創業希望者が作るべき創業計画書のポイントとは?
創業希望者が作るべき創業計画書のポイントとは?
創業を考えられる方は皆さん自分のやりたい事業に対して、おおいなる期待をもってスタートされることだと
思いますが、陥りがちなのがスタートしてみて予想外のことが起こって対処に困ることです。
経営者の方は常に頭を悩ませているのが、①人、②カネ、③情報です。
ちなみに日本政策金融公庫の調査によると開業1年以内の方が悩まれているのは①販路、②資金繰り、③専門知識です。
(出典:日本政策金融公庫 2018年度新規開業実態調査より)
創業してから困らないための創業計画書
では実際に開業するにあたり、自分の感覚だけに頼るのではなくある程度の見通しを立てるものが「創業計画書」です。
色んなフォーマットがあるので自分にあったものを探されると良いですが、今回は日本政策金融公庫の創業計画書を例に
見ていきたいと思います。
これが実際の創業計画書です。
融資申し込みの際は必ず必要となってきますが、融資を申し込まない方でも各項目ごとに埋めていくことで、
ご自身の計画の整理につながりますので、ぜひ一度作成されるのをお勧めします。
この計画書をつくることで、ある程度の見通しを立てることが出来ます。
それでは各項目を詳しく見ていきましょう。
1、創業の動機は?
ここではなぜ自分が創業しようと思うに至ったか、どういう目的で何をやりたいかをはっきりさせます。
ただ周りから勧められたからや会社に勤めるのが嫌でなどの動機では長続きはしません。
ご自身の気持ちを整理することや将来壁に当たった時に当初の気持ちを振り返ることにもつながります。
2、経営者の略歴等は?
この欄では自身の経歴を振り返って、自分に何ができるのかどういったことに強みがあるのかなどを整理します。
開業される業種と全く同じものを経験していないといけないわけではありませんが、社内でマネジメントをしていたや
店舗運営をしていたなどは今後の経営能力を見る一つの指標になります。
3、取扱商品・サービスは?
ここに関してはどんなコンセプトのお店にするのかを具体化していきます。
ただアットホームなお店にしたいだけでは、他のお店との違いが見えてきません。
具体的にどういった違いを出すのか、商品・サービスの単価はどれくらいなのか、メインターゲットはどういった層の
お客さんか、近隣の市場がどうなっているかを分析することで独自性のあるお店を作り上げることが出来ます。
4、取引先・取引関係等
こちらではいわゆる売り先買い先はどうなっているかを確認していきます。
販売先にはどういったターゲットのお客様をイメージしているか、取引条件はどうなっているかを確認します。
仕入先に関しても同じですが、これを記入することで資金繰りを見ることが出来ます。
仕入先への支払日から販売先からの入金(回収)条件を見れば、そのタイムラグの間に資金は一時的に
手許からなくなります。
このタイムラグが長ければ長いほど、自己資金の準備が必要になります。
このお金がないことで仕入れが出来なくなり、商売が立ち行かなくなることを黒字倒産といいます。
5、従業員数は?
開業されるにあたって人を雇うのかどうかです。
ここに関しては日本政策金融公庫の審査に関わる部分ですので必要に応じて記入します。
6、借入れの状況
現在のご自身の借入状況を確認します。
住宅ローンや教育ローン、自動車ローンなら一般的ですので問題はありませんが、カードローンや消費者金融からの
借入がある場合は審査に大きく影響します。
審査で突っ込まれるのが嫌だから記入しないという方がまれにいらっしゃいますが、金融機関は現在の借入状況を
信用情報機関に問い合わせをしますので、記入していなくても借入状況はわかります。
ここで気をつけるべきは、それを意図的に書かないことは金融機関からすれば不利な情報は隠す人だという見られ方を
しますので、書かずに発覚すれば申し込み時点での信用がなくなります。
まず融資申込みを検討される時点で、カードローン・消費者金融などの借入は清算されることをお勧めします。
7、必要な資金と調達方法
必要な資金は設備資金と運転資金に分かれます。
設備資金とは店舗・事務所設立にあたって必要となる資金や機械・車両を購入する資金など主に設備に関する資金です。
運転資金とは当面の仕入れ資金や人件費、広告費、諸費用などがこれにあたります。
この違いは何かというと、設備は店舗や工場を運営していく為に必要ですが長期的に利用するので借入に関しても長期で
返済していきます。
運転資金は当面仕入れと販売の資金回収のタイムラグを埋めるための資金ですので、仕事がうまく回り始めれば回収できる
お金なので期間は設備に比べて短いスパンで考えます。
調達方法に関しては、自己資金があるのか金融機関からの借入で賄うのかを記入するところです。
ご相談に来られる方でよくあるのは必要な資金と調達の方法の金額が不一致の方が多く見られます。
基本この金額は一致していなければいけません。
8、事業の見通しは?
創業当初の売上から経費を引いた利益がどれくらい出そうな見込みなのかと軌道に乗ったあたりでどれくらいになるかを
記入します。
軌道に乗った後となってはいますが、概ね1年以内で判断し数年かかるような事業では厳しいと判断されます。
また自分が思い描いている数字を記入いただいてもいいのですが、一番重要なのはその数字の「根拠」が示せるかです。
細かく言えば平日・休日で売上や客単価が変わることもありますし、経費に関しても人件費や家賃・光熱費などの諸費用を
網羅しているかを見られます。
ここにはっきりと根拠を示すことが出来れば、いざ事業を始めてからもその数字に合わせて順調に進んでいるかを判断する
材料にもなりますので、しっかりと記入しましょう。
以上のような事業計画書がしっかりできればあなたの創業がより確実なものになります。
しかしながら、数字は苦手で作れないと思っている方は一度弊所にご相談ください!