創業計画書の作り方

創業融資が難しい案件でもリカバリー策はある-2

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創業融資が難しい案件でもリカバリー策はある-2

「表面上の不一致」や「論理の飛躍」も要注意

もちろん、創業計画書の「必要な資金と調達方法」欄の左右の合計額が一致しているかどうかも重要です。
一致していない場合は計算違いか、計算根拠の判断ミスか、いずれにせよ「資金繰りの詰めが甘い」と判断されます。

また「経営者の略歴等」を踏まえた「取扱商品・サービス」になっているかも重要です。
まったく経験のない業界にいきなり飛び込むような創業計画書もありますが、もしそうであれば、それをフォローする記述になっているかどうかが大事です。

たとえば、事務機器商社に勤めていた定年前の役員がラーメン屋を開くとしましょう。
一見すると、畑違いの事業への進出は融資をする側から見るとクビをかしげざるを得ず、融資したくても「むずかしい」という判断になりかねません。
きちんとした筋道もなしに、「アレをやりたい」「コレをやりたい」と言っているだけでは、「趣味として取り組んでみては?」などといわれておしまいです。

ただし、その創業計画書に、「ストーリーの溝」を埋める記述があり、明快であれば融資担当者の対応は変わります。
たとえば、「自己資金には、退職金の2000万円を充てる。20年間ずっと定年後にはラーメン店を開こうと考え、全国各地、年に100軒のラーメン店を食べ歩いた」となれば話は別です。

なぜならそこには売り上げを伸ばしていくための根拠や道理、まっとうな動機、筋道があり、それが確かであると判断できるからです。

“延滞トラブル”はマズイが、乗り越える方法はある

創業計画書が「ダメ」というより“残念な”パターンもあります。
その最たるものが、「過去に借入の返済が滞った経験があり、その事実を自覚せず、創業計画書を作成して申込む」というケースです。

本人に創業に対する意気込みがあるにもかかわらず、その滞納の情報は金融機関の信用情報として登録されています。
それを意に介さず創業計画書を提出してしまうのです。
すると、審査を進めてもらっても、結局、融資担当者から理由も告げられず申請が却下される可能性が大です。

そうした事態を避ける方法は二つあります。

まず、借入の申込書の裏面に「この信用調査機関で信用情報を確認します」といった文言が記載されているので、自分の信用情報をその信用情報機関にお願いして自分で照会し、確かめてみることです。
自分がいわゆるブラックリストに載っていれば、創業融資の申請や創業そのものを1年ほど先延ばしして、着実に返済を続けてブラックリストから削除してもらうという方法も考えられます。

もう一つはダメモトですが、融資担当者の面談の場できちんと説明することです。
なぜ、延滞にいたってしまったのか、その滞納以外はきちんと返済していることを説明し、融資担当者に納得してもらえれば、懸念点の一つはクリアされたことになります。
この滞納は、住宅、クルマ、教育費のローンだけでなく、クレジットカードのキャッシング機能や個人の携帯電話の支払いの滞納も同様です。

かつて、携帯電話の料金の引き落とし時に海外出張していて残高が足りず、返済しそびれて信用情報に汚点がついてしまった例があります。
その時は、面談でその旨を担当者に説明し、理解を得たようです。

まさに、ケースバイケースな面があって一概には言えませんが、決して創業計画書という書面だけで「すべてが決まる」わけではないことも理解しておきたいものです。