マネーフォワードクラウドのクレジットカード連携の極意!
目次
みなさん、こんにちは、代表の石黒です。
今日はクラウド会計の代表格であるマネーフォワードクラウド(以下「MFC」)のクレジットカード連携について詳しく解説していきたいと思います。
初めの部分で基本的な内容を解説させて頂き、後半では我々が導入支援をしてきている中で見つけてきた、クレジットカード連携を活用する際の注意点や極意についての解説を行っていきます。
クラウド会計を活用した経理の自動化のキモはツールの活用と“業務フローの設計“です。初めての方はどうしてもツールの活用に目が行きがちなのですが、適正な業務フローの設計こそが真の効率化への近道です。
ぜひ、今回の記事を参考にして頂き自社のバックオフィス業務のDX化に取り組んでいただければと思います。
クラウド会計に強い税理士が解説する、マネーフォワードクラウドのクレジットカード連携の極意!
【本日の内容】
1.クレジットカード連携のメリット
・処理が楽になる
・入力ミスが減る
・未経験でも処理が可能
2.クレジットカード連携のデメリット・注意点
・消費税区分が不明
・ショッピングセンターの場合には店舗名がわからない
3.対応しているクレジットカード
4.クレジットカード連携の方法
5.プロが教えるクレジット連携活用の極意
・社員の経費精算もカード連携
・完全自動にするには超重要カードの使い分け
クレジットカード連携のメリット
まずはクレジットカード連携のメリットについて見ていきたいと思います。
処理が楽になる
クレジットカードをMFCと連携すると、日付や金額、相手先などの情報を自動で取り込むことが可能になります。
日付・金額以外の情報はクレジットカードの明細に記載される文字情報を取得する形になるのですが、これにより会計システムに手入力で日付や金額、相手先などの情報を入れる手間がなくなります。
MFCには自動仕訳ルールというものが設定できるようになっており。例えばETCの利用であれば旅費交通費の勘定で処理をするという設定をすれば、その後は「ETC」という文言のある取引は全て自動で「旅費交通費」として仕訳ができるという形になります。
これにより大幅に入力業務の手間を削減することができます。
入力ミスが減る
上記に記載したとおり、連携作業をするとクレジットカード会社の確定した数字をそのまま取り込むことができます。
そのため、手入力の時に生じる日付や金額などの入力ミスは無くなることになります。また、勘定科目についてAIが相手先の情報などから勘定科目の提案をおこなってくれる便利な機能もあります。
未経験者でも処理が可能
クレジットの連携については貸方や借方といった会計の概念がわかっていなくても処理が可能となっています。
どういった経費をどの勘定科目で処理するのかというルール作りをしておけば簡単に作業することができます。
また、前述したとおり自動仕訳ルールを設定してしまえば同じような内容の取引についてはAIが自動で勘定科目も選択してくれます。
こういったことから、未経験の方にもすぐに業務を覚えてもらうことが可能となっています。
昨今の人不足により経理経験者や会計知識のある方の採用が難しくなってきています。
また社長自身に会計の知識がないと経理業務を教えるということや経理担当者の不正を見抜くということは、なかなか難しいです。
(そもそも社長がそういった業務に時間や気持ちを取られることは経営上よくないと考えています)そういった状況ですので未経験者にでもできる仕組みをつくって運用していくということは事業の成長・継続のためにも必要なことだと考えています。
クレジットカード連携のデメリット・注意点
続いてクレジットカード連携をしていく上で発生するデメリットと注意点を解決策と共に紹介していきたいと思います。
連携作業や自動仕訳ルールの設定は慎重に
メリットに記載した通り、クレジットカード連携は入力業務の作業を大幅に削減してくれるのですが、その連携作業は人間が行います。
そのため完全なミスの排除ということは困難です。具体的には、連携処理の時に操作を誤って数字を変えてしまったり、間違った自動仕訳ルールの設定をしてしまったりすると間違った会計データができてしまいます。
自動仕訳ルールについてはその後の仕訳がすべて間違えることになるため、ミスを大量生産することにもつながります。
クラウド会計が世の中に広まりだした頃によくあったのが素人の方が間違った設定で処理し続けてきたデータをもって、安く・ちゃんとした決算をして欲しいという依頼でした。
無理ですよね。1から入力した方が早いデータを持ってきて、頑張ったので安くしてくださいと言われましても・・・。訂正しきれないため最初から会計処理を行い1年分の代行料を頂いたという、双方にとって大変な思いをした経験が何度かありました。
これをなくすためには
- 初期の段階で専門家にはいってもらう
- チェック体制/運用ルールの整備を行う
- マニュアルを活用する
などが効果的です。これから取り組む方はぜひこのあたりは気を付けて取り組んでください。
消費税区分が不明
クレジットカード連携では、わかりやすく言うとクレジットカードの明細書に書かれている内容を取り込むことができます。
逆に言うとそこにある情報しかわかりません。そのため実務で困ったのが消費税の区分の確認です。最近はECでの海外からの仕入や消耗品などの購入、あとは海外のサブスクリプションサービスの購入などが増えてきており「国外取引」というものが普通になってきました。
専門的な話になるのですが消費税の申告をするためは「国外取引」と「国内取引」を区別する必要があります。また、食料品などは軽減税率の8%が適用されていてその区分の登録も必要になります。
これらのことがクレジットカード連携した情報からでは確認できないというのが注意点です。
これを仕組みとして解決するためには、
- 国外取引や軽減税率などについては領収書を別保管して、連携作業時に消費税区分を確認する仕組みをつくる
- クレジットカードを複数枚契約し、消費税の区分の異なるもの用のクレジットを1つ用意してそのカードを使うようにする。
こういった対応が考えられます。どちらにしても、少しめんどくさい内容です。消費税の計算はどんどん複雑になっていますので、このあたりは今後も課題になってくると考えています。
ショッピングセンターの場合には店舗名がわからない
前述したとおりクレジットカード連携ではクレジットの明細書の内容が連携されます。
そのため、ショッピングセンターなどは店舗名や購入内容ではなくショッピングセンターの名称が記載される形になり、それだけでは内容の判断ができないことがあります。
これを解消するためには
1.「仮払金」や「要確認」といった勘定科目を作る
2.自動仕訳ルールでショッピングセンター名が入った取引は①に仕訳するようにする
3.1.の勘定科目の元帳を見ながら領収書との突合で内容の確認
4.適正な勘定科目への修正
といった形のフローを作ってもらうと、確認がしやすいと思います。
同じショッピングセンターでは1つの取引しかしないという場合には自動仕訳ルールで直接的に勘定科目を設定してもらっても大丈夫ですが、勘定科目が複数出る可能性がある場合にはこの方法を覚えておいてもらうと良いかと思います。
対応しているクレジットカード
マネーフォワードクラウドではJCBカード・楽天カード・VIEW CARD・dカード・DCカード(個人・法人) を含む300種類以上のクレジットカードに対応しており、対応数の多さが強みとなっています。
1ヶ月の無料トライアルがあるので、ご自身の持っているカードが対応しているかどうかも簡単かつ無料で調べることができます。
もし、対応していないような場合にはcsvを加工する方法やクレジットカードの明細書を仕訳データに変換してもらうサービスの活用を弊社では行っています。
ただし、業務フローやコストのことを考えると対応しているカードを作って移行していくのが断然おすすめです!
クレジットカード連携の方法
マネーフォワードクラウドのクレジットカード連携の方法は次の2つのステップのみになります。ただし、前提として
- クレジットカードのweb明細の申込が完了していること
- web明細のログイン情報を持っていること
が必要ですので、こちらは各クレジット会社に手続きを確認して頂きたいと思います。
ステップ1:連携したいクレジットを選択
MFCのホーム画面の「データ連携」⇒「新規登録」⇒クレジットの名称で検索
ステップ2:IDとPWの入力
ポップアップで下記画面が表示⇒必要情報を入力⇒連携登録ボタン
プロが教えるクレジット連携活用の極意
社員の経費精算もカード連携
マネーフォワードの提供するサービスにマネーフォワード経費という経費精算のソフトがあります。
こちらについてもクレジットカード連携が可能となっており、具体的には従業員の方の持っているクレジットカードを連携してそのデータを参考に経費精算をすることができます。
これをすることで経費精算の手間の省略や記入漏れの防止につながります。
うちの事務所ではクレジットカードの支給とマネーフォワード経費の活用によりこの経費精算の業務を大幅に効率化できました。
承認フローの設定などもできるので不正の防止や部署ごとでの経費の管理にも役立っています。
完全自動にするには超重要カードの使い分け
冒頭にも書いたとおり、業務の効率化のためには、ただクレジットカードの連携をするだけでなく業務フローの見直しもあわせて行って頂くのが効果的です。
そこで、ヒントとしてこれまでの経験からやった方がいいカードの使い分けについてご紹介させて頂きます。
◆仕事用とプライベート用
会計処理を行っていく上で、仕事用の経費と家計は区分して頂くことが必要です。
法人の方は当たり前のことなのですが、個人事業主の方は仕事もプライベートも財布が同じなので混同してしましいがちです。
しかし、経理処理の効率化や税務調査対策の事を考えるとクレジットカードや預金通帳については事業のものを別で作ってい頂いて、使う時点でその都度、事業用かプライベート用かを判断する癖をつけて頂きたいです。このちょっとした手間をさぼると結果高くつきます(笑)
◆国内用と海外用
デメリットのところで述べましたがクレジットカード連携での情報で消費税区分をわけることは難しいのが現状です。
これに対応する手段として弊社が考えたのがこの使い分けです。国外取引に該当するものを通常とは別のクレジットカードを利用してもらい、そのカードは国外取引だとして設定をする方法です。
入り口の部分で使うカードを間違えられると困るのですが、確認の手間を考えると国外取引の判断をカードを使う時点で行うというのが効果的です。
そのために、どういったものが国外取引になるのかを該当のお客様にはご案内しています。
◆MFCはカードごとに分けられる
法人カードの場合、社長が親カードで従業員に子カードを支給するというケースがあります。
こういった複数枚のカードを1つのクレジット会社で持つことに対してMFCはカードごとでの連携に対応しています。
別の会計システムではこれに対応していないところもあるのでMFCの強みとも言えます。カードごとでの連携が可能なので例えば
・事業部ごとにカードを使い分けて部門別会計が簡単にできる仕組みを作る
・営業の人ごとで使い分けて、経費の管理を会計システム上でも行う
というようなことが可能になります。
どういった使い分けが必要なのかは、会社ごとに異なるので検討が必要ですが、うまく使い分けることで会計処理の省力化や数値管理での活用に使えますので、ぜひ一度検討頂けたらと思います。
以上で本日の内容は終わりです。
いかがだったでしょうか?クレジットカード連携、単純なようで色々検討すると奥が深いと、私自身も書きながら感じました。
ぜひ今回の内容を参考に自社のDX化に取り組んでいただければと思います。
最後になりましたが、宣伝です。
クラウド会計の導入でお困りのことがありましたら是非弊社までご相談ください!最後までお読みいただきありがとうございました。