創業計画書の作り方

創業計画書は数字の根拠で筋が通っているか

目次

創業計画書は数字の根拠で筋が通っているか

担当者は筋が通っているかチェックしている

融資担当者は、この部分の記述についても、筋が通っているかどうかを見ます。
たとえば、最初は自宅を事務所として始めた場合でも、軌道に乗った際には事務所を構えるつもりなら、それを「事業の見通し」に示し、「家賃」欄に計上します。
なお、個別例になりますが、どうしても「自分の役員報酬(人件費)を下げたくない」というタイプの人もいます。

「独立前は一流企業に勤め、年収2000万円レベルで仕事をやってきた。
独立して会社を経営する以上は、低い報酬で働けるものか!」といった考えの人です。
その場合は「事業の見通し」欄の人件費が高額になり、始める事業の実態との乖離も出てきます。
黒字になる見込みがなかなか立たないのです。
こういう人に限って、「会社は赤字でも構わない」と考えるケースもあります。
すると担当者に、「この人はかつてのプライドを捨て裸一貫で一から頑張ることはできない人だ」と判断されてしまうかもしれません。

その結果、申請した融資が却下されるようなこともあり得るのです。
創業計画書を通して、自分自身を見つめ直す大切さは、このような面にも表れてきます。
本書で解説している創業計画書はA3用紙たった1枚ですが、されど創業者の人となりを示す重要な1枚でもあります。
このことにくれぐれも留意しておきたいものです。

売上について記載する際の留意点

「事業の見通し」のなかで、金額が見込みやすい仕入れや外注と比べて、売上は全くの予測に立って記入しなければならない点にも留意しましょう。
実際、商品やサービスが「売れるかどうか本当のところは分からない」時点で具体的な数字として記入しないといけません。

では、具体化するためには、どうしたらよいのでしょうか。
前述したようにテスト販売や店舗の立地調査、また、「ユーザーの声」を集めたり消費者ニーズを確かめたり、でき得る策を実際に打ってみて、反応を確かめるとよいでしょう。
要は自分の考えに従って「試してみる」ことです。

この点は、副業として実践してきた人に一日の長があります。
たとえばIT企業に勤め、副業でゲームアプリを開発・販売してきたような場合、これまでの経験から売れ筋を理解していたり、スポンサー企業とのつながりがあったりするからです。

まったくそのような経験がない場合、まずは自分なりの想像で金額などを埋め、後述する税理士やコンサルタントなどのパートナーに意見をもらうことです。そうすれば、自分が的外れな想定をしていた場合にも早めに気づくことができるでしょう。