マネーフォワードとfreeeの徹底比較!
目次
みなさん、こんにちは!税理士の石黒です。
今日はクラウド会計の代表格であるマネーフォワードクラウド(以下「MFC」)とfreeeについて徹底比較していきたいと思います。
弊社ではクラウド会計の導入や移行を100件以上行ってきました。また、コロナ前までは2社のクラウド会計導入セミナーを自社開催しており、2社ともお付き合いがありました。(その後、事業戦略上「MFC」のみを使っていく形に変わったのですが、今回の結論はMFCにしましょうではありません(笑))
業種では小売業・飲食業・人材派遣業・御売業・サービス業・運送業(基本的に弊社の顧問先のすべてですw)など様々な業種の方に導入いただいております。
導入先の規模についても、1人で個人事業をされている方から年商数十億円の会社まで幅広い規模の企業に導入いただいています。
そういったサービス展開の中で、クラウド会計ソフトを上記の2社のどちらにするべきなのか、どういった違いがあるのかというご相談を頂く機会が多くあります。
ということで今回はこの2社の違いを分かりやすく解説します。これから、クラウド会計を導入したいという方の参考になれば幸いです。
【本日の内容】
1.はじめに
2.設計思想(考え方)の違い
3.料金体系
4.機能の面の違い
5.マネーフォワードがおすすめなのはこんな方
6.freeeがおすすめなのはこんな方
7.まとめ
はじめに
今回の記事ではクラウド会計を導入してもらう際の参考にして頂くために記載しますが、クラウド会計の導入について、はじめに理解してもらいたい内容について記載します。
①クラウド会計は完ぺきではない
クラウド会計の導入を検討される方の多くに、導入さえすれば経理が自動になり、経理担当や税理士が不要になるというような期待を抱いている方がいますがこれは間違いです。
クラウド会計はあくまでツールであり使う側のITリテラシーや経理の専門知識が必要になります。また、今までの業務フローを見なおさないと自動化することが難しいケースが多くあります。このあたりの泥臭い部分をちゃんとやっていくのだ!という覚悟をもって導入をご検討頂きたいです。
②状況は日々変わっていきます
記載する内容でいうと料金体系や機能面、連携できる提携先などの状況は日々変わっていきます。これまでも法律や金融機関の対応が追いついていない面などがあり、後から不便になったり料金が発生したりということがありました。また、2社の開発しているソフトや新機能なども日々更新されていきます。現時点の内容を記載させて頂きますので、今後の動向については各自でチェックして頂きたいと思います。
③自社にあったものを導入いただく
ある意味今回の記事の答えなのですが、どちらが正解ということはありません。次のような項目を確認して決定頂ければと思います。
・入力担当者のタイプ(経理経験者・ITリテラシーが高い・簿記初心者など)
・会計で重要視する内容(スピード・一貫性・柔軟性など)
・今使っているシステム(EC・決済システム・レジシステムなど)との相性
・クラウド会計を導入したいけど、どのソフトが自社に合っているのかわからない
・クラウド会計の初期設定が分からない!クラウド会計への移行作業のリソースがない!
そんなお悩みをお持ちの方はマネーフォワード導入実績トップクラスのクラウド会計に強い石黒健太税理士事務所へご相談ください。
設計思想(考え方)の違い
ざっくり2社の特徴をことばで表すと
マネーフォワードクラウド・・・柔軟
freee・・・厳格
といった形で表現できます。ほんとにざっくりですね(笑)
なぜ、このような表現になるかというと2社には設計思想の大きな違いがあるためです。
設計思想の話に入る前にそれぞれのシステムと既存のシステムとの違いについて簡単に表すと次のような説明になります。
マネーフォワードクラウド・・・会計ソフトの進化系
freee・・・まったく新しい経理ソフト
このイメージを持ってもらうと、この先の話が理解しやすいかと思います。
つまり、MFCはこれまでの会計ソフトにAIやfintechといった技術を適用させた最新の会計システムというイメージで、これに対してfreeeは既存のシステムとは別のコンセプトで作られた経理(会計以外の請求や支払なども含める)のソフトというイメージです。
では2社の設計思想がどういったものなのかですが
マネーフォワードクラウド・・・階層化方式⇒従来の会計ソフトと同じ
freee・・・取引“トランザクション”を中心にした方式&タグ方式
細かい説明をすると、おそらくこの記事の離脱率が上がってしまいますので、それぞれの概要とメリットについて記載させてもらいます。
●MFCの階層化方式
こちらは従来の財務会計ソフトで使ってきた方式で、情報を徐々に細分化された引き出しに格納していくような方式です。専門用語になってしまうのですが下記のような考え方です。
「資産・負債・収入・費用」という大きい棚
↓
「現金・預金」という中分類の中でも大きい棚
↓
「普通預金」という中分類の中の小さい棚
↓
「○○銀行 123934」という補助勘定科目の棚
このような形で一番下の棚に情報をいれることで上位の分類が連動するような形になっています。
●MFCのメリット
・従来の会計システムと同様の概念で作られているため経理経験者にはわかりやすい
・業務ごと(会計・請求・入金確認など)に切り分けやすいので分業が容易
・修正や追加仕訳が容易にできる
●MFCのデメリット
・業務ごとに切り分けられているので連動転記作業が発生する(作業自体は楽ですが完全自動ではない)
・修正仕訳が入れやすい分、間違った仕訳を入れやすい
・業務との連動性が低いので、請求ソフトで請求書を削除しても仕訳は残る
◎freeeのトランザクション中心方式・タグ方式
トランザクション中心方式(勝手につけた名称です(笑))とは一つの取引を経理ソフトとして1つの情報として処理していく方式で、具体的には1つの取引について発生する次の情報を一元管理します。
請求書発行・入金予定の管理・入金確認・会計の仕訳・請求管理の消込
MFCだとそれぞれを別個の業務として考えるのに対して、freeeでは取引をベースにこれらのすべての作業を管理するため、請求書を発行すれば自動で会計の仕訳、入金予定の管理、消込まち までが一気にされる形になります。シンプルで人為的ミスがおこりにくい仕組みになっています。
タグ方式とは、情報にそれぞれの項目から付箋を選んではっていくイメージです。情報にラベルを張りラベルでキー検索等することにより分析や管理などを行うことができます。
◎freeeのメリット
トランザクション中心方式
・1つの取引について請求書発行すれば売掛仕訳や入金予定、消込までが一気に終わる
・取引の管理を行うことが中心になっているので手入力での仕訳業務が発生しにくく、正しく使っていれば絶対にミスが起きない
・1つの取引ごとで情報が格納されているので仕訳から元の証憑、取引まで一瞬で遡れる
・経理初心者でもちゃんとした取引管理を行えば正しい経理処理が自動でできる
タグ方式
・情報の検索性が高い
・クロス集計ができる
◎freeeのデメリット
トランザクション中心方式
・妥協で入れたい仕訳(原因不明の差額などを消す仕訳や一括での処理など)が入れにくい
・仕事のスタイルをfreeeにあわせて変化する必要がある
・分割入金や下取り、相殺、手形混在などイレギュラーな処理がしにくい
タグ方式
・タグ内容のチェックや不要タグの整理、運用ルールの厳格化が必要
・上記の結果、コストがかかる
・属人化(タグをつける人の能力に頼ってしまう)リスクがある
以上が2社の設計思想の説明とメリット・デメリットになります。
料金体系
各社の料金体系は2022年1月時点で次のようになっております。共通するのは会計だけでなく経費精算や請求管理もパッケージになっておりサブスクリプション(月額制)であるというところです。機能やサポート面、給与勤怠が別料金になっている点などが2社での違う点になります。ご自身が契約するプランが想定している内容や機能になっているかはよく確認して頂く必要があります。
●MF 法人の料金体系
(参照:マネーフォワード HPより)
法人向けの料金プランは上記の2つが用意されています。内容の違いは機能の制限とデータ容量の違いになります。パックの内容は会計・請求書・経費精算・勤怠管理・給与計算・マイナンバーの6のソフトになります。基本料が従業員5人までを想定しているので給与勤怠などは5人を超えると人数分の従量課金があります。
●MF 個人の料金体系
(参照:マネーフォワード HPより)
個人向けの料金プランは上記の3つが用意されています。内容の違いは機能の制限とサポート体制の違いになります。パックの内容は会計&確定申告・請求書・経費精算・勤怠管理・給与計算・マイナンバーの6のソフトになります。従量課金は法人と同じ内容です。
◎freee 法人の料金体系
(参照:freee HPより)
法人向けの料金プランは上記の3つが用意されています。内容の違いは人数制限と機能・サポート体制の違いになります。パックの内容は会計・請求管理のソフトになります。MFCとは異なり勤怠・給与計算については人事労務freeeという別商品の申込が必要になります。
◎freee 個人の料金体系
(参照:freee HPより)
個人向けの料金プランは上記の3つが用意されています。内容の違いは機能制限やサポート体制の違いになります。パックの内容は会計・確定申告・請求管理のソフトになります。MFCとは異なり勤怠・給与計算については人事労務freeeという別商品の申込が必要になります。
以上が2社の料金体系の説明になります。同じラインナップではないので比較するのは難しいです・・・・。なので、料金での比較ではなく、次のポイントで検討頂ければと思います。
・自社にとって必要な機能がちゃんとあるのか
・①の費用対効果が良いのか、予算の範囲か
・5・6で記載する自社に合ったソフトはどちらなのか
機能面の違い
続いて機能面の違いを見ていきたいと思います。細かい違いは色々あるのですが、専門的になりすぎてしまいますので、今回はそれぞれの機能面で優れている点について記載したいと思います。
●MFCの機能面で優れている点
・クレジットカードの自動取込の取り込みのタイミングが早い、具体的にはfreeeはカードの支払金額確定日に対してMFCはカードの利用の都度連携できる形になっている。
⇒早く会計を仕上げることができる
・自動取込を行った預金データやクレジットデータの日付金額等の修正が可能
⇒会計事務所的にはありがたい点ですが、間違っていない日付や金額も修正できてしまうので考え方によっては優れていない点です(笑)
・入力画面が振替伝票方式で会計経験者にはわかりやすい画面となっている
(参照:マネーフォワード HPより)
◎freeeの機能面で優れている点
・完全自動仕訳機能があり、一度ルールを設定すればそれ以降は完全に自動で仕訳が作られていき、作業が効率化できる⇒MFCは自動仕訳のルール設定はあるが仕訳登録や一括登録という手続きが必ず入る
・貸方や借方がない入力画面となっており、経理経験のない方には入力しやすい
(参照:freee HPより)*画面下に仕訳のプレビューは出てくる形になっています。
・2で記載したタグ方式により「取引先」「品目」「メモタグ」などでの管理や集計が可能となっており。分析面で優れている
(参照:freee HPより)
マネーフォーワードがおすすめなのはこんな方
以上のことからMFCがおすすめな方は次のような方になります!
- 会計/給与/勤怠など複数のサービスをワンパッケージで利用したい方
- 簿記の知識や経験をお持ちで既存の会計システムに慣れている方
- 既存の会計システムからの移行を検討されている方
- 会計事務所のサポートを受けており分業体制等があるかた
- 社長や親族が経理→パート&会計事務所→自社経理体制のように成長・変化していこうと考えている方
freeeがおすすめなのはこんな方
- 簿記知識がなく、アプリやスマホで会計・申告がしたい方
- ITリテラシーが高い方
- 自社完結&freeeをベースとした業務フローが作れる方
- 会計ソフトを使って分析や予算管理などを進めていきたい方
- スモールビジネスで規模が安定している方
まとめ
いかがだったでしょうか?クラウド会計の代表格2社について比較検討してきましたが、異なる点が色々あることがわかっていただけたのではないでしょうか。繰り返しになりますがどちらが正解という話ではありません。今回の記事を参考に自社にあったソフトを選んでいただければ幸いです。
最後に冒頭で記載した弊社がMFCのみに限定した理由について記載させて頂きます。
- 経理経験者にはMFCが使いやすい
- 既存の会計システムからの乗り換えのお客様への対応がしやすい
- 顧問先と弊社での分業体制が作りやすい(ある程度の経理→専門家に仕上げを外注)
- 顧問先ごとに柔軟に使い方をかえられる
- 弊社の基幹システムであるJDLとの相性がいい
こういったことを検討して限定する形になりました。限定することにより生産性が向上し、ノウハウも蓄積することができました。
また、お客様にMFCをおすすめする理由としてはお客様側では本業に専念してもらい、バックオフィス業務は省力化・外注化していくのが今後の流れだと感じており、そこに対応できるのはMFCの方だと考えているためです。自社完結でスマートな体制、ミスのない体制を作るというコンセプトであればfreeeもおすすめなのですが、ITリテラシーが高く、経理の知識がある人材を採用するというのはなかなか難しいことなので、分業・外注ありきの仕組を構築していくことがよいのではないかと考えています。
MFCの導入をして、事業を加速したいと考えている方がおられましたら、ぜひ弊社にご連絡ください。
長くなりましたが本日の内容は以上で終了です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!