利な状況になります。事業の成長にはスピード感が重要なため、手続きや資金不足でお悩みのときは専門家に相談しましょう。

法人化の悩みはお気軽にご相談を!

法人化できない人の特徴には、欠格事由に該当するなど、法律上制限されていることが挙げられます。しかし、金銭面や専門的な知識が不足しているなどの理由から、法人化を断念する人がいるのも事実です。

 

資金や専門知識の不足は、専門家からのサポートを受けることでカバーできる可能性があります。事業成功のチャンスを逃さないためにも、不安なことがあれば専門家に相談してみましょう。


法人化のお悩みはぜひ当事務所へお任せください。当事務所では、200社以上の創業支援経験があります。また、融資などの資金調達、節税対策も得意なため、様々な分野であなたの法人化をサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。お電話でもご相談可能です。

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