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専従者がパートに出る場合の注意点は?掛け持ちがバレるケースを解説

目次

「専従者とパートは掛け持ちしても大丈夫なの?」このようにお悩みではありませんか。

家計の支出が増えたり、資金繰りや事業が厳しいなどの理由で、専従者にパートをして欲しいと思う個人事業主は多いです。

 

しかし、家族に収入を増やして欲しい半面、税金が上がるなどの不利益を被らないかと不安に思う人もいるのではないでしょうか。

 

専従者がパートに出る場合、専従者給与が否認される恐れがあるため注意が必要です。専従者とパートの掛け持ちはバレる可能性があるため、偽った申告をするのはやめましょう。

 

そこで本記事では、専従者がパートに出る場合の注意点や税務署へバレるケースなどを紹介します。最後まで読むと、専従者とパートの掛け持ちのリスクがわかり、専従者給与とパートのどちらを選択するのが良いか判断できるようになるでしょう。

専従者がパートに出る場合の注意点

専従者がパートに出るときは、これから紹介する3点について注意する必要があります。

・専従者給与が否認される可能性がある

・専従者の税金に影響する

・社会保険の扶養から外れる可能性がある

 

注意点を知らずにパートで働いてしまうと、税金などの金銭面で損をしてしまう可能性があります。収入を増やしたくてパートをしたにも関わらず、支出が増えてしまっては本末転倒と言えるでしょう。

 

ここからは、専従者がパートに出る場合の注意点を解説していきますので、しっかり理解しておきましょう。

 

専従者給与が否認される可能性がある

専従者がパートに出る場合の注意点の1つ目は「専従者給与の否認」です。専従者給与は、専従者が青色申告者の事業に専ら従事している場合に認められるので、パートに出てしまうと専ら従事していると認められず、否認されてしまう可能性があります。

 

青色申告の事業専従者に支払った給与は経費として認められるため、節税対策として利用している個人事業主は多いでしょう。しかし、専従者給与が否認され、支払った給与が経費として認められなくなると、事業主の所得が増えます。所得が増えると税金の額も上がるので、家計への負担も増えます。

 

ただし、後述しますが専従者給与とパートの掛け持ちが容認されるケースもあるため、事前に対策すれば、専従者給与で節税しながら家族全体の収入を増やすことが可能です。

 

専従者の税金に影響する

専従者がパートに出る場合の注意点の2つ目は「専従者の税金」です。所得に対してかかる税金は、主に所得税と住民税の2つがあります。この2つの税金は、年間で受け取った給与や報酬、売上などの所得を合算して税金額を算出します。

 

専従者とパートを掛け持ちした場合、両方で得た給与を合算して税金を算出するので、結果として税金の額が上がることに繋がってしまうのです。

 

ちなみに所得税は給与所得の場合、年間収入103万円、住民税の場合は年間収入93万円(一部自治体では97万円)を下回れば税金は発生しません。上記の収入額で税金が発生しない理由としては、控除額が年収額を上回り、所得がゼロになるためです。

 

社会保険の扶養から外れる可能性がある

専従者がパートに出る場合の注意点の3つ目は「社会保険の扶養」です。社会保険の扶養に入れるかどうかは、扶養判定時点での年間の見込み収入で決まります。

 

専従者とパートを掛け持ちした場合、両方から受け取った給与を合算して扶養の判定をするため、収入増加として扶養から外れてしまう可能性が高くなります。社会保険の扶養から外れてしまったときは、加入条件を満たしていればパート先の社会保険に加入するか、自治体運営の国民健康保険に加入することになるでしょう。

 

保険に加入すると、これまで扶養者に負担してもらっていた社会保険料を個別で納めることになるので、家計の負担が増えてしまいます。社会保険の扶養に入れる年収は、年間130万円未満としている健康保険が多いですが、くわしくは加入先の健康保険組合などに確認してみてください。

専従者給与とパートの掛け持ちはバレる?

専従者とパートの掛け持ちが税務署にバレるリスクがどのくらい高いのか気になっていないでしょうか。

 

そこでここからは、掛け持ちがバレるケースを3つご紹介します。普段の行動に気をつけることでバレるリスクをぐっと下げることもできるので、バレやすいケースをしっかり把握しておきましょう。

 

ケース1:確定申告でバレる

2ヶ所以上から給与を受け取った場合、正しい所得税額を納付するためにも確定申告が必要なケースがあります。確定申告では、専従者とパートでもらった給与額について合算して申告するので、税務署に掛け持ちがバレる可能性があります。

 

バレてしまうと、個人事業主が経費として認められている専従者給与は否認され、過少申告加算税などのペナルティを課せられるかもしれません。また、掛け持ちがバレないように「所得隠し」をした場合も、ペナルティを受けることになるので注意しましょう。

 

ケース2:税務署へのタレコミでバレる

知り合いからのタレコミで税務署にバレるケースもあるので、掛け持ちのことはできるだけ知人に打ち明けない方が良いでしょう。また、一度口をすべらせてしまっただけでも、噂話として広がる可能性は十分にあります。

 

噂に尾ひれがついてしまうと大変危険です。事実無根にも関わらず、噂を聞きつけた税務署が調査に来たりするなど、大きな問題に発展するかもしれません。そのようなリスクを鑑みると、パートについて知人へ打ち明けるのはやめておくべきと言えます。

 

ケース3:SNSでバレる

国税庁や税務署の職員はSNSを監視しているため、SNSで発信した内容が原因で、掛け持ちがバレる可能性があります。SNSでは発信者の暮らしぶりなどが把握でき、ある程度の収入を予測できるので「所得隠し」がないか監視しているのです。

 

パート先の不満をSNSで吐露することによって、最悪の場合、勤め先までバレてしまうこともあります。もしSNSのアカウントがあるなら、「収入を把握される内容」「生活感のある内容」などの投稿は避けるよう注意が必要です。

 

専従者は他で働けない?

税務署にバレるバレない以前に、専従者は他の仕事と掛け持ちをしてよいのか疑問に思う人もいるでしょう。

 

ここからは、専従者が他の事業所で働いて良いのかという点について解説していきます。専従者給与が認められる要件やパートと掛け持ちできるケースを紹介するので、専従者とパートの掛け持ちに悩む人は、ぜひ参考にしてください。

 

専従者給与の要件

専従者に支払った給与額が経費として認められる「専従者給与」に該当するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

 

【専従者給与の要件】

・事業主と生計を一にする配偶者または15歳以上の親族

・1年の半分である6ヶ月超は青色申告者の事業に従事していること

 

所得税法の中では専従者給与の要件として「青色申告者の営む事業に専ら従事していていること」とされており、具体的には上記の期間、青色申告者の事業への従事が必要です。「専ら」と記載しているとおり、あくまでメインは専従者の事業であり、原則的には副業やパートなどは認められていません。

 

参考:国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除

 

就業時間外であれば働ける可能性がある

原則的にはパートなどの掛け持ちが認められていない専従者給与ですが、就業時間外であれば働ける可能性があります。

 

例えば、就業後の短時間や土日などのパート勤務は、青色申告者の事業の妨げにならないとして専従者給与が認められることもあります。パートと掛け持ちするときは、退勤時間がわかるように資料を残しておく、就業時間を明確に定めておくなどの対応をすれば、税務調査があっても状況を説明できるでしょう。

 

また、税務署から指摘を受けないためにも、専従者とパートの就業時間や給与額などが逆転しないよう注意が必要です。

専従者を辞めてパートを選択した方がいいケース

収入を増やすためにも専従者とパートの掛け持ちを考えている方が多いですが、実は専従者を辞めてパートを選択した方が、税金面で得をしたり、有利になるケースがあります。

 

ここからは、専従者を辞めてパートを選択した方が良いケースについて3つ紹介します。紹介するケースに当てはまらないか、ぜひ確認してみてください。

 

ケース1:事業主の所得が赤字

専従者給与は全額経費として計上できるので、事業主の節税対策としてはとても効果的です。しかし、収入が少ないなどの理由で事業主の所得が赤字となってしまった場合は、専従者給与を支払わなくても税金が発生しない可能性があります。

 

税金が発生しなければ、専従者給与で経費扱いにするメリットは少ないため、パートで働きに出てもらった方が良いでしょう。パートは原則として1日8時間までの勤務が上限とされており、1日4時間程度の求人が多い印象です。

 

パートの方が専従者よりも勤務時間が短く働けることが多いので、家事や育児などの両立を図りたいのであればパートを選択する方が良いでしょう。

 

ケース2:専従者給与の合計が年間38万円未満

専従者の給与が年間38万円未満の場合は、パートを選択して扶養に入った方が得です。専従者は税務上の扶養に入ることはできないので、専従者給与の金額が少額であるほど、事業主の節税の効果は薄くなってしまうのです。

 

一方、パートの場合は条件を満たせば税務上の扶養に入ることができるので、扶養者は38万円の「配偶者控除」の適用を受けることができます。つまり、年間給与が38万円未満なら、専従者給与で経費扱いにするより、パートにして配偶者控除の適用を受ける方が課税所得が下がるので、個人事業主にとって節税になります。

 

ケース3:パートに専念したい

パートは扶養に入れることやワークライフバランスを取りやすいといったメリットがあるため、パートに専念したいなら専従者を辞めてしまうのも手です。しかし、注意しなければならないのが、専従者給与と配偶者控除などの扶養は併用できないという点です。

 

これまで専従者として働いていた人が年の途中でパートに専念すると、専従者の要件を満たさない可能性があり、専従者給与が否認される可能性があります。専従者がパートに専念したいなら、働き始めるタイミングが重要になることは知っておきましょう。

 

また、専従者を選ぶ方が得なのか、パートで働く方が得になるのかは、しっかり検討する必要があります。

 

関連記事:専従者とパートはどっちが得?手取りのシミュレーションを解説

 

専従者給与に関する悩みは石黒健太税理士事務所へ!

専従者給与や税制にくわしくない状態で掛け持ちをしてしまうと、専従者給与を否認されるだけでなく、家族全体で税金が増額するリスクも上がります。節税に関しては専門家に意見を求めた上で、適切な対策を行うことが望ましいです。

 

石黒健太税理士事務所では、専従者給与に関することはもちろん、個々の状況に応じた節税対策の提案も行っています。また、個人事業主だけでなく、法人への経営コンサルティングなどを行ってきた実績もあり、資金繰りなどの経営のキモとなる部分についてのノウハウも持ち合わせています。

 

専従者給与や節税対策、経営、資金繰りなどでお困りの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

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