相続関係

公的年金のしくみと遺族年金の手続きについて(2-1)

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公的年金のしくみと遺族年金の手続きについて(2-1)

身近な人が亡くなった時、手続きとしてはまず故人が受け取っていた年金の受給停止の申請があります。
その前にそもそもの「公的年金のしくみ」がどうなっているか、概略を理解しておきましょう。

「2階建て構造」になっている年金制度

まず年金は、20歳以上60歳未満の国民全員が加入する国民年金と、勤め人などが加入する厚生年金があります。
この国民年金と厚生年金は次の図のように2階建ての構造になっています。

 

※出典:公的年金制度の概要(厚生労働省HPから抜粋)

 

国民年金の被保険者は上図の第1号~第3号被保険者に区分されます。
それぞれの区分によって保険の受給などの扱いが異なり、厚生年金は第2号被保険者の上に乗っている構造になります。
毎月納める保険料は、国民保険は定額で2018年度は1万6340円です。
厚生年金の保険料は給料(月額)に応じて区分(等級)があり、その区分に応じた保険料を原則的に労働者(社員)と使用者(会社)が半額ずつ負担する労使折半というかたちで使用者が納めます。
受給額については、国民年金は納付した期間に応じた額が65歳から受給できます。
厚生年金は受給できる開始年齢が60歳でしたが、開始年齢が変わっていき2025年度(女性は2030年度)には65歳となります。

年金は原則として保険料を納めた期間などに応じて本人が受け取ります。
ただし、本人以外が受け取れる制度もあります。
その代表例が、故人の遺族が受給できる遺族年金です。
遺族年金も遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建て構造になっていて、それぞれ受給要件や受給額が異なります。
また、遺族年金が受給できない場合でも、死亡一時金や寡婦年金(女性の場合)を受給できるケースがあります。

 

遺族年金の手続きは?

年金請求書に必要事項を記入して故人と遺族年金を受給する人の年金手帳・故人の戸籍謄本・死亡診断書のコピーなどの必要書類をあわせて提出すればOKです。
寡婦年金も同様ですが、年収850万円以上の遺族には受給資格がありません。
年金請求書の提出後、1~2か月のうちには年金決定通知書が届きます。
さらに、年金振込通知書が届き支給が開始されます。
年金が2階建ての構造となっているのと同様に、国民年金からは遺族基礎年金を、厚生年金からは遺族厚生年金を受給できます。
遺族基礎年金のみの申請の場合は、受給する人の住所地の市区町村役場で手続きします。
申請にあたっては、故人の生前の公的年金の加入歴の確認や年金事務所や市区町村役場の裁定という作業もあるため、請求してから受給できるようになるまでに通常は数か月かかります。
そのため、早めの受給手続きを心がけるとよいでしょう。

 

受給期間についても制限がある

遺族年金は、受給できる遺族(受給権者)が他界するまでずっと得られるという性質のものではありません。
受給権者が他界した場合はもちろんのこと、離縁した(姻族関係を終了した)・再婚した・養子縁組をしたなどの場合には受給権がなくなります。
妻が受給権者で、30歳未満で受給した場合、遺族厚生年金では5年が経過すると受給権がなくなる措置もあります。
子や孫が受給権者である場合、 18歳の年度末を迎えた時に受給権がなくなるなど年齢制限もあります。
そのほか夫が亡くなった時に妊娠していた妻の子が生まれた場合には、生まれてきた子に受給権があるため、故人の父母・相父母、場合によっては孫の受給権がなくなります。
年金制度はとても複雑になっています。
そのため「遺族年全が受給できるかも?」と思ったら、最寄りの年金事務所や市区町村役場に詳細を問い合わせてみることをお勧めします。

以上、公的年金のしくみと遺族年金の手続きについてでした。
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