創業計画書の作り方

創業計画書のお金に関する項目は常に計算根拠を意識して記入する

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創業計画書のお金に関する項目は常に計算根拠を意識して記入する

自分だけで起業する場合は、常勤役員の人数を「1人」と記す

日本政策金融公庫の創業計画書の右半分が資金や予測損益(収益)などのお金の項目です。
その右上段には、お金の話の前提の一つになる「従業員」欄があります。
まず、その従業員欄についても少し触れておきましょう。

「従業員」の欄は創業時の人員について役員、従業員、パート・アルバイトの数を記入します。
その従業員の数が人件費として見込まれ、創業計画書の後段の「事業の見通し」欄に反映されます。
日本政策金融公庫についていえば、創業融資の大前提は「雇用を創出する事業かどうか」です。
そのため、自分のほかにも従業員、パート・アルバイトなどを雇い、創業計画書に記入することが重要と考える向きもあります。

ところが、実態としては自分一人で創業するケースも多いものです。
もちろんそれはそれでかまいません。
創業計画の段階で、「人を雇う自信がない」というものも多くの創業者にとって偽らざる事実でしょう。その場合は、常勤役員の欄に1人と記入します。

ただし、その場合は、後に出てくる「事業の見通し」の欄で、「軌道に乗ったら、従業員を3人ほど採用し、事業の拡大と安定を図る」といった文言で、雇用を創出する意欲があることを示しておくべきです。
もちろん、「事業の見通し」では、事業を軌道に乗せ、発展させていく展望について、例えば増加従業員分×1人あたり売上のように数値で示しておきます。

家族を従業員にするのは是か非か

留意したいのは従業員数の「家族」という欄です。「従業員数1人(うち家族1人)」となると、ほとんどが「家族とは配偶者のこと」だと想像できます。
夫婦での創業ということです。
それが実態であればいっこうにかまわないのですが、家族で事業を行うと、「従業員である配偶者を会社の利益の“調整弁”に使う」など、あまり好ましく思わない風潮もないわけではありません。
なにより「配偶者は別の会社の勤め人」のほうが、創業者の家族の生活は安定するでしょう。

一概に決めつけることはできませんが、「好ましく思わない考え方もある」と理解したうえで記入することが大切です。

個人的な借り入れで足がすくわれることも⁉

「お借入れの状況」については、代表者個人の借入の現状を記入します。自宅や車、また教育ローンの返済があれば、その残高や返済の状況を記入します。これらについては、「あって当然」の借入でもあり、気を揉む必要はほとんどありません。

注意したいのは、カードローンです。
一般的に他の借入より利率が高く、代表者個人にとって大きな返済負担になっているケースもあるようです。
残額があれば、できるだけ返済しておくべきです。
そのうえで自己資金を考えるようにしましょう。

多額のカードローンが残っているようでは、公庫の審査では大きなマイナス材料になってしまいかねません。
創業融資、とくに運転資金の創業融資が実行された際に、カードローンの返済を先に埋める“掟破り”なことを考える人がいないとも限りません。
それはご法度です。
額によっては事業の見通しが大幅に狂うことにもなりかねません。