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合同会社は後悔する?設立するメリットとデメリット・後悔しないためのポイントを解説

 

合同会社は設立費用が比較的安く済むので、節税のために設立しようと考えている人もいるでしょう。しかし、合同会社には株式会社と比べると信用度が低いなどのデメリットもあります。いったん会社を設立してしまうと、やはり株式会社のほうが良かったと思っても組織変更をするのは簡単ではなく、コストもかかってしまいます。

 

この記事では、合同会社を設立して後悔しないために、メリット・デメリットや、合同会社に向いているケースなどを詳しく紹介します。初期費用の安さだけではない合同会社の特徴を知り、ご自身の事業により適した組織形態を選ぶための参考にしてください。

目次

合同会社は後悔する?設立するデメリット

株式会社と比較した場合のデメリットや、合同会社ならではのルールを理解していないと、合同会社を設立してから後悔するかもしれません。合同会社を設立するデメリットを具体的に紹介します。

株式発行による資金調達ができない

株式会社は株式を発行して投資家などから資金を調達できますが、合同会社にはこのような仕組みがありません。株式会社はオーナー(出資者)が株主で、株主に経営者を選任する権利があります。一方、合同会社は出資者が自ら経営する会社です。会社としての性質の違いから、広く出資を募ることができないのです。

 

事業拡大を計画している場合、株式の発行ができないことが大きな制約となる可能性があります。合同会社では、金融機関からの融資や増資、社債、補助金や助成金によって資金を調達します。しかし、株式会社と比べて大規模な資金調達は難しいのが実情です。

 

関連記事:法人の銀行融資の種類と特徴は?審査に通らない理由を解説

株式会社に比べて信用度と知名度が低い

合同会社は株式会社に比べて知名度が低く、信用度が劣るとされることがあります。合同会社は2006年の会社法改正によって生まれた比較的新しい会社形態のため、株式会社ほど知名度が高くありません。

 

近年は合同会社も増えてきていますが、やはり会社といえば株式会社が主流です。「合同会社なんて聞いたことがない、悪徳業者なのでは?」と警戒され、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。株式会社のような対外的に信用してもらいやすい看板がないことはデメリットと言えます。

権利譲渡や事業承継が難しくなる

合同会社の出資者としての権利を持分といいます。出資した割合に関係なく、社員(出資者)1人1持分の仕組みです。持分を他者に譲渡したい場合、原則として他の社員全員の同意が必要です。1人でも反対すれば、自分の思い通りに譲渡することはできないでしょう。

 

また、社員が亡くなった場合、持分は原則として相続の対象とはなりません。合同会社の社員は死亡により退社することとなっているためです。ただし、定款に「社員が死亡した場合は、当該社員の相続人はその社員の持分を承継して社員となることができる」などの条項があれば、相続人が出資者の地位を引き継ぐことができます。

社員間の意見が対立すると結論がでないことがある

合同会社の「社員」は、会社の従業員ではなく、出資者であり経営者でもある人のことを指します。合同会社では原則として社員全員が1票の議決権を持つため、社員数が偶数の場合に意見が割れると、意思決定が困難になることがあります。

 

この問題を避けるために、定款で一人一議決権の原則とは異なる議決権割合を定めることも可能です。株式会社のように出資比率に応じて議決権を持つようにもできます。逆に、出資比率とは関係なく定めることもできるので、議決権割合は51:49とするなど、意思決定の停滞を防ぐ制度設計のパターンはさまざまです。

 

株式市場に上場できない

前述の通り、合同会社は株式を発行できないため、株式市場への上場もできません。上場を目指す場合や、将来的に大規模な事業を展開しようと考えている場合は最初から株式会社を設立するほうがよいでしょう。

合同会社を設立するメリット

合同会社にはデメリットがある一方、手軽に設立し、自由度の高い経営ができるなどの魅力的な点も多くあります。次は、合同会社を選ぶことの具体的なメリットについて解説します。

設立費用を安く抑えられる

合同会社の設立費用は、株式会社に比べて圧倒的に安いのが大きなメリットです。登記や定款認証にかかる法定費用の目安は、6〜10万円程度です。

 

株式会社を設立する場合、登録免許税が最低15万円かかるのに対し、合同会社は6万円ほどで済むでしょう。また、合同会社では定款認証が不要なため、株式会社では3〜5万円かかる定款認証手数料の分も節約できます。

 

そのため、合同会社は初期費用を抑えて法人を設立したい人に選ばれる傾向にあります。

出資比率にかかわらず利益配分を自由に決められる

株式会社では利益配分の割合は出資比率に比例します。出資した金額が多い人ほど、多くの利益を受け取れる仕組みです。

 

一方、合同会社では、定款で定めることで、出資比率に関係なく利益配分を自由に設定できます。たとえば、出資額が少なくても事業への貢献度が高い社員に多く配分する、といった柔軟な対応が可能です。

 

業績に応じた公平な分配が実現しやすいのは、出資者=経営者である合同会社ならではの特徴と言えます。

株主総会の開催が必要ないため意思決定が早い

株式会社では、重要な意思決定をする際に株主総会を開催しなければなりませんが、合同会社には株主総会にあたる機関がありません。

 

合同会社は出資者自身が経営を担うため、原則として社員の過半数の賛成で意思決定します。前述のように、議決権の割合は定款に自由に定めることができ、重要な経営判断もスピーディーに行えることが大きな強みです。

定款の認証手続きがいらない

合同会社は、設立時に公証人役場での定款認証が不要です。出資者(オーナー)と経営者が同一なので、会社の重要なルールである定款の内容を第三者に確認してもらう必要がないのです。

 

定款認証の手続きが不要な分、費用が少なく済みます。また、株式会社と比べて設立手続きが簡単なのでスムーズに事業をスタートできる点がメリットです。

決算公告義務がない

株式会社は前年度の決算を定時株主総会で承認された後、官報や日刊新聞などの定款に定めた方法で、決算の内容を公にすることが義務付けられています。決算公告は、株主や取引先に対して財務状況の透明性を確保する目的で行われます。

 

一方、合同会社には決算公告の義務がありません。掲載の手続きの手間や、官報などへの掲載費用がかからないのは合同会社のメリットと言えます。決算内容を公表する必要がないため、家族経営などの小規模事業者にとっては、経営状況を外部に知られないことが安心材料となる場合もあるでしょう。

役員の任期がない

株式会社の役員の任期は、原則として取締役が2年、監査役が4年です。非公開会社の場合は最長10年と規定することも可能です。同じ人が引き続き同じ役職を務める場合も、手続き上は株主総会の決議により再度選任し、役員変更の登記が必要です。

 

合同会社の場合、法律上は任期が定められていません。任期満了による退任や重任(任期満了退任から日を空けずに再度就任すること)の手続きが不要なので、合同会社の方が負担が少ないといえます。

将来的に株式会社へ移行できる

合同会社は、将来的に株式会社へ移行することも可能です。事業規模が拡大し、株式発行による資金調達や信用度の向上が必要になった場合でも、組織変更によって対応できます。設立費用を抑えながら小規模スタートを目指し、後から必要に応じて株式会社へ移行できる点も、合同会社のメリットといえるでしょう。

合同会社の設立が後悔する例

合同会社の特徴を十分に理解せずに設立した場合、後から不便を感じることがあります。ここでは合同会社の設立で後悔するケースを3つ解説します。

人材採用が難しくなる

優秀な人材を獲得するには「株式会社」の看板が有利に働く場合が多いです。合同会社は株式会社に比べて知名度が低いため、応募者が集まりにくい可能性があります。

 

同じような条件であれば、合同会社ではなく株式会社がいいと考える人もいます。人材獲得競争においては、自社の魅力を伝えて他社との差別化を図っても、合同会社であることがネックになるケースもあるのです。

 

身内だけの小規模事業ではなく、優秀な人材を獲得して事業を拡大していきたいと考えている場合は、株式会社の方が向いているといえます。

 

関連記事:黒字倒産はなぜ起こる?9つの理由と人手不足倒産になる会社の特徴と前兆

思っていたほどの節税効果がない

個人事業主として一定の利益をあげている場合、節税効果を見込んで法人化する人も少なくありません。しかし、合同会社の場合、設立費用は比較的少なく済みますが、法人を維持するための費用はかかります。

 

法人住民税の均等割は、株式会社と同じように、利益の多寡にかかわらず年額最低7万円かかります。法人の税務は複雑なので、専門家に依頼した方が安心です。税理士の顧問料や決算料などのコストも鑑みると、思っていたほどの節税効果がなく、合同会社の設立を後悔するケースがあります。

 

法人を設立する前に、初期費用だけでなくランニングコストも考慮したシミュレーションをして、思い描いたような節税効果があるのかを確認することが大切です。

最初から株式会社にすればよかった

合同会社を設立して、将来的に必要であれば株式会社に組織変更をすることは可能です。しかし、組織変更のためには登記変更などの手間と費用がかかります。事業規模が早期に拡大して株式会社に移行する場合、最初から株式会社を選んでおいた方が結果的にコストが低くなることもあります。

 

法人を設立する際は、事業計画や将来的な展望を明確にし、ビジョンに合った組織形態を選ぶことが重要です。石黒健太税理士事務所では、会社設立のご相談に対応しています。お電話での相談も受け付けていますので、合同会社を設立するか迷う場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

合同会社の設立が向いているケース

合同会社の設立にはメリットもデメリットもありますが、事業の規模や目的によっては株式会社より合同会社が適している場合があります。本章では、合同会社の設立が特に向いていると考えられるケースを具体的にご紹介します。

ケース1:初期費用を抑えたい

合同会社は株式会社と比べて少ない費用で設立できるため、初期費用を抑えたい場合に適しています。設立登記の際の登録免許税が、株式会社の最低15万円に対して、合同会社は最低6万円です。また、定款認証が不要なので、認証手数料3~5万円も払わずに済みます。

 

初期費用の総額では、合同会社のほうが10万円以上安く済むのです。初期費用を抑え、資本金や設立後の運転資金を確保したい場合は合同会社に分があります。

ケース2:出資比率とは異なる利益分配がしたい

株式会社では、出資比率に応じて利益を受け取ることができます。一方、合同会社では出資者が経営者でもあるため、出資比率に基づく利益配分に縛られることなく、自由に利益分配を設定できます

 

たとえば、貢献度の高い社員に多くの利益を配分するなど、柔軟な配分が可能です。家族経営や少人数で事業を運営する場合は、より柔軟な利益配分ができる合同会社が向いているといえます。

ケース3:個人事業主が節税を目的に設立する

個人事業主が法人化することで節税のメリットを受けられる場合があります。

 

たとえば、会社の利益を役員報酬として支払うと法人の所得を小さくできます。さらに個人の所得も会社からの給与所得として圧縮することも可能です。また、法人設立によって消費税の課税事業者になるタイミングを遅らせられる場合もあります。

 

上場して大規模な事業を展開したいなどの構想がなく、個人事業主が節税のために法人を設立するのであれば、手軽に設立できる合同会社が向いているでしょう。ただし、法人化した場合の節税効果は必ずシミュレーションして確認しておきましょう。

 

関連記事:個人事業主と法人化はどっちが得?シミュレーション結果を解説

ケース4:家族や従業員0人で経営する

家族経営の会社や従業員がいない会社にとって、合同会社の仕組みは非常に効率的です。社員間で意見が対立する可能性が低いため、意思決定がスムーズに進みます。また、家族経営であれば、利益配分の柔軟性も活かしやすく、経営者の裁量が最大限発揮できる環境を整えることが可能です。

ケース5:株式の上場を考えていない

株式市場への上場を視野に入れていない場合、株式を発行できない会社形態でも支障がありません。中小規模で事業を安定的に継続したい場合は、むしろ、設立費用や運営コストが低く、意思決定がスピーディーに行える合同会社が向いていると言えます。

 

合同会社の設立が向いていないケース

一方で、合同会社の設立が適さないケースもあります。以下の3つのケースに当てはまる場合は、合同会社ではなく最初から株式会社を設立した方がよいでしょう。

ケース1:後継者への事業承継を円滑に進めたい

後継者への事業承継の予定がある場合や、将来の事業承継を円滑に進められるよう備えたい場合は、合同会社は向いていません。合同会社では出資者それぞれが経営者であり、「持分」という権利を持っています。持分の譲渡には社員全員の同意が必要なため、反対する人が1人でもいると事業承継ができません。

 

また、社員は死亡すると退社扱いになります。社員の死亡によって相続人が地位を承継する場合、定款にその旨を定めておく必要があります。しかし、家業のように後継者がすでに決まっている場合、株式会社の方が事業承継がスムーズに進むケースが多いです。

ケース2:優秀な人材を積極的に採用したい

採用市場で優秀な人材を積極的に採用したい場合、株式会社の方が有利と言えます。合同会社という組織形態そのものの認知度や社会的信用度が株式会社と比べると低いため、合同会社であることで応募が減ってしまう可能性があります。

 

特に、事業拡大を目指して高度なスキルを持つ人材を集めたい場合は、採用競合となる他社に負けないアピールをするためにも、株式会社の方が適しているでしょう。

ケース3:株式発行による資金調達を予定している

前述のように、合同会社には株式発行の仕組みがありません。必要に応じて合同会社から株式会社への組織変更をすることは可能です。しかし、大規模な資金調達を目指す場合や、事業拡大に伴い多額の資金が必要になる場合は、初めから株式会社を選ぶ方がよいでしょう。

合同会社をスムーズに設立するまでの流れ

合同会社の設立手続きは、株式会社に比べると簡単でコストも抑えられます。ただし、手続きの各段階で必要な書類や注意点をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、合同会社をスムーズに設立するための具体的な手順を詳しく解説します。

ステップ1:会社の基本事項を決める

合同会社設立の第一歩は、会社の基本事項を決めることです。具体的には、会社名(商号)、事業目的、本店所在地、決算期などがあります。

 

・会社名(商号)

会社名は会社の顔です。覚えやすく、他社と混同されにくい名前を慎重に検討しましょう。合同会社の商号には「合同会社」という文言を必ず含めます。アルファベットや数字、記号の使用も可能です。

 

・事業目的

会社が行う事業内容を明確にします。定款にも記載するため、「飲食店の経営」「インターネットを利用した通信販売」など、簡潔でわかりやすい表現にするとよいでしょう。

 

・本店所在地

法人の住所となる場所を決定します。自宅を本店所在地にすることも可能ですが、賃貸物件の場合は事前に貸主や管理会社の許可を得る必要があります。店舗を持たない会社でも、登記をすれば本店所在地は誰でも知ることができるため注意しましょう。

 

・決算期

決算期は会社の事業年度の最終月のことです。自社の事業の繁忙期を避けた時期に設定するのが一般的です。たとえば、年度末や繁忙期を避けて6月や9月などに設定すると、税務申告がスムーズになります。

 

ステップ2:実印と定款を作成する

法人の実印と定款を準備します。法務局に登録するため、信頼できる業者に依頼して作成しましょう。実印は重要な契約の際などに使用します。会社の角印や銀行印も同時に作成しておくと便利です。角印は、会社の認印の役割があり、見積書や請求書など日常的な取引で多く使われます。

 

定款は、会社の基本ルールを定めた重要な書類です。合同会社では定款の認証手続きが不要であるため、株式会社より簡単に準備できます。

 

ただし、自由度が高い分、事業運営に必要な内容を正確に盛り込むことが求められます。たとえば、「出資者の持分譲渡に関する規定」や「利益配分のルール」など、将来のトラブルを防ぐための条項を事前に記載しておくと安心です。

 

完成した定款はPDF形式で作成し、電子署名を行うことで印紙代4万円を節約できます。

ステップ3:資本金を払いこむ

会社の設立前は会社名義の銀行口座が作れないので、代表社員の個人名義の銀行口座に振り込みます。残高を0円にしておく必要はありません。

 

代表社員だけの場合は預け入れでも問題ありませんが、社員となる人が複数いる場合は振り込みにしましょう。誰が資本金を振り込んだかの記録を残すためです。この際、振込明細書や通帳のコピーなどを保管しておきましょう。

 

合同会社の資本金は1円からでも設立可能ですが、あまりに少ないと取引先や金融機関からの信用を損なう可能性があります。事業規模に合わせて適切な金額を設定しましょう。

 

関連記事:自社にあった資本金の決め方は?一時的にあればいい考えのリスクと使うとどうなるかについて解説

ステップ4:登記申請書類を作成する

資本金の払い込みが完了したら、登記申請に必要な書類を作成します。 登記申請に必要な主な書類は以下の通りです。

 

・設立登記申請書

・定款

・代表社員の就任承諾書

・代表社員の印鑑登録証明書

・資本金の払い込みを証明する書類(通帳のコピーなど)

・会社代表社印の印鑑届出書

 

管轄の法務局に書類を持参するか、郵送またはオンラインで申請します。オンライン申請を利用すると、手続きがスムーズに進みます。郵送の場合は、事前に書類に不備がないか確認しておくと安心です。

 

登記申請の完了をもって、合同会社が正式に設立されます。手続きが完了するまでに1週間程度かかるため、余裕をもって準備しましょう。

ステップ5:設立後の手続きをする

会社を設立したら、設立に伴う各種手続きをします。登記が完了すると法人名義の銀行口座が作れるようになるので、登記簿謄本や印鑑証明書など必要書類を持参して口座を開設しましょう。

 

税務署へは、法人設立届出書、青色申告の承認申請書などを提出します。青色申告を選択することで税制上の優遇措置を受けられるため、忘れずに申請しましょう。また、法人住民税の申告のため、会社がある自治体にも設立届出を行います。

 

代表社員1人のみの会社でも、原則健康保険と厚生年金保険に加入義務があります。従業員を雇用する場合は労働保険の手続きも必要です。管轄の年金事務所や労働基準監督署で手続きを行いましょう。

 

許認可が必要な業種の場合、営業を開始する前に許認可申請をしましょう。個人事業主が法人化した場合、個人と法人では別人格なので、個人事業の廃業と法人の開業の2種類の手続きが必要になる場合があります。自社の状況に合わせて必要な手続きを行い、スムーズに事業を開始できるようにするとよいでしょう。

 

必要な手続きが多く自分で行うのは大変だと感じる人は、専門家に依頼するのも一つの方法です。石黒健太税理士事務所では、各専門家と連携し、会社設立の各種手続きを一気通貫でサポートいたします。電話でのお問い合わせも受け付けていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

合同会社の設立に後悔しないためのポイント

合同会社の設立は手続きが簡単で費用が安い一方で、運営方法や将来のビジョンを事前に明確にしておかないと、後悔する結果になりかねません。最後に、合同会社を設立する際に後悔しないための重要なポイントをお伝えします。

社員の人数を奇数にする

合同会社では原則として社員が1人1票の議決権を持つため、社員が偶数人の場合、意見が真っ二つに割れて意思決定が滞る可能性があります。社員の人数を奇数にしておくことで、必ず賛成と反対のどちらかが多数になり、経営判断の停滞を防ぐことができます。

 

社員が偶数の場合、社員の中で業務執行社員を定めることで、経営権のある出資者と経営権のない出資者を分けることも可能です。また、定款で1人1票ではない議決権割合を定めることもできるので、会社の実情に合わせた意思決定のルール作りが重要です。

設立費用の安さだけで選ばない

合同会社は設立費用が安く、株式会社と比較してコストを抑えられる点が大きなメリットです。しかし、設立費用の安さだけに注目して合同会社を選ぶと、後々の運営で思わぬデメリットに直面することがあります。

 

たとえば、合同会社は信用度や知名度で株式会社に劣るため、大企業や公的機関と取引する場合に不利になるケースもあります。また、人材採用の場面でも、応募者から「株式会社の方が安心感がある」と判断されることがあります。

 

設立時のコストだけでなく、事業の性質や将来の目標を総合的に考慮して、最適な組織形態を選ぶことが後悔しないポイントです。

 

関連記事:法人化に後悔する5つのケースとは?法人化を後悔する人の特徴と対策

株式会社への組織変更の可能性を考慮する

合同会社は後から株式会社に組織変更することができます。しかし、組織変更のためには再び登記費用や専門家への報酬などが発生するため、初めから株式会社を選んでおけば不要だったコストがかかる可能性があります。

 

設立時点で将来の事業計画を明確にし、組織変更が不要になる形態を選択することが大切です。

 

関連記事:株式会社の設立費用の目安と内訳は?資本金1円でも節約にならない理由と節約する方法を解説

出資額と利益分配を社員全員が納得する

合同会社では、出資比率に関係なく、利益分配を自由に決めることが可能です。これは合同会社の大きなメリットですが、一方で社員間での利益分配をめぐるトラブルが起こるリスクもあります。

 

利益分配のルールは定款で明確に定めることが重要です。たとえば、「業務の貢献度に応じて分配する」や「出資比率に基づいて分配する」といった基準を事前に決めておくことで、社員間の不満やトラブルを防ぐことができます。

専門家に相談する

合同会社の設立手続きは株式会社に比べて簡単ですが、定款作成や登記手続き、税務手続きには専門知識が必要です。また、事業内容や将来の計画に応じて最適な会社の形態を選ぶには、経験豊富な専門家のアドバイスが欠かせません。

 

たとえば、定款作成時に重要な条項を盛り込んでいなかった場合、後から内容を変更するには追加費用が発生することがあります。また、税務上の優遇措置を受けるためには、設立後すぐに適切な申請を行う必要があります。

 

税理士や司法書士などの専門家に相談することで、手続きのミスや後悔を防ぎ、スムーズなスタートを切ることが可能です。

 

関連記事:起業相談は誰にする?内容別の相談先と選び方を解説

合同会社の設立はお気軽にご相談を!

合同会社は、設立費用の安さや柔軟な運営が魅力である一方、株式会社と比べて認知度が劣るなどのデメリットもあります。事業内容や経営方針によって、合同会社が適している場合もあれば、株式会社を選択したほうが良い場合もあります。

 

この記事で解説した合同会社のメリット・デメリットなどを踏まえて選択することが重要です。設立後に後悔しないために、わからないことがある場合は専門家に相談しましょう。

石黒健太税理士事務所では、会社設立の準備から設立後まで、経営者のパートナーとして幅広いサポートを提供しています。必要に応じて司法書士などの専門家と連携するため、複数の専門家を自分で探す手間も省けます。電話相談も受け付けていますので、小さなことでもお気軽にご相談ください。

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