所長ブログ

財務分析のやり方!無料で使える診断ツール!

目次

みなさん、こんにちは!税理士の石黒です。

 

皆さんは、財務診断をされたことはありますでしょうか?

財務分析は自社の経営状態を確認するため、今後の経営目標を設定するために多くの企業で利用されています。
ただし、中小企業ではなかなか自社で財務分析をするのは難しいのではないでしょうか?
「数字が苦手」「算式を知らない」「知識を持った担当がいない」「単純にめんどう」などなど理由はそれぞれかと思います。

 

そこで今回は中小企業庁が提供している誰でも使える無料のツールを使った財務分析について解説したいと思います。
本当に簡単にでき、かつ、有益な情報が得られるのでおすすめです!

弊社でも過去に利用しており(今は有料でより詳しい内容の診断報告書を使っています)入社したてのパートさんでもできるようなツールとなっています。
ぜひ、最後まで読んで頂き活用頂ければと思います。

 

【本日の内容】

1.財務分析の目的

2.誰でも使える無料のシステムとは?

①経営自己診断システムの概要

②財務分析の必要書類

③診断システムの使い方

④診断で出てくる各指標の意味

収益性分析/安全性分析/生産性分析/成長性分析

3.財務分析のポイント 

①定点観測

②同業他社比較 

③改善手法を知る

4.まとめ

①まずはやってみよう

②改善するには月次決算と専門家の利用

 

財務分析の目的

財務分析には大きく2つの目的があります。

 

1つ目は自社利用の財務分析です。
自社の財務状況を客観的に把握し、その問題点や経営課題を知ることができるのが自社利用の財務分析です。
財務分析により明確になった課題に対し改善ための対策を取ることによって安定した経営を行っていくことができます。

 

2つ目が評価を行うための財務分析です。
企業には色々な利害関係者がいます。投資をしてくれている株主やお金を貸している銀行、得意先などです。
こういった利害関係者がその会社と取引と続けるのかを判断するために利用するのが評価のための財務分析です。

 

どちらの財務分析であってもやり方は同じですが、利用する人によって着眼点が違うというところがポイントです。
銀行であれば支払能力、株主のような投資家であれば成長性や収益性、自社であれば経営戦略との整合性など様々です。
今日はその財務診断の簡単な手法と診断の結果わかる指標の意味について解説していきます。

 

誰でも使える無料のシステムとは?

 

①経営自己診断システムの概要

 中小企業庁が提供しているシステムで「経営自己診断システム」というものがあります。

実際のサイトはこちらになります⇒ https://k-sindan.smrj.go.jp/

こちらは、誰でも無料で使えるシステムとなっており、次のような特徴があります。

★豊富な財務情報を収録・・・200万社以上の中小企業データから比較

★かんたん操作・・・決算書を入力するだけで、分析結果を表示

★登録不要・・・個人情報や会社情報の登録は不要(業種や人数は分析上必要)

 

②財務分析の必要書類

 こちらのサイトで診断を行うためには次の書類と情報をご準備いただく必要があります。

★貸借対照表・・・直近2期分(前期データがない場合には成長性の分析なし)

★損益計算書・・・直近2期分(前期データがない場合には成長性の分析なし)

★期末従業員数・・・1人当たり売上を分析するのに必要

★業種

どうでしょうか?めちゃくちゃシンプルではないでしょうか?
入力するページも1ページで30項目程度です。慣れたら5分ぐらいです。

 

③診断システムの使い方

 システムの利用方法もいたってシンプル、下記の手順で診断することができます。

 

②の必要資料を準備

サイトに接続 https://k-sindan.smrj.go.jp/

「診断スタート」をクリック *利用の登録は不要

「利用規約」を確認し「入力画面へ」をクリック

必要事項を入力 *30項目程度

「診断」をクリック

 

 

④診断で出てくる各指標の意味

この診断システムでは収益性/効率性/生産性/安全性/成長性の5つについての分析ができます。

まずは、この5つについてそれぞれの意味を見ていきたいと思います。

 

収益性・・・会社が稼ぐ能力を見る指標になります。次のA社とB社の場合A社が3倍も収益性が高いことになります。
収益性とはこのように、売上に対する利益の割合で考えた会社の稼ぐ能力を表した指標です。

A社・・・売上高100万円 利益30万円

B社・・・売上高100万円 利益10万円

 

 

効率性・・・会社が持っている資産を使って効率的に売上を上げられているかを見る指標です。

次のC社とD社が同じ商品を扱っているという前提であれば、C社の方がD社に比べて在庫を効率的に使い売上を上げられていることになります。

もっている在庫や設備などをいかに効率的に使っているのかを示すのがこちらの指標になります。

C社・・・売上高2000万円 在庫500万円

D社・・・売上高1000万円 在庫500万円

 

生産性・・・こちらは従業員1人当たりに置き換えた場合に、どれだけ売上高や利益を出すことができているかを示す指標になります。

同じ売上や利益であれば、より少ない人数で生み出せた方が生産性は高いということになります。

ただ、労働時間でなく単純に人数なのでブラック企業は高くなりがちですが(笑)

 

安全性・・・会社の経営の安定性を示すのがこちらの指標にあります。

流動比率(すぐに返さないといけないお金に対してどれぐらい、すぐに使えるお金になる資産があるか)や自己資本比率(他人からの借入に依存していない割合)などから分析することができます。

この安全性が高ければ倒産のリスクが低い会社と判断することができます。

 

成長性・・・一定期間における会社の規模や業績の成長度合いを示す指標です。

売上の増加率や利益性の改善度合いなどから分析されます。

高ければ高いほど、今後業績が伸びていく可能性が高いと考えることができる指標です。

 

以上が5つの項目についての解説になります。

この診断システムから出力される報告書では上記の5つについて次のような構成で分析結果が記載されています。

 

Ⅰ 5つの項目についての総合の分析結果

 

Ⅱ 5つの項目についての点数とコメント

Ⅲ Ⅱの根拠となった個別指標についての業種基準との比較

Ⅳ デフォルト企業(破産倒産するような企業)と比べた倒産リスク分析

こんな感じの診断報告書になります。
どうでしょうか?やってみたくなったのではないでしょうか?

 

読むときのポイントとしては、まずⅠとⅡで全体間をつかんでいただくのが重要かと思います。
そのうえで改善のヒントを得るためにⅢの個別指標で業種基準との乖離がある内容やその原因を検討して頂くと効果的で良いかと思います。

 

財務分析のポイント 

上記で簡単に財務分析ができることはご理解いただけたかと思います。
ここからはこの財務分析を使って経営を改善していくためのポイントについて解説します。

 

①定点観測

財務分析を経営改善に使うためには、「頻繁に分析して数値の感覚をつかむこと」と「改善のための行動に落とし込む」ことが重要です。
そのためには複雑な分析を年に1回のような頻度にするのではなく。簡単な分析を毎月の月次決算で行っていただくことをおすすめします。

毎月行うことで感覚がつかめますし、悪くなった場合の対策をすぐにとることができます。
毎月簡単な分析と改善のための行動を考える時間をとり、年に1度は複雑な分析をしてちゃんとした振り返りをすると言う形が良いかと思っております。

 

②同業他社比較

財務分析を自社の決算書のみでやっても経営課題を見つけ出すのは難しいです。
そんな時に役に立つのが同業他社比較です。
同業他社と比較することで自社の課題や強みを見つけ出すことができます。
今回紹介したシステムは国が提供しているだけあって200万社という膨大なデータをもとにした比較が可能です。
総合の評価を見た後には個別の指標で同業と比べてどうなのかをご確認ください。

例えば同じ収益性の指標でも粗利益率は高いけど営業利益率は低いというような場合もあります。
この場合、他社と比べて「広告宣伝費がうまくいっていない」や「間接人員の生産性が低い」などの課題が隠れています。

 

③改善手法を知る

意識高く、財務分析をやってみたものの、どう改善していいのかわからないという方もおられるのではないでしょうか?
というより、現場感覚としては、わからない方の方が多いかと思っています(笑)

改善していこうという意思は大切ですが、行動や期日・責任者を決めないとそれは単なる意思にすぎません。
行動に落とし込んでこそ初めて改善していくことができます。

書籍やわれわれ専門家の知恵を使って、改善の方法を知り行動に移して頂ければと思います。

 

まとめ

①まずはやってみよう

3では経営改善についてまで触れましたが、まずは分析をやってもらうことが重要かと思います。
なんとなく経営するのではなく数値にも興味を持ってもらい、日々の経営にあたっていただければと思います。

 

②改善するには月次決算と専門家の利用

3で記載した通り、経営改善を行っていくためには、①リアルタイムの会計数値の把握と分析②改善手法の理解③行動計画への落とし込みが必要です。

これらをすべて社長ひとりで行っていくのは難しいと思います。

ぜひ、われわれ専門家をうまく利用してこの仕組み作りをして頂ければと思います。

弊社では次のようなことをサービスとしておこなっております。

 

 ★リアルタイムの会計数値を把握するためのクラウド会計による経理の自動化

 ★財務診断ツールによる財務コンサルティング

 ★毎月の月次決算後に行っている業績報告会(財務分析と行動計画)

 

興味のある方は担当者まで、ご連絡ください!宜しくお願い致します。

それでは、本日の内容は以上で終了したいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。