企業経営において、自社にあった税理士を選ぶことはとても大切です。経営者がパートナーとして信頼できる税理士がいれば、気軽に相談して税金に関する不安を解消できます。
しかし、「自社にあった税理士の探し方がわからない」と感じている方も多いことでしょう。この記事では、実際に多くの企業のパートナーとして働く税理士の視点から、具体的な税理士の探し方や税理士を探す際に気をつけることを解説します。
記事を参考にして、あなたの会社にあった税理士を探してください。
【税理士の探し方1】インターネット検索で探す
税理士を探す方法として多くの人が一番最初に考えるのはインターネット検索です。実際に多くの税理士がウェブサイトを持っており、サービス内容や実績を確認できます。
探している条件に当てはまる税理士を簡単に探し出すことができるので、複数の税理士を比較検討したい場合にも手軽で便利な方法です。
一方で、情報量が多すぎて、必要な情報をうまく絞り込めないと、調べるだけで時間がかかってしまう場合があります。また、情報が正確でない場合や最新のものでない場合があることに注意が必要です。
具体的なキーワードで検索する
近くの税理士を探したい場合は、「京都市 税理士」など地域のキーワードを含めて検索することもできますが、地域によっては選択肢が多すぎて困ってしまうこともあります。その場合は、「京都市南区 税理士」のようにエリアを狭めたり、「京都駅 税理士」のように駅名で検索することで、希望するエリアに絞り込むことができます。
地域名や駅名のキーワードのみで検索した場合、税理士のサービス内容まではわかりません。「京都市 税理士 経営相談」などサービス名を入れて検索すると、依頼したい業務を取り扱っている税理士が見つかる可能性が高くなります。
ウェブサイトをチェックする項目
1.対応業務やサービス内容
税理士を探している場合、融資支援、経営相談、相続対策など具体的に依頼したいと考えている業務があるでしょう。まずは自社の希望するサービスに対応しているかを確認しましょう。
対応業務を幅広く記載する税理士もいますが、実績として件数や事例が紹介されていたり、専門分野として明記してあったりすれば、積極的に取り扱っている業務であると考えられます。
2.料金
税理士と顧問契約をすると定期的に顧問料を支払うことになりますが、顧問料のみで希望するサービスがすべて受けられるとは限りません。顧問料も税理士によって大きく異なるので、自社で依頼したい業務が基本的なプランに含まれているのか、オプションなのかも含めよく確認してから契約する必要があります。
3.口コミ・お客様の声
ウェブサイトにお客様の声を掲載している税理士もいます。この税理士に依頼してよかったという客観的な評価があると、安心して依頼しやすいものです。特に、自社と同業種の会社や、同様の依頼をした人からの口コミは参考になります。ただし、ウェブサイトには良い口コミばかりなのが当たり前なので、良い評価がすべてではない可能性も忘れてはいけません。
検索結果の上から数件は広告が表示される場合や、SEO対策をしている税理士が上位表示される場合があります。検索した結果、上の方に表示される税理士のサービス品質が必ずしも優れているとは限りません。複数の税理士を比較し、サービス内容や料金についてしっかり調べて納得した上で決めましょう。
【税理士の探し方2】知人から紹介してもらう
税理士を知人から紹介してもらう方法もあります。ありがたいことに、経営者の方どうしの繋がりで新しいお客様をご紹介いただくことも実際にあります。
紹介する人は他の人に薦めるくらいその税理士のサービスに満足しているということですから、紹介を受ける人にとっても安心です。税理士のサービス品質や人柄についての客観的な評価を聞くこともできます。
しかし、知人にとっては良い税理士でも、必ずしも自社のニーズや経営者の考え方に合うとは限りません。知人からの口コミだけでなく、自身でもウェブサイトを確認したり、面談したりする中で、自社にマッチするかどうかを慎重に見極める必要があります。
税理士を紹介してもらうことのデメリットは、ちょっと違うな、と思っても紹介してくれた人の手前断りにくいと感じることです。
税理士の得意分野や専門性を確認する
知人に紹介してもらった税理士の得意分野や専門性が、自社のニーズに合っているかを確認しましょう。極端な例を挙げると、法人の経営相談ができる税理士を探しているのに、紹介してもらった税理士が相続の専門家だったら困ります。
同じ業界の人からの紹介であれば、ある程度の業界知識があることが期待できます。話を聞くだけでなく、税理士のウェブサイトやSNSなどを見て、自社の経営パートナーとして安心して任せられそうかを確認するのがよいでしょう。
紹介されても断る勇気を持つ
知人が良いと思って薦めてくれた税理士でも、自社にとって良いとは限りません。自社で依頼したい業務に対応しているか、経営者と税理士のコミュニケーションがストレスなくとれるかなどの観点で、自社とマッチしているかをよく検討する必要があります。
もし合わないと感じたら、断る勇気を持つことも大切です。知人との関係を考えると断ると気まずいと考えるかもしれません。しかし、自社や経営者自身が合わないと感じる税理士と信頼関係を築いていくのは難しいものです。理由をきちんと説明し、勇気を持って断りましょう。
【税理士の探し方3】金融機関から紹介してもらう
金融機関は多くの企業と取引しているため、業界の最新情報に詳しく、実績のある税理士を紹介してくれることは珍しくありません。
金融機関を介した紹介であれば、ある程度の信頼性が担保できるという点も安心材料になります。気軽に話せる金融機関の担当者がいるのであれば、自社と同じ業種に強い税理士を知っていたら紹介してもらえないか、などと率直に聞いてみるのも手です。
ただし、金融機関のビジネスとして提携している税理士を推薦する場合や、選択肢が限られてしまう場合もあります。紹介された税理士が自社に適しているかを検討する姿勢は、紹介者が金融機関であっても忘れてはいけません。もし合わないと感じたら、自社のためを考えて思い切って断ることも大切です。
【税理士の探し方4】SNSで探す
最近はSNSアカウントを持っている税理士も増えています。Tipsや事例を紹介したり、日常的な内容をポストしたり、その使い方は様々ですが、税理士の人柄や価値観を垣間見ることができます。税理士は経営のパートナーですので、SNSで人柄を知ることは、信頼関係を築いていけそうかを判断するのに役立ちます。
SNSを通じて、税理士が参加するセミナーの情報や業界のトレンドなどをリアルタイムで知ることもできます。SNSを見ただけでは「依頼したい」とまではいかなくても、「ちょっとセミナーで話を聞いてみようかな」など興味を持つきっかけが生まれるかもしれません。税理士を探そうと構えず、情報収集してみるのもおすすめです。
しかし、SNSを利用した税理士探しには注意点があります。SNSで拡散されている情報や、多くの人にフォローされている人の発言が正しいとは限りません。情報を鵜呑みにせず、複数のソースを参照すると安心です。
また、インターネット検索のように地域で絞り込むのが難しい場合があります。近所の税理士を探してすぐに相談に行きたい人には不向きです。
ハッシュタグで検索する
「#税理士」「#創業融資」などのハッシュタグで検索すると、関連する情報を効率よく探すことができます。しかし、これらのハッシュタグをつけて投稿している人たちが全員税理士であるかというと、そうではありません。
専門的なお役立ち情報を発信している人やセミナーを主催している人でも税理士ではない場合があるので、ウェブサイトなどもよく確認することが大切です。
フォローして人柄や考え方を知る
気になる税理士がいたら、フォローしてみるのも手です。日常の投稿から、人柄や考え方が自分と合うかどうかを見ることができます。業務に特化した投稿をする人であれば、特に力を入れている業務や、業界の最新情報などがわかる場合もあります。
【税理士の探し方5】税理士紹介サイトを利用する
税理士のウェブサイトを自分で見て比較するのではなく、税理士紹介サイトを介して税理士を探す方法もあります。税理士紹介サイトは、税理士と顧客のマッチングサービスです。
税理士紹介サイトに登録している多数の税理士の中から、業種や地域、企業規模、使用している会計ソフトなど自社のニーズに合った税理士との面談をセッティングしてもらえます。面談の結果、納得できたら契約をする、というようなサービスです。
条件に当てはまる税理士を推薦してもらえるので、複数の税理士の情報を調べて自分で比較検討する手間が減ります。また、全国の多数の税理士が登録しているので、自社の業種に強い税理士が見つかりやすいというメリットもあります。
一方で、業種などのニーズを重視すると、全国の優秀な税理士に出会える可能性がある一方で、遠方の税理士を紹介される場合もあります。やり取りがすべてオンラインになるケースもあるので、頻繁な訪問を期待する方や直接会って話したい方は先に伝えておくとよいでしょう。
税理士を探している人は無料で利用できる場合もありますが、紹介手数料がかかるサイトもあるので、相談をする前に利用料金の確認が必要です。
また、税理士の登録条件が厳しくない税理士紹介サイトでは、経験の浅い税理士も登録している場合があります。紹介された税理士の実績などは、別途ウェブサイトを参照するなどして自分で調べておくと安心です。税理士紹介サイト自体も、利用者の口コミや評価をチェックして信頼できるサイトを利用しましょう。
【税理士の探し方6】税理士主催のセミナーに参加する
税理士が経営者向けのセミナーを開催する場合があり、経営ノウハウや最新の税務知識、税理士の選び方などテーマは多岐にわたります。セミナーに参加することで、専門的な知識を得るだけでなく、税理士から直接話を聞いて人柄を知ることができるというメリットがあります。
しかし、忙しい経営者にとっては、セミナーに参加すること自体が難しい場合があります。経営者は時間的制約が多いものです。税理士を探す目的で手当たり次第にセミナーに参加するのではなく、自社に必要と感じる内容のセミナーがあれば参加し、講師の税理士がどのような人か知ってみるというスタンスがおすすめです。
セミナーは主催者の視点が強く反映されるため、特定の税理士やサービスを強く勧める場合があります。情報に偏りがある可能性があるため、他の情報と照らし合わせて客観的に判断する必要があります。
関連記事:京都の起業セミナー・起業塾の選び方は?参加するメリットと注意点を解説
【税理士の探し方7】異業種交流会で探す
異業種交流会は、普段のビジネスで交流のある業種を超えて、新たなビジネスパートナーを見つけるための場です。さまざまな業種の人が集まるので、経営者との交流を目的として参加する税理士もいます。
異業種交流会では、事業の内容や事例、今後のビジョンを直接自由に語り合うことができます。もし税理士に出会うことができれば、その税理士の考え方や得意分野を直接聞くことができるため、自社のパートナーとして適任かを見極めることができます。
一方で、異業種交流会は短時間で多くの人と出会うことが目的のため、たとえ税理士と出会うことができたとしても、限られた時間しか対話することができません。信頼性や専門性を短時間で判断するのは難しいというデメリットがあります。
その場の対話のみで決めてしまわず、持ち帰ってウェブサイトなどを確認し慎重に検討することも大切です。異業種交流会は、検討材料の一つとするのがおすすめです。
また、経営のアドバイスができる、自社の業種に詳しいなど、どのような税理士を探しているのかを具体的に整理しておきましょう。いざ税理士と話す時、効率的にコミュニケーションがとれます。
税理士の探し方がわからないときに気をつけること
税理士を探すときに気をつけたほうがよいことがあります。にせ税理士に騙されたり、税理士との関係にストレスを感じたりすることなく、自社に合った税理士と長期的な信頼関係を築いていくことが大切です。具体的なチェックポイントは3つあります。
紹介だけで決めない
知人や金融機関など、第三者からの紹介だけに頼ることはおすすめできません。信頼できる人が良い税理士だと薦めてくれたとしても、それは紹介者の限られた視点からの意見です。評価を鵜呑みにせず、専門性や人柄などが自社に合う税理士かどうかを見極める必要があります。
にせ税理士に気を付ける
税理士に依頼をする際は、税理士登録があるか確認しましょう。税理士は国家資格で、試験に合格した上で税理士登録をしなければ、税務代理、税務書類の作成、税務相談といった税理士の独占業務を行うことはできません。
税理士試験に受かって税理士登録をしていない人や、税理士事務所に勤務した経験があるだけの人が単独で税理士の独占業務を行うことは、税理士法違反にあたります。しかし、税理士ではないのに、税務相談のようなことを業として行っている人がいることも事実です。
詐欺的な行為を行っているにせ税理士に依頼しないよう、日本税理士会連合会のウェブサイトで調べたり、税理士証票の提示を求めたりして、必ず税理士登録をしている人であることを確認しましょう。
金額だけで探さない
費用は税理士選びのポイントの一つですが、コストだけに焦点をあてるのはリスクがあります。料金が安いからと言って、サービス内容や品質に妥協するべきではありません。
基本料金や初期費用に含まれているサービスが限られていて、自社で必要なサポートが受けられなかったり、オプション料金がかさんでしまったりする可能性もあります。契約前に料金体系をよく確認しましょう。
顧問税理士との関係は長期的に続くものですから、パートナーとして信頼を築いていけるかどうかも重要です。いくら金額が安くても、経営者と価値観が合わなかったり、コミュニケーションにストレスを感じる税理士と契約することは、長い目で見ると自社のためになりません。
石黒健太税理士事務所は、企業様のニーズに合わせたさまざまなサービスを展開しており、定額報酬やスポット費用、オプション料金などに分けて、料金もわかりやすくお伝えいたします。税理士の悩みは、まずはお気軽にお問い合わせください。
自社にあった税理士を選ぶポイント
さまざまな方法で税理士を探してみると、情報量が多く、どのような視点で比較検討すればよいか迷う場合も少なくありません。ここでは、自社にあった税理士を選ぶポイントを5つ紹介します。
自社の業種を専門としている税理士を選ぶ
税理士の中にはホームページなどで、得意な業種を宣伝している人もいます。特定の業種を専門にしている税理士は、その業界の最新の動向や特有の税務問題に精通しているでしょう。
飲食業、製造業、IT企業など、業種によって税金対策や受けられる補助金などが異なります。自社と同様の業種の顧客を多く抱えていれば、実務経験に基づいた具体的なアドバイスが期待できます。
自社が目指すことに共感してくれる税理士を選ぶ
自社のビジョンや経営理念に共感してくれる税理士を選ぶことで、会社経営のパートナーとしてコミュニケーションが取りやすく、長期的な信頼関係を築くことができます。
会社のビジョンや経営理念をきちんと理解せず、無責任に経営について意見することは簡単です。しかし、自社の考え方に共感してくれない税理士にアドバイスやサポートを求めても、考え方の溝が埋まらずにコミュニケーションにストレスを感じてしまう可能性があります。
面談などで経営者の話に耳を傾けて会社の考え方を知ろうとしてくれる、そして会社のビジョンを踏まえてアドバイスをしてくれる税理士であれば、安心して任せることができるでしょう。
関連記事:いい税理士はすぐわかる?面談やホームページで見極めるポイントを解説
融資実績がある税理士を選ぶ
事業を経営するうえで、資金調達は避けられない問題です。多くの企業は金融機関からの融資を検討します。融資を受ける際、融資の実績が豊富な税理士は心強いパートナーとなります。
融資の手続きの中で税理士がサポートできることは多くあります。多くの企業に融資を行った実績のある税理士であれば、利用する融資制度の提案や、事業計画書の作成、融資面談への同席など、融資を全面的にサポート可能です。
しかし、顧問税理士が融資に強くない場合や融資支援に対応していない場合、煩雑な融資の手続きを自分でする必要があるかもしれません
また、顧問税理士とは別に、融資に強い税理士を探すのは時間と手間がかかります。経営パートナーとなる税理士を探しているのであれば、融資実績がある税理士を選びましょう。
関連記事:融資に強い税理士の特徴は?探し方と資金不足の改善について解説
クラウドシステムに強い税理士を選ぶ
クラウドシステムに強い税理士を選ぶことは、会社の業務効率化のために重要です。クラウド型の会計ソフトを利用すれば、リアルタイムでのデータ管理が可能となり、記帳で不明点がある場合にもリモートですぐに対応できます。
相続を踏まえた対策が可能な税理士を選ぶ
長期的な視点では、相続や事業承継の対策は非常に重要です。きちんと対策しておかないと、相続税などが想定外に高額となり、経営が立ち行かなくなる場合があります。
相続税も税金なので税理士の業務の範疇ですが、専門分野は税理士によって異なるため、法人税は得意でも、相続税の相談や手続きに対応していない場合もあります。複数名の税理士が所属している税理士事務所や、相続の専門チームがある税理士事務所では、担当税理士が相続の専門でなくても、必要に応じて相続専門の税理士とも連携できる場合が多いです。
自社の資産や事業の引き継ぎを円滑に行うために、相続にも強い税理士を選ぶことで、将来的なリスクをに備えることができます。
税理士探しは気軽にご相談を!
税理士選びは、企業を経営していく上でとても重要です。自社に合った税理士を見つけるためには、さまざまな方法で情報収集し、経営者自身が安心して任せられる税理士を見極める必要があります。
税理士選びのポイントは、具体的には以下です。
・自社の業種に精通しているか
・自社のビジョンに共感してくれるか
・融資実績があるか
・クラウドシステムに強いか
・相続対策が可能か
専門性や経験はもちろん、経営理念への理解や将来を見据えたサポート力も重視しましょう。
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