創業計画書の作り方

セールスポイントを強調する「取扱商品・サービス」

目次

セールスポイントを強調する「取扱商品・サービス」

自分の取り扱う商品・サービスを再整理してみる

取扱商品・サービス」欄も「創業の動機」と同様に、すんなり書ける人と書きあぐねてしまう人の差が大きく出る項目です。
商品はともかくサービスについては、今日、細分化・複雑化している面があり、どんなサービスなのか、サービス全体のどの部分を担うのかなどについて端的に示すことがなかなかできない人も多いようです。

そのような場合は、自分のやりたい事業を改めて整理してみることをお勧めします。
たとえば、クラシックカメラのような特定の物品の販売を事業とするケースで考えてみましょう。
この場合、創業計画書の「取扱商品・サービスの内容」欄の①、②、③と三つ並んだうちの一つが「クラシックカメラの販売」と埋まり、その売上シェアの欄に「100%」と記入できます。

それでも立派な創業計画書ですが、「もう少し“趣味”を超えたビジネス性、将来性を感じてもらえるのではないか」と考えるのも自然なことでしょう。
そうだとすれば、「クラシックカメラの販売」だけでなく、「修理」が浮かぶはずです。そして、それは②のサービスとして記入できます。

さらに、「クラシックカメラの販売」が中古品なら「買取り」というビジネスも浮かぶはずです。
もちろん、それらのビジネスを軌道に乗せるには、許認可について「古物商」の資格が必要ですが、そのように「クラシックカメラの販売」の周辺分野をていねいに掘り下げていけば、三つの取扱商品・サービスを埋めることができます。

OA機器の販売なら「消耗品の販売」「定期的なメンテナンス」などを考えてみます。
IT機器のセキュリティ業務では、診断・サポート業務がメインであれば、紹介を通じたセキュリティ機器の販売が次に並ぶわけです。
あとは、それぞれの売上シェアをどう見込むか、経験や実績、目標などから考えられるおおよその割合を記入すればいいのです。

安易に羅列せず、「選択と集中」で

こうした商品・サービスを列挙することに書きなれていない人は、つい“羅列”してしまいがちです。
たとえば、店舗をオープンする事業で、①生花店、②喫茶店、③パン屋と書いてしまうようなことです。
要は、「花とパンが売っている喫茶店」ということでしょう。

アウトドア用品店を開く場合に、①ウェア、②シューズ、③キャンプ用具などとしてしまうことも、それに近いものがあります。
カメラの販売店だと、①カメラ、②レンズ、③バッグや三脚などのアクセサリー小物といった並べ方です。
こういった並べ方をすると、「創業していきなり、“総合商社”を始めるのですか?」と聞きたくもなります。
経営には「選択と集中」という言葉がありますが、まず一つに絞って、集中して深く掘り下げていくことが大切です。
先の「生花店」の例では、「生花」の次に「パン」や「喫茶店」など他業種・他業態に自分の好みで目を向けるのではなく、まず「生花」の販売を追求し、あわせて、例えばフラワーアレンジメントなど「花の知識」を活かしたビジネスを展開するのです。

ですから、この「取扱商品・サービス」の欄も「選択と集中」を実践してみましょう。
無理に並列的に三つも羅列する必要はありません。先に挙げた例のように自分の目指す事業について、自分のやってきたことを振り返りながらまとめていけば、的確に記入していくことが出来るでしょう。