クラウド会計

クラウド会計で税務調査になったらどうなる?

目次

近年、クラウド会計を活用する法人・個人事業主が急増しています。

今回は、そんなクラウド会計を活用している法人や個人事業主が税務調査の対象となったらどうなるのか?

実際の流れも見ながら、解説していきたいと思います。

税務調査とはなにか?

税務調査とは、任意調査と強制調査の2種類に分けることができます。この記事では、任意調査について解説していきたいと思います。

任意調査とは、一般的に行われる税務調査のことを指します。
また、任意であり納税者の同意を得たうえで行われますが、実態として納税者は調査の拒否はできないものとなっております。
一般的な任意調査の流れは以下のようになります。

任意調査の流れ

①管轄税務署より、顧問税理士*1に電話で税務調査の事前通知が来ます。

・いつにするのか(日程)
・対象の事業期間はいつなのか
・対象の税目はなにか?
・税務調査官はだれか(1名もしくは2名が基本)

*1 税務代理権限証書を出している税理士

②税務調査官・顧問税理士・納税者の3者で日程調整を行います。

一般的には、平日の2日間で午前10時から午後4時ごろを指定されます。

出張で不在などの場合は、常識的な範囲内で日程を調整することが可能です。

③税務調査に向けた準備

顧問税理士と納税者で当日に向けた準備を行います。

・会計資料一式
・総勘定元帳
・特殊な取引があった場合は、経緯等説明ができるよう再確認をしておく

④税務調査当日

税務調査官が資料を確認できる場所を確保し、調査官が来るまでに資料などを集めておきます。

午前中は、自己紹介(税務調査官の身分証提示の確認をお忘れなく)・会社の基本情報や概要、設立趣旨・その他世間話をします。
この世間話は、雑談ですが会話の中で不正を見つける手掛かりを探しているため、なんでも話してよいというわけではありません。事前に、顧問税理士と打ち合わせをしておきましょう。
午後からは、総勘定元帳を中心に調査が始まります。取引について質問があったり、資料請求の対応をしますが、顧問税理士がいる場合は常時対応が必要なわけではありません。
顧問税理士が、「席を外して本来の仕事をしていても大丈夫ですよ。」と声掛けをする場合もあります。

⑤調査後について

調査結果については、調査当日に明らかになりません。

税務調査官が、調査結果を署内に持ち帰り検討をするためです。

修正が必要な場合、

調査結果は顧問税理士に通知され、顧問税理士と調査官で修正について話し合いが行われます。
その話し合いが確定し、修正申告(+必要に応じて、納税)を完了すれば税務調査は終了となります。

修正が不要な場合は、必要ないという通知書面が届き、終了となります。

クラウド会計と税務調査の関係

クラウド会計だった場合、税務調査にどんな影響が発生するのでしょうか?

2点にわけて解説いたします。

①税務調査準備

■時間と印刷コストの削減が可能になります。

税務調査の準備として、以下の2つを必要な対象期間分すべてを用意する必要があります。
・総勘定元帳
・会計資料一式
総勘定元帳に関しては、電子帳簿保存法に対応しているクラウド会計ソフト(マネーフォワードクラウド会計等)を活用している場合、印刷する必要がありません。
ただし、デバイスやインターネット環境等、データを確認するための環境を提供する必要があります。会計資料一式に関しても、総勘定元帳と同様です。
電子帳簿保存法に則ってクラウド会計ソフトに紐づけている場合は、印刷する必要がないため、準備は時間とコストともに削減されます。

②税務調査当日

■意図しない金額間違いを防ぎます。

税務調査では、売上を少なく処理していないか、計上してはいけない経費がないか、それらの金額に間違いはないかなどを見られます。
クラウド会計だった場合、売上は自動連携した数字を処理し、支払金額等も預金を連携しているため、数字を間違えてしまう。等という意図しない不正を防ぐことが可能になります。
この意図しない不正を防ぐことのメリットは非常に大きいものです。
会計データ入力を手入力でしていた場合、意図しない間違いは発生しますが、税務調査においては要修正内容となり、納税という形で金銭的に負担が発生します。

■調査時間を短縮できます。

マネーフォワードクラウド会計では、仕訳と領収書の画像データを紐づける機能があります。
そのため、税務調査官からの「この仕訳の領収書を見たい」に即座に対応することが可能になります。
仕訳に領収書等の画像データをアップロードする必要はありますが、マネーフォワード経費や請求書等の付帯サービスを活用すれば自動で紐づけることも可能です。
税務調査の平均的な所要時間は2日(午前10時〜午後4時)です。調査時間を短縮することができれば、本来の業務に割り当てるはずの時間への影響を最小限に抑えることができ、大きなメリットとなります。

*参考ページ

通常は、画像は表示されておりません。仕訳の詳細>添付ファイル>プレビューを選択すると領収書の画像データを開けることができます。)

クラウド会計ならではの税務調査のデメリット

クラウド会計ならではの、税務調査のデメリットは1点あります。

サーバーエラー等でクラウド会計データが見れない。

クラウド会計では、データが全てクラウド上にあるため、クラウド会計の会社にトラブルが発生した場合、会計データを見ることができなくなります。
実際に、サーバーが一時的にダウンし会計データが全く見れなくなったことがあります。すぐに復旧すれば良いのですが、復旧に1日以上かかった事例もあります。
税務調査当日への対策としては、事前にPDF出力をしておくとよいでしょう。
万が一、クラウド会計に接続できなくなった場合に印刷へ切り替えるということが可能になります。

まとめ

以上、クラウド会計で税務調査になったらどうなるかを解説させていただきました。

クラウド会計だからといって、税務調査の結果が変わるわけではない。ということはご理解いただけたと思います。

また、税務調査という観点からクラウド会計が万能というわけではないことが分かりました。
ですが、記述したデメリットも対策をとることが可能です。
我々は、デメリット以上に税務調査の準備の時間とコストを削減できること、意図しない金額間違いを防ぐことに価値があると考えています。

クラウド会計の導入に興味のある方は、ぜひ石黒健太税理士事務所までお問い合わせください。

クラウド会計ソフトの導入から、日々処理のサポート、決算、税務調査までサポートさせていただきます。

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