経理を外注する場合の気になる相場~外注費用を無駄にしないための5つのSTEPとは?~
目次
経理担当者が辞める!?
社内としてはそんなショッキングな出来事をきっかけに、経理を外注できないかと検討する企業は少なくないのではないでしょうか。
退職に限らず、
経理部門の業務がいつも滞っている
税制改正が目まぐるしく変わるため社内教育が追い付かない・・
年末調整の間違いが多い、
など、経理を外注したいと考える要因は多くの企業で存在しています。
今回は、経理を外注する場合の費用の目安や相場感と、その外注費用を無駄にしないための5つのSTEPを解説していきます。
【本日の内容】
1.経理代行の種類
2.外注先の種類
3.費用の目安
4.≪社内編≫やって安心!事前確認をすべき事項
STEP1 現状を把握する
STEP2 目的を明確にする
STEP3 期間を明確にする
5.≪見積編≫いざ、比較検討!外注費用を無駄にしないために
STEP4 どのような業務を依頼するか
STEP5 比較検討
6.まとめ
経理代行の種類
経理部門を外注は「経理のアウトソーシング」や「経理代行」と表現されますが、一口に経理を外注するといってもどのような種類があるのでしょうか。まずは、その種類をおさえていきます。
経理を外注する場合の種類
①記帳代行
「記帳」とは、事業のお金の取引を帳簿に記載することを言います。
記帳代行を依頼する場合は、代行会社に領収証や請求書控、通帳のコピーなどの必要書類を提出します。それをもとに、代行会社が会計ソフトへの入力を行い、試算表や総勘定元帳を作成してくれるサービスです。
②給与計算
勤務日数や就業時間等をもとに給与の支給額を計算する業務です。
③年末調整
年間の給与データと各人の年末調整資料をもとに、従業員の年末調整や源泉徴収票の作成を行う業務です。
④決算業務(決算書・申告書の作成)
決算書や付属明細書、税務申告の書類を作成する業務です。
⑤請求書作成・送付、売掛金・買掛金管理、振込業務
売上請求書を作成・送付したり、それに関する入金の管理を行います。仕入・経費に関する請求書についての振込支払を依頼することもあります。
これらが主な経理の外注サービスですが、複数の業務の組合せや包括的なサービスとして経理を外注する場合もあります。相談により応じてもらえるものもあり、外注する経理業務は細かい業務を合わせると無数にあるといえるかもしれません。
外注先の種類
それでは、経理の外注はどこに依頼するのでしょうか。
①税理士事務所の経理代行サービスを利用する
税理士事務所では経理代行サービスを行っている事務所があります。また、記帳代行の専門会社を併設している場合も多くあります。顧問税理士がいる場合は問い合わせてみるのもいいでしょう。
②経理代行会社を利用する
経理代行を専門に行っている会社です。税理士の資格を持った者がいないため、税務申告は依頼できません。
③社会保険労務士事務所を利用する
社会保険労務士事務所では、給与計算や年末調整の請負サービスを行っている場合が多くあります。
④専門の派遣社員を使う
派遣会社を通じて、経理専門のスタッフを依頼することができます。自社で経理の社員教育の必要がなく、即戦力の人材を使用することができます。派遣人員に対する対価の支払は、そのスタッフへではなく、派遣会社に対して支払います。
費用の目安
経理を外注する場合の費用は、おおよその目安はあるものの実際には各社が様々な価格設定をしており平均を出すことは難しいといえます。ただ、ある程度の相場はありますので参考にしてください。
実際に依頼する場合の費用の目安
記帳代行 | 月2,000円~20,000円程度
仕訳数により設定されることが多い 最近では、消費税の課税事業者かどうかで金額が変わるケースも。 |
給与計算 | 月5,000円~数万円の基本料金に
社員一人500円~1,000円が加算される 社員100人で10万円など人数に左右される |
年末調整 | 10,000円~30,000円 (ただし、15名程度の場合)
人数が増えると社員10名ごとに10,000円加算などの料金体系となることが多い |
請求書作成 | 1件につき150円~300円ほど |
≪社内編≫やって安心!事前確認をすべき事項
さあ。では、実際に経理を外注することを検討してみましょう。
そのためには、以下の事前確認を行うことをおすすめします。安易に「経理の外注」と言っても、その言葉から連想する業務は人によってさまざまであり、「経理の外注」という言葉は非常に「曖昧」と言えます。そのため、なにを依頼したいのかを明確にしておく必要があります。以下の例を参考に社内で確認をしてみてください。
STEP1 現状を把握する
なにを外注するのかを明確にするために、現状を認識する必要があります。
・現在はどのような業務があるのか(できるだけ細分化)
・だれが行っているか
・どのように行っているか(時期や期間)
・どれくらいの時間数がかかっているのか
・業務フローはどのようになっているのか
・資料の保管場所 や 成果物の報告方法はどのようになっているのか
STEP2 目的を明確にする(どんな効果を得たいのか)
なんのために外注するのかを明確にしておきます。その目的が達成できる外注先を選ばなければ意味がありません。
(例)
・コストの削減 人件費の削減(採用費、教育費)
・業務の効率化
・スピード 迅速化
・担当者の配置の見直し 属人化の排除
・自社社員が本業や他の必要な業務に携わるため
・社員の働き方改革(残業の削減、業務の平準化)
STEP3 期間を明確にする
いつまで利用することにより(2)の目的が達成できるのか(短期・中期・長期)をシミュレーションしておきます。
ここまで確認をすすめていくと、自社が行いたい「経理の外注」がどのようなものか、明白になってきたのではないでしょうか。では、いよいよ見積をとってみましょう。
≪見積編≫いざ、検討!外注費用を無駄にしないために
では、実際に見積をとっていきます。まずは、何の業務を依頼するか選定します。
STEP4 どのような業務を依頼するか検討する
依頼する業務を選定する際には、自社が依頼したい業務レベルはどういう範疇のものかを検討しておくと、『期待する効果』と『外注すべき業務』が浮かび上がってくるでしょう。
(例)自社が依頼したい業務レベルは?
・単純な作業を依頼する
・専門的知識の必要とする部分を依頼する
・切り取りしやすい(アウトソーシングしやすい)業務を依頼する
・丸ごと依頼する
参考のために、経理を外注する場合に多い依頼業務を挙げておきます。
外注が多い業務
- 給与計算
- 記帳代行
- 年末調整
理由としては、業務の切り取りがしやすい 業務の引継ぎがしやすい、年に1度しかない業務のためノウハウが不足していて社内で上手く対応できないなどが挙げられているようです。
STEP5 見積をとって比較する
自社作業との比較もしっかりと。
方針が固まれば、実際に見積を依頼してみましょう。
その場合には、金額だけでなく、何をどこまでやってくれるのかをきっちりと確認します。そして、必ず複数の事業者の見積をとってください。業務の内容や金額にばらつきがあることが実際におわかりになると思います。
見積が出れば、比較検討をします。相見積の比較の前に、まずは自社作業との比較を行います。外注先が、①いつまでに②何を提出することで③どういった業務を④いつまでに行ってくれるか 具体的に確認します。
依頼したい業務の金額の高いか安いかだけでなく、精度の高低、そもそも経理を外注する目的は果たせるのかも再度確認してください。
自社作業との比較
・品質は?
納入品質には問題ないか(費用が安すぎる業者はサービスの品質が悪い可能性もある)
(その業者に業務実績があるか)
・スピードは満足できるものか
・コストは?
現状と比較してどれほどのコストを減らせるか 若しくは どれくらいコストが増えるのか
・自社の担当者はどのように楽になれるか(外注しても、受け渡しや外注先からの質問に答えられる人員は必要です。)
・社内ノウハウの蓄積にはどのような影響がありそうか?
・外注することによって新たに生じる作業はないか、それはどのような作業か、だれがどれくらいの時間をかける必要があるか
最終的に外注したい業務のうち、まず一部分から導入するという考え方もあります。また、お試し期間を設けたり、最初は短期間での契約でスタートするなど、一度に大量の移行をしないことも失敗を最小限に抑える方法です。
まとめ
経理を外注する場合の費用と、その外注費用を無駄にしないための検討事項をみてきました。
費用の高低も気になりますが、効果を想定しながら導入することは、当初の目的を達成するために非常に重要です。最初は切り取りやすい業務から依頼したり、短期間での契約からスタートすることも失敗が少なくできるコツとなります。
経理の外注化を検討するときは、ぜひその効果に注目して検討してみてください。
★外注する業務の選定や業者選びのポイントは
→「経理外注化のデメリット5選!対策と解消方法は?」の2と3でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
★そもそも経理のIT化で対応できないか と感じた方は
本日の内容は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。