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創業からの成長モデルに説得力を持たせるのはやはり根拠となる数字

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創業からの成長モデルに説得力を持たせるのはやはり根拠となる数字

「事業の見通し」の「計算根拠」の制度を上げる

成長モデルというと、経済学者のラムゼーやソローの経済成長理論のように、難しい方程式を駆使したモデルを思い浮かべる人がいるかもしれません。
もちろん、そうしたモデルを使って、自分の会社そのものと会社をめぐる経済環境を考察することには大きな意義があります。

たとえば、経済学者のラリー・グレーナーは企業の成長には、

  1. 新しい組織ができる
  2. 部分最適化と大企業病や過去の成功体験への囚われが起きる
  3. 現場に近いマネージャー(リーダー)とマネジメント層(経営者自身)の間で主導権争いが起きる
  4. 家業から企業に完全脱皮する
  5. 企業としてゼロからイチを作り出す

のように5段階があるとしています。
そのなかで、自社は今どの段階にあり、今後どのようなことが起こるかを予測し続けることは、創業後の大切なテーマの一つといえます。

またどの段階にあっても、「起こりうるリスク」を想定しておくことは、創業する人にとって大切なポイントです。想定しているリスクを的確に示すことが、ビジネスの成長性を他の人に説明する際の説得のポイント化もしれません。

ただし、そうした考察はここではいくぶん縁遠いところがあるでしょう。
そこで、創業融資を受ける事業家として、自分の創業計画が軌道に乗り、数年先の事業計画としてどのように発展させていけばよいかに焦点を合わせて考えてみることにします。
その点で重要なのは、創業計画書の「事業の見通し」の欄です。
とくにその右欄の「売上高、売上原価(仕入高)、経費を計算した根拠」を示す部分です。
この部分について、全体との整合性が取れているかを今一度、確認しておきましょう。

“無理め”の予測はないか

よく起こしがちなミスは、軌道に乗った時点で創業計画書の「取扱商品・サービス」欄に示した内容と趣の異なるビジネスの売上の見込みを加算しているケースです。
たとえば、自社アプリの開発を主な事業とするはずのIT会社の創業で、「軌道に乗ったころには、大手のアプリの受託開発の案件も可能なはずだ」と見込み、「取扱商品・サービス」欄では触れていない、現状ではアプローチすらしていない大手からの受託開発という取扱商品・サービスので大きな売上の予測数値を計上してしまうことなどです。

そのほかにも、労働集約型の業種の創業で、軌道に乗った頃には「何人もの従業員を雇っている」と安易に見込み、その人件費を計上する一方で、増えるであろう従業員数を基準に売り上げを予測するといったこともあったりします。